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軽石へちま

Author:軽石へちま
基本自キャラで凄まじく妄想してみる。
隠れ家なのでBLとか黒とか暗とか主。
キャラ崩壊必至。何とも思わないけども。
妄想についてこれる人だけどうぞ。

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読んだ

妹から借りた黒バス読んでました。12巻からしか持ってないという謎の集め方ですが、まあ別に良い。
私青峰すげえ好き、と再確認して終わりました。後のメンバーは結構どうでもいい!
本当に、恐ろしいほど強くて勝てない相手なんていなくて、だからこそ負けたい気持ちがあるっておいしいね。
練習参加するようになる青峰マジおいしいです。
完全無欠系キャラに弱みだとか挫折ポイント作るのって本当に楽しいですよね!
伝説の青火回も見れたので満足です。青火押しです。だいぶ差をつけて、次点青黒。おいしい。
リベリオンのタっくんとエンジ君は割と青黒っぽいノリ、と思ってる。
ノーマルの方がおいしいのはわかってるんだけど、でも、青黒が公式夫婦すぎて付け入る隙がない。


ベルセルクの美術資料集買った。すげえ面白い。つーか、もう、すげえよほんと。


点呼どんが芹沢拓海ルートをそれ個別で、というのでいろいろ考えてた。
でもやっぱりエンジ君が芹沢にいるのが楽しいんだよな、と思って、シュタゲルート以外でどうすればできるのか考えてる。したらやっぱり、真紘と交換、というのがいいのではないかと……!
何故椿じゃなく真紘、とか思うけどね。親同士は知ってるけど子供らは知らない。エンジ君が生まれた時に、1歳の真紘とトレードしてる。理由は知らん。そしたらこの世界の真紘は両目黒いといい。青くちゃすぐバレるもんな。
真紘ってラノベの主人公ぶってるけど中身ただのタっくんだからヤバいよな。キレると何やらかすかわからん。


いろんな小説読んでて、慎吾がトップエンデバーに推薦されるって展開が面白いのでちょっと考えてる。
女子部は千咲さんも出てるんだろうな。
黒バスに目通してから、これまであんまり流風とかのポジションを考えたことなかったけど多少考えてみようかなとか思い始めた。
流風は間違いなくPG。流風が出てると慎吾はフォワードだよな。大概PFになるんだろうけど、センター的な役割をする時も結構あるはず。
慎吾は中学からずっと自分はフォワードと思ってやってるけど、実際はガード向きの選手だったりして。ゲームメイクに長けてて、司令塔になる方がきっと向いてる。ブロック代表とかに選出されるときは多分フォワードなんだけど、流風が引退して、トップエンデバーに選出された時にガードとして推薦されてて「?」ってなるといい。
流風がガードなら千咲さんもだろうな。
流風はきっと一年の時にだけそういう推薦受けて出てるんだろうけど、二年の秋以降は別の目標ができてるからバスケは部活だけにしてると思う。慎吾は突き進むといいよ。
設定しかできてないゆずたんが慎吾をPGに推してたらいい。ほんと、もうちょっと詰めて書いてみたいなあこいつら。


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2013.02.26(Tue) | しゃべり隊 | cm(0) | tb(0) |

きゅうくつ な いえ



「気分が優れませんか」

 よく通る声。その声で拓海は目を開く。
 目の前には美しく活けられた花。色の取り方も、空気も、佇まいも、申し分ない。
 眉間を親指でぐりぐりと回してから一度目をしっかり閉じて、それから開く。広い和室にいるのは自分と、目の前の少女だけ。

「いや、少し疲れてるだけだ。悪かったな」
「いえ、お疲れでしたら早めに休まれた方がよろしいのでは?」
「平気だ。ここでへばったらあいつが何言うかわかんねェだろ」
「そうですね。だから程々にしとけって言ってるじゃないですか、飲みすぎ吸いすぎなんですよ、少しは自分の年考えたらどうですか? ……難なく想像できます」
「お前も容赦なくなってきたな」
「これはお母様譲りでしょうね」

 にこりと微笑みながらそう言う、目の前の少女の姿。長い黒髪はハーフアップにしており、藤色の着物を綺麗に着こなしている。華美な装飾品などなくても美しさが十分ひきたつ佇まい。
 何よりも目を引くのは、透き通るアイスブルーの左目。右目は拓海と同じ黒。その西洋的で幻想的な雰囲気に、黒髪が和の要素を足し、不思議なバランスが保たれている。
 そのどれもが母親に生き写しだ。黒髪も、青い瞳も、白い肌も、その辛辣な言葉も。彼女の言うことは間違っていない。

「だろうな。紗央に生き写しだよお前は。――みのり」
「お父様にそう認めていただけるなんて、極上の褒め言葉です」

 拓海の知るどの世界のみのりともかけ離れた容姿。それは環境に依存するものなのだろうが、ここまであからさまに違うキャラクターとなったのはこれが初めてだ。
 みのりはいつも、紗央の娘として生まれる。拓海と結婚して生まれる最初の子供は必ず娘だし、紗央が拓海ではない他の男と結婚して生まれる最初の子供もまた、娘だ。どの場合でも彼女は娘に同じ名前をつける。「みのり」という、ひらがな三文字。容姿もいつも変わらない。母親譲りの白い肌、黒い髪、片方だけ青い瞳。性格は大概お転婆で、天真爛漫。芹沢家という場所がみのりの成長に大きく影響を与えたことは想像に難くない。
 紗央と結婚してすぐに父親が病死した。拓海は芹沢を出ていないため、当然長男として家を継いだ。自分の後を誰が継ぐかどうかは些末な問題であって、やりたい奴がやればいいと思っている。自分だってこの家のためにここにいるわけではない。もっと大切なものを守るために、今も試行錯誤しているだけだ。しかし一応当主として、子供に稽古をつけないわけにはいかない。どの世界のみのりよりも学習能力の高いこの世界のみのりに、指導らしい指導をする機会は最近ぐんと減ってしまった。子供らしくないといえばそうだが、まるっきり可愛くないというわけでもない。自分の考え方もおそろしく変わったものだと思う。まあ、環境に依存しすぎたためか、みのり自身の性格には若干の歪みがあるようだが、自分が中高生だった頃を考えればそれも正常な範囲だろうと拓海は思う。みのりに関しては、好きなように生きればいい。こんな家にいるのだから使えるものは使って、好きに幸せになればいいと思う。家に縛り付けたいなんて考え方は少しもない。
 その後一時間ほどみのりと稽古という名の親子の会話をし、部屋から出した。
 特に今日は予定もない。みのりの稽古が終わればあとはゆっくりできる。息をついて、袂に入れていた煙草を取り出し、一本咥えて火をつける。障子の向こうから、「宗匠」と声がかかったのはその時だった。

「稽古は終わってる。入れ」
「はい」

 ほとんど音もなく障子が開き、「失礼致します」と一礼。そこにいるのは芹沢の長男であることはわかっている。障子の向こうの人物は立ち上がり、部屋の中に入るともう一度座って閉める。
 煙草を吸う拓海の目の前できちんと正座をすると、軽く頭を下げた。袴がよく似合うようになったと思う。もともと大きい家の子供だからか、きっとこの立ち振る舞いは生まれついてのものなのだろう。

「稽古終わってるっつったろ。足崩していいぞ」
「吸うなら外か部屋で吸ってくださいって何度言ったら分かるんですか。自室ならともかく、教室に匂いがつきます」
「お前も芹沢なら植物は平等に愛せよ」
「なら蓮だの百合だの乾燥させて紙で巻いたものを作りますので、火を点けて吸ってくださいね。芹沢の愛煙家として、平等に」
「人の揚げ足取るんじゃねェ」
「そういう事いうなら自分の家馬鹿にするのもいい加減にしてください、父さん」

 この小生意気な台詞を言うのが他のどこかの子供なら殴って黙らせるところだが、相手が愛息であれば許してしまう。もうどういう経緯を経てこの家に連れてきたのかは覚えていないが、この家の誰にも外見の似ていない青年――炎而はいつの間にか芹沢の一員として馴染んでいた。年はみのりの二つ上で、拓海が引き取った子なので無論芹沢の長男である。稽古はつけているが、みのり同様拓海は炎而にも家を継がせるつもりは毛頭ない。それがいいと受け入れるのなら話は別だが、それを強要することは拓海の目的とはかけ離れている。最初からこの家に固執する理由などないのだから。
 火のついた煙草を大人しく灰皿に押し付けると。炎而はほっとしたように息をついた。妻である紗央や、娘のみのりも拓海の行動には干渉せずさせたいようにさせている。拓海の弟一家も同じ敷地に住んでいるが目上に干渉などできるはずもない。そんな中で、炎而だけが異質であった。炎而自身が物怖じしないのもそうだが、炎而の言うことなら拓海は大概聞き入れる。それが無茶苦茶な言い分なら黙らせるのかもしれないが、炎而の言い分が的を外れていたことはない。拓海が普段から自由奔放に動きすぎなのだ。

「で? 用件は」

 続きを促せば、炎而は姿勢を正した。そういえば足は崩していなかったな、と思い出す。普段ならば、崩していいと言われた足は遠慮しながらも崩すのに。

「明日、学校のグループ学習で図書館に行くことになりまして」
「ふーん、行きゃいいじゃねェか」
「夕方に稽古が入っていたかと」
「どっかで俺に時間できた時に埋め合わせする。学生は学業だろ」
「ありがとうございます」

 稽古に関わることだから足を崩さなかったのか、と拓海は納得する。炎而は公私混同はしない。稽古中に普通に親子の会話を楽しんでしまう自分とみのりとは違う。
 どれだけの時を一緒に過ごしても、思うことは一緒だ。どう育てたとしても、この子は炎而だ、と。それ以外の誰でもない。
 話はそれだけなので、と部屋を後にしようとする炎而の背に、声をかける。名前を呼んで、呼び止めた。何事かと障子に手を当てたまま振り返る炎而に、追加の指示を出す。

「わかってると思うが、必ず椿は連れて行け」

 その言葉に、炎而はしっかりこちらを向いて正座し直した。

「いえ、やはり俺の学校のことに椿を付き合わせるのは」
「そのための椿だ」
「椿は俺のためにいるわけではないですし、椿にもやりたいことややるべきことが」
「椿のすべきことは、お前の傍に付き従うことだ。年の差があるのは致し方ないが、できるだけお前の時間に合わせさせろ」

 炎而がぐっと何かを堪えたような表情になる。この言いつけをすっかり受け入れているみのりと違い、炎而は違和感を拭えないのだろう。炎而のその優しさは炎而らしさだと拓海は思う。それは炎而の長所であると思うし、親として愛しく思うべき部分であるとも思う。しかし、この芹沢で生きるのなら不要なものだ。使うべきものは使い、使い古したら捨てるのだ。最初の生活のように、古いものを大切に使い続けてもいいことはない。新しいものを取り入れることができるのだから。
 まあ、拓海が次男一家を毛嫌いしているからだろうと突っ込まれてしまうと、それ以上の反論はできないわけだが。「そうだが、だから何だ?」と答えるくらいしかできそうにない。

「お前が椿に負い目を感じる必要はない。お前は俺の息子で、芹沢の嫡男なんだから。お前が話をできないというなら俺からするか?」
「……いえ、自分で行きます」
「そうか」

 失礼します、と部屋を出る前の一言は、入ってくるときよりも幾分か厳しい声色だったように思う。
 また音もなく静かに閉まった障子を見つめながら思う。

(やっぱり窮屈な家だ)





 炎而が離れのベルを押すと、目当ての人物はすぐにやってきて扉を開けた。炎而よりも少し背は低いが、それは年齢差のせいもあるだろう。襟足が少し眺めの黒髪、線は炎而より細い。伏し目がちな目の、少年。今日は稽古がないからか、黒のスウェット姿、つまり普段着だ。

「炎而様、何か御用ですか」
「えーと、まあ。そうなんだけど。入っていいか?」

 その言葉を言うと、相手はいつも露骨に嫌そうな顔をする。好かれていないのだということは炎而とてわかっている。それでも、だからといって父の言うことを真に受けてこの少年を思うようにこき使っていいなどとは思わない。父の言うことは芹沢の一員としては絶対だし聞かねばならないこともわかっている。けれどひとりの人間としては、そしてこの少年の従兄という立場としては、どうにか打開策を見つけたいと常々思っていた。
 少しの間の後、少年は「どうぞ」と扉を広く開ける。

「悪いな、椿」
「ええ、本当に。悪い人です」

 少年――椿の言葉は冗談のようにも、彼の本心のようにも聞こえる。
 玄関で草履を脱ぎ、居間へ上がるといつもの光景に炎而はため息をついた。どれだけ憎まれ口を叩いても、偉そうな口をきいても、椿は椿だ。

「……椿、片づけられないんだから呼べっつったろ」
「炎而様の手を煩わせるほどのことではないので」
「結局俺が片づけるんだろうが」
「誰も頼んでません。僕はこれで十分生活できますから」
「部屋を三日でこんな状態にする奴は生活できてるって言わない」
「なら訂正します。この部屋でも十分寝起きできますから」

 椿はいわゆる、クソナマイキなガキ、に分類される。炎而もそう思うことがよくある。けれどそれは炎而に対してだけであって、他の誰かにこの態度をとっているのを見たことはない。両親にはもちろん、炎而の両親にも、みのりにも。みのりはすっかり父親の方針に慣れきってしまっているらしく、同い年の椿を格下と信じ込んでいるようだ。よろしくないとわかってはいるものの、父親の影響力が絶大すぎて炎而には成す術もない。椿への態度はこれでも、炎而にとっては父親で、思春期であっても嫌いになれない程度にはいい父親だと思っているのである。
 椿は部屋の片づけが苦手だ。それは椿の父も、炎而の父にも言えることで、みのりも片づけるという行為には無頓着である。片づけをさせられるのは大概は家政婦だが、椿はこの離れに人を入れたがらない。両親相手でも嫌がるのに、赤の他人である家政婦などはもってのほかだ。幼い頃から炎而に付き従うように、と拓海に厳命されているからか、炎而だけは渋々中にいれてくれる。そして自動的に片づけ役は炎而に回るシステムだ。椿は片付けなどしなくていいと言うが、この散らかった部屋を見るとどうしても片づけずにはいられない。
 物は少ないはずなのにどうしてこうも汚くできるのか、と常々炎而は不思議に思う。床に散らばった本やら雑貨やらを粗方片づけて、ゴミをひとまとめにすると、ようやく綺麗になった部屋に炎而は腰を下ろした。

「それで、お話はなんですか」
「……明日、なんだけど。グループ学習で図書館に行くことになって」
「……そんなこと、当日に言ってくださればいいといつも言っているでしょう。ですからここ掃除しに来るのやめてください」
「当日になんてできるわけないだろ。タクシーか何かじゃあるまいし、椿にだって学校も用事もある」
「ありません」

 椿は立ち上がって冷蔵庫から烏龍茶のペットボトルとグラスをふたつ持ってきた。椿自身は温かい緑茶や紅茶の方が好みらしいが、自分で淹れるとなぜか不味くなることがわかっている。
 自分の分と、炎而の分と、グラスに一杯ずつ注いで、片方を炎而の目の前に置く。

「僕には学校の用事もその他の用事もありません。炎而様のご要望があればすべてそれに合わせるよう、拓海様に命じられております。炎而様に付き従うことに障害になるのなら、学校にも行く必要はない、と」
「だから、それじゃ嫌だからこうして来るんだろ」
「来たところで変わらないでしょう。炎而様のお節介は結局、僕を不快にしかしません。わかったら拓海様の仰るように僕を好きなだけ使えばいいんです。僕もそのつもりでここにいるんですから」

 そう言われてしまうと反論はできない。前日に来ようが一週間前だろうが、椿の時間を拘束してしまうことに変わりはないのだ。
 椿自身もそれを致し方ないことだと受け入れている。それは異常なのだと、誰に訴えればわかってくれるのだろう。もう長いこと感じている歯痒さに、炎而は拳を固く握った。

「グループ学習ということは、他の方もご一緒ですか」
「ん? ああ、樹理が一緒。他の奴は中央の図書館行くんだ。郷土史調べんだけどさ」
「樹理さん……。僕、あの人苦手なんですよね」
「向こうはそうでもないと思うけどな」
「そんなのわかってます。あの人に苦手な人なんているわけないじゃないですか」

 頭を抱える椿は普段と違って年相応に子供らしい。樹理というのは炎而と同じクラスの女生徒だ。ハーフだということで、ふわふわした長い金糸の髪に若草色の瞳がとても印象的な少女。苦手意識というものがひとつもないその相手を、椿は苦手としていた。どんなに邪険に扱っても傷つかないものだから、どうにもしようがないのだ。炎而も椿に邪険に扱われても特に傷つきはしないから、椿からすれば似たようなものなのかもしれない。

「……わかりました。図書館でお待ちしていればいいですか? それとも正門まで?」
「いや、図書館でいいよ。そう時間はかからないだろうし、終わったら寄り道でもして帰ろう」

 炎而としては労いも込めての提案だったが、椿は眉間に深く皺を刻むと、はあ、とこれ見よがしに大きなため息をついた。

「ご命令であれば、いくらでも」
「お前、それ卑怯すぎ」
「僕の意思でなんて行くわけないじゃないですか。すぐにでも帰って引っ込んでたいのに」
「なら命令で」
「樹理さん同席ならお断りします」
「ちゃっかり断ってるじゃんか」

  父に従うことに何の抵抗も示さない椿の父に比べると、椿はまだ染まり切っていないだけ抗う余地がある。ルールとして仕方なく従ってはいるが、溺れきっているわけでもなく、現状を良いと思っているわけでもない。少しでも蟠りを抱いている炎而にとっては、椿がこの離れに閉じこもっていてくれるだけで助かる部分がある。口、というか、態度は悪いけれども。
 
「可愛くねえなあ、椿」

 それでも、ほんの少しだけ落ち着く。
 当の椿は嫌そうな顔をしているけれど。

「……ほんっと、貴方みたいな人の面倒を見なきゃならないなんて窮屈すぎます、この家は」
「はは、ほんとだな」
「嫡男に笑う資格があるとでも?」
「はいはい、すいません」

 本当に、窮屈な家だ。



2013.02.18(Mon) | 擬似親子 | cm(0) | tb(0) |

魔法の溶ける瞬間をいま


 旅行に行きたい、とルミが言った。
 それならば春休みで合わせてみんなで行くか、と俺が言った。
 ルミは首を横に振った。二人だけで行きたい、と。
 車は使わない。移動は新幹線と在来線と、あと必要に応じてタクシーとか。とにかく二人だけで出かけたいと言う。
 宿は高すぎないところならどこでもいい。できれば折半できるところがいい、と言うので、宿はいろいろホームページなどを見てふたりで決めた。
 もちろん料金は俺が持つが、ルミがここなら大丈夫、と言ってくれる場所に決めたかった。
 出発は平日だった。ちょうど後期の試験がルミと同じ日に終わって、次の日の早朝に出ることにした。家族にはもちろん行先は伝えたが、いつもつるんでいる奴らに何を伝えておくわけでもなかった。
 ルミも、紗央やルネ、椿、みのりには特に何も伝えなかったらしい。奴らが電話で妨害してきたりすることも、まあ可能性は少ないだろう。
 二泊三日分の旅支度をした。ルミが何を思って旅行したいと言い出したのかはよくわからないが、男の俺はそう大荷物にはならなかった。
 小さいボストンバッグに着替えと必要最低限のものだけ詰めて、朝、うちの門の前でルミが出てくるのを待つ。



「なんで女ってのはたった二泊でこんな大荷物になるのかねえ」
「仕方ないでしょ、いろいろ要り様のものがあるんだから」
「国内だぞ? 向こうで調達しようと思えばいくらでもできんだろ」
「いつも自分が使ってるのがいいの! もう、なんで男ってそういうのわかんないかなあ」

 ルミはといえば小さいキャリーケースにいっぱいの荷物でやってきた。俺がいつも通りそのキャリーを引いて駅へ向かい、朝一番の新幹線に飛び乗った。
 車内販売の弁当を食いながら他愛もない会話をする。行先は北の方、何が見たいってわけでもないから行く先で適当に観光できりゃいいだろ、と思っている。
 ルミは最近買ったブランド物の白いベレー帽を被っている。いつも落ち着いた色でまとまっている。似合うもんを選ぶのがうまいよな、と思う。きっと淡い色や鮮やかな色だって似合うとは思うのだが、きっとそれを言えば「彼氏補正が入ってるから信用ならない!」と言うのだろう。付き合い始めた頃からよく言われていたことだ。蒸し返すような野暮なことはしない。
 化粧はいつも控えめだ。本人はよくわからんともぼやいていたから、単に勝手がわからないだけなのかもしれない。そんなことを俺に相談されたって困るから、そのスタンスが変わらないならそれはそれでいい。薄化粧なくらいが引き立つと思うし、何もしなくたって目を見張るような見た目の紗央やただでさえ美人なのに外人だから余計に綺麗に見えるルネとは違うのだ。少しだけ目元に色が乗っていて、頬が綺麗に見える程度で十分だろうと思う。まあ、化粧で女は化けるとも言うし、どんだけ化けるのかはいつか見てみたい気も、する。
 身長は女子の平均からするとやや高い方らしい。椿と同じくらいだ。それでも小さく見えんのは単に俺や周りがでかすぎるだけなんだろうが。冬二なんかはみのりばっか追っかけてるから、あれくらいのサイズも可愛いと言うが、やっぱり俺はこいつくらいがちょうどいい。
 俺の好みに合うようにできてんじゃないだろうか、なんて思うが。そんなことも言おうものなら「あんたの彼氏フィルターはどんだけ分厚いのよ」と苦笑するんだろう。
 弁当を食い終わってしばらくして、俺の肩に頭を預けて眠るルミを横目でちらちら見ながら、そんなことを思う。窓の外の景色は都会からは離れ、やや田舎らしさが見えてきた。普段考えないような、服装やら化粧やらのことをこんなにも考えてしまうのは多分、ふたりきりで長く過ごしたことがないからだ。改めて思うことも、あるもんなんだ。付き合い始めたのは高校の頃だが、高校生で泊りがけの旅行なんてできるわけがないし、日帰りでどっか出かける程度。家が近いから結局、遠出しなくてもいつでもいられるだろって結論になってしまう。大学に入ってからは言わずもがな、あいつらと一緒の旅行。結婚するまで絶対手は出さないって決めてるから、他の奴が彼女と一緒に寝てたって関係なかった。いつでもルミがどこへでも行けるように。家のしがらみが面倒な男なんていつでも見限れるように。その考え方自体がこいつを苦しめているなんて考えもしなかった。辛いことを考えているのは自分だけだと最初から決めつけていた。

「……ん、あ、寝ちゃってた」

 うっすらと目を開いて、ルミがはにかむ。

「早かったんだから寝てろよ、まだ着かないし」
「寝顔見られてると思ったら落ち着かないって」
「今さら何言ってんだ」

 起きても頭の位置は変えようとしない。それはそれで嬉しいので、放っておくことにする。黙ってりゃそのうち寝るだろうし。
 ルミがこんな表情を見せるのが俺相手だけだということが、嬉しい。普段あれだけ男らしく立ち回ってるくせに、弱みを見せてくれることが嬉しい。こんな俺に、全幅の信頼を寄せてくれていることが嬉しい。だから俺も、そうやって俺に接してくれるこいつに相応しい人間になれるようにと思っている。きっとそうじゃなきゃ、プロポーズも受けてくれないんだろう。俺が求婚されてる今の状態がおかしい。少しくらいかっこつけさせてくれよ、なんて思ったりもする。
 思ってることは何でも伝える。壁を作って囲っても、俺とルミの間じゃいつかバレんのはわかりきってる。それなら、不安も苦しいことも全部二人で共有していく。少しの隠し事がスパイスになる奴らもいるんだろうが、俺たちにはそいつは逆効果だとわかっている。破局寸前までいったあの一件以来、それを念頭に置くようになった。

「……はじめてだよね、ふたりっきりででかけるの」
「そうだな」
「実は初デートレベルで緊張しています」
「お前初デートって体調崩して映画途中退室して戻ってこなかったじゃねえか」
「そういう細かいことよく覚えてるよね、大和って」
「初デートは細かいことじゃねえだろ、覚えてる」

 ルミが俺の肩に頭を乗せて、くすくすと笑う。
 そん時どんだけ心配したかも覚えている。一度退室して、戻ってきて、また出ていこうとしたので、俺も出ると言ったのに「二人一緒に出ると迷惑だから」とか言ってひとりでまた出て、それきり戻ってこなかった。俺は俺でひとりで見るには退屈な恋愛映画をぼんやり見ていた、そんな思い出だ。初デートで緊張しすぎてた、という話を聞いたのは一年後のことだった。初デート記念日にまた出かけた時に、暴露された。俺の心配を返せ、とも思ったが、今までずっと一緒にいたのに改めて緊張するというのは、何やら思うところもあった。

「なんか、やーっと誰にも邪魔されないで大和とおんなじ景色見てのーんびりできるんだなって。シーマスの目とか、ルネさんのナイスバディとか気にしないでべたべたできるんだなって」
「なんだよ、べたべたしたかったんならすりゃいいだろいつでも」
「あたしの立ち位置でそんなの無理に決まってるでしょ」
 
 それはまあ、俺も一応わかってはいる。
 俺が良くてもこいつはダメなんだってこともわかっている。俺が思う以上にこいつは“普通の女子”で、些細なことにもよく傷つく。俺のことで耐えられるのは、こいつが言うところの『彼女補正』というやつなんだろうと思う。
 
「一緒においしいもの食べてー、綺麗な景色見てー、どうでもいいことだらだら話したい」
「……殺し文句禁止」
「たまには普通に可愛い彼女でいたいんだけど。ダメ?」

 ダメなわけがあるか、阿呆。
 いろいろ言いたい気持ちを全部拳に込めて、ルミの頭を軽く小突いた。
 言わなくてもまあ、これくらいは伝わんだろ。見れば案の定ルミは締まりのない顔でえへへと笑っていた。
 列車がトンネルを抜けた。窓の外を見ると、雪の似合う田舎の景色だった。



2013.02.01(Fri) | ご近所物語 | cm(0) | tb(0) |

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