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軽石へちま

Author:軽石へちま
基本自キャラで凄まじく妄想してみる。
隠れ家なのでBLとか黒とか暗とか主。
キャラ崩壊必至。何とも思わないけども。
妄想についてこれる人だけどうぞ。

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ifですが。
 


 ひどく納得した気分だった。
 ああ、あんたは俺にとって確かにムカつくけどいい先生で、けどあんたはあんただから乗ったんだよな。道徳だの何だのって今の状況で説いても仕方ない。 
 いいよ、俺あんたのこと結構好きだから受け入れよう。言っとくけど、それでも俺は諦めないからな。
 ――最後まで反発して、意地でも不参加を貫くか? それとも?
 月明かりに照らされる血塗れの男をもう一度見、俯いて目を閉じると、頭の中で、かちん、と音が鳴った気がした。

「…………った、………」
「何?」

 俯いた俺の呟きは地に向かって発された。先生が聞き取れないのも当然。
 俺は顔を上げる。それから、迷いなんてひとつもなく宣言する。

「乗った、このゲーム」

 さあ先生? 俺の目、今何色に見えるかな?
 あんたに無抵抗で殺されてやるなんて、俺はそこまで殊勝な性格してないし、この心までをあんたに食わせてやるつもりは毛頭ない。ほら、俺の心を踏み躙ってみろ、お得意の口の悪さで、手癖の悪さで! 悪いけど今の俺は、んな事じゃ多分、折れないぜ?
 
「なあ、驚いてる? 俺は馬鹿だから馬鹿真面目に乗らないって言うと思った? ――俺だって、黙ってイイコのまま殺されるわけにいかねぇんだよ」 

 先生の瞳が変わる。手のかかる生徒を相手にする瞳だったのに、今、この人が俺を見る目は、明らかに敵を見据えたもので、ぞくぞくする楽しさが背筋を這い上がるのを感じた。
 先生の手に刀が握られているのを確認した上で、荷物を素早く引き寄せて中の武器だけを取り出す。掃いて捨てるほど時間はあったから使い方も頭に叩き込んである。

「俺は死ぬよ。十中八九あんたに殺されるだろうと思う。けど、あんたも死ぬ。それが俺のゴールだ」
「てめぇみてぇなどうしようもねぇクソガキに殺られるほど落ちぶれちゃいねぇよ」
「言っとくけど俺、あのダメガキと一緒にされたら困るからな? 俺は躊躇しない。俺はあんたを殺せるよ」

 に、と笑って武器を構える。
 小型のマシンガン、……小型っつっても重さは結構あるけどな。それでも、先制されなければこっちが有利だ。体力、敏捷性、動体視力、持久力、身体的な面はどれを取ってもおそらく俺が勝っている。
 俺が負けるとすれば、その生きてきた年数、それに屈服するときだ。その可能性を俺は、本当に多く見積もっている。

「……失望させんなよ、先生。俺が超えるに相応しいあんたでいろよな」

 舌で唇を湿らせて、ぐっと足場に力を入れる。
 月が一際強く輝いた気がした。



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2007.09.08(Sat) | 未分類 | cm(0) | tb(0) |

いい加減にしなさいっ(もってけ!風)



 目を開けて、視界一杯に映りこんだ洞窟の映像にほっとして、まだ生きていることを知る。
 昨夜は大変だった。疲れて眠りたいのに、あいつに殴られて蹴られた場所が熱を持って、痛みを伴って、魘されながら目を閉じた。砂漠に来た一番最初、鞭打ち状態で暑さに晒されたルカさんはきっとこれくらい痛かったんだ、そう思った。
 もちろん、痛みはまだ全然引かない。それでも、昨夜の死にそうな痛みよりは幾分かマシだった。体、動くかな。腕を持ち上げて、手のひらを握って開いてを繰り返す。手は動く。手は動くけど、この重い感じからして、体を起こすことはままならないだろう。背中が痛くて仕方ない。

「ルカ、さん……?」

 いる。
 ちゃんと、いる。
 いつも通り、俺の隣にいる。
 けど何だかざわつくのは、俺が変なことを考えているからだ。


 ルカさんはこんな風に寝ないんじゃないか?


 なんて、妙なことを考えているから、心がざわつくんだ。
 寝るときの体勢なんて毎回違うし、自分じゃ覚えていないし、俺だってルカさんが寝てるところなんてそんなに見てないんだから、絶対これは俺の妄言なんだ。
 ちゃんと見ろよ、普通に寝てんだろ。普通に横になって、俺の方に顔向けて、寝てんだろ。なあ、納得しろよ。これ以上痛い目に遭いたいのかよ。
 もし、この人がこういう寝方をしない人だったとしても、それを追及して俺が痛がる理由がどこにある?
 けど、でも、ああ、俺は痛みを負うために来たんだ。痛いと思うために来たんだ。

「っ、ルカ、さ……」

 痛んで軋む体に鞭打って無理矢理起こして、隣で死んだように眠るルカさんの額に手を当てる。あったかい。ちゃんと生きてる。まずはその事実に安堵して、さらさらの茶色い髪を梳いて、その頬に手を当てて、
 
「………………」

 拭いた様子のない激しい涙の跡に、俺は。
 


 それ以上そこにいたら、俺は自分がどうなるかわからなくて、体の痛みなんて一瞬で忘れて駆け出した。これ以上ルカさんを見たらダメだ、俺は、あの人の息の根を止めてしまいたいと本気で思った。本気で、あんたなんか守る価値がない、死ねばいいと思った。俺が痛がる理由なんてどこにもない。あんたには俺が必要かもしれないけれど、俺にはあんたはきっと必要ない。
 違う、ダメだ、俺にはあの人がいなきゃダメなんだ。あの人が生きるなら、俺は痛いことにも苦しいことにも耐えられる。耐えられなくても壊れやしない。大丈夫、大丈夫だと思え。大丈夫、大丈夫、俺はまだ大丈夫、ルカさんだって、そんなに浅はかな人間じゃない、俺が言ったこと、きっと守ってくれた。あの涙は、きっと、国を思って、大好きな人のことを考えて、それで流した涙、だってそうとしか考えられない、そうじゃなきゃおかしい、それ以外なんてどこにも存在しない。絶対ない。




 万が一にも、俺が寝ている間に誰かに会いに行って、俺が寝ている間に何かが起こって、俺が寝ている間に気を失うだとかして、俺が寝ている間に誰かに部屋に放り込まれるだとか、部屋で倒れこむだとか、そんなことは、絶対、ない。




 この間俺があいつに酷くやられたオアシスで、俺は膝を折った。
 否定すればするほど、そうとしか考えられない気がしてくる。いいや俺の思い違いだ。涙くらい誰だって流す。いや、でも、だって、あんなに泣いたら、普通拭かないか? 無駄にプライドの高いあのルカさんだぞ? 寝ている間に流したとしても、幾筋も、あんなに流れるなんて、それじゃあ何なんだよ、何があったんだよ、『俺が寝ている間に』!!
 痛くても寝るなってのかよ、俺は自分とあの人を守るために、睡眠取るのも許されないってのか、ああそりゃあ随分な使命だなあオイ!!

「っ、……だ、大丈夫だよな、大丈夫だよな俺!! 俺大丈夫だよな!! 平気だよな!! こんだけボロボロでも動けてるもんな、平気だよな! うん、大丈夫、あと何か食ったら、全快、うん、全快!! 大丈夫、でもって、今度こそあいつをぎゃふんと言わせてやる!!」

 声に出した。

 おもってもいないこと

 だけど声に出した。
 声に出すだけでホントウになる気がした。
 そうやって、発声することに意識を集中させないと、壊れてしまいそうだった。
 今誰かに声を掛けられたら、俺はそれだけで、どうにかなってしま

「……何やってんだよ、シンゴ」

 った。

「あ、あ、はは、くうき、すいに、」

 声が出ているのかもわからない。
 空気なんて全然吸えてない。苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい。

「まだ体痛むだろ? ちゃんと寝てなきゃダメだぞ」
「――そうですね、すげえ痛いですから、おかげさまで」
 
 あ、今俺、あれだ、……キレてる。

「……シンゴ?」

 こんな目ぇして、純粋そうに振舞って、実際この人はすごく純粋なんだけど、人の言う事聞きゃしねぇし、人のこと全然考えてないだけじゃなくて、自分のことにまで無頓着で。
 立ち上がってルカさんの頬に手を添える。びくんと肩が一度震えた。それと一緒に、表情がどこかぎこちなくなる。

「ルカさん」
「な、んだよ……」
「そんなに俺のこと嫌いですか? それとも単に襲われたかっただけ? 後者なら俺がいくらでも相手したのに、ああ、あれですか、ああいうの好きなんですか? そうですよね、そういう方が慣れてますからね」
「っ、シンゴ、下手なこと言うと、俺だって怒るぞ……!」
「っはは、何言ってんですか? それ、俺の台詞でしょう?」

 俺の怪我が全然治ってないからと言っても、華奢が売りのルカさんと俺とじゃ体格が違いすぎる。この人は、俺を怒らせたくて仕方ないんだ。それなら俺だって怒ってやろう。

「あ、会ってなんか、ない!! 約束っ、したから、会ってない!」
「……ねえルカさん、俺、昨夜起きてたんですよ。痛くて寝れなかったから」

 もちろんハッタリだ。痛みは確かにあったが、疲れていてとても起きてなんかいられなかった。だから、馬鹿じゃないなら否定し続ければ問題ない。部屋にいなかった=あいつと会っていた、なんて証明はできないんだから。
 でもこの人は、絶対うろたえる。後ろめたいことがあるから、普通を装っていても、絶対にうろたえる。想像通り、ルカさんは言葉に詰まって俯いた。
 今、背筋がぞくぞくしている。この人、俺には勝てない。俺の勝ちだ。 

「何の話、しました? 話にならなかったでしょう? 自分がどれだけ浅はかで馬鹿だったか、思い知っただけでしょう? それをあんたに教えてくれた点においては感謝してもいいかもしれないな、ほら、あんたは大して殴られたりしなかったんだろ? まああんた、結構勘違いしたまま突っ走るから、呆れて殴るのも面倒だっただけかもしれないけどさ。俺はかなり怒らせてこのザマだけど、あんたへの仕打ちは? あいつ結構優しいんじゃねぇの? だってあんた、慣れてるんだし? 酷くされるのが好きだから、俺があんだけ止めたのに馬鹿みたいに自分から会いに行ったんだよな? おめでたいよホント。尊敬する」

 相手の目が、俺の目を見て離れない。 
 どんだけ今、自分が、今までからは考えられないくらい冷たい瞳をしているのか。それを今、間近で見ているこの人の恐怖は、想像に難くない。
 かたかたと小さく震えだす細い体を見て、きっと、昨夜あっただろう何かより余程今の方が怖いのだろうと悟る。そりゃあそうだ、この人、すげえ慣れてるんだから。お目にかかったことはないが、少し前までは自分でさらっと言っていた。生きるためだと。
 その頃のルカさんは本当に強くて、あの子に会ってから、少し弱くなって、ああ、俺が側にいてちゃんと、前を向けるようにしてあげないと。俺はそのためにここに、……あれ?
 
「あ、……う、あ、ああ、」

 俺、さっきまでこの人に、何言ってた?
 なあ、俺、何言ってた? 激情に流されて、何言ってた? 何言ってた!?
 傷つけた!? 俺が、傷ついてほしくないとあれだけ願って、俺こそが、俺が、俺自身が、この人の心を穢した!?

「あ、あああ、ああああああ、ち、違いっ、違います!! 忘れてください、お願いします、忘れてください!! こんなこと、俺、嫌だ、違うんです!!」

 ルカさんの肩を掴んで、何度も何度も謝罪する、懇願する。許してほしいと。悪かったと。忘れて欲しいと。
 ルカさんの驚いた顔が見える。それと、どう声をかけたらいいかわからなくて、とりあえず、シンゴ、と呼んでくれる小さな声。

「あ、俺、俺っ、違うんです、忘れて、本当に、忘れてください……!! 俺、何言ってるか、もう、本当に、すいません、忘れてください!!」

 涙が溢れて止まらなくなる。声も掠れてきた。全身が痛む。何よりも心が痛む。
 そろそろ俺、ヤバいんじゃないか? もう、ヤバいんじゃないか? 膝を折って、砂を掴んで、熱い砂に何度も額を擦り付けて許しを乞う。許して、許して、もう辛いんだ、だからもう許して。俺が言ったことで負った傷を、何十倍にでもして返してくれていいから、だから忘れて、許して。
 あんたがどんな人でも着いて行くから。どんな無茶しても、俺がちゃんとフォローするから。だから、どうか傷つかないで。どうか心を曇らせないで。前だけ向いて。

「ごめんなさい、すいません、許して、ください……!! お願いします、忘れてください……!!」
「も、いいから、シンゴ、何でお前ばっか、ひとりで痛がってんだよ、なあ、忘れる、忘れるから、もう、シンゴ……! 何で、お前、だって、悪いの、俺じゃないか……!!」

 俺が、俺の気持ちに限界を感じて泣いている。
 どうしようもないこと、わかっている。俺にはこうするしかないんだって。
 身動きがとれなくて、吐き出すこともできなくて、壊れることも許されなくて、俺は、今はもう、泣くことしかできなかった。



2007.09.04(Tue) | rebellion | cm(0) | tb(0) |

こりゃ酷い。


暇なので(レポートやれ)本編やらずに続き書いてみたら案の定黒慎吾様が降臨した。
恐ろしかった。流風のこと好きじゃない黒慎吾様ほど恐ろしい奴はいないなと思った。まだ愛情に裏打ちされてるなら構わないんだけども、いや構うけど。(何)
慎吾の一人勝ちか。そんなの王道じゃないじゃない!


暗いの祭かな! とか思ってるよ?
本編はこれから主役交代で砂漠の盗賊さんたちがどうぞ清浦殺してください的なノリというかアンドゥーというか。
本編に黒慎吾は欠片も出てこないと思うけどね?
出てこなくても公式設定。
出てこなくてもあったことになっているというお話。


2007.09.04(Tue) | しゃべり隊 | cm(0) | tb(0) |

今現在思っていること。

秋臼さんとチャット中です。



何喋ってるんだろう。(爽)



まあしかし。
シンゴが精神不安定になってくれることでヤマトがルカとシンゴをひっぺがすことができます。
ていうか随分前に考えたヤマトの国の御伽噺は私本当に使うつもりなんだろうか。
ヤマト普通にすげーいい奴になりそうなんだけど。(キャラ崩壊)
普段書いてないだけでヤマトはツキ高でもリベリオンでも性格変わりません。性格悪いけど一途で俺様なトンデモ野郎です。
ヤマトって、性格悪いけど一途な子なんですよ、端的に言うと。一途なんですよあの子。日本語って怖いと思います。
リベリオンのヤマトの花に懸ける情熱は異常。すげー真っ直ぐ。あれだけ見たら普通にいい奴。
ツキ高の奴も見ようによってはそうなのか。
てことは、意外とヤマトは笑える人間かもしれない。カッコつけしぃかよ!!(笑) 何それ!!(テンション高いから何にでも笑えます)


ルカはサポートしてくれるシンゴがいるから平気なのであって、そうじゃないシンゴだったら全然自分の力は発揮できないと思う。
で、シンゴがどんだけ言っても言う事を聞いてくれないでルカが勝手に傷ついたりしようもんなら相当の情緒不安定に陥ります。
で、この人になんか任せておけない、とシンゴが思ってしまったらルカの負け。


とか言ってたら秋臼さんがものすごいの上げたのでルカ負けるねこれは!!!(爽)


ざまあみろ。(何)
リベリオンのシンゴは好きなんだけどね、ルカがね、何かね、主役取って代わられればいいなと思うんだよね。
ルカもシンゴもだけどみんな何か中途半端なもんだからさ。
ルカはどこ行っても中途半端なんですね! やっぱり前クリチューの流風が一番好きだよ。杉山だし。(何)


しかしきっと翌日とかルカは気丈に振舞うんだろうけど、こういうシチュエーションの時の気丈な振る舞いって時にウザい。(笑)
ルカはウザキャラだから心置きなく振舞っておくれ!

2007.09.04(Tue) | しゃべり隊 | cm(0) | tb(0) |

やっちゃったんだぜ……


 その日、あいつはいなかったから、俺はオアシスの側でずっと座って待つことにした。
 いつ帰ってくるかもわからない、相手。
 シンゴはああ言っていたけど、やっぱり、シンゴが言わないなら直接聞くしかない。何が気に入らなかったんだって。だって、普通の喧嘩で出来る傷でもなければ、普通、あそこまではしない。シンゴだって体はでかいし、抵抗すればそれなりの力は出せるはず。そうならないということは、そうする余地もないほどにシンゴが攻められていたということ。
 そんなに攻められなければならない理由って、何なんだ。
 シンゴは、少し生意気だけど、それくらいが可愛くて、それがいいところなのに。
 それに、こっちに来て初めて気付いたけれど、シンゴはびっくりするくらい強くて、優しくて、あんな風にやられなきゃならないのは、本当は俺だと思うのに。
 座って時が経つのを待っていた頃にはまだ低い位置にあった赤い星が、今はずいぶん高くに昇っている。綺麗な月の位置も変わっている。相当の時間が過ぎたらしい。シンゴはちゃんと眠っている。寝ないと、精神も身体も消耗が激しくて、とんでもない病気にかかったりしてしまうかもしれない。
 帰りたい。帰って、あの女王を一発ぶん殴るか怒鳴りつけるかして、あの子を、ちゃんといるべき場所に帰してあげたいと思う。でも、それにはシンゴがどうしても必要で、俺はシンゴがいなくちゃまともにまっすぐ歩くこともできなくて。だから、だから、ひとりで勝手に傷ついたから放っておくなんて、そんなことできない。シンゴに何かあったら、俺はシュウやフタバに何て言えばいいんだよ?
 膝に顔を埋めてそんなことを考えていると、少し辺りが暗くなった気がした。
 顔を上げて、振り向いて、そこには、想像した通りの人間がいたわけだけど、

「……何やってる」

 その全身が血塗れだから、俺は一瞬言葉を失った。

「……待ってた」
「何を」
「あんたを」

 怯むわけにいかない。怖くない。シンゴが耐えられたこと、俺が耐えられないわけがない。シンゴにこれ以上痛い思いなんてさせない。こんな奴に、負けてる場合じゃないんだ。
 金髪の男、……ケレス、とか言ったっけ……、そいつは無表情という表情を一切崩さないで土を踏みしめた。俺がどうしてここにいるのか、大体はわかっているようだった。
 俺は立ち上がって、砂を軽く払うと、口を開いた。

「何で、シンゴがあんな目に遭わされなきゃいけないんだよ」

 相手がぐっと無造作に頬から口にかけてついている血を腕で拭った。当然こいつの血じゃないだろう。返り血だ。一体何人を相手にすればこれだけ血塗れになれるのか疑問だった。そして、その相手にシンゴが入っていなくて、本当によかった。

「気に入らないの、俺じゃないのかよ……! あんたを殺そうと思ってて、殺そうとして、いつまでも敵意むき出しのままだったのは俺だ! シンゴはあんたを俺から助けたんだぞ!?」
「助けた? どうせお前にはできなかっただろうよ」
「っ、できないわけないだろ!! 今生きてるからってでかい口叩くな!」
「ならやってみりゃいいじゃねぇか。俺がここに座って、抵抗しなけりゃそれで満足か?」

 どうした。
 どうした、俺。
 言い返せよ、できるんだって。
 だって抵抗しないんだろ? 振り下ろせば俺の勝ちだ。何のための剣だ、飾りじゃないんだぞ? 誰かを傷つけるために持ってるんだ。誰かを傷つけても自分が生きていたいから、そのために持ってるんだ。

『ルカさんがあいつのところに行ったら、俺はもっと、もっと痛くなる、だから、絶対、行かせない』

 傷つける誰かが、シンゴだったとしても、俺はこれを振り下ろせるだろうか。
 もっともっとシンゴに痛みを負わせて、それでも生きたいなんて、傲慢じゃないのか?
 けど、でも、こいつのせいでシンゴは傷ついて、なのにシンゴは、俺がこいつと会う方が痛いって、何だよそれ、何なんだよ。やっぱりあの時殺しておけば今痛くないって、お前だって思わなかったのかよ、シンゴ!! 
 ああもうダメだ、ぐちゃぐちゃだ。俺はもうシンゴを傷つけられない。これ以上苦しめたくない。じゃあこの怒りはどこにぶつければいい?

「……ッ、いいよな、ただ持ち前の力見せ付けて、振りかざして、やりたい放題勝手やってのさばってりゃいい奴は……!」

 こういうのを八つ当たりって言うんだ。すげーカッコ悪い。
 どうスルーされんのかと相手の目を見た瞬間に、

「え、」

 身体がふわりと宙に浮いた感じがした。


2007.09.03(Mon) | rebellion | cm(1) | tb(0) |

interlude-Ⅲ――his tears, he tears



「……言わなきゃわかんねぇ、っつったの、お前だろ……」

 次の日の夕方、ルカさんは俺の姿を見て、呆れた風でもなく、そう言った。
 それをとてもありがたいと思った。今ルカさんに責められたら、俺はすごく痛がってしまう。体の痛みならどうにでもなる。そりゃあ普通に怪我するよりは何倍も何倍も痛いけど、耐えられない程ではないし、自分で招いたものだから納得もできる。
 今満身創痍の俺ができることは、ただ、ルカさんの手をぎゅっと握って、ルカさんが間違ってもあいつのところに行かないように、その白い手首が折れるんじゃないかと思うほどに、力を込めることだけだった。

「……分かってんだからな、あいつだろ」

 返事の代わりに力を込める。痛いって、とルカさんは訴えたけど、俺は力を緩める気なんてこれっぽっちもなかった。
 殺せばよかったと思う、あの時。あの時、俺が殺していればよかった。そうすればここまで痛い思いなんてしなくてよかったんじゃないか? 俺がガキだなんて、俺が一番分かってる。分かってて、どうしようもなくて、俺はこういう形でしかここにいられなくて、俺があいつを否定したのと同じように、あいつだって俺の存在を否定したのと同じようなものだ。
 そんなこと言うなら、いい方法を教えて欲しい。どうすればいい? どうすればよかった? あのまま町に残ればよかった? ルカさんを放って? 無理だ、そんな選択肢、どこにもなかった。その代わりに、ルカさんを助ける以外の選択肢もやっぱり、なかった。
 
「っ、言わなきゃわかんねぇだろ!! 何でお前ばっか痛い思いしなきゃいけないんだよ! お前が吐かないなら、俺は喧嘩売ってくるからな!」

 怒っているルカさんのそのひとことにはっとする。
 俺はルカさんの手首を放して、今度は肩を掴んだ。あらん限りの力で。やっぱりルカさんは顔を顰めた。

「それだけはやめてください!!」
「……っ、何でだよ……。あいつ殺そうとしてたのも、あいつに因縁あんのも俺だ。シンゴは、だって、あいつを助けたじゃないか……」

 助けた?
 バカ言うなよ、誰があんな外道生かしたいと思うんだよ。
 誰のためだよ。あんたのためだろ?
 あんたはあいつを殺す気で行くと言った。その決意は気高くて、俺はそれを心底カッコいいと思った。そう決意することはきっとあんたを強くするから。あんたを生かしてくれるから。あんたが国に帰るための糧になるから。
 けど、決意することと実際にやってしまうことは違う。俺は、弟も妹もいるとわかっていて国を捨てたから、進むことをあまり怖いと思わない。一番怖い峠を最初に越えてしまったから。でも、あんたは、その手を血に染めたらきっと揺れるだろう。きっと後悔するだろう。根本的には、俺は、あんたが人を殺すとか殺さないとか、そんなところじゃなく、あんたの心が穢れることが一番怖いんだ。
 だから俺は、あんたの心がいつまでも気高くあるように、いつまでも真っ直ぐいられるように、できるかぎりのことをしてやろうと思っている。
 

 だって俺は、それ以外の理由では旅に必要ないじゃないか?


「ルカさんがあいつのところに行ったら、俺はもっと、もっと痛くなる、だから、絶対、行かせない。何されるかわかったもんじゃない。あんた気ぃ短いから、絶対怒らせる」
「な、んだよ、それ、っ、お前がそんな痛そうにしてんのに! 何で俺一人だけ、そうやって、お前は、遠ざけるんだよ……」

 ああ、この人、今泣く、多分。
 でも変えられないんだ。これはルカさんのためで、俺のためだから。
 ルカさんが帰るためだから。国を捨てた俺のためだから。
 心配してくれてすごく嬉しい。少し前の俺なら、無条件にルカさんを慕っていた頃の俺なら、手放しで喜んでいただろう。今だって嬉しい気持ちは変わらない。
 あんたが国に帰るためなら、あんたがあんたの一番大切なものを取り返すためなら、俺はどんな踏み台にだってなる。どんな痛みにも耐える。あんたが帰るまでは絶対に死なないし死ねない。だから、俺がどうしようもないこと、あんたが痛くなることだけは、どうしても避けたいんだ。
 俺の上着の裾を握ったかと思うと、ルカさんは俺の胸を軽く叩き始めた。文字通り俺は満身創痍だから勘弁してほしかったけど、でも、止めることなんてできなかった。俺より年上なんだから、そんな簡単に泣かないでほしい。
 いつも平気で無茶するんだから、他人の無茶は大目に見て欲しいもんだ。ほんと、やっぱり俺がいなきゃどうしようもないかもな、この人。

「俺は大丈夫ですから。ルカさんがここにいてくれれば、俺は大丈夫です。傷なんて治ります。だから、絶対あいつのとこ行ったりしないでください。俺にこれ以上痛い思いさせないでください」
「……自分で勝手に痛くなったくせに……」
「そういうこと言いますか。いいですけどね、そういう口叩けるくらい元気なら」
「そういう台詞言うのは俺だろっ」

 だんだんと空が暗くなっていっても、ルカさんの顔はしっかり見えた。よし、もう泣いてない。元気だ。それでいい。
 まだ体中痛いけど、それでも、ルカさんが元気でいればそれでよかった。拗ねたような口を利くルカさんの腕を軽く引っ張ると、簡単に俺の胸に頭を預けてくれる形になった。うわ、本当にこの人小さいんだな、そう思うと自然と口元が笑ってしまう。

「何笑ってんだよ、つーか気持ち悪いんだよっ」
「はは、すいません。ルカさんて、何か年上って感じしないんですよね。ほっとけないし。弟みたいで。だから何でも手伝ってやりたいなって、思うんです。兄貴心というか、わかってください」

 そう言えば、ルカさんがそれ以上突っ込まないのをわかっていて言う俺は、とても卑怯だと思う。こう言えば、ルカさんは納得する。俺の突然の行動も、受け入れてくれる。弟や妹を国に置いてきた俺だから、ルカさん自身、誰かのフォローがないとどうしようもない行動をとったりする。
 俺は、すごく卑怯だ。こんだけ傷だらけにされても仕方ないかな、なんて自虐的なことも思えてしまうから不思議だ。もちろんあいつは殺してやりたいくらい憎いわけだけど。

「……わかったから、もう、無茶すんなよ……」
「わかってます。誰が好きこのんでこんな痛い思いしたがるんですか」
「んなの、知らねぇよ、お前だろ……」

 ふい、とやっぱり拗ねたようにルカさんが顔を背けた。やっぱり年上って感じはしなくて、ルカさんが嫌がって腕を跳ね除けるまでしばらく、ルカさんのさらさらで軽い髪に指を入れて頭を撫で続けた。


2007.09.02(Sun) | rebellion | cm(0) | tb(0) |

背伸びって萌えないか。(そろそろ黙ってろ)

みのりさん書こうと思ってたんだけど、椿ってもしかして炎而くんいなかったら生まれてなかったんじゃない? と再認識してうわあ何その運命みたいな。
椿は硬派な男は扱いにくくて嫌いだし、写真見た第一印象で苦手だなと思ったのに大和の誘いに乗ったということは、自分の存在を決めた相手がこの人だって分かってたからなんだろうな。
流石の大和もあっちに対抗して子供作りましたなんて面と向かって子供には言わないだろう。けどしょっちゅう電話とかしてるだろうし、雰囲気できっとそうなんだろうなと椿は気付いてそうだ。
だから多少面倒でもどんな人なのか見てやろうって気持ちでいるんだと思う。
よし、何か筋が通ってきた気がする。


背伸びって萌えないか。(だから黙れ)
椿は1から10まで炎而くんに先を越されて全部言ってもらわないと自分のことに何一つ気付かなそう。
気付かない上に最後には何も言えなくなりそう。何だそれ。


2007.09.01(Sat) | しゃべり隊 | cm(0) | tb(0) |

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