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軽石へちま

Author:軽石へちま
基本自キャラで凄まじく妄想してみる。
隠れ家なのでBLとか黒とか暗とか主。
キャラ崩壊必至。何とも思わないけども。
妄想についてこれる人だけどうぞ。

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紗央さんお誕生日おめでとう!!(待て)



「紗央さんおはようございます!! 今日もいい天気ですね!!」

 少しどころかかなりぎこちなく挨拶してくれる、近くの私立高校の女子生徒。
 片手を軽く上げて挨拶を返す。

「おはよう。早いね」
「あ、は、はい! 今日、日直なんで!!」
「そうか、日直か。久しく聞いてないねぇ、そんな単語。頑張って」
「は、はいっ!!」

 人気者ってのは辛いなあ。しかも罪だ。女子生徒は顔を赤らめて去っていく。
 春だというのに今日は朝から夏のように暑い。さっきまではきちんと締めていたネクタイを大きく緩めて、がりがりと後頭部を掻いた。
 昨日夜中まで喫茶店に出す新しいメニューのレシピを書いていたからか、まだ眠気が抜けない。俺は交番に入るとタオルを手に洗面所に向かった。
 冷水でばしゃばしゃ顔を洗うと、少しはマシになった気がする。タオルで水滴を拭きながら、鏡を確認。涼しげなのは青い瞳だけだ。しかし、瞳が青いからって冷却作用があるわけでもない。何にしても役に立たねぇな。そう呟くと再び外に出た。

「お、不良警官のお出ましだ」
「うるせぇよ不良女顔学生のくせに」
「うわ、地域の平和と安全を守る警官が善良な一市民にそんな暴言吐くなんて!」
「どこが善良な一市民なんだよ。警察の冷やかしするような奴が。つーか流風、お前今日は遅いんだな」

 透き通るような茶色い髪。だらしなく着崩した制服が嫌に似合うクソガキ、水城流風。髪は染めるし女とは遊ぶし授業は聞かないらしいしで酷い不良なわけだが、何故か成績は学年トップクラス、顔はいいしバスケ部でキャプテンを務めるくらいスポーツ万能という、どこぞの二次元だ、な設定がてんこもり。普段は自主練があるからー、とかで今の時間よりも30分くらい早くここを通ることが多いのだが、……寝坊か? 珍しい。

「昨日俺バイト入ってただろ? ロッカーに数学の参考書忘れてさ。取りに行ったらタイムロス。俺としたことが!」
「あー、そういやそうだな。……いや、何故ロッカーに参考書忘れる。普通鞄にしまっとくもんだろ、それ」
「これだから高卒就職組は。この国の大学受験もあんまナメてかかんない方がいいと思うよ?」
「うーるーさーい。お前こそ高卒就職ナメんなよ! 倍率高いんだからな!」
「ああはいはい。人生の先輩の意見ですから謹んで聞かせていただきます」

 口から出任せがよく出る奴だ。お前絶対死ぬときは地獄行きだな。
 流風のバイトというのは喫茶店のウェイターで、実を言うと俺はそこでパティシエの真似事をしている。こう見えて料理はかなり得意だ。お菓子作りならそんじょそこらの女よりは俺の方が余程うまい自信がある。まあ、頻繁に厨房に通わせてもらって、俺が作るものが大体並ぶわけだが、賃金はもらっていない。あくまで趣味の一環。家事手伝いみたいなもんだな。だから、こうして今いる警察としての本業に差し支えない程度に手伝っている。そんな感じだ。
 じゃあ、俺急ぐからあんたと話してる暇ない。と突然流風は言い放ち、とっとと学校へ向かった。なら最初から絡んでくんじゃねぇよ、と思う。
 ともかく、俺の仕事はこうして市民と会話することから始まる。ま、朝なんかは大半が学生で、この町のこの地域は他に比べてもかなり平和だから、凶暴事件だのなんだのは起こったためしがない。パトロールは散歩程度なもんだし、誰も来なければ交番で暇を潰す。いいところに配属されたとしか言えないな。



「紗央くんっ! おはよ、頑張ってる?」
「お、奈央。今日も抜群に可愛いなー。俺のとこ嫁に来いよ、あんなとこで妹してないで」
「紗央ぉおおおお!!! 奈央がどこに嫁に行こうと奈央は妹だろうが!! それよりっ、俺の存在忘れんなー!!」
「あー、いたのかミクロマン」
「ミクロじゃねぇ!! つーか何でそれ知ってんだ!!」
「学生諸君とも親交の深い警官だからね、俺は」

 昼頃、俺の最愛の従姉妹、奈央とその恋人(仮)の空がやってきた。 
 空はあの私立高校で教員をしているはずなのだが、今日は休みらしい。
 奈央は近くのクリニックで看板娘、もとい看護師をしている。時間と服装からして、昼休みだろう。しっかし、相変わらず奇抜な制服ですこと。奈央は何でも似合うから別に構わないけどね。 
 お弁当作ってきたから食べよう、と奈央。奈央が作る料理は何だってうまい。奈央は、「紗央くんほどじゃないよ」といつも謙遜するけど、和食なんか作らせたら俺なんかよりよっぽどうまい。嫁に欲しい。

「んー、やっぱ奈央の作る弁当は美味いなー。嫁に来いって。見た目的にも釣り合うから」
「うおおおおい!! 俺だって最近牛乳飲んで頑張ってんだぞっ」
「今から飲んでどーすんだよ。ミクロマンの隣にいたってほぼきょうだいくらいにしか見えないって」
「んなコト言って! お前自分がどんだけ理央に似てっか分かってねぇな!? 紗央が奈央と一緒にいたからって理央と一緒にいるのと大差ねぇよ!!」
「あんな屑と一緒にすんな」

 箸を置いて俺は席を立つ。
 理央と似てる? 不愉快だ。名前を聞くだけでも反吐が出そうだってのに。
 奈央が不安そうな顔をして俺を見た。

「……平気。俺は奈央が一番好きだよ」

 空が喚きたてる。
 俺は奈央が一番好きだ。
 一番好きで、――――。




「俺が嫌いなのは構わない。けど、奈央の前であからさまな態度を取るのはいい加減やめろ」
「すいませんね。自制できないくらい嫌いで」
 
 そいつが交番に現れたのは夜だった。
 どうやら、空がご丁寧にお義兄さまにメールでも寄越したらしい。俺がこいつを嫌いなのはいつものことなんだから放っておけばいいものを。

「ご忠告ありがとう。つーことで帰れ。お前の顔なんて1秒も見ていたくない。目が腐る。――ま、もう腐ってるようなもんだけどな」
「……まだそんなこと言ってるのか」
「誰のせいだか」

 自分と対峙する、もう一人の自分。
 背丈も、声も、顔立ちも、俺とほぼ同じ。どうして俺とこいつが双子じゃないんだろうと思えるくらい、確かに俺たちはよく似ている。
 ただ、違うのは、涼しげな俺の目の色。
 もう腐っている。こんなものからもたらされる視覚なら必要ないと思えるくらい、俺にとって忌むべきもの。

「――俺が嫌いなのはお前だけだと本当に思ってる?」

 夜風が嫌に冷たく感じる。
 俺は手にしていた帽子を被り直して、黒い瞳の俺に近づく。

「――お前ら兄妹、大ッ嫌いだ」
「……紗央、お前、」
「そうだな、どっちが嫌いかあえて言うなら、――奈央の方が嫌いだな。もう立ち上がれないくらいぶん殴ってやりたいとも思うし、一生泣いてればいいとも思う。けど、男の俺がそれをやるのはちょっとフェアじゃないよな。奈央は女として見れば普通に可愛いわけだし」
「……奈央に対するいつもの態度は、嘘か?」
「嘘じゃない。言っただろ、女として見れば可愛いって。お前の妹だって認識した瞬間にとんでもなく憎くなる。押さえればなんてことない」

 理央と奈央なら、奈央が憎い。
 けれど、奈央そのものが憎いんじゃない。理央の妹だから憎い。理央ももちろん憎いが、奈央の兄だから憎いんじゃない。理央は理央だから憎い。そこが少し複雑だった。
 俺がこれだけ2人を憎んでいるのに、特に、理央にはそれを公言しているのに、理央は俺を憎まない。その瞳には、怒りと呆れと、――後悔の色が見えた。
 もっと俺を憎めばいいのに。そうしたら俺はもっと自由に好きなことができるだろう? お前のそういうところが憎いっつってんだよ、いい加減理解しろ。

「……奈央は俺が貰う」
「……紗央、何言って、」
「どっちも痛いだろ? お前も、奈央も」

 奈央は傷つけて痛めつけたい。俺が味わった体の痛みと同じ痛みを。
 理央は傷つけて悲しませたい。俺が味わった心の痛みを同じ痛みを。

 痛がる2人を想像するだけで、寒気にも似た悦びが背筋を走っていく。
 目の前の、俺と同じ顔をした男が、妹の傷つく様を見て、どんな風に心を痛めるのか。
 理央の頬に手を当て、顎まで滑らせる。鏡の中に手を突っ込んで、自分に触れているような錯覚を起こす。ただ、何度見ても、こいつの瞳は黒いのだ。

「っ、―――大嫌いだ、お前らなんて」

 湧き上がる感情は、憎しみと羨望。
 そのまま乱暴に、噛み付くように口付けた。
 毎度のことだが、不味い、と思った。



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2007.04.21(Sat) | 未分類 | cm(0) | tb(0) |

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