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軽石へちま

Author:軽石へちま
基本自キャラで凄まじく妄想してみる。
隠れ家なのでBLとか黒とか暗とか主。
キャラ崩壊必至。何とも思わないけども。
妄想についてこれる人だけどうぞ。

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星を追いかける双子



「……何で紗央がいんだよ」
「いいじゃない、別に」

 とある休日の昼下がり。自宅でキリのいいところまで仕事を終わらせてから、理央奈央の部屋に向かう。
 ドアが開いて、第一声はそれだった。いつもは奈央がドア開けてくれんのに、何でか今日は紗央だったから。紗央がいるのは珍しいことじゃないけど、紗央が玄関まで来るのは珍しい。だから何か変だなあと思った。

「合鍵とか持ってないの? 勝手に入ってくればよかったのに」
「俺そんなの貰ってないし。双子いる時にしか来ないから」
「あら可哀想にー。あたしは貰ってるわよ? 合鍵。まあ家族みたいなもんだからかしら?」

 う、それ聞くと何か複雑かも。理央と奈央がいなきゃ俺はこのマンションに来ることはないし、毎日帰りが遅いから、二人がいない時間に来るなんてこともない。それでも紗央と同じくらい俺は双子と仲良いと思ってるんだけど、二人からすればそうじゃないってことなのか!? 
 俺がそんなことを考えているのも紗央にはお見通しらしい。俺を馬鹿にするみたいに笑うと、冗談よ、と続けた。

「あたしは何かとキッチン借りること多いからね。オーブンとか部屋にないし。かと言って、あの喫茶店のは使えないし。だから持ってるだけよ」
「お前それで俺からかって面白いかよ……。結構マジで複雑になるんだからな!」
「しっ、黙って」

 紗央は人差し指を立てて、声を荒げるなと俺に指示する。料理中ってだけなら別にそこまで声を気にすることはないと思うんだけど、ちゃんと料理してる奴にとっては邪魔ってことか? 結局双子は出かけてるかでいないんだろうし、うーん。

「ていうか、二人いないなら俺帰るけど? 紗央の邪魔しちゃ悪いし」
「は? 何言ってんの。いるわよ」
「え? お前しかいないから紗央がドア開けたんだろ?」

 そんな話をしながら、マンションの一室にしては長い廊下を歩き、リビングに出る。
 白い部屋いっぱいに明るい陽射し。その光景で、俺は一気に納得した。
 
「起こすの悪いかなー、って思うじゃない」
「確かに」

 双子がカーペットの床にうつ伏せに寝そべって眠っている。
 理央の白いシャツと、奈央の白いワンピースが部屋の白さに溶け込んでいて、顔を向かい合わせて眠っている二人は、なんだか幻想的な感じさえした。
 二人のすぐ近くには大きなパズルが完成間近で置いてあった。綺麗な星空の絵だ。

「パズル買ってみたのー、ってこの前奈央言ってたのよねー。何ピース、って聞いたら2000とか言うから。あの子パズルとか苦手でしょ?」
「苦手だな。100ピースで知恵熱出しそうなくらい苦戦する」
「理央と朝から挑戦して疲れたんでしょ、多分。結構頭使うしね、小さいピースのパズルって」

 それなら、俺も呼んでくれたっていいのに。
 ちょっとは思う。別にパズルやりたいわけじゃなくて、理央と奈央と、一緒の時間を過ごしたかったな、と思うだけ。それはきっと紗央も一緒だ。

「奈央のことだから完成させて飾ったとこ俺らに見せたかったんだろうな」
「理央と作ったの、とか言ってね」
「絶対理央口挟むよな、95%は俺がやった、って」
「余計なこと言いたがるから。ほんっとガキよね」

 紗央が呆れたように笑う。俺も同じ顔をしているんだと思う。
 奈央はいつも可愛いけど、こういう時理央もすげー可愛いなと思ってしまう。さすが双子だ。二卵性は似ないって言うけど、理央奈央の場合似通ってるとこかなりあると思うんだよな。
 
「紗央、こいつら起きるまでに甘いもん作ってよ。起きたらティータイムといこう」
「そうねー、起きたら同じ顔で驚くわよ」
「その後みんなでパズル完成させちゃる!」

 了解、と紗央がキッチンで行動を始めたので、俺はソファの近くに置いてあったブランケットを持って来て、双子にそっとかけてやる。風圧でせっかくできあがりかけたパズルが崩れないように、そっと。
 たまにはこんな二人の世話すんのも悪くないなあ、なんて思いながら。



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2007.12.31(Mon) | Title | cm(0) | tb(0) |

多分君がいれば世界はまわる


「………あら、お久しぶり、ですわね」

 そいつはさらりとそう言った。
 そいつが俺を覚えていたことが驚きだった。
 俺が覚えている限りずっと二つに結んでいた長い髪は、今は解かれていて、綺麗に緩く波打ちながら月の光を反射している。
 中二からクラスは違ったし、高校も別だからまず会わないだろうと思っていたのに。
 俺は丘の麓の公立高、――芹沢は丘の上の私立高だ。しかもこんな遅い時間。部活上がりの俺は八時なんかに帰ることもざらだけど、こいつはそうじゃないだろう。お嬢様なんだし。

「何でこんなとこいんだよ」
「私でも散歩くらいしますわ」
「危ないだろ、夜遅いんだし」
「まあ」

 芹沢は意外だとでも言いたそうにくすくす笑う。中学時代、一度も見ることがなかったこいつの私服。落ち着いた色なのにやわらかそうで、らしいな、と思った。

「なら、送ってくださいますか?」 
「……は!?」

 急な話に俺が声を上げると、また笑われた。
 自由奔放な感じは変わらないんだな。ため息をついて鞄を肩にかけ直す。
 それが合図になったのかどうかはわからないけれど、俺は芹沢の少し後ろをついて歩いた。



「彼氏くらい、いんだろ。あの時からいるんだから」
「残念ながら、まだそういう方はおりません」
「中三の時から高校生追っかけてたって聞いてたけど?」
「随分気にかけてくださってましたのね、私のこと」

 そんなに好きでした? さらりと聞かれて言葉に詰まる。
 そんな、もう三年も四年も経ってるというのに、どうして動揺する必要があるんだろう。

「……お前、自分過大評価してんじゃねぇよ」
「そんなことしていませんわ。まず私なんかに告白した貴方の方が異質でしたし」
「悪かったな、悪趣味でよ」
「ええ、本当に」

 貶されてるってのにこいつはまたさらりと受け流して笑った。
 別に、悪趣味だったなんて思ってない。今だってそれなりに可愛いと思うし、あの時もそうだったと思う。ただ、こいつの生き方が最悪だっただけで。

「中学の時、同じ学校だと俺としか付き合ってなかったんだって?」
「よく知ってますのね」
「噂で聞いたから。気まずくなると面倒だって分かった?」
「そんなところですわ。それに、驚きましたから。あの思い出はあのままにしておこうかと思いまして。結構強引でしたわね」
「そういう言い方すんな。せっかく忘れようとしてたのに」

 芹沢が歩く後ろをついて歩きながらため息をつく。
 話振ったの俺のくせに、何言ってんだろう、馬鹿みたいだ。
 芹沢が足を止めて俺に近づいて、にっこりと満面の笑みを浮かべた。

「……本当に?」
「っ」

 ふざけんな、中一だったんだぞ、同い年のくせに遊びやがって、おかげさまで俺はあれから、中学を卒業しても前向きになれない。みんなああやって遊んでんだ、って、みんなそうやって裏切るんだろう、って、思ってしまう。中一なんて、言うなれば『恋に恋するお年頃』とかいうヤツなのに、だから普通なら吹っ切れるはずなのに、未だに俺が引きずり続けているのは。
 確信を持って俺を見る芹沢の目の鋭さ。そういう大人っぽい顔もできて、すげえ似合うのに、学校では、男の前では小動物みたいに可愛らしい仕草で身を固めていた。声だって綺麗なんだ。外で合唱部が声出ししてるとき、聴いたことある。高い声、綺麗だって知ってる。他の誰の声よりも、その声だけ聞き分けられる自信があった。勉強も、順位はあんまりよくないけど、コントロールしてるんだろうな、とは思ってた。だってこいつ、絶対賢いんだ。俺がこいつの斜め後ろの席だった時、見たことある。数学の授業中、配られた演習のプリントさらっと全部解いて、一回全部消してからまた適当な答え書き直してたこと。
 全部が、気になって仕方なかった。けどそれは過去形だ。今じゃない。今じゃ、ない。
 風が吹いて、ふわりと流れる芹沢の髪。そこから微かに漂う香りに、少しだけ、眩暈がするような錯覚を覚える。
 ――こうして学校帰り、他愛も無い話をしながら、彼女を家まで送り届けるなんて、してみたかったことだ。
 別れても、こいつの噂をよく聞いていたのは、聞きたかったからだ。どんな生活してんだろう、どんなこと考えてんだろう、どんな表情してんだろう。気にかけていたのは、事実だ。
 でも何とも思ってない。はず。こいつは今、別のヤツがいて、俺は、たまたま会っただけで。
 
「………っ、だから、寝惚けてんじゃ、ねぇって……!」
「理性的ですわね。もう少し感情的になってくださるかと思っていましたのに」
「俺で遊んでそんなに楽しいかよ……」

 あの時と同じ轍は踏まない。どんなに眩暈がしたって、終わったこと。
 過去のこと。
 忘れるべきこと。分かってる。
 
「いえ、少し感情的になれば、貴方も楽になるのかと思っただけですわ。中学の頃と同じ顔をしてますもの。私のせいでしょう?」

 流石に頭に来て、芹沢を睨みつける。当の本人はきょとんとした顔で、何の悪気もないらしい。 
 私のせいでしょう、だって? 何て返して欲しいんだ、お前。もう三年も経ってるのに、今更何て答えろと。それよりも、どうしてお前、中学の頃の俺の顔なんて覚えてんだよ。
 今何か言ったら取り返しのつかない言葉が出てきそうで、でも黙ってもいられなくて、何か言おうと口を開いた時、すぐ近くの角を誰かが曲がってきた。 

「……あれ、椿。何やってんだよこんな時間に」
「炎而様! 奇遇ですわね、私は散歩ですわ」

 男だった。背がかなり高い。体つきからしても、顔つきも、多分スポーツマンだ。
 ――こいつが、例の。
 炎而様は? と芹沢が男に問いかける。暇だったからロードワーク、と男は答えた。

「もう遅いんだから、一人なら送ってくけど?」
「それには及びませんわ。今日は、」
「いいよ」

 芹沢の言葉を止めた。こんな奴が来て、それでも堂々とこいつを送るようなことは、俺にはできない。
 邪魔した? と男は芹沢に聞いていた。別に全然邪魔なんかしてない。俺はそう思うのに、芹沢は「ほんの少し」なんて答えていた。何だよ、それ。

「彼氏に送ってもらえよ。俺は帰る」
「残念ですわ。せっかく感動の再会を果たしましたのに」
「何がだよ。……じゃあな」

 どの辺が感動の再会だったというのか。心は確かに動かされたけれど、ただ苦しいだけ。どうしたらいいんだろう、どう吐き出せば、楽になるのか。
 鞄を肩に掛けなおして、芹沢に背を向けて数歩歩き出す。それから、一度立ち止まって、振り返った。
 芹沢はまだそこにいて、俺を見ていた。

「……俺の負け。すげえ癪だけど」
「え、」
「それだけ」

 言葉を告げたときの芹沢の顔は、あの日俺が芹沢を『椿』と呼んで、ギャグみたいなキスをした、あの時の驚いた表情だった。俺はそれに満足して、また歩き出した。
 多分もう会わない。会ったって、どうなることもないだろう。それでも俺はこの先ずっとこのチクチクした痛みと戦わなきゃならない。あの男が現れて、羨ましい、と思ってしまった自分の気持ちと、ずっと戦っていく。負け戦でも、ずっと。


2007.12.29(Sat) | Title | cm(0) | tb(0) |

eternal damnation あとがき。




これも一応追記で。




2007.12.28(Fri) | eternal damnation | cm(0) | tb(0) |

16 (これがラスト、これでラスト)



ふう。



2007.12.28(Fri) | eternal damnation | cm(0) | tb(0) |

15




ずっと思ってたんだけど、この宗教の教義って。(謎)



2007.12.28(Fri) | eternal damnation | cm(0) | tb(0) |

14





紗央がだいぶ可哀想で、だいぶ好き。
お姉さんしてる紗央は可愛いなと思うんだけどなあ。





2007.12.28(Fri) | eternal damnation | cm(0) | tb(0) |

13




うわあい。(やる気ない)



2007.12.28(Fri) | eternal damnation | cm(0) | tb(0) |

12




だいぶ書いてるのが嫌になってきました。
コピペもめんどいです。



2007.12.28(Fri) | eternal damnation | cm(0) | tb(0) |

11




ほらきた!! 超適当展開!(笑)





2007.12.28(Fri) | eternal damnation | cm(0) | tb(0) |

10



この辺から怒涛の適当な展開が繰り広げられます。



2007.12.28(Fri) | eternal damnation | cm(0) | tb(0) |

9



流風が笑えるほど一般人。



2007.12.28(Fri) | eternal damnation | cm(0) | tb(0) |

8





短いけどかなり苦痛だった。




2007.12.28(Fri) | eternal damnation | cm(0) | tb(0) |

7



大和を擬似タっくんとして紗央と絡めるのが大好きな私。



2007.12.28(Fri) | eternal damnation | cm(0) | tb(0) |

6




理央奈央書くのが苦痛でしょうがなくなった頃。



2007.12.28(Fri) | eternal damnation | cm(0) | tb(0) |

5





ここまでが前半。
後半がクソ長い。(笑)




2007.12.28(Fri) | eternal damnation | cm(0) | tb(0) |

4



一番ノリノリで書いてた頃だと思います。2週間くらい前だけど。






2007.12.28(Fri) | eternal damnation | cm(0) | tb(0) |

3



もう何書いてんだか分からなくなってきた頃です。(早)



2007.12.28(Fri) | eternal damnation | cm(0) | tb(0) |

2




要君が偽者すぎるのにはもう目を瞑っていただきたい。
基本自分のキャラまで別人なので。



2007.12.28(Fri) | eternal damnation | cm(0) | tb(0) |

eternal damnation 1



やっと終わりました。
全部で95KB(メモ帳で)。


いろいろ問題あるので全部追記に貼り付けます。



2007.12.28(Fri) | eternal damnation | cm(0) | tb(0) |

気晴らしのための文化祭ネタ③


 文化祭が始まって一時間半くらいした頃、早めにエンジさんが俺のクラスの企画に顔を出した。もちろん、俺がいるから来たんだろうけど、何故か椿さんがいて、何故かあの服を着て仕事しているのを見て目を丸くしていた。当然だろう。
 せっかく来てくれたから奢りますよ、と言ったのにそれは丁重に断られてしまって、俺は仕方なく注文されたオレンジジュースを出した。
 
「……で? 何で椿までいるんだよ、二年の企画に」
「野島先輩がどうしても私じゃなければ嫌だと仰るので」

 エンジさんに問いかけられると、椿さんはさらりと笑顔で言ってのけた。まあ、間違ってない。女の子誰でもよかったっていうんじゃなくて、最初から椿さんに頼むつもりであの教室に行ったのだ。
 ――けど、なんとなく複雑で、平然と喋る椿さんも、慣れたように受け答えするエンジさんもちゃんとは見られなかった。
 たまに椿さんと目が合うと、緊張してしまってすぐ逸らしてしまう。これじゃあ傍から見たら、俺が椿さん意識しまくってるみたいだ。実際意識しまくってるんだけど、そういう意味じゃないし。断じてない。 
 椿さんは可愛いから、結構他のお客さんから指名が来たりする。芹沢さーん、と呼ばれて、エンジさんとの話もそこそこに椿さんはぱたぱたと入り口に走っていった。

「それで? どうした、ルカ」
「どうもしてないですよ」
「その顔で? 俺とか椿の顔、あんまり見れてないだろ。何かあるなら相談しろよ」

 エンジさんはすごく優しい。そういうこと言われると甘えたくなるけど、甘えるにしたってどうすりゃいいんだろう。
 『俺っ、今時の女子高生がよくわかんないんです!』とか? うう、それってものすごくカッコ悪い。で、でも、椿さんが席外したから俺に話しかけてくれたんだよな、エンジさん。うーん……。
 意を決して俺は屈んで、座っているエンジさんと同じ目線になってから、小声で口を開いた。

「……エンジさんって、……」

 ……こうやって聞こう、とは思ったものの、聞きづらい。
 エンジさんは聞く態勢ばっちりなのに。
 腹を括るべきか。べきなのか。

「……椿さんと、き、キスとか、したりするんですかっ」
「は? ないない、付き合ってないって何回言ったら分かるんだよ」

 即答。
 でも俺はそういう意味で言ったんじゃない。椿さんに関してはどうも、キスしたりする=付き合ってるっていう、普通の前提条件なんてふっとばさなきゃダメみたいだから。

「ち、違くて、付き合ってなくても、です」
「付き合ってないのに? 尚更無い、けど……、……なんかあったの?」

 突然エンジさんの声が低くなって、びっくりして俺はエンジさんから離れた。
 お、怒ってる?! 怒ってる!? 俺何もしてないけどっ、ああでもエンジさんからしたら俺が椿さんに何かしたように聞こえたのかも、えっと、えええっと、ど、どうしたら!! あ、謝った方がいいのかな、どうしよう……!!

「ルカ。ちゃんと言わなきゃ分かんない」
「う、ご、ごめんなさいっ!! 俺、あの、なんて謝ったら……! エンジさんと喧嘩とか、したくないから、」
「違うだろ。なんでお前が謝るんだよ。椿が何かして、ルカから何も言えないなら俺が言ってやるから。ちゃんと言ってくれなきゃわかんないって言ってんの。ルカが椿に何かしたと思ったから怒ってるわけじゃない」

 真剣にそう言ってくれるエンジさんの顔を見ていると、何だか安心してしまって、ちょっと涙腺が緩んだ。うああ、俺カッコ悪いなあ。
 エンジさんって何でこんなに優しくて兄貴っぽいんだろう。兄貴やるの慣れてるんだろうなあ、こうやって年下相手にすんの上手すぎるし。学童保育とかすごい向いてそう、……っていうのは別にどうでもいいか。
 耳打ちするように、それでもいちいち椿さんが今どこにいるか確認しながらエンジさんに事の顛末を伝えてみる。くだらないことだって思われそうだけど、複雑なのも嫌だし。
 短い話を聞き終わると、エンジさんは軽くため息をついて、俺の肩をぽんと叩き、席を立つと、

「椿ー、ちょっと抜けれるか?」

 と、……ものっそい笑顔で言った。キラキラしすぎてて逆に怖いくらいの笑顔だった。お、怒ってる、怒ってるよなこれ、おかしいよなこの笑顔!!
 その異様さは椿さんにも伝わったのか、しかし椿さんは振り向くと同じくらい爽やかな笑顔で、はい、と答えていた。さすが、肝が据わってるというか、俺ってすごい弱いなと改めて思ってしまった。
 並んで教室を出て行くエンジさんと椿さんを呆けながら見つめていると、仕事しろよー、とクラスメイトの声。そういえば文化祭中!!
 エンジさんがひとつ上の学年だから、クラスメイトも遠慮してなかなか言い出せなかったらしい。悪いことした。頬を軽く両手ではたいて、俺も仕事に戻ることにした。
 ……エンジさんと椿さん、喧嘩とかになってないといいけど。





「ルカにだけは変なことするのやめてくれ」
「変なこととは随分ですわね。ちょっとした出来心ですわ」
「椿のちょっとした出来心を軽く受け止められるほどルカは大人じゃないんだよ」

 呆れたように彼は言った。彼にとって、野島流風は弟のような存在で、私のようなわけのわからない女にちょっかい出されるのが我慢ならないらしい。ここは大人しく引き下がっておかないと、多分本気で怒り出すだろう。見てみたいとは思うが、それは都合が悪い。

「すみません。あまりにもよくお父様に似ておいででしたから。やはり純粋な方ですわね。学校での振舞いもお上手で」

 これは本当だ。
 あの人は父親によく似ている。子供っぽくて、人懐っこくて、子犬みたいにキラキラした目をしている。純粋で、環境にも恵まれて、不自由も嫌なことも経験したことのない瞳。
 だからからかいたくなった。多分、真相もそうなのだろう。

「俺相手ならまだしも、ルカにはやめてくれよ。好きな子いるのに可哀想だろ?」
「あら、いいことを聞きましたわ。炎而様にならしてもよろしいのですか? ああ、想いを寄せる方がいらっしゃらなければ」
「耳ざといな。ルカ相手に悪戯されるよりはマシだけど」
 
 覚えておきますね、と返して、私が引き下がると彼もそれ以上追及する気はないらしかった。人がいないところをわざわざ選んだおかげで、今いる場所、この体育館裏には遠くの喧騒が小さく聞こえるばかりで人影は見当たらない。

「炎而様」
「ん?」
「似合います? これ」

 例のメイド服のまま、その場でくるんと回ってみせる。
 近しい人間に似合うかどうかを聞くのは自然な話だろう。

「そんなの俺が言わなくても回りに散々言われてるだろ。ルカ含めて」
「炎而様に言われないと、着る意味もありませんわ。私が、単に人助けのつもりでこの服を着るとお思いで?」

 野島流風にはもう十分すぎるほど面白い反応をもらったから良しとしておこう。あとは、この人の言葉さえ貰えれば、今日という日の価値も決まるというものだ。
 じっと彼の目を見ると、やがて観念したように口を開く。

「似合う」
「本当に?」
「服に人が霞んでない。そんな服着てたら普通服の方に先に目行くけど、そうじゃないから」
「!」
 
 彼は何気なく、そういうことを言う。この褒め方はなかなかレベルが高いのではないだろうか。
 そういう驚きの気持ちも、全部胡散臭い笑顔に包んで返すことにする。

「ありがとうございます。炎而様にそう言っていただければ、他の誰に言われずとも構いませんわ」
「そりゃどうも」

 彼はあしらうように言うとため息をついた。ため息慣れしているんだろう。ため息を幸せが逃げるというけれど、彼を見ていると間違った話でもないように思える。
 話がまとまったところで、切り替えるように私は彼の手を取った。

「戻りましょう。校内でも有名なカップルが文化祭で破局なんて噂、流されたくありませんわ」
「どっかで流れてくれた方がありがたいんだけどなあ」
「それを許す私だとお思いで?」
「……だよな」

 ほらまたため息。誰か幸せを彼に分けてあげて欲しい。私はそんなに幸福に恵まれている方ではないと思うから、分けてあげられない。彼の苦労性はきっと一生付きまとうだろう。将来彼と結婚する人はきっと、苦労をかけさせるプロだ。
 そんな下らないことを思いながら、彼の手を握って歩き出す。何だかんだ言って結局拒まないのが彼の長所であり短所。そこは大いに利用させてもらうことにする。彼があれ以上怒らなくてよかった、とどこかで小さく思った自分がいたけれど、あまり気にしなかった。




2007.12.20(Thu) | 未来話 | cm(0) | tb(0) |

interlude-Ⅴ ――filial piety



 珍しく雪が降らなかった。雲も晴れて澄んだ青空が広がっている。
 目を覚ましてすぐ外が晴天であることに気づいたヤマトは、簡単に上着を羽織ると執務室へ向かった。

「お、ヤマトはん。おはよーございます」
「おはよう。ちょうどよかった」

 執務室へ続く廊下の角を曲がったところで、後ろからツヅキに声を掛けられ振り返る。朝もまだ早いというのに、しっかりいつもの服を着込んでいる。

「いくらお屋敷の中やからって寝間着のままは困りますわー。仮にも国一番のお偉いさんなんやから、風邪でも引かれたら簡単に寝首かかれてしまう」
「何年ここで生きてると思ってんだ。お前が用件にすぐ答えれば部屋に戻る」

 彼の忠告はいつも決まりきった挨拶のようなもので、心配など微塵もされていないのはヤマトが一番よく分かっている。ご用件は、と早速本題を問う切り替えの早さは年寄り連中には真似できないものだろう。

「夕方まで留守にする。会議はお前とツバキに任せる」
「今日もいつも通りどこぞのお嬢様と昼に会食入っとりますけど、そちらは?」
「適当に断っておけ。ああ、興味あるなら行っていいぞ。大して美味くもない手料理食わされるだけだけどな」
「謹んで遠慮させていただきます。しっかし、もっと早よ言ってもらわな困りますわ。当日に断りの連絡入れたときの先方のお嬢さんの金切り声! ご本人は聞いたことないからわからへんかもしれんけど!」
「お前、食事の度に媚びた猫なで声で近づかれるのとどっちがいいんだよ。金切り声の方がマシだな」

 それに、今日晴れてんだよなー。
 窓の外を見てしみじみそう呟くヤマトに、はあああ、と思いっきりわざとらしいため息をつくと、再びツヅキが口を開く。
 ツヅキはこれまでヤマトが無茶な要求をしても大体のことはこなしてきたし、仮にダメだと言われたとしても勝手に逃げる自信がある。

「4時まで。夜の会議は俺やツバキはんじゃあかん」
「悪いな。時間には戻る」
「ええ加減、天気に仕事左右されるのやめてくださると助かるんやけどなぁ」
「んなの天気に文句言えよ」

 それだけ言い残すと、ヤマトは無駄話もそこそこに自室へ戻って行った。



「あーもうっ、この上着邪魔! 目立つしっ」
「黙れ暴れんな馬が潰れる」
「潰れないわよ!! ……た、多分」
「多分かよ」

 ヤマトが笑うと、うるさいっ、と高い声。それから、照れ隠しなのかヤマトの背中に顔を押し付けている。馬を操っているのだからこちらからは見えないというのに。
 彼女の負担にならないようにあまりスピードは出さずに馬を進める。後ろの彼女はしっかりヤマトの腰に腕を回しているから落ちる心配はないだろう。

「あんたと馬に乗ってこんな上着着せられたら目立って仕方ないから嫌なのにー……」
「ずっと屋敷にいるんだ、俺と外出する時目立たなくていつ目立つんだよ。言っとくけど、放してやる気無いからな」
「そういうこと簡単に言うからあんたってほんっと嫌な奴!!」
「嬉しいくせにー」
「う、嬉しくなぁい!!」

 本気で嬉しいだろうとはもちろん思っていない。もといた集落から拉致されるように屋敷へ連れて行かれて、こんな晴れの日にしか自分の家に帰ることができない。
 嫌わないでこうして腰に腕を回してくれているのが奇跡と言っても過言ではない。実際嫌われているのかもしれないが、表立っていない以上深く突っ込むような気はヤマトにはない。それに、嫌われていたとしても手放す気など毛頭ないのだ。
 朝食も取らず馬に乗って屋敷を飛び出してから10分弱。後ろで騒いでいた彼女が急に静かになる。

「到着。下ろすから待っとけ」

 最初はそれを極端に嫌がっていた彼女も、ヤマトがこうすることが、自分はこうされることが普通なんだとわかると、言う事にもすんなり従うようになった。こうして少しずつ上流の暮らしを学んでいけばいい。けれど今までの暮らしも忘れて欲しくはないから、仕事を放り出してでも定期的に帰してやる。
 馬から下ろしてやると、彼女はすぐに駆け出した。彼女の家はこの集落でも割と奥にある。赤い豪奢な男物の上着を翻しながら駆ける彼女の背を、ヤマトも馬を引きながらゆっくり追いかける。
 前に来たのはいつのことだったたろう。吹雪く日でなければいつも曇っているこの一帯で、晴れることは稀なので一月に一度晴れればいい。ということは、おそらく先月以来だ。
 真っ先に家へ辿り着くと、彼女は勢いよく扉を開けた。

「お父さんっ、お母さんっ!!」

 ここに来る度に彼女の声は嬉しそうに高くなる。ここに来ないとそうはならないのが哀しいところだが、それは仕方の無いことだ。小さな家の隣に馬を止まらせると、ヤマトもまた家に足を踏み入れる。

「ご無沙汰しています、おじさん、おばさん」
「綺麗に晴れたからきっと来てくれると思ってたわ。おかえり、ルミ」
「ヤマト君も忙しいのに毎回ありがとうな」
「いえ、当然です」
 
 随分早いけど朝ごはんは食べたの? と彼女の母が問う。もちろん、朝一で屋敷を出てきたから何も口にしていない。月に一度会えるか会えないかの家族だ。せっかく晴れたのだから、少しでも長く家族といさせてやりたかった。
 彼女は朝食を作る母親の手伝いのために台所に向かい、ヤマトは彼女の父とテーブルで向かい合う形で話を始める。大体それがいつものやり取りだ。

「すみません、……本当はもっと一緒にいさせてやりたいんです。根本的には、連れ出すべきじゃなかったと、今でもよく思います」
「その台詞は聞き飽きたよ、ヤマト君。国を引っ張る立場の人間が、自らの判断を悔いちゃいけない。君は正しいことをしてくれた。もちろんルミがいなければこの家は寂しいけれどね」

 幼い頃、ヤマトは屋敷のある町ではなく、わざわざ離れたこの集落まで来て遊ぶことが多かった。言う必要を感じなかったために、この集落の人間はヤマトをどこかの村の子供だと思い込んでくれた。彼女の両親もそうだ。彼女だって、そうだった。庶民であると思われることは楽だったし、そう振舞うのも楽だった。だから、何年もそうやって、事あるごとにここに来た。つい数年前までだ。
 ただ、父が死んで、指導者としての地位につかなければならないとなった時、状況が変わったのだ。ヤマトと彼女が懇意にしていることを嗅ぎつけた人間が一家への嫌がらせを始めるようになった。
 彼女だけには嫌な思いもさせたくないし、傷つけたくない。それには自分が彼女から手を引けばいいだけなのはわかっていた。しかし、元々指導者の家の長男として育てられたヤマトには、欲しいものを簡単に諦めるなんて考えはすんなり出てこなかったのだ。
 深夜、吹雪の中馬を走らせ、初めて彼女とその両親の前に、権力者として姿を現した。三人とも、酷く驚いていた。その時の顔を、ヤマトは今もよく覚えている。何か恐ろしいものでも見るよう瞳だった。それが嫌だったのに、その時はそう思われることが必要だった。有無を言わせずに、その夜ヤマトは何も言わずに彼女を家から連れ出し、屋敷の自分の部屋に匿った。それからずっと、彼女はヤマトの部屋で暮らしている。

「……立派になったじゃないか。ちゃんと指導者としての役割を果たしているし、晴れた日にはちゃんとルミを連れて来てくれる。君が何も言わずにルミを連れ出した時は何事かと思ったが、……あんなに頭を下げられちゃ私達に言えることは何も無いよ」

 あの吹雪の日の翌日の深夜、自室で彼女が眠りについた頃、再びヤマトは馬を走らせた。彼女の家で、前日の無礼を詫びるためだった。
 とんでもない失礼を口にすることを承知で、床に額を擦り付けるほどに頭を下げて、どうしても彼女だけは自分に守らせて欲しいと懇願した。後にも先にも、あれほど人に許しを請うのはあの一度きりだろうと思う。

「まだまだ褒められるには値しません。……まだ、俺は子供扱いされてますから。そのうち偉くなりますから待っててください」
「いやあ、もう十分大物だ。あのひょっこり現れた子がこうも立派になるなんて誰も思ってなかったよ。それに、わざわざ晴れた日にだけ帰ってくるなんて紳士だ」
「買いかぶりすぎですよ。風邪、引いてほしくないだけですから」

 基本的にこの一帯はいつでも寒いのだが、吹雪いている日はもちろん、曇りの日も大体体が凍るように冷える。晴れている日はまだ太陽の恩恵を感じられる。吹雪いていなければ馬を出すことはできるが、ただでさえ屋敷での生活を強いて苦労させているというのに、下手に冷気に晒して風邪を引かせてしまうのは嫌だった。それに、外出することで周りの人間にも彼女の存在を植え付けなければならない。そのためには、人が少しでも外で活動する晴れた日に、彼女にはヤマトの目立つ上着を着せ、馬で外出するのが一番なのだ。
 
「夕方までですけど、畑仕事とか手伝わせて下さい。多少役に立つと思います」
「毎度済まないね。畑仕事なんてするような身分じゃないのに」

 いえ、とヤマトが笑って首を振ると、台所にいたルミが二人の元へやってきてヤマトの腕を掴んだ。

「いいの! こいつ土触るの慣れてるんだからじゃんじゃん使って! 知ってるでしょ? 向こうの町のいろんなところにこいつが花植えてるの。好感度稼ぎもいいとこよ」
「へー。じゃあその好感度稼ぎの俺を手伝うお前はどう分類したらいいんだろうな?」
「あたしはただ花が好きなだけだもん!」

 それが当然であるかのように返すルミにヤマトは目を細めて笑い、自分より低い位置にある彼女の頭にぽんと手を置くと、彼女の父に向き直った。

「そういうことなので、一日よろしくお願いします」

 ヤマトがいつも以上に肩の力を抜く一日が始まる。


2007.12.08(Sat) | rebellion | cm(0) | tb(0) |

いろいろと注意。


ちょっと想像してたら楽しくなったのでやってみた。
紗央でなく奈央反転。
普通に反転させたらキラ・ヤマトになりそうだったので、思い切ったことをしてみましたが、案外ちゃんと奈央っぽい気がしてきました。
こっちの奈央は超ブラコンです。もう理央以外なら何が滅んでも構わないけど、理央が悲しむのは嫌だから、理央が認めたものは認めてあげる思考。理央以外きっとみんな嫌いなんだと思います。紗央が好きとかいうのも建前。本当はどうでもいい。
軽く最低な人に仕上がりました。ちなみに学力的な面ではとてつもない馬鹿です。奈央=馬鹿は外せない設定です。


結構楽しいな。

2007.12.06(Thu) | 未分類 | cm(0) | tb(0) |

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