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軽石へちま

Author:軽石へちま
基本自キャラで凄まじく妄想してみる。
隠れ家なのでBLとか黒とか暗とか主。
キャラ崩壊必至。何とも思わないけども。
妄想についてこれる人だけどうぞ。

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なんですかねえ


銭ゲバの演出が好きすぎて困ります。これが土9でよかった、うん。
あと松ケンはそろそろ天才の域に突入してると思います。藤原竜也と並ぶよなあ、これ。
風太郎が茜ちゃんといちゃいちゃごっこしてるところがかなり好きです。可愛いなあこいつら! でもそれがフリなのがいい。
大事なシーンでちょこちょこアングル変えんのも好き。一番好きなのは音を止めるところ。BGMとか雑音が止まるシーンてぞくっとしませんか。
緑さん可愛いなあ。
でもやっぱり定食屋の面子が一番楽しそう。りょうがあんなファンキーな役してんのって「人にやさしく」以来見てない気がするので新鮮です。


クラナド見ました。
途中の演出エヴァなんじゃないかと錯覚しました。
こんなに早くご退場なのね、と思ってしまった。おかんと見てたので泣きませんでした。
寧ろ前回の死亡フラグばりばりなシーンの方が泣けた。あの岡崎の表情は本当に反則です。

今日こそは早く寝ようと思います。昨日っていうか今日は朝6時までカタカタしてたもんですから。
明後日からは説明会ラッシュだし、頑張ろう。

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2009.01.31(Sat) | しゃべり隊 | cm(0) | tb(0) |

これ、いつ終わるんだろう……



度胸試しがてらやってみたいことがあって、毎日パソコン開いてます。
一度途中で断念したものをまた書き始めるのは楽しいです。
執筆にあたって、前々からテーマソング決めてたんでグラロデの「Once&Forever」と皆川純子の「Cruel」聞いてるんですが、ラストにはまだ遠いと分かってても自分で決めたエンディングにドツボなのでドキドキしてます。今もイヤホンでグラロデ聞いてます。こんな熱い曲なのにいいのか私!(笑)
こんなに真面目に書いてるの初めてじゃないの? この文字の小ささで12ページって初めてじゃないの? ていうかこんな(私的に)長編を部誌にしかもゲスト原稿で載せようとしていたのか私、というツッコミ。
5ページで止まってたものを「再構築!(バトラ風)」したのですが、倍以上書けるなんて思わなんだ……。やればできるんじゃないか私。今日こそ書き上げる!っていうのは大体遂行されませんが。


タイトルつけなおしたいんだけどいいのが思いつかない。
ううむ、どうしよう。そういえば、超懐かしいが文芸部のつどいに出た時に、回りくどいタイトルじゃない方がいいと言われた覚えがあります。そろそろES書けよ私。
やっぱり皆川純子の曲ドツボなんだよなあ。鬱な話は書いてて楽しくなってきます。
書きあがったら掲示板にでも載せて鬱推進計画でもスタートさせる所存です、ハイ。
ちなみに高屋奈月の「星は歌う」でアルファルド出てきてめちゃめちゃビビったのは私です。え、私これの3年前くらいに名前ネタ考えてたのに!(爽)
りぼんでも同じことありました。春田ななの作品に「紗央」が出てきたときめちゃめちゃビビった。


一応起承転結の転まで終えたつもりなので、あとは鬱にしかならんラストに向かって突っ走ります。
勉強しろ私。
今書いてる二人は、現代世界にいたらきっとものすっごく小学生ぽいやりとりを繰り広げるんだろうなあという妄想をしつつ鬱を乗り切りたい。面倒見のよさは理央クラスだといいな。
カメさんは携帯も持ってないような古典的な子だといい。ネズミーランドとか行けよちくせう、カメさん絶対そういうとこ好きだろ!! 現代設定ならアルはきっと文句も言わないでカメさんについていくんだろうなあ。やはし一途なキャラが好きです、書くのも見るのも。ある程度キャラができあがると客観的に見れていいですな。
大和に対してはCV伊藤健太郎ということもあって愛が滾るわけだが……!
この前の銀魂のクオリティの高さに泣きそうになったんだが……! なんですかアレ、美しすぎる。神楽さん美しい。お兄たん、ウラタロスでよくね?
ひぐらしの綿流しと目明しだけでもこのクオリティでサンライズがやってくれたら私感動して号泣する。

眠い。寝る。

2009.01.31(Sat) | しゃべり隊 | cm(0) | tb(0) |

さむい


岡崎朋也のあの表情は反則だと思います。泣いた。あの表情は卑怯だ。


最近のクラナドを見ると留学中の流風さんの話が書きたくなります。
でもって最近のクラナドを見ると、樹理が生まれる前の流風さんはなんて最低なんだろうと再認識するわけであります。
やっぱりあれですね、奴はいつも未熟なんですね。岡崎朋也だって19だか20で子供授かってるというのに。秋生さんもなんて素敵な父親なんだ……。
一番近いのはやっぱり大和なのかな。しかしあんなにコミュニケーション過多じゃないしな。駆け落ち後ならかなり秋生さんと近いと思うんだが。
帰国直後の流風の心境とかいろいろをもっと掘り下げて、なんで樹理のこと隠して生きてるのかってのをもうちょいちゃんと書きたいな。樹理は聞き分けのいい子だから反抗しないけど。だから自宅にいる時よりも芹沢邸にいる時の方が自分を出せるんだろうな。大和とか椿の前では素でいられるんだと思います。
流風が黙って生きてるのは、どう考えてもケレス先生に合わせる顔が無いっつーどうしようもない理由なんですが、コレばっかりは仕方ないね! 帰国前にしたら急に怖くなったに決まってるんだ。


流風と椿の話を書いて見たりしたけど挫折します。
流風は結構樹理と椿が似合ってるんじゃないかと思ってたらいいな、と思ってました。んなわけあるか、というお話です。
樹理と椿は幼馴染だからお互いよく知ってるけど、近いから一番聞いちゃいけないこともなんとなくわかってて、だから一番大事なことをお互い知らない気がする。
だから結局幼馴染くらいがちょうどいいんじゃないかな。


試験も明日で終わるので、真面目に公務員試験の勉強しようと思います。
民間にちょっと揺らいでたんですが、いろいろ調べてたら第一志望の業種、特に絞ってた3社が全部ブラック企業らしくものっそい落ち込みまして、2月入ってすぐ筆記試験とかあるんですが練習のつもりで受けるにとどめようかな、と。2ちゃん見なきゃわかんないってどうなの。しかも数年前からあるスレだから信用も高い気がする。
この前受けた模試がそこそこの判定でして、いや勘で教養結構いけたからなんですけど、もうちょっと頑張って勉強します。このまま何もしなかったら落ちる自信ある。つーか2年の時から勉強してるはずなのに私。(笑)


あ、銀魂見ました。神威さんの声、ちょっと鳥海さんに似てないか。じゃあ鳥海にすりゃいいじゃん、と思った私です。ダメですか。
そしてどう見ても某羆落としの人の目ですよね。
ニコニコで90年代土9のメドレー聴いて騒いでます。銀狼とか懐かしすぎだろ!
キイナかわいい。今期の日テレドラマはどれも気合い入ってて素敵です。全部おもろい。
「神の雫」の主題歌、いい曲だなあ、キャッチーだなあ、と思ってたらやはりSPINさんの作詞!
感動しました。名曲の予感がするところには必ずお名前がある……!
RESCUE見れてないんですが、あっちも勝運さんが歌ってるんですか。すごい。
marbleが新アルバム出すみたいなんですけどどうしたら。欲しいCDたくさんあったはずなのにいろいろ見送ってるなあ。May’nの「メイン☆ストリート」は欲しいなあと思ってるんだけど。


この前スペシャTV見てて、ORANGE RANGEの「Walk on」がなんとなくリベリオンに使えそうかな、と思った。
アニメなら最終回に流したい感じですよね。
今までイメージで集めてた曲に無意味にコマ割とかしたい。

2009.01.23(Fri) | しゃべり隊 | cm(0) | tb(0) |

21――breakfast



『あいつが少しでも救われるなら、俺はどんなものを捨てたって構わない』

 強い言葉だった。ルカ自身もそう思っていたはずだ。
 彼女を、ナオを救うためにならこの身など安いものだと思っていた。今だってそう思っている。自分だってそういう強い決心を持っているはずなのに、あの時シンゴの顔が頭をよぎったのだ。
 シンゴは、ルカが見ている限り、ルカ自身より余程自己犠牲が強いように見える。脱走した囚人の首を刎ねたのが、その最たる例だろう。どうして? 何故そこまで? 俺はそんなこと、望んでないのに――



「――お目覚めですか?」

 まだ重い瞼を擦りながら上半身を起こす。
 目の前には長い黒髪が揺れていた。――ツバキだ。
 昨夜はヤマトの部屋で一通り話を聞いてから、時間も遅いからと客間に案内されて休んだのだ。だからあれからシンゴには会っていない。

「……シンゴは」
「もう落ち着いてらっしゃいますわ。念のため動かないよう私の部屋でお休みいただいてます」
「なら、よかった」

 ツバキの立つ窓の前、ルカはその向こうに視線を向けた。今日も雪らしい。布団に入っていなければ凍え死んでしまいそうなこの身を切る寒さも、ここの住民には至極当たり前のことなのだろう。ツバキの服装は膝が見えるもので見ていて寒そうにも思えるのだが、当の本人はけろりとしている。
 
「朝食の用意が済んでおりますわ。あちらの机の上に昨夜お見せしたわが国の兵士服をご用意していますので、そちらをお召しになった上でお父様のお部屋へお越し下さい」
「お父様、……ああ」

 この少女の父親になど会ったことがあっただろうかと一瞬考えてしまう。しかしそれもすぐに思い直す。この子にとっての父親は、あのヤマトなのだ。四つしか年の離れていない、兄妹のようにしか見えない親子関係。それでも当人同士は親子であると言い張る。親子関係などというのは口を挟みづらい問題だし、この二人の関係よりもシンゴのことやこの国の話の方が重要だったために聞く機会を得られずにいた。

「……何で、お父様、なんだ?」

 脇においてあった水差しを手に取り、その隣のグラスに注ぐ。
 ツバキはそれまで穏やかな笑みを湛えていたというのに、ルカの言葉を聞くと一瞬だけ視線を逸らした。

「お父様が私を引き取ってくださったからですわ。それ以外考えられないでしょう? 四つしか離れていませんもの」
「そんなの分かってる。どうして親子なんだって聞いてるんだ」

 それからグラスの中の水を飲み干した。冷えすぎた水は喉の内側を刺すように冷たい。

「……さあ。私はお父様に親子であることを告げられたに過ぎません。真意はわかりかねます」
「そうかもしれないけど、お前だって複雑なんじゃないのか?」
「割り切ってしまえばすべて受け入れられますわ。名前がない方が辛いことだってありますもの」
「?」
 
 ふわりとツバキがスカートを翻した。白い生地が揺れる。

「それでは、お着替えを邪魔するわけにもいきませんから失礼いたします。お父様のお部屋までの道はご存知で?」
「ああ、昨日ここまで来た道の逆行けばいいんだろ?」

 入り組んだ屋敷ではあるが、来た道はあまり難しくなかった。二度ほど曲がってきた程度だ。
 その返事を聞くとツバキは納得したように微笑んだ。

「お父様のお誘いで今朝は私も同席させていただくことになりましたので、先に行ってお待ちしておりますわ」
「分かった。……けど、こっちの服でいいのか? ゆうべあいつと話した時、女装しろとかするなとかいう話になってたんだが」

 だからルカがこの屋敷に連れてこられたのだ。その話はどこへ行ったのだろう。
 しかしそもそもあの時あの場にいなかったツバキにこの話をしても無駄なのかもしれない。いいや別に、と続けようとしたところで、くすくすとツバキの笑い声が耳に届いた。
 おかしいものを見るような目。控えめに笑うその姿はまるっきりお嬢様のそれだ。

「……なんだよ」
「いいえ。律儀な方だと思っただけですわ。そんなにもあちらの服、お気に召しまして?」

 ――ツバキにも話は通っていたのだ。
 わざわざ身を切る話をして損をした。素直にこの服に袖を通せばよいだけだったのだ。
 ツバキはまだ可笑しそうにくすくす笑いながら、それでは失礼します、と静かに部屋を出て行った。





 この屋敷に来て数度目になる、この扉。仰々しいまでのそれは見た目通りの重さがあり、開くにはそれなりに力が要る。
 扉を開けば、廊下と同じ赤い絨毯が部屋中に敷き詰められていて、大きなテーブルを前にツバキが配膳の準備をしていた。
 部屋を見回してもシンゴの姿はない。さっきツバキが言っていた通り、まだ部屋で休んでいるということなのだろうか。

「シンゴ、はお前の部屋なんだよな」
「ええ。食事は別にお持ちしましたからご安心ください」

 一応確認を取ると、ツバキは頷いた。それで一応は安心することができる。 
 スープやら何やらの配膳を一通り終えると、ツバキはルカの全身を見て満足そうな表情を浮かべた。

「よくお似合いですわ。この分でしたらあちらの服もさぞかし素敵に着こなせるんでしょうね」
「嫌味はやめろっての」

 適当な席に腰掛けて、主の登場を待つ。
 ――主。
 そう、この服を着た以上、あのヤマトという男はこれからルカの主なのだ。
 あの国にいた頃、自分をこき使う男を主だと思うことはなかったし、もちろんあの蒼い瞳の女王に対してだってそう思ったことは無い。けれど、これからは。
 ぐっと拳を固くすると、背後に気配を感じる。その気配に対しいちはやく頭を下げたのはツバキだった。

「おはようございます、お父様」
「おはよう、ツバキ」
「ルミさんは、まだ?」
「ああ、起こしてやってくれ」
「畏まりました」

 そのやり取りは、娘というよりも使用人に近いような気さえする。
 恭しく再び頭を下げると、ツバキは寝室があるのだろう奥の部屋へと向かって行った。

「で? 新しい雇い主に挨拶もできねぇたぁどえらい新人だな」
「おはよう」
「ゴザイマス、だろ?」
「望んで仕えてるわけじゃないんだ、敬語まで強制されてたまるか」

 それが本音だ。言ってみればヤマトは一度きょとんとした目をしたが、すぐにぷっと吹き出した。それから、言うねぇ、との一言。

「俺の機嫌損なったら死ぬかもしれねぇのに、怖くねぇのか?」
「殺す相手に自分の女守れとか恥ずかしいこと言えねぇだろ。あんたは俺を殺さないよ」
「なるほどな。――だが、やろうと思えば国もお前も力でどうとでもねじ伏せることができる。それだけ分かっとけよ」

 脅しかよ。
 そうは思ったが、相手は現に何人も大した罪のない人間を殺しているのだ。それはほとんど、気紛れに近い。敬語云々に関してはそううるさくするつもりはないのだろうが、態度には気をつけておいた方がいいのかもしれない。
 ルカの正面の席にヤマトが腰を下ろしたのと同時に、奥の部屋からツバキのものではなさそうな女の声が聞こえてきた。

「ヤマトが起こしてくれればいいのに、わざわざツバキちゃんに迷惑かけないでよっ」
「そりゃあ悪かったな。アホ面晒して熟睡してるところ邪魔しちゃ悪いと思っての親切だったつもりなんだが」
「あんたの親切はひねくれてんのよ! って、うわ、お、お客さんいるなら最初にそう言ってよ!!」

 出てきた女は長いこげ茶色の髪をしていた。前髪を控えめな赤い髪留めで留めている。瞳も大きい、背も低くはない。……可愛くないとは言わないがそこまでの美人かと言えば首を傾げてしまう。ツバキの方が可愛くないか? 正直なところ、ルカはそう思っていた。
 しかし、ヤマトの表情を見ればわかる。普段どれだけこの男が暴君ぶりを発揮しているのか、この女は知っているのだろうか。同一人物か疑ってしまうほど、ヤマトの表情は穏やかで優しいものだ。相手を本当に大事に思っているからできる表情。きっとヤマトは、この世の何よりもこの女を大事に思っているのだろう。

「ええっと、……初めまして」

 怖がる様子もなく、彼女はルカの目の前までやってくるとぺこりとお辞儀をした。年はルカと変わらないように思える。ヤマトと同い年なら、ルカよりも年上だ。

「初めまして」
「あたしはルミ。名前は?」
「ルカ」
「なんか音似てる」

 そう言ってルミは笑った。
 失礼かもしれないが、ルミの存在はこの屋敷には不似合いだ。多分、外で畑仕事をしたり動物と遊んだりする方が余程彼女の性には合っているだろう。それでも、不似合いであっても彼女は馴染んでいる。矛盾している、とルカは思う。浮いてるのに馴染んでる。この部屋は彼女の居場所だ。
 じゃあ食事にするか、と全員が席についたところで辺りを見回す。シンゴ以外にもう一人足りないような気がしていたのだ。

「ヤマト、ツヅキはいないのか?」

 挨拶もせずに早々とヤマトはスープに口をつけていたが、ルカの声にすぐ顔を上げると、ああ、と思い出したように声を上げた。

「お前の相方の見張りだ。一人でほっとくのも可哀想だろ?」
「いつもこんな感じなのか、あいつとあんたって」
「神出鬼没って奴だからな。どうでもいい時にはいたりいなかったり、けど必要な時には絶対近くにいる、そういう奴だ」

 そんな会話から食事が始まる。面白いんだけど時々嫌味言うんだよねー、とルミが零し、ルミさんにまでそんな態度なんて信じられませんわ、とツバキが続ける。
 
「それって、」

 ルカの言葉の続きを促すように、ヤマトの目がルカを見る。

「……必要だから使った、ってことか」
「飲み込めねぇな。金持ちのぼっちゃんは分かりやすく噛み砕いてもらわねぇと」
「可哀想だとかそんなの考える人間じゃないだろ、あんたは。……シンゴの側に誰か置いておく必要があったからツヅキを使った。俺をわざわざこっちの朝食に呼んだのはルミを紹介するためで、ツバキはあんたの娘だからここにいる」

 ルミとツバキは顔を見合わせているようだった。ルミはまだシンゴの存在を知らないのだろう。
 ルカが言いたいのは、説明されているよりもずっとシンゴの容態は悪いのではないかということだった。放置しておけない状態にあるのではないか、と思うのだ。もしそうなら様子を見に行きたい。

「お前の相方が重症だって? そりゃそうだろうよ、お前だって見てんだろ。とんでもない破壊衝動に駆られて何しでかすか分かったもんじゃない。余程強力な麻酔でも打ってなきゃ一人じゃ置いとけねぇよ。キレたあいつの馬鹿力には普通の兵士じゃ対応できないし、下手すりゃ自傷行為だってしかねないんだ」
「暴れたら力で押さえつけるんだろ? ……行き過ぎたことしない可能性がないとは言い切れない」
「言い切れる」
 
 間髪いれずに返したヤマトにルカは少し怯んだが、乾いたパンを口に入れながら睨むようにヤマトを見た。

「どうしてそう断言できる」
「俺がそう命じたからだ」
「あんたの言う事に必ず従うかどうかはわからない」
「従う。……目的のもの以外はどうだっていいんだ、あいつは。だから別のものを傷つけることはしない」

 ヤマトの表情は穏やかだった。
 それをどう表現したらいいのか、ルカには分からない。
 信頼ゆえの優しい表情なのかもしれない、あるいは、諦めているのかもしれない。どのようにも取れる表情だった。
 空だったヤマトの左手が、机にがり、と爪を立てる。

(……なら、ツヅキにルミを守らせればよかったじゃないか)

 内心ルカはそう考えていた。
 ヤマトは確実にルカを見下している。ならば、一応の信頼を寄せるツヅキに力で守らせればよかった。女装した男を側に置いておく必要も何も無い。ただ、それを口にするのは憚られた。自信はないが、そう言えばヤマトが怒るような気がしたのだ。


 矛盾している。


 信頼している相手なら、自分の大事な人間を預けたっていいはずだ。ツバキとルミはあまりよく思っていないのかもしれないが、中身を買っているからこそヤマトはツヅキを側に置くのだろう。信頼していない相手なら、一番の側近にすることなど有り得ない。
 この国は思ったより単純ではないのかもしれない。ツバキが淹れた香草の茶を啜った。




2009.01.20(Tue) | rebellion | cm(0) | tb(0) |

ということで。



 この家は全体的に、立てつけが悪いです。
 窓を開けるにも一苦労。がたがた音が鳴って、力もかなり必要。最近はなんだか少し強い風が吹いたら家ごと崩れてしまいそうな音をたてます。お父さんは「仕方ねぇな、そのうち俺が建て直してやるから楽しみにしてろよ」と胸を叩いたりしていますが、いつになるかは定かでありません。すきま風が寒くてある日突然凍死、なんてこともありえるかも。
 まずがたがた言わせながら窓を開けて、それから雨戸を開けると、びゅうっと身を切る冷たさの風が顔に当たります。まだ寝起きで寝間着のままなのでこの寒さは厳しいです。すぐに窓を閉めて、レースのカーテンを閉めます。

「おはよう、椿」

 その風の強さでお母さんが目を覚ましたみたいです。私の部屋の扉を薄く開けて、お母さんがこちらを窺っています。お母さんは向かいの部屋でお父さんと一緒に寝ています。お父さんは割と早起きな人で、お母さんが起きてる時間にはもう起きてることが多いです。きっとお父さんはもう起きているんだと思います。
 私は振り向いて、軽くお辞儀をしていつもの挨拶。

「おはよう、お母さん。今日も雪みたい」

 そうね、とお母さんが笑います。それからぎしぎしと木の軋む音を立てながら、お母さんは階下へ下りて行きました。
 あくびを噛み殺して、私も寝間着から制服に着替えるためにパジャマのボタンを上から外します。寒い季節の着替えはいつも一苦労です。パジャマの上を脱いでキャミソール一枚になって、もう一枚薄い長袖を着ようと袖に腕を通すと、

「姉ちゃん! 学ランのボタン取れたからつけてー」

 ……ひとつ年下の弟の薫が私の部屋に飛び込んできました。

「姉さん!! シャツのボタン取れてるから直してー」

 続いて、薫の兄で私の弟の葵が。
 私は寒い部屋にキャミソール一枚で、弟とはいえ年頃の男性が入ってくるのには、かなり、抵抗があります。
 なのにこの弟たちは。

「「あ、着替え中? 待ってるから早く着替えなよ」」

 と声を揃えて言ってくれます。まったくありがたくなんかありません。

「……わ、」

 わなわな震えながら声を出すと、葵と薫の二人は、「わ?」と二人同じ顔をして首を傾げました。

「わかったから早く出て行ってー!!!!」

 すぐ近くにあった枕とくまのぬいぐるみを思いっきり二人に投げつけると、減るもんじゃないしいいじゃんかぁああ! と騒ぎながら二人の弟達は退散していきます。
 いつもこれだけ怒るのに、これと似たようなことが月に二度三度は必ずあるから、学習能力がないというよりももう確信犯なんだと思います。
 薄い長袖に腕を通して、その上から制服のセーラー服を被ると、思わずため息が出てしまいました。




「もう、葵も薫もいい加減椿からかうのやめなさいよね。高校生なんだから」

 着替えを終えて階下に行くと、お味噌汁の温かい香りと一緒にお母さんのそんな一言が聞こえてきました。
 葵と薫は、私のひとつ下。一卵性双生児の兄弟です。お父さんに似て図体大きいくせにいつまでも子供みたい。家でも学校でも、よく私にちょっかいを出して遊んでいます。だから私は遊ばれているわけで、すごーく腹が立つんだけど身長差がありすぎて抵抗空しく、となることが多くて、残念。

「この年の姉弟が仲良いってなかなか喜ばしいことだと思うんだけどなあ。なあ薫?」
「テレビの向こうでは冷え切った家庭が一般的で、俺らがこれだけ頑張って家中あったかくしてんのに母ちゃんにそう言われると悲しい」
「テレビの向こうって言や、都心の女共は普通に水着みたいの一枚で歩き回ってんのに姉さんのあの嫌がりようはないよな」
「確かに今この辺りでやれば間違いなく凍死するけど、俺らに見せるくらいちょっとしたチャレンジだと思」

 思えるわけないでしょうが!!
 と言ってやる代わりに私は履いていたスリッパを脱いで双子の頭をそれぞれべしんと叩くと自分の定位置につきます。時代錯誤な丸い食卓。私の左に座っていく順番は、葵、薫、お母さん、お父さんと続く。つまりお父さんは私の右隣です。いつもこの時間にはもう食卓についているお父さんがまだ下りてきていません。

「お母さん、お父さんは?」
「今日は野球の練習あるからって張り切ってるんだと思う。上で着替えてるんじゃない?」
「雪なのに?」
「じき止むだろう、って言ってたから、さっき」

 年なのによくやるねぇ、と双子は言います。お母さんは苦笑しながら双子を窘めて、私達の前に焼きたての鯵の開きを置きました。
 お父さんは町でやっている野球チームで捕手をしています。体が大きいから適任だという話です。あと、配球も上手いって聞いたことがあります。でも私は野球のルールとかよく分からないし、お父さんがそれほどそういった頭脳戦が得意なタイプともあまり思えないので、実際のところは分からずじまい。体は大きいから捕手には向いているのかもしれないし、力が強いから打者としても向いているのかもしれません。昔はバレーボールをやっていたらしいですが、高校を卒業してからすっかりやる機会がなくなった、と前に言っていました。

「おう、おはよう」

 そんなことを考えているとお父さんがもっと床をぎしぎし言わせながら階段を下りてきて、私は頭を下げます。

「おはよう、お父さん」
「おはよう椿。今日も世界で二番目に可愛いな」

 そんなことを言ってくれるのは世界でお父さんだけです。
 ド近眼で眼鏡が手放せなくて、未だにみつあみおさげの私を可愛いなんて言うのはお父さん以外いません。ちなみに、お父さんの一番というのはもちろんお母さんです。そんなのもう声に出すことでもなく、この辺の人なら誰でも知ってることになってしまっています。町一番の愛妻家かもしれません。
 私に続いて双子もお父さんに朝の挨拶をします。双子に挨拶を返して、お父さんは私の右隣に座るとテレビのリモコンを操作して電源をいれます。この辺りはお世辞にも都会とは言えないので、朝に見る情報番組は大体ローカル放送。でも、天気予報だとか交通情報だとかではお役立ちのチャンネルです。

「お、やっぱ雪すぐ止むみたいだな」
「張り切るわね。今日も中学のグラウンドで?」
「ああ。けど作業終わってからだ。早く終わらせねぇとすぐ暗くなるからいつもより気合い入れねぇと」

 お盆に人数分のご飯を載せたお母さんが食卓に着きます。中央にお母さんの手作りのお漬物があって、鯵の開きとお味噌汁とご飯。朝ごはんはこうしてみんなでちゃんと食べます。余程のことが無い限り欠員が出ることはありません。みんなで手を合わせて挨拶して、食事が始まりました。
 テレビの天気予報を見つめるお父さんは、この辺のいろんな仕事を手伝っています。定職がないと言われてしまえばそれまでですが、漁師や酒蔵のお仕事はおそらくなくなることがないから一番安心だ、とも言っていました。この地域ではまだまだ若いので、力仕事を任されることも多いようです。雪かきなんかは得意中の得意です。今では葵や薫も貴重な戦力ですが、お父さんの雪かきはすごいです。力にものをいわせます。勢い余って屋根から落ちるなんてことも昔はよくあったみたいで、今でも時々お母さんが話の種にします。

「あ、姉さん、さっきも言ったけど俺らのボタンつけてくれよ」
「分かってるよ。ご飯食べたらつけるから」
「俺が先に頼んだんだから俺からだよな、姉ちゃん!」
「はいはい、薫からね」

 朝ごはんを食べながらのそんな会話は日常茶飯事。お父さんお母さんも笑いながらこの様子を眺めます。
 お父さんは双子に向かって、それくらい自分達でやれよ、と嫌味を言って、あんただってできないでしょうが、とお母さんに嫌味を返されます。お母さんに双子が加担して、私が双子を叱り付けて。そういうやりとりが、私はすごくすごく好きです。




「椿、帰りは何時くらいになる?」

 双子のボタンをつけてあげた後、歯磨きをしていると、お母さんが洗面所にひょっこり顔を出して声をかけてきました。口の中の泡を洗面台に出してから、うーん、と首を捻ります。

「えっと、学校終わったら達樹くんのところに顔出すから、あ、買い物ならちゃんとしてくるよ」
「また勉強教えてもらうの?」

 お母さんの問いかけに、私は肩を竦めました。
 達樹くんは私の一つ年上の幼馴染で、高校三年生です。爽やかで優しくて賢くて、そんなの皆に人気があるに決まってます。面倒見もいいから昔から要領の悪い私に勉強を教えてくれていて、今回もおいでと言ってくれたのですが……。

「達樹くんもうすぐ大学受験だから、悪いし断ろうと思って。でももう三年生学校ないし」
「達樹くんはスポーツ推薦とかで行かないのかな。バスケ、やってるんだよね?」

 そう、達樹くんはスポーツもできる、全部できない私にとってはまるで神様みたいな人です。バスケがすごく上手なのですが、多分サッカーも野球もうまくこなしてしまうに違いないと思います。雪が降ってなかなかグラウンドを毎日使うわけには行かないので、体育館でできるバスケを選んだんだと思います。それでも、週に一度電車とバスを乗り継いで大きい体育館で、地域のチームに所属して練習しています。
 スポーツ推薦。達樹くんならもちろん狙えそうです。

「あー、ダメダメ。賢い奴はスポーツなんて使わないんだよ。先が無いからな」
「第一、達樹みたいのはスポーツ界とかぜってー向いてないから」

 ……と思ったら双子が現れて、私の横から手を伸ばして自分の歯ブラシを取っていきます。

「あんたたちはできないでしょ! 達樹くんのこと僻んでそういうこと言わないの! 確かにっ、達樹くん優しいから激しいとこには向いてない気もするけど、でも才能あればそんなの関係ないし! ていうか二つも年上の人呼び捨てにしちゃダメでしょ!!」
「「だって達樹がそれでいいって言ったんだもん」」
「けどダメなのー!!」

 子供の頃からの知り合いだから達樹くんもきっと双子に甘いんだろうと思います。だからって甘やかすと双子はすぐ調子に乗るからもっと目を光らせないと!
 お母さんは結構こういうのをスルーします。もっと叱らないの、と聞いたら、あたしは本人にOKもらえたら呼び捨てにしちゃうタイプだからなあ、と言われました。お父さんの思い出話によれば、お母さんは真面目というよりもギャルに近かったらしいです。あんまり想像できません。

「でも双子のいう事も一理あるかもね」
「えっと、……どこが?」
「賢い奴はスポーツなんて使わないって」

 お母さんにも思うところがあるみたいです。
 でも、私は達樹くんがスポーツの道に進むならそれはそれで期待できると思うし、全力で応援したいと思っています。



2009.01.19(Mon) | 触発されました | cm(0) | tb(0) |

金のためなら何でもするズラ


銭ゲバが想像してたよりめちゃめちゃ面白かったので、感化されてやっぱり駆け落ちその後を書き出してみようと思う。挫折前提で!(爽)
松山ケンイチ上手いなあと思った。すげえ怖い。
そう思うと藤原竜也と松山ケンイチの共演てことで、デスノートはほんと神のような作品だなと思いました。ここ数年私藤原竜也は天才なのではないかと思い始めたのです。上手いよなあ。でもやっぱり松山ケンイチも上手いなあ。昨日L見たばっかだからしばらくLが抜けなかったけど。
幼少時代の緑さん最低ですね。これだから金持ちのお嬢は! 第一「食べて下さい」って差し出してるものなんだから盗むとはちょいと意味が違うと思うのですが。つーかむしろ、お母さんに食べさせたいから、で済んだ話なのでは。そうさせないのが貧しさなんだろうか。
でもって、あんちゃんが木製バットで撲殺されましたが、木製バットで撲殺ってさぞかし辛かったろうな、と思います。本気で殴ってるとはいえ小学生。その上木製バット。死ぬまでかなり時間かかったと見ます。
そしてあんちゃん撲殺の事件からは時効が成立している気が、あれ、五年生だからギリギリまだ時効じゃないのかな?
ミムラは可愛いが幼少時代最低ということで! 「いいお友達になれると思ったのに」って寝言は寝て言えよ?とどれだけの視聴者が感じたことでしょう。


今期のドラマはどこも気合い入ってますね。阿部寛の謙信がカッコよすぎてどうしよう……!
月9は見てないのですが、面白いらしいのでちょっと明後日見てみようかな。ラブ・シャッフルは見たかったけどどう考えたって優先順位はナンチャンの方が上でした。すいません。玉木宏よりナンチャン。DAIGOよりナンチャンです。
歌のおにいさんは言わずもがなで、そういえばGIRL NEXT DOORのボーカルの方が相手役みたいだけど、思ったより上手かったので意外でした。棒じゃなかったな。
神の雫も好きです。亀さんがどうも高校生にしか見えないっていう!
銭ゲバ始まる前は、神の雫を土9に持ってきて、銭ゲバを火10にした方がよかったんじゃないかと思ったんですが、問題提起的要素のある作品はでかい枠に持ってきた方がそりゃいいですよね。
蟹工船みたいなもんだと思えばちょっと刺激が強くても土9で正解なのかな、銭ゲバ。
歌のおにいさんも何気に内定取り消しとか扱ってて現実に即してますな。
赤い糸も面白すぎて笑いで涙が出るので今日の放送楽しみです! 沙良たんどうなるのかな!(爽)


じゃ、ちょっと駆け落ちその後書いてきます☆
リベリオンは途中挫折しました。かなり分量書けたと思ったのに。

2009.01.17(Sat) | しゃべり隊 | cm(0) | tb(0) |

まさかね
今NHKのSongs見てるんですが、樹理が生まれるまでの流風の気持ちとかって、Kiroroの「長い間」がぴったり。
樹理ママと流風のあたりがね。

Lの映画と歌のおにいさん見ました。
L絶対真希ちゃん好きだろ、見ててきゅんきゅんしました(笑)
ああいう人間ぽくないキャラが子供とか女と絡んで人間くさい感じになるのが好きです。
歌のおにいさんはどう考えても王子好きすぎる…! 大野君のソロ曲がいい感じですな。

さて、そろそろ寝るか……。

2009.01.17(Sat) | 未分類 | cm(0) | tb(0) |

リベリオンの続き


書いてたけど終わらなかった……(試験前日)


リベリオンではいろんな2人組を書いてみたくて、いろんな2人組がやたらと絡んできます。
最たるところがルカとツバキなんですが、こいつら書いてて何だかんだで楽しい。
未来話のルカと椿じゃああはならないんだな。
ちょっと似てるから楽しいんだ、多分。ルカとツバキは似てます、多分。
全部終わったらもっと仲良くなれるはず。
未来話で空と奈央がすごく可愛く仲良くなったので、リベリオン書いてるとルカとナオにものすごく違和感を覚えます。ナオって高嶺の花なんじゃね? お前には合わなくね? とか思っちゃいます。
でも前クリチューだと好きなんだなあ、私。前クリチューだと寧ろ空に対して「合わなくね?」と思ってしまう。
バックグラウンド的にはリベリオンも前クリチューも流風の立ち位置は同じようなもんなのに、不思議ですな。


久々にリベリオン書いてたらラストいろんな構想してたのを思い出しました。
ラストって考えるの楽しいよね!(爽)

2009.01.15(Thu) | しゃべり隊 | cm(0) | tb(0) |

点呼どんごめんよ!
遅くなりました。

空は趣味程度で今でもピアノしてます。自分の部屋に楽器があるわけじゃないので滅多に弾きませんが、たまーにむっちゃんと合わせてたらいいな。スキルが落ちない程度には弾いてると思いますよ。
あの空が双子と対等に付き合えたのってピアノやってたからとしか思えない。
速く弾くの得意そう。黒鍵とか革命のエチュードとか好きだから弾いてて欲しい。ゆっくりな曲はイメージじゃないですよね。
別れの曲とかベートーベンの月光とか似合わない…!(笑)
ショパンの革命のエチュードと幻想即興曲が好きです。すいません、土浦が弾いてた曲です!(爽)
奈央も混じってたまに歌ったりすればいいのに。学校忍び込んで。

リベリオン書こうとしてあまりの寒さに断念。
シンゴとツヅキ君のあたり書きたかったんだけど。
ルカとヤマトとかね。暗い話が書きたいです。

2009.01.13(Tue) | 未分類 | cm(0) | tb(0) |

Evening Emerald  2/2




 誰よりも理解していなかったのは自分だったのだ。
 これでは、今まで卑下していた自分と同年代の若者にも劣る始末。彼女に出会わなければ、母国で毎日のように報道されるような、子供に虐待を重ねる親になっていたかもしれない。もしかすると、先日院長からあの話を聞かなければ、幼い樹理でさえも自分とは関係ないものと放り出していたかもしれない。末恐ろしい話だ。
 彼女を馬鹿にしていたのはきっと、誰でもなく流風自身。いつまでも子供だと見くびっていたのだろう。本当にそうであれば、自分はまだ幼い彼女の気持ちと体を弄んだ上に子供まで産ませた最低の男に成り下がる。彼女の気持ちに何一つ気付かなかった自分を叱責し、強い後悔に襲われる。
 樹理は自分の命なのだ、と彼女は言った。
 ただ子供のように、家族が欲しいと喚いていただけではなかったのだ。
 自分より四つも年下の娘が理解していたことを、流風はちゃんと認識することさえできていなかった。
 



『ルカ? ケーキ食べないならもらっちゃうよ?』

 彼女の薄緑色の大きな瞳が突然覗き込んでくる。ぼんやりとしていた流風は、うわ、と軽く驚いた。その反応に彼女は嬉しそうに笑うと、自分が手にしていたフォークで、流風の分のケーキを一口いただいた。
 それを院長に窘められると、『だってルカの方がわたしのよりちょっと大きかった!』と膨れる。まったく、少しは成長してやったと思ったのに。そう思って流風はため息をつく。
 彼女の子供染みた性格が好きだった。それは実際子供であったからで、それじゃあ今は何も好きじゃないのかと言うと、当然ながらそういうわけではない。
 流風から『食べていいよ』と許しを貰うと、彼女は嬉々としてその皿を受け取り、流風の頬にクリームの甘ったるい香りの残る唇を寄せた。
 ともかく、彼女という人間は、何でも一番にならなければ自分のアイデンティティを保つことのできなかった流風にとってはどう見ても異質な存在であり、だからこそ惹かれる部分も多々あったのだ。
 暖炉のすぐ側で、綺麗に飾りつけられたツリーが炎の赤を反射している。少し離れた場所にあるゆりかごでは樹理が眠っている。

『ローラ』

 隣でケーキをぱくつく彼女に、流風は声を掛ける。
 金髪をさらりとゆらして、疑問符を浮かべる彼女にもうひとこと。

『おいで』

 いつもの子供っぽい笑顔で力いっぱいうなずくと、彼女はフォークを置いて流風の手を握った。





『寒いぃいい、雪降ってるよ? こんな寒いとこいたら先生に叱られるよ?』

 ステンドグラスの向こうに、牡丹雪が降る影が見える。
 寒い寒いと騒ぎながら、彼女は樹理を背負ったままの流風に遠慮なく正面から抱きついてくる。
 相変わらずムードの欠片も無い。そう思ってはいるものの、正直にそう告げればおそらく日本風に、『むーど? 何それ食べれるの?』に準じた回答をされるのは目に見えている。
 彼女と初めて会った、もう寂れてしまった教会は、色とりどりのステンドグラス越しに月の光を認めるくらいで他には何の明かりもない。危ないからどいて、と彼女に告げてから、孤児院から持ってきた燭台に蝋燭を立て、火を点ける。ぼんやりを彼女の顔が赤く浮かび上がるのがわかった。
 背中で眠る樹理を起こさないように背負い直し、『何か思うことは?』と問いかける。

『ひとりのとき、よく来てた。ルカはいっつもここにいたから』

 人のいない教会は、ひとりで本を読むのにはちょうど良かった。
 だからいつもここにいた。だから彼女もここに来るようになったのだろう。

『でも今はジュリも連れてくるの。ここでなら、わたしもジュリも、ルカを待ってていいような気がするから』

 彼女は時々、どきりとする台詞を言う。
 流風と彼女の間には、約束が存在しないのだ。恋人になったと胸を張って言えるわけでもないから、結婚する約束を交わしたわけでもない。なのに樹理が存在する。その不安定さが、彼女を大人にする手助けをしたのだろうか。
 彼女にとって樹理は約束でもなければ、流風を縛る切り札でもない。最初から、樹理は別れを意味していた。
 だから、彼女の寂しさを拭うには、

『……あったかいところで待ってていいよ』

 馬鹿みたいにわかりやすい、子供みたいな約束を新しく作るしかない。
 ポケットに手を突っ込んで、小さな箱を彼女に手渡してやる。きょとんとしていた彼女はそれを受け取ると、日本の女子なら、あるいは同年代の他の女子ならもう少し感づいてくれてもいいようなものを、これまた遠慮なしに開けてくれる。

『……ゆびわ?』
『安くないから大事にしろよ』

 指輪を女に渡すのは初めての経験じゃない。日本で遊んでいた頃は、女と付き合えばそれを渡すことがほとんど当然のようなものだったし、露店で売られている安いそれは与えても与えられても何の感慨も呼び起こしはしなかった。 
 数年前の自分なら、四つも年下の相手に対してこれだけの価値のものを与える気になっただろうか。
 箱を彼女の手から取って、中の指輪を摘む。中央の石は暗がりでもまだその色を認めることができた。彼女の瞳と同じ、若草色。
 四つも年下の相手、だからではなく、彼女だから与えたいと思ったもの。
 今はまだその価値をわかってもらえなくても、精一杯大人になった彼女に尊敬と感謝の意を込めて与えるもの。
 彼女の左手を取って、その細い薬指に指輪を嵌めてやる。買った自分でも驚くほどそれは彼女の指にぴたりとはまった。多少の誤差はあるだろうと睨んでいたのだが、うまくいったらしい。
 子供は光り物が好きだ。案の定彼女は指に嵌められた指輪の中央に興味がいって仕方ないらしい。流風は苦笑した。
 自分が一番でなければアイデンティティを保てなかった自分がいる。その自分を否定することはできないし、今だってそう思っている。その一方で、故郷を発ってこの国に来たのは、目指したいものがあったからだ。立ちすくんで身動きが取れない、どうしようもない人間に光を射してやれるような、そういう人間に憧れていた。憧れていた人を目指す、ひとつの側面としてこの国に来た、その自分も否定するわけにはいかない。

『……風邪引くから、今度からはあったかいところで待ってろよ』

 樹理を背中から下ろして、外を歩く時に雪がかからないよう巻いたマフラーを外す。それでもその頬は冷たくなっていたが、変わらないすやすやとした寝息を立てていた。
 興味を石に奪われていた彼女は、長い時間をかけてようやく言葉の意味に気付いてくれたらしく、肩を竦めて機嫌を窺うように流風を見、それからやはり嬉しそうに微笑む。

『今風邪引いちゃうよ、こんな寒いところにいたら』

 彼女は子供だから、“一番”がたくさんいて、どうも本当の一番にはなれそうにもない。彼女は親も身寄りもない孤独な子だから、自分が光になってやろうとしたのかもしれないけれど、実際は彼女の方が光となって流風を支えてくれていた。
 だから、今流風がこうして彼女や樹理と一緒にいるのは、

『……俺がいるから平気だろ、多分』

 抱きしめてやりたいと思うからだ。
 樹理を抱いたまま彼女の額に自分の額を合わせると、やはり冷え切っている。
 蝋燭の明かりに照らされて、若草色の石がきらりと光る中、流風は彼女と二度目のキスを交わした。 





2009.01.09(Fri) | 未来話 | cm(0) | tb(0) |

Evening Emerald  1/2



 太い木の枝が風に揺れている。この窓から見る冬の景色はもう見慣れたはずなのに、今年はなんだか違って見えるのは何故なのだろうか。
 ストーブの優しい明かりとそれが齎してくれる暖かさ。床に転がる赤い毛布。それから、もう長いことこの孤児院で飼われている大きな犬。その犬のやわらかな頭を撫でる、長い金髪を持つ――彼女。彼女の隣には古いゆりかご。ゆりかごの中では、もうじき一歳になる子供が眠っている。
 窓の外に目を戻すと、雪がちらつき始めていた。今日は降らないかと思っていたのだが、この時期この地域では降らない方が稀らしい。帰るのが面倒だな、とため息をつくと、流風の座る椅子に彼女が近づいてきた。

『ルカっ』

 座る流風の肩に顎を預け、彼女はふわりとやわらかな笑顔を作った。

『ジュリの誕生日にね、先生がケーキ焼いてくれるんだって』
『樹理はまだ食えないのに?』
『うふふ、だからわたしが食べてあげるの! 一歳おめでとうー、って』

 そう、研究、講義、論文に追われているうちに、樹理が生まれてもうじき丸一年になってしまうのだ。生まれるまでは今後の身の振り方に死ぬほど悩んだものだったが、ここまで来てしまうと開き直れてしまうもので、実際この一年、普段は学校に通い、アルバイトをし、週末に長い時間が作れればこちらに顔を出すという生活を何とか続けることができた。そんな状態で樹理に対して父親面をするというのは申し訳ない気もしているが、まだ学生の身分である流風がとれる最善の選択がこれだったのだ。日本を飛び出してきた手前、それに自分の性格としても、勉強を疎かにすることは許されない。だからといって、樹理の存在を流風自身が望み、許した以上、彼女と樹理を放っておくわけにもいかない。年明け提出のレポートはいくつあっただろうかと頭の中で数えながら、よかったな、と彼女の金髪を撫でた。

『……プレゼント、何がいい?』

 そして今はそういう時期だ。ケーキは用意されるらしいから別のものを用意しなくてはならない、と彼女に問いかけると、彼女は姿勢を維持するのに疲れたのか、流風の椅子の脇、カーペットの上に腰を落ち着けた。

『ジュリに?』
『それもだけど、お前もさ』
『わたし?』
『要らないならいいけどさ。俺も金あるってわけじゃないし』

 彼女は子供だから、そうやって意地悪く言えば飛びつくだろうと思ったのだ。
 キャンディーだの、クッキーだの、ぬいぐるみだの。相変わらず子供じみたものをねだるだろうと。しかし彼女に期待していた花の咲くような笑顔は見られず、少し困ったような表情で悩んでいる姿だけが見られた。
 ――大人の表情だ、と思った。
 しばらくそうして悩むと、彼女は顔を上げて、ふるふると緩く首を横に振る。

『クリスマス、ううん、ジュリのお誕生日はね、わたしとジュリとルカと、三人でいられたら、わたしはそれでいいの。言ったでしょ? なんにもいらないの』

 彼女は、“家族”をねだったあの時から、随分大人になった。彼女の子供っぽいところは長所であり短所であり、そこを流風は好ましく思っていたのだが、母親として責任を持ち始めたということなのだろうか。
 あるいは、樹理が生まれてもなおこうして側にいる流風に罪悪感を抱いているのかもしれない。けれど、単に同情でもなければ、子供を産ませてしまったという責任だけで今でも一緒にいるわけではなく、それはやっぱり彼女を好きだと思うから、寂しい思いをさせたくないから、心配だから、――残った時間があまりにも少ないから。
 甘えて欲しいから今でも側にいるのに、彼女は流風が思うよりずっとずっと速いスピードで大人になってしまっている。

『ルカはそういうの心配しないで。ルカはたくさんお勉強頑張って、すごーく偉くなって、わたしはジュリにそれを教えてあげるの。パパはすごい学者さんなのよ、って。だから、たまにパパになってくれたら、それだけですごくすごく嬉しいの。ジュリも、多分おんなじ』

 そのうち、樹理がぐずりだした。
 泣く樹理の声にいち早く反応すると、彼女はゆりかごから樹理を抱き上げ、ミルクを貰いに行くのか台所へと向かっていった。

『随分大人になったでしょう、あの子も』

 代わりに近づいてきたのはこの孤児院の院長だった。優しい笑みを湛える老婆は、彼女がここの門の前に捨てられていたときからずっと彼女の面倒を見ているという。流風よりもずっと彼女の表情を知っているはずの老婆も、この成長には驚いているようだった。

『――俺が急がせたんですね』
『けれど、貴方がいなければあの子は大人になることも知らずに死んでいくことになったでしょうね』

 大人になることを知らずに。
 それは果たして良いことだったのだろうか。
 子供のまま命を終えることは、大人の世界を知った人間は誰しもが夢みることではないのだろうか。

『そうかもしれません、……けど、俺はずっと、樹理が大きくなってもずっと、これでよかったのかと考え続けるんだと思います』

 先のことはわからないけれど、このことが彼女の寿命を縮めているのかもしれないと考えると重い罪悪感に襲われる。
 彼女がいくらこれでいいと言ったとしても、流風は自分がこの先悩み続けるのが手に取るようにわかっていた。彼女はいずれ死んでしまうのだろう。今元気に見えていても遠くない未来に必ず。その時子供と二人残された自分は、ひとつのひかりを失って何を考えるのだろう。

『……ルカ、それはジュリが酷ですよ』

 そんなことも、わかっている。わかっているはずなのに割り切れないのだ。
 どこかで樹理は自分とは切り離れた関係なのではないかと思っている。
 そんな自分は人間として最低なのだと分かっていても、強く思っていても、どこか別世界の話のように思えてしまう。
 
『……俺の方が子供みたいです』

 苦笑しながら言うと、老婆もまた苦笑を返し、そうですね、と言葉を漏らした。

『ジュリが生まれる前の日に、あの子が言っていました』

 そんな話を切り出されるのは初めてだったので、流風は老婆の目を見て疑問の意を示した。
 老婆の唇が、ゆっくりと動く。



『――“この子はわたしの命なの”』



2009.01.09(Fri) | 未来話 | cm(0) | tb(0) |

しゃべるぜ

追記にしたんだけど長くなったから新しく記事作りました。
昨日一日熱でダウンしてました。無印の蒟蒻ゼリーのせいだったと思う。あたったんだ。
バイトも無理そうだったので交代してもらったけど、朝には熱も下がってたのでケロリです。
インフルエンザを危惧していた私恥ずかしい!(笑)
まあ、昨日風呂入らないで寝ちゃったんでどっちにしろ外出できなかっただろうけど。


一昨日妹と所沢まで外出して、某青いお店でこうじま奈月の学園BL漫画を3冊買ってみた。
BL漫画ってああいうDQNな学園設定が多くて大好き。何あの設定。
そういう漫画って総じて生徒会の権力が絶大だったりする。
でもって眼鏡キャラはまあ間違いなくドSっていう、ね! 舐め男みたいなね!
興味本位で検索したらドラマCD出てました。凛さんの声鈴村でした、ああそうですかぴったりですねありがとうございます。
エセ双子の2人が好きです。ああいう張り合いするキャラは可愛くて好きですな。
あと地味に理事長さんとその奥さん。エセ双子のお母様も好きです。
意味不明な血縁関係とかもBLにありがちなご都合設定ですよね。そういうの大好きです。


ということで、そんなご都合学園設定なうちの花鳥風月のも書きたいなあと思いつつ大和さんにばっかり構ってしまう私。どんだけ大和好きなんだ。
どんだけ○○好きなんだ、といえば言わずと知れたはじめの一歩の宮田さんですが、彼ちょっと一歩好きすぎだろ、と思った方挙手してください。いないとは言わせません。
宮田くんカッコよすぎだろ……! ときめいたじゃないか……!


小夜子さんみたいな強かな女の子は嫌いじゃないので、大和とくっつけても別に悪くないかな、と思ったりします。そうなるときっと地味ーな感じの葵くんみたいな子が生まれるんだろうなと思います。
本文に関して語ることがないってどうなの。だって大和があんまり楽しそうじゃないんだもの。
ルミと結婚して生まれる子供でなければ椿って名前はつけないんだろうな、うん。
駆け落ち話とかめちゃくちゃ書きたいんだけど……!! 
海辺の田舎町のボロい一軒家で家族5人くらいで暮らしてたりしたらかなり楽しそう。
娘が一人と、その下に双子の兄弟一組とかな。裕福じゃないけど幸せ、とかいうありきたりな話になりそうですがそれはそれで。
大和は町の工場とか、もしくはお世話になってる人の漁を手伝うとかしてて、ルミは子供達の合唱団の手伝いをして生計を立てるので、家事は専ら娘がやると。
家捨てて割りと幸せな生活ができて十数年、な時に、何故かひょっこり風哉くんあたりが会いに来たらストーリー的には完璧じゃないか、と思う。
子供達は裕福な暮らしにちょっと憧れてたりすればいいんだ。特に下の双子。
こっちの椿は本筋の椿よりよっぽどいい子なんだろうと思う。うん。きっと同じくらい抜けてはいるだろうけど。
きっとエンジ君といいお友達になれるようなお嬢さんだと思う。わがままシスコンな弟二人抱えてて、本筋とは比べられないほど両親に愛されてそうなので寧ろ包容力ありすぎなくらいかも。しかし田舎娘。おさげに眼鏡で! でもそんなに成績よくないといいな。
お嬢様口調ではなくても丁寧語が標準装備な感じで。
テストが返却される度に「せっかく高校に通わせてもらってるのにごめんなさい……」と申し訳なさそうに頭を下げ、その度に父親に「母さんはもっと悪かったから気にするな」と笑い、母親がキレる、と。幸せそうだなあ。
きっと流風の未来には影響しないだろうから、樹理はいるんだろうな。流風が帰国したときにびっくりする感じなんだろうか。もしくは途中で連絡が途切れるとかかな。

私IFストーリー考えるの大好きなんです。特にこういう昼ドラと月9の間を彷徨う感じの設定は。
風哉くんが会いに来るとか、家の方でごたごたがあったりなかったりするとか、家に戻らなきゃならなくなって急にお嬢様になっちゃって慣れない椿さんとか、こっちのが設定としては楽しそうですな。
うん、書いてみたい。




コイビト遊戯のドラマCDが晴れて発売だそうで、おめでとうございます!
延期延期って言ってたから、あまりの内容の濃さにキャスト側がNG出したのかと思いきや、そうですよね、あの人たちきっとあれ楽しんでますもんね、NGなんか出しませんよね!
とか思ったのに、何ですか、全年齢対象って。
それ何の意味も無い、何の意味もないよ……!
私はそういうのを期待しているんじゃないですが、明らかにキャスト目当てですが、それでもコイビト遊戯が全年齢なんて有り得ない。じゃあゲーム本編をR15にできるのか、という話で、それはもちろん無理だろうというお話で。
しかもしかも芳賀がいないという衝撃の事実。
ええええええ、櫻井とおにいたまがいないのは構わないとして、なぜ芳賀カット……。
芳賀が一番ハッピー後見たかったのに……。
まあいいや、滝沢いるから。滝沢萌え激しすぎる。欲を言うならハッピー後よりも裕太覚醒後の話がよかった。あ、滝沢衰弱死してますかね。
全年齢でエロメーターとかいう言葉を使用してもいいのか。(笑)
諒さんもヒステリー炸裂だそうで、うきうきしちゃいますね。諒さんのヒステリー声は平井GJって感じです。
うわあ、どうしよう、大貴様がコンビニにいらっしゃるとか、ちょ、もう私想像するだけで土下座したい。(爽)
人気の3人をチョイスしたって感じですね。イチオシはやっぱり滝沢ですか。花山のエロボイスが全年齢、と。どうしよう、この3人ならちょっと欲しくなるよね! 豪華だし! ノンおにいたまなところがまた良いです。そうだよね、おにいたまってば特典CDで出張ったもんね!(聞いて後悔した人)



騒いだので満足です。うん、何か書きます。
駆け落ち話はやっぱり書きたいなあ。

2009.01.08(Thu) | しゃべり隊 | cm(0) | tb(0) |

君と生きる世界の香り 4



 黒のジャケットを羽織る。
 服装はできるだけ地味に。あんまり今時っぽくてもNGらしい。その判定は専ら佐久間がしてくれる。……つっても、いわゆる今時っぽい服なんて趣味じゃないから着ないのだが。髪を染めてるわけでも、耳に穴を空けているわけでもない。それにこのガタイなのだから、そういった服はあまり似合わないだろう。

「お帰りは何時頃になりますか」
「さあ? 多分夕飯食って帰るから、九時か十時か、お嬢様送んなきゃなんねぇからな」
「車を出しましょうか」
「いらない。……まあ、車で尾行していただく分には全く構いませんけどね」

 佐久間は苦笑いをした。
 俺も彼女も、そんなこと随分前から知っているのだ。俺たちが歩く少し後ろを、いつも同じ車がつけていることくらい。おぼっちゃんとお嬢様だからってそこまでナメないでいただきたい、というのが共通見解だ。

「何が心配なんだか。面倒だから見せ付けてやってるってのに、もう三年もよく飽きねぇな」
「心配はなさそうだから止めようか、ということにはなっていたらしいですよ」
「……ああ、なるほどね。狡い連中だな」

 つまり、他に恋愛対象がいるとなると困るということなのだろう。
 呆れるくらい単純な理由だった。

「心配しなくても、俺もあの子もそこまで盲目じゃないし、薄情でもない」

 しかし、そんなことくらい分かってるもんだと思ったけどな。
 俺は自分が思っていたよりずっと信用がないらしい。





「お久しぶりです、小夜子さん」
「お久し振りです。お元気そうで何よりです」

 毎月そうしているように、彼女の屋敷の前まで約束の時間に迎えに行って、彼女に笑顔を向ける。
 祈山邸は、うちの屋敷に比べれば小さいけれど、門構えも建物そのものも立派なものだ。むしろ、芹沢みたいに馬鹿でかい屋敷よりは、これくらいの方が落ち着くのかもしれない。

「大和さん、琴とか聞かれるんですか?」

 彼女の屋敷は、月見ヶ丘の駅から下り電車に乗って二駅ほど離れた小さな町にある。都会ではもちろんないし、田舎と言ってもいいのかもしれない。演奏会の会場に向かうため、駅へと足を進めながら、彼女は俺の顔を見上げながら問いかける。
 彼女の背は葉山よりも小さい。そんなに見上げて首が痛くならないのだろうか。

「まあ、聞かないことはないですね。子供の頃、嗜みとか言ってよく聞かされてましたから。弾いたことはないですよ、勿論」
「そうなんですか。琴の演奏会なんててっきり断られると思ってたので、意外です」
「伝統文化に対する価値観を養うとかなんじゃないですか? やっぱりクラシックとかに比べると馴染みがあるので聞きやすいのは確かです。どっちも眠くなりますけどね」

 正直に意見を伝えると、彼女は、その気持ちわかります、と返す。クラシックの演奏会とかじゃ寝そうにない雰囲気の子なのだが、お嬢様って言っても中身は普通の奴が多い。この子も、前にプラネタリウムに入った時すやすや寝てらしたし。
 そういう普通の面も、それなりに気に入っていたりする。

「小夜子さんは演奏はされるんですか?」

 多分習っているだろうな、という予測を立てておいて、今度はこちらが質問する。
 肩で綺麗に切りそろえられた黒髪をさらりと揺らして、彼女は肩を竦めた。

「小さい時からやってるんですけど、全然上達しなくて。聞く方が好きなんです」
「謙遜でしょう。琴がよく似合いそうですし」
「ほんとに下手なんですよ。ほとんど趣味みたいなものですから、自分が楽しめてればいいかなって思ってます。踊るのは自分でやるのも観るのもどちらも好きですし」

 “彼女”――祈山 小夜子は、聞き上手で話し上手だ。おまけに上品で、家庭的で、プラネタリウムでうっかり寝てしまうような抜けている一面もある。
 小夜子の家は、旧家だがそこまで規模は大きくない。日本舞踊の一流派を担っているという面で、俺と境遇が多少似通っているだろうか。彼女は俺の一つ年下で、俺が中三、彼女が中二の時に許婚として出会った。顔合わせの前は写真でしか見たことのない彼女だったが、写真の通り着物のよく似合う大和撫子。月に一度会うようになってから内面を知る機会も増えて、結婚相手としては申し分の無い、良い子だと思う。ドラマの中にあるような、空気のぎすぎすした仮面夫婦にもならないだろうし、彼女となら結婚して、家庭を築くことも容易であるように思う。家のための結婚でそれなりの幸せが得られるのは、それこそ幸せだと言うべきかもしれない。
 三年前からこうして毎月会っているのだから、つまり葉山とよりも付き合い自体は長いわけだが、俺が葉山と付き合い出した頃に、彼女もまた、共学化したばかりの学校で自分と同じように生徒会役員をしている男と付き合い始めたらしい。俺も小夜子も、互いの状況は認識している。俺たちはよくても、大人は良くないと感じているのだろう。十メートルほど後ろをずっと車がつけてきているのを思い出してうんざりする。
 俺が葉山と付き合っていること、小夜子が同じ学校の男と付き合っていること、それは大人たちも知っていることなのだろう。だからって、俺が逃げ出すとでも? 彼女が逃げ出すとでも? 俺たちはそんなことするほどガキじゃないし、家が嫌いなわけでもない。青春ドラマみたいに、『好きでこの家に生まれてきたんじゃない!』とか騒ぐなんてナンセンスだ。俺も彼女も自分の家が好きだし、俺は花が好きで、彼女は踊ることが好きで。この家に生まれたからそういう考えを持てる自分になったのだ、家のための結婚は自分のための結婚だ。

「彼女さんとは上手くいってるんですか?」

 こういった話もごく普通にする。気分的には、将来結婚する間柄というよりは、境遇を理解してくれる異性の親友に近い。
 突然振られると困る話題ではあるが、俺はそういう話を恥ずかしいと思うことはない人間だ。

「まあ、それなりに」
「来週お誕生日でしょう? 彼女さんからの愛あるサービスとか受けられないんですか?」
「期末直前だからどうだろう。俺は期待してるんですけどね」
「素敵な彼女さんなんでしょうね。いつかお会いしてみたいです」
「会わない方がいいと思いますよ。誰かれ構わず俺の悪口言いふらしますから。小夜子さんの俺への印象が悪くなると困ります」
「悪くなんてなりませんよ。私にこれだけ優しくして下さるんですから、彼女さんにはもっとずっと優しいはずです。そんな人悪く言われたって惚気にしか聞こえません」

 ……まあ、うん。 
 一番大切な奴には、そいつにとっては一番自然体で接していたい。他人から見れば一番大切にしているように見えたらいい。
 小夜子にそうやって思われているならそれでいい、のだろう。多分。
 優しい、という言葉は、俺みたいな奴にはとことん似合わないと思う。この場に葉山がいたら笑い転げていること請け合いだ。流風あたりも笑って馬鹿にするかもしれない。ただ、大切に思っていることも、そういう扱いをしていることも否定したりしない。

「小夜子さんは?」
「え、ええっと、何の話ですか?」

 あからさまにはぐらかそうとするその言動は、照れているからとしか思えない。
 きょろきょろと視線を泳がせながら俺の隣を歩く小夜子はどう見ても不審者だ。 

「副会長で、剣道の道場の跡取り息子でしたっけ? 俺も会ってみたいですよ、その男に」
「け、結構、生真面目で頑固な人ですから、大和さんみたいなタイプとはぶつかっちゃうかも、しれません」
「なるほど。小夜子さんには俺が不真面目に見えると」
「ち、違います違いますっ、侑くんとはタイプが違うなって思っただけで、深い意味はっ」

 ぱたぱたと彼女は顔の前で手を振って、自分から振ってきたくせに「もうこの話やめましょう!!」と語気を強くした。相当恥ずかしかったらしい。
 未来が見えていても、彼女は今を幸せに生きている。俺も他人からはそう見られているだろうか。そうだったらいいと思う。葉山から見た俺が、バカみたいに幸せに日々を送っているならそれで結構だ。実際、そうだと思うし。






「なんか、大和さんとお出かけするといつも高いお店に連れていってもらっちゃって申し訳ないです」

 夜十時を回った頃、彼女の家の最寄り駅に着いて、そこから屋敷に向かって歩く。
 演奏会は二時間弱といったところか。やはり自分で演奏する人間でなければ良さは理解できないのだろうと思う。つまるところが眠かった。
 それから、顔馴染みの日本料理の店に入って適当に夕食を済ませて出てきた。なんとも金持ちらしいデートコースだと思う。

「普通のレストランとかはデートで行かれるでしょう? 俺といる時くらいは金持ちらしくしてないと」
「それはお互い様ですね」

 金持ち同士、そういった家の人間同士で結婚するのだから、俺といる時はそういう関係でいなければ話にならない。なら電車でなく送迎の車を使ったらいいだろうといわれるのかもしれないけれど、電車くらい使ったっていいだろう。車に乗りなれると足が鈍っていく気がするのだ。
 俺も、彼女も、本当のプライベートではファミレスにも行くし、どこからどう見たって普通の高校生の生活をしている。ただ割り切るのが少しだけ上手いだけなのだと思う。

「後ろの人たち、よく飽きませんね」
「飽きられたらいずれ困るのは俺たちですよ」
「あ、そうですね。家のために働いてくださってるんだから大切にしないと」

 夜道に車で尾行というのはさすがに目立ちすぎると判断したのか、電柱二、三本分空けて誰かがついてきているようだった。ご苦労なことだ。
 月に一度会うようになってから、本当に欠かさず毎回ついてくるので、帰り道になると俺と彼女は、後ろで見守っているそいつにささやかなサービスをしてやることにしている。
 同じ速度で歩きながら、少しだけ隣との距離を詰めて、さり気なく手を握る。もう慣れたことだ。彼女も何も言わずにそれに応じてくれる。

「彼女さん、大和さんが私みたいなのと手繋いで怒ったりしません?」
「怒ってくれたら嬉しいですけどね。そういうのに無頓着な奴なので」

 後ろの奴にはこの会話は聞こえていないだろう。あまり声を大にしてする話ではない。
 こうして手を繋いで歩いている俺たちは周りからどう見られているんだろう。
 ちゃんと恋人同士のように見えるのだろうか。それとも兄妹?
 祈山邸の門まで来ると、彼女は手を放して、あ、と声を上げた。

「そうだ。大和さんに渡すものがあったんです」
「俺に?」

 はい、と小夜子は髪を揺らして笑い、白いハンドバッグをごそごそと漁ると、小さな袋を取り出した。淡い橙の電灯がぼんやりと浮かび上がらせるそれは、小夜子が自分でラッピングしたもののようだった。

「紅茶のクッキーです。誕生日にはまだ少し早いですけど、いいプレゼントが思いつかなくて。クッキーなら失敗もないし、食べてもらえたらいいなと思って」
「……ありがとうございます」

 桃色の小さなビニール袋には、袋に応じたサイズのクッキーが詰められている。
 何度も言うが、家庭科壊滅的な俺からすればこんなの作りたがる奴は気違いなんじゃないかと思うわけなんだが、好きでもない男に普通にプレゼントを考える方が労働なのも確かだろう。彼女の料理の上手さは俺もよく知るところだし、何の心配も要らない。

「じゃあ、また来月……あ、けど来月ってクリスマス時期年末時期ですね。大和さん予定たくさんあるんじゃないですか?」
「暇を持て余してますよ。内部進学ですから。それ以外の用事は小夜子さんの方が多いでしょう、きっと」
「そ、そんなことないんですよ! う、うち仏教ですからクリスマスパーティーとかイルミネーションとかプレゼント交換とかカウントダウンとかそんなことしないですから全然予定なんてないんですけど!!」
「全部口に出してますよ」

 そりゃなんとも楽しそうな年末ですこと。
 俺はどうだろう。まずは頼まれた舞踏会の仕事をして、舞踏会を見に行って。
 十八の誕生日を迎えた後の年末は、少し忙しくなりそうで、去年までの十二月を想像できない。
 来月は小夜子とは会わないかもしれない。でも年始には必ず挨拶に行く。
 再来月も、きっと来年の誕生日も小夜子とは会うだろうし、小夜子なら来年の誕生日もこうしてささやかに祝ってくれるだろうと思う。なんとなく、それは思い浮かべることができる。
 その分だけ、葉山といる自分を想像することが難しくなっていた。





2009.01.06(Tue) | 大和中心 | cm(0) | tb(0) |

うみねこEP4読了



FC2のが使い勝手いいからこっちに。追記。



2009.01.05(Mon) | しゃべり隊 | cm(0) | tb(0) |

超絶失敗した気がします。




「イチ、俺今日帰り遅いから、夕飯の食材買っといてもらえるか?」
「いいけど、今日部活無いんじゃなかった?」

 部屋の扉のすぐ近くに掛けてある姿見で髪を整えてから、黒のブルゾンを羽織る。
 二つ並んだ机。右側の机に向かう壱郎に返事をするため振り向いた。

「部活じゃないよ」
「じゃあまたデートって奴?」
「そんなとこ。夕飯作れる時間には帰るからさ」
「女の子と遊びに行くならそんな無理して帰ってこなくてもいいのに」
「長い時間一緒に過ごせるほど仲良くないんだよ」

 壱郎と流風は双子だけれど、顔も違えば中身も全く違う、二卵性双生児だ。
 本人としても、双子というよりは同い年の兄弟くらいの気分の方が強い。
 壱郎は文系であまり付き合いが広い方ではないが、流風は理系で初対面の女子と出かけることがよくある程度に付き合いが広い。ほぼ正反対といってもいいかもしれない。
 自分には理解できない、といった表情をしている壱郎に流風は苦笑しつつ近づくと、食材の書かれたメモ用紙を差し出す。

「これ、頼むな」
「おっけ、買っとくよ。あんまり遅くならないように」
「わかってるって」

 最後に、財布をポケットに突っ込んで、それだけで部屋を出た。




 壱郎は多分、明日の化学の小テストと古典の小テストの勉強をしているのだろう。クラスは違えど同じ先生の授業だからわかる。流風だって、こんな予定さえなければああやって勉強していただろう。
 ゆっくり階段を下りてリビングを覗くと、キッチンの近くにひとつの影があった。

「貴にーさん?」

 その人物は棚の前で立ち尽くしていたが、流風が声をかけるとこちらに首を向けた。
 兄の貴久はそうそうキッチンに入るようなタイプではない。入ったとしても決まった行動しか取らないのだ。簡単な朝食は大抵いつも同じメニューだし、あとはお茶を淹れる時、それくらいしか思いつかない。

「あ、悪い。新しいの買っておいて棚に置いとくの忘れてた」
「そうですか、通りで」
「ん、これ新しいのだから」

 ちゃんとお茶屋さんで買う玉露だ。この家で一番拘って仕入れる食材といってもいい。いつもこれを買うから、同じ缶ばかりを消費している。消費のスピードも半端なものではなく、昔は缶を適当に貯金箱代わりに使ったりしていたが、あまりにも多いので今では回収に出している。
 値がそれなりに張るものだからきっとおいしいのだろうが、こういったものはちゃんとした淹れ方があるらしく、下手に触ると説教されそう、という理由で流風は買い足すだけで実際にこれを飲んだことは無い。

「外出ですか?」

 薬缶のお湯を湯冷ましに注ぎながら、貴久に問いかけられる。

「そう」
「壱郎は?」
「多分部屋で勉強中。何だかんだこじつけてそのうちにーさん頼りにくるだろ」
「お前が教えてやればいいでしょう」
「俺国語だけは敵わないんだなー。逆に教わってるくらいだし?」

 壱郎がこじつけて貴久を頼る教科は国語に留まらなかったりするのだが、そしてそれを流風も理解しているのだがそこにはあえて触れないことにする。触れれば多分話が長くなると判断してのことだ。

「じゃ、行ってくるから」
「行ってらっしゃい」

 兄の声と、緑茶の香りに背を押されるように流風はリビングを出た。



 黒のブーツを履いて紐を結び、玄関の鏡でまたもう一度確認してからドアを開ける。
 家を出て、自分の鍵で玄関の鍵を掛け、駅まで向かうために自転車を出すと、こちらに向かってバイクのエンジン音が近づいてきた。
 聞きなれたその音は家の前で止まり、喧しいエンジン音はやがて途絶えた。

「邪魔だ、早く退け」
「うるせぇよ、勝手に朝帰りなのはそっちだろーが」

 フルフェイスのヘルメット越しのくぐもった声での文句。その文句に文句を返しながら、流風は自分のマウンテンバイクを家の前の道路に出す。
 ヘルメットの人物はやっとその重そうなヘルメットを外す。まず日本人では有り得ない、くすんだ金髪が見えた。

「ガキの定規で社会人の生活測ってんじゃねぇよ」
「へーへー悪うございましたねえ。どうせガキには准教授サマの崇高なライフサイクルなんざ理解できませんよ」

 この家でも明らかに浮いている金髪のこの男――ケレスも、流風や壱郎と血の繋がった兄弟なのだ。 流風としては未だにこの男だけ貰われた子供なのではないかと疑っているのだが、一応戸籍はしっかりこの家の子供らしいことが判明している。

「つーか、准教授ともっともらしい肩書き持ってっけどさ、本当に研究で朝帰りなワケ? 思春期真っ只中の高校生としては疑ってかかっちゃうんですけど」

 家の隣のガレージにバイクを入れるケレスの背中を見ながら、揶揄するように流風が問いかける。こんな切り出し方でなければなかなかケレスと会話をする機会が持てない上に、兄であるにも関わらず一緒に暮らしている期間が貴久よりずっと短いということもあって、多少の苦手意識を持っていた。自分はこんな切り出し方ができるだけいいだろう、と流風は思う。まず間違いなく壱郎はこんな冗談使わないだろう。

「どっちにしろてめぇにゃ関係ねぇだろうが」

 ま、そりゃそう返すよな。
 思い通りの返答であったことに、流風は肩を竦めて「さいですか」と返す。
 多少彼の研究の方面に興味があったりなかったりするのだが、壱郎と違って兄に対して素直にそう言える流風ではないし、ケレスもそう簡単に自身のことを話したりはしないだろう。俺だけどっちの兄とも距離がある気がするな。そう感じることが流風にはよくあった。
 駅に向かう前に一応もうひとつ声をかけるべきかと思ったが、そんな流風はお構いなしに玄関の戸は開き、すぐに閉まった。普通の兄弟なら「どこ行くんだ」くらい聞くもんじゃないのか、とよくわからない不満を抱く。

「……ま、仕方ない、か」

 それがこの家なんだから仕方ない。普通を求めても、これがこの家の普通なのだからこれ以上求めようがないのだ。
 ブルゾンの前チャックを少しだけ上げて、ペダルを踏んだ。




2009.01.04(Sun) | パロディ | cm(0) | tb(0) |

君と生きる世界の香り 3




 毛糸の玉の中心から糸がするすると伸びて、その先は葉山の指に絡められている。更にその糸を棒にかけ、俺からすれば非常に複雑な動きで葉山は毛糸を編んでいく。
 毎日毎日、「早く寝ろ」「やりすぎるな」と心配してやっているというのに、当の葉山は毎日寝不足らしく、学校でも欠伸交じりに編み棒を動かしている。
 今日は俺も葉山も放課後に予定がないので、俺の住んでいる離れでゆっくりしている。ついさっき葉山によって片付けられたリビングはいつもの倍綺麗になっていた。

「……ちゃんと寝ないと体壊すぞ、お前」
「不器用だから頑張らないと間に合わないんですー」
「別に間に合わせなくていいって」
「間に合わせるって言ったんだから間に合わせるの」
「強情」
「それで結構です」

 寒い日ではあったが、今日はよく晴れている。ソファーのある居間に、窓から夕暮れのオレンジ色の光が差し込んでいた。
 ソファーに思いっきり凭れて、葉山が飽きもせずに細い棒を動かしているところを眺める。手が動くたびに肩が揺れて、一緒に長い髪も揺れる。……まあ、だからってどうってわけでもないんだけど。

「そういえばさー」

 手を止めずに葉山が声を上げる。

「水城って内部進学じゃないんでしょ? どこ行くか聞いてる? もしかして国立大とかー? あ、けどただ国立ってだけじゃ難しくないだろうから、国立の医学部とかっ」
「聞いてねぇよ」

 それでやっと葉山は手を止めて、訝しげに俺を見た。
 そんな目で見られたって、知らないもんは知らないんだ。俺も聞きだそうとは思ってないし。

「なんで? 親友って奴なんじゃないの?」
「全部話すのが親友じゃないだろ」

 思っていること、自分のバックグラウンド、全て話すなんて無理だ。

「話すなら理解してもらわなきゃ困る。否定されたりしたらやってらんないしな」

 話すのなら、理解して欲しいと思ってしまう。けれど、全てを理解してもらえるなんてことはきっと有り得ない。難しいことだ。
 例え、その関係にどんな名前がついていたとしても。家族だろうが、親友だろうが、――恋人だろうが。

「関係にちゃんと名前があれば、安易に否定も肯定もしないよ」

 引っ張られた毛糸の玉が床に転がった。葉山はまた編み棒を動かす。 

「話してくれたら理解はするでしょ? 例え水城が本気で徳川埋蔵金とかエジプトの秘宝を探したいって言い出したとしても、理解はすると思う。ただ、それ聞いた自分の気持ちが本人にとって肯定にとれるものか否定にとれるものかになるだけ。ちゃんと関係に親友なり何なり名前がついてれば、はっきり伝えられる。それとも、あんたは理解されないのが怖いと思ったら何も言えないわけ?」
「そうじゃない。ただ、重要なことなら理解されるだけじゃなくて肯定してほしいと思うだろ」
「普通の人は気持ち汲んでくれて肯定してくれるのかもね。でも、言ったでしょ? 関係にちゃんと名前があるなら安易に否定も肯定もしない。気持ちがあればその人のこと考えるもん。考えた上で、否定だってしてくれるのが気持ちのある関係」 
「なら、話してもらってない俺は流風にとってその他大勢の中のひとり、と」

 それでも別に構わないと思っている。
 似ているとかいうわけじゃないけれど、流風と俺はどこか似たようなビジョンを持って生活しているような気がしていた。どんなにつるんでいても、結局俺も流風も『個』なのだ。完全に馴れ合うことができない。大勢の中で生活することができない。野島のように上手くはいかないのだ。
 くすりと笑う声が隣で聞こえた。

「そーゆーんじゃないと思うんだよね」
「なら何だよ」
「あの水城がいっぱいいっぱいになるくらい勉強しなきゃ行けないようなところなんでしょ? 単に余裕ないだけな気がしてきた。目の前しか見えないタイプの人間だしね、水城って」

 あの流風があれだけ勉強する、……確かにそうかもしれない。
 聞き出す気がないのだから、いつか聞ければいい、くらいの気持ちでいる。そこまで深く気にすることではないだろう。

「お前、流風には甘くね?」
「そりゃああれだけ王子様してれば周りの女は皆甘くなるって」
「顔と成績と運動神経がずば抜けてるってだけなのにな」
「世間はそれを王子様と言うのだよ、大和クン」
「悪うございましたねえ、王子様でなくて」
「甘くなるのと付き合えるのは別問題でしょ?」

 思ったよりもあっさりと葉山はそう言ってのけた。
 正直、驚いた。
 葉山もそれをわかっているのか、ひとつ軽く咳払いすると、いつものお返しよ、と髪を揺らして微笑んでみせる。

「……意外とできあがるかもな、それ」
「でしょ? やればできる子だしね、あたしって」

 葉山の編むセーターは、何を作ろうかぱっと見で理解できるほどに形を成していた。







 俺の誕生日が一週間後に近づくと、篭って頑張らなきゃ! と葉山は放課後すぐに帰宅するようになった。俺は家の用事さえなければ暇だし、駅前まで葉山と歩く。家とは逆方向だったとしても、帰りに喫茶店に寄ったりして美人パティシエールをからかうのも一興だ。

「別に間に合わなくたっていいんだから、根詰めすぎるなよ」
「はいはい、わかってますよー」

 絶対分かってない。
 ……自分が与えるものは、いつまでも相手に残るように形にする。
 貰うものは、形がなくてもいい。
 自分でも女々しいと思う。他の奴だって、俺がこんなこと思ってるなんて分かったら女々しいと笑うだろう。それでも、本気でそう思うのだ。気持ちだけでいい、と。
 手を振って改札から遠ざかる葉山を見送って、帰宅するために一歩を踏み出す。
 

 よく、ドラマのような勘違いをする奴がいる。


 本当に好きな奴がいるなら、いっそ逃げ出せばいいと。
 何を馬鹿なことを。
 この家の一員でなければ俺は存在しないというのに。


 面倒だから喫茶店に寄るのもやめて、真っ直ぐ帰宅することにした。
 学校前の長い坂道。傾斜が緩いからそこまで苦ではない。一度鞄を肩にかけ直して歩いていると、ズボンのポケットに入れた携帯が震えた。
 ディスプレイを確認すると、佐久間からだ。

「何かあったか?」

 第一声はそれ。迎えに来させるために俺から連絡することはあっても、向こうからかかってくるということはそう多くない。

『祈山様のお嬢様から、明後日の日曜に会うのはどうか、と連絡をいただきましたがどうなさいますか?』
「わざわざ電話してきた割にそう大事な用じゃないんだな」
『いえ、できるだけ早く返事を頂きたいとのことでしたので』
「何だろうな。……いいよ、もう屋敷に着くから自分で連絡入れる」
『恐れ入ります』

 通話を切った時にはもう校門が目と鼻の先にある。わざわざ電話に出ないですぐ帰れば済む話だったかもしれない。
 祈山の娘さんと会うのはいつもならそう緊急の用事になることはない。月に一度は会うと決まっているんだから。一つ年下で、学校では生徒会活動もしているということだから、俺より余程忙しいだろうと向こうに日程を一任しているだけだ。それでも大抵無難に日曜に会うことが多い。こうして突然連絡が来るなんて初めてじゃないか? 多分。

「お、大和ー!!」

 校門の前に来ると、校舎の方から小走りに近づいてくる小柄な影が見えた。ぶんぶん手を振るその人は、うちの生活指導教員であらせられる瀬川 空先生で。 
 校門を出て俺の目の前までくると、

「ありゃ、何でお前こっちから来たんだ? 家あっちだろ」

 とか言って、俺の屋敷の方向を指差して問いかけた。

「大事な彼女を駅まで送ってきたんで」
「あ! そーだそーだ、お前に一言言ってやろうと思ってたんだよなあ俺!」

 送ってきた、という言葉を聞くや否や空先生は眉間に皺を寄せ、偉そうに胸を張ってみせる。そんなことしたって小さいの変わんないのにな。

「最近ルミ授業中寝てばっかでさー! 付き合い始めが楽しいのは俺もよっくわかるけど、深夜の電話とか自重しろよな! お前は家近いからいいかもしんないけど、あいつは電車通学だし」

 そんなこと言われても。俺は何回も注意してるっつーの。
 まあでも、そんなこと素直に教えてやるのも癪だ。あいつが夜更かししたいのはあいつの勝手だ。俺が強制したわけじゃない。

「空先生と奈央さんってもうそういう時期とっくに過ぎてますもんねー。僻みっスね、わかります」
「ひ、っ、僻みじゃねえよ!! 俺は教師として、授業中居眠りしてるような生徒を注意しなきゃいけないの!」
「それもあのお兄さん付きだと部屋に呼ぶのも難しいんですね、わかります」
「何をう!! これでも最近は二人で夕食とかとるんだぞ!」
「お泊りは保護者同伴、と」
「清い交際と言ってくれ」
「先生、清すぎる交際は交際って言わないんですよ。オトモダチ」
「そんなわけねぇだろ!! ちくしょう、お前なんか早く帰っちまえ!!」
「呼び止めといて何ですかそれ」

 しかし帰れと言われたからには帰らせていただくことにしようと思う。 
 しっつれーしまーす、と気の無い声を出して、家に向かうため再び歩き出すと、大和、と空先生の声がかかった。
 振り向いてみると、空先生がただ俺を見ている。

「お前、進路ってちゃんと決めてんのか?」
「理系クラスにいるんで、文学部の進学試験受けましたけど」
「そうじゃなくて」
「それは、今先生が気にしてくれることじゃないですよ。そのうち報告しますから」

 担任でもないし。
 つーかぶっちゃけ、うちの担任がそういうの一番気にしてないんだろうけど。
 



「琴の演奏会?」
『はい、明後日の午後六時からあるそうなんですが、どうかなあと思って』

 “彼女”は気立てがよくて可愛らしくて、分別も気持ちの整理もきちんとつく、相手としては申し分の無い女性だ。俺は気は利かないし別に見てくれも良いわけじゃないが、気持ちの整理だけはついている。向こうとしても利害一致といったところだろう。

「いいですよ。なら、三時頃迎えに行きます。電車の方がお好きでしょう」
『あ、ありがとうございますっ』
 
 彼女は前からそうなのだ。
 車での送迎だとかが苦手らしい。聞いてみれば、お嬢様みたいで落ち着かない、とのことだが、実際お嬢様ではないのだろうかと思ったりする。
 彼女と会うことは家の仕事の一環のようなものだけれど、深く意識しなければ単にひとつ年下の女子と出かけるだけなのだ。そういう時にまで車で送迎されるのではあまり面白くない。俺も電車の方が落ち着く。
 何より、車の後部座席で二人で座るとなると間が持たなくてどうしようもない。というのが本音だ。もしかしたら彼女もそうなのかもしれない。

「それじゃあ、明後日楽しみにしてます」
『こちらこそ』

 向こうは上品なお嬢様だから、きっとこちらが切るまで通話を切らないだろう。 
 だからここは男の俺から通話を切ってやる。葉山なんかはそんな心配する必要もなく、痛快なほどぶつりと切ってくれるもんだ。あれはあれでいろいろと空しいものがある、か。
 脱いだ制服のジャケットをハンガーに掛けて、ベッドにダイブする。
 明日の生物の授業小テストするとか言ってた気がする。が、俺は流風みたいに真面目じゃないのでそんなものは気にする余地が無い。それよりも考えることは他にあるのだ。

(――どんな口上を用意するか)

 どんな言葉を吹っ掛けてやろうか。
 まだまだだと思っていたその日は、もう七日後に迫っている。
 頭を捻って考えた台詞も、多分その時には忘れているだろう。そうだとしても、考えることで決意を新たにできる。
 あと、一週間だ。



2009.01.03(Sat) | 大和中心 | cm(0) | tb(0) |

眠い!!


頑張ってますが続きモノはゴールを明確に決めてないために書き終わる気がしないので、秋臼さんが何か上げたらそれに便乗して真面目になんか書こうかと思ってます。
四兄弟書けそうだよ今。(笑)


二卵性の双子が二組ってどんな二次元。(笑)
まず呼び名から考えてみた。壱郎くんに対してはそのまま呼び捨てか、リベリオンみたいに「イチ」って呼んだりしてればいい。問題はお兄ちゃんたちだ。
壱郎くんが結構丁寧な子だから「兄さん」って呼ぶなら流風は別っぽいな。けど貴久さんは兄貴って柄じゃないと思うので、何か打開策を考えたい。
壱郎くんは貴久さんにべったりで懐いてるし甘えるのも上手いから、その反動で流風は家ではひとりでいることが多そう。自分じゃあんな風に甘えられないなー、とか思ってる。
お兄ちゃんもう一人いるけどそっちにはもちろん甘えられないっつーか元々甘える気も無い、みたいな。
家でひとりでいることが多いから外では結構友達多いんだろうな。その辺は普段の流風と同じような感じで。
しかし流風はどの世界観でもツンデレなので(確定)、壱郎くんみたいに甘えて宿題聞いたりできなくて放置してるのをケレスさんがちょいちょい線引いたりしてくれても(秋臼さん談)、「ば、ばっかじゃねーの!? 頼んでねぇよ!!」とか顔を真っ赤にして吐き捨て、部屋に篭る確率大だと思います。
でもその日の夕飯がちょっと凝ってたりするかもしれない。わかりやすい。
あれ、料理流風担当で片付けとか壱郎くんで兄ふたりがのさばってる4兄弟って、え、それってどこの四之宮さんち? 流風のCVたっつんですか? ないです、うん。
これの流風さんは限りなく一般人だけど普段のよりちょい抜けてる感じがいいと思います。
基本的に壱郎くんをリードする形になるんだろうけど、たまに形勢逆転してると楽しい。
やっぱバスケ部です。背伸ばしたいとかそんな理由だったんじゃなかろうか。


CDTVの年越しライブでいきものがかり見たんだけど、気まぐれロマンティックすごい好きです。
ていうかほんとに、曲も好きだけど詞が好きでしてね……!!
言葉の選び方が綺麗。可愛い。
王道ラブソングだけど言葉が綺麗だからより好きになる。
夏空グラフィティとかめちゃめちゃ好きなんですけど、「タイムマシンの針を壊して永遠の夏を手に入れたんだ」って、私夏苦手だから万年夏なんて嫌なんですが、すごい嬉しそうなのが伝わってくる。
何よりも、タイムマシンの針を壊すっていう表現がよく出てくるなあと。
でもって、水野さんの詞って歌詞のところどころで漢字じゃなくてひらがなになってて、それがまた何かやわらかさと懐かしい感じとかがして、ともかく大好きです。
アルバム曲だとはっちゃけた感じだけどね!
ベスト盤とか出したら大半水野さんの曲だから私泣くかもしれない。
水野さん作詞の曲は、子供の宝石箱みたいに可愛くて綺麗です。
や、詞だけじゃなくて曲もいいんですよ、だからカラオケで歌えるんじゃないですか。
でも作詞家で曲を見ることが多いのでそんな感じになる。



寝ます。

2009.01.01(Thu) | しゃべり隊 | cm(0) | tb(0) |

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