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軽石へちま

Author:軽石へちま
基本自キャラで凄まじく妄想してみる。
隠れ家なのでBLとか黒とか暗とか主。
キャラ崩壊必至。何とも思わないけども。
妄想についてこれる人だけどうぞ。

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天空への階段



「あら? あんた初めて見る顔ね。新入り?」

 色あせた暖簾をくぐって店内に足を踏み入れた拓海を一目見ると、彼女は綺麗なアイスブルーの瞳をまるくして問いかけた。昼時とあって、狭い店内は休憩中の男たちでいっぱいだ。しかし拓海は知っているし、周りの男たちもわかっている。拓海の席は、いつだって空いている。彼女が作業をする厨房が一番よく見えるカウンター席。その一番左端。この工場の作業員ならば全員、その席に座ってはいけないと理解していた。
 拓海は薄く笑う。普段誰にも見せないような、青年のような爽やかな笑顔を、一日に一度だけ、この昼時にだけ、彼女に捧げる。

「ああ、そうだ。ここのメシは地上で一番美味くて、えらく美人の店主がひとりで切り盛りしてるって聞いてな」
「褒めたってご飯以外は出ないわよ」
「そいつは残念。あんたの顔、好みなのにな」
「余程の面食いね、あんた」
「自分で言うんじゃあ返す言葉もねェな」

 これによく似た会話を拓海と彼女は毎日する。彼女は拓海を見ると、毎日言う。あんた初めて見る顔ね。拓海は毎日答える。ああ、そうだ。
 店内で定食を掻き込む作業員たちは、沈痛な面持ちでその様子を見ていた。拓海は彼らにとって頼れるリーダーなのだ。工場勤めが長く、男らしいあっさりした性格で同僚は皆拓海を慕っていた。前科者だからといって一生ここに縛り付けられる理由などない。適度に金が貯まれば皆別の仕事を求めてここを出ていく。こんなに長くここで頑張っている人が、それゆえにこんな悲しい目に遭うなんて。
 作業員たちが意図的に空けていたカウンター席に座ると、彼はメニューも開かずに日替わり定食を頼んだ。彼女はその声に「はいはい」と答える。それから、ふと何かに気付いたかのように振り向く。

「……ねえ、名前、なんていうの?」
「メシ以外は出さないんじゃなかったのか?」
「そうなんだけど。新入りさんなら名前くらい覚えておかないと」

 それが嘘であることも、皆知っている。拓海も知っている。これも毎日、繰り返されることだからだ。

「桜井 拓海」
「さくらい? あたしと同じ苗字」
「そうなのか。奇遇だな」
「あたしは紗央っていうの。桜井 紗央」

 その苗字は紛れもなく、彼から与えられたものなのに、屈託なく笑う彼女にその記憶はない。工場から漏れる機械音をバックに、彼女は忙しなく狭い店内を走り回る。濡れたような長い黒髪がその度に揺れて、心底楽しそうにアイスブルーの瞳を細めて笑う。拓海はその様子を毎日見ている。もう二度と愛の言葉を交わすことはないけれど、それでも、拓海は世界で一番、彼女のことを愛していた。
 拓海が店に来ると、それまで店にいた拓海の同僚たちは掻き込むようにして食事を終える。そうして人がまばらになった店内で拓海はゆっくり、しかし手早く食事を終えると立ち上がった。いつも同じものを注文しているから、料金はいつだって同じワンコイン。その料金だって、この店を始める時に彼女から相談を受けて、拓海が助言して決めたものだ。
 また来てちょうだいね、などと残酷な言葉を吐きながら、彼女は拓海の一番好きな表情を作る。いつまでもその笑顔は、少女のころのようにあどけない。

「指輪、してんだな。人のモンなのか」
「え?」

 来た時と同じように暖簾をくぐって外に出る直前、拓海は彼女に声を掛ける。それで初めて彼女は自らの手元に視線を向ける。
 白磁のように透き通った肌は毎日の水仕事で少し荒れてはいるが、保湿はずっと続けているらしい。左手の薬指の根本に光る銀色の輪。頂点に彼女の瞳と同じ色の淡い青色が一粒輝いている。

「……あれ、あたしいつの間に」
「よく似合ってる」
「……ありがとう」

 その優しい声を背に、拓海は店を後にした。




 その晩、拓海が路地裏の部屋に戻ると、部屋の隅で娘が小さく膝を抱えていた。電気はつけておらず、真っ暗だ。室内灯のスイッチを入れると小さな電球が仕事を始める。
 少女はあまり綺麗とは言えない、ゆったりした白いシャツに色あせた茶色のロングスカート姿だった。ただでさえ小柄なのに、膝を抱えて座っているからその小ささは際立って見えた。少女の傍らには小さなボストンバッグ。そこに少女のこれまでとこれからのすべてが詰め込まれている。

「いつまで拗ねてるんだ、みのり」

 少女の名を呼んで、拓海は彼女と視線を合わせるようにしゃがみこむ。じとりと恨みに満ちた視線で少女――みのりは拓海を見つめる。右の瞳は拓海の黒、左の瞳は彼女の母親譲りの、宝石のように輝くアイスブルー。烏の羽のように黒くて艶のある髪も、この透き通る白い肌も、その顔立ちも、母親譲りだ。数年すれば母のように目の覚めるような美人になるだろう。
 みのりは一度は上げた視線を再び下げた。だって、と消え入るような声。

「……あたしがいなくなったら、お父さんひとりぼっちになっちゃう」

 色の違う瞳に、大粒の涙を湛えて、みのりは絞り出すように言った。拓海にはそれだけで十分だった。みのりがいるだけで、それだけで、確かに自分と紗央との間には形に残るような感情があったのだとわかる。その存在をも紗央が忘れているとしても、みのりが生きている限りその証拠が消えてなくなることはない。

「いいんだよ、母さんがいるから」
「でも覚えてない」
「覚えてなくても、父さんにとっては母さんは母さんだ」

 拓海の言葉に、ついにみのりは泣き出した。この問答も何日続けたことだろう。みのりは毎日毎日目を腫らすほど泣く。どこにそんなに水分があるんだと思うくらいに。しかし拓海もそれを止めたりできるはずもなかった。この幼い娘が自分の代わりに号泣しているのだと思うと、ただ強く抱きしめて、その涙が自然に止まるまで待つことしかできない。
 みのりは今晩、空都に行く。海に沈みゆくこの大地から、人類の科学が生み出した希望の箱舟。そこではエリートの研究者や貴族たちがこぞって自分の居場所を作っている。本来ならば前科者の娘が切符をつかめるはずもなかった。拓海は奔走した。使えるものはすべて使った。このままここで、娘を危険に晒しているわけにはいかない。もとい、このままここにいれば自分もいつ紗央を忘れるかわからない。それ以上に、みのりが自分を忘れてしまった時のことを考えることが、恐ろしかった。
 控えめにドアがノックされる。腕の時計を見れば約束の時間の十分前だった。薄く扉を開けると、真っ直ぐな瞳の青年が立っていた。思わず目を見開いて、それからドアを大きく開く。

「……兄様。お迎えに上がりました」
「……まさか直々に来て頂けるとは」
「俺以外では下手な中傷の的になるでしょうから」

 この都市の花のすべてを牛耳る芹沢家。拓海を兄と呼ぶこの青年は、拓海と二十以上も年が違う、実の弟であった。今はもう拓海は芹沢から縁を切られているため、彼が後継者であることは間違いない。本来ならば立場が違いすぎる。芹沢の嫡男が、こんな治安の悪い北エリアを単独で歩いていていいはずはないのだ。

「みのり」

 まだ部屋の隅でうずくまる娘に、拓海は声を掛ける。
 みのりは動こうとしない。きゅっと唇を一文字に結んで、親の仇を見るような目でドアの向こうの青年を睨みつける。

「兄様に似てますね」
「そうか? 母親そっくりだぞ」
「顔立ちはそうなんでしょうね。けどあの目の強さは芹沢譲りでしょう」

 そう言われると、確かに娘の目力は今目の前にいる弟と似通ったものがあるような気もする。
 母親の細胞から分裂してできたような娘だが、それでも確かに自分の血も通っているのだと実感する。
 名前を呼び、みのりが無視する。そんなことをどれだけ繰り返しただろうか。十分も続けると、そろそろ実力行使に出なければと拓海が思ったところで、部屋の中にみのりより少し背の高い少女が入り込んだ。
 弟が「つばき」と声を掛けたが、彼女はそれを無視する。

「……行きましょう、大和様。あまり長居しては明日の予定に支障が出ます」
「……そうだな」

 つばきと呼ばれた少女はみのりの腕を掴んで立ち上がらせる。嫌がるみのりの声など聞いてはくれない。
 そのままみのりを強く引っ張り、抵抗できないと判断したのかみのりも足元の荷物を持ち上げた。正直、助かったと思った。拓海だけでは、結局ぐずぐずと送り出せなかったかもしれない。
 年はみのりと同じくらいだろうか。少女の瞳は強く、前を向いている。

「大和、この子は」
「椿といいます。みのりと同い年です。うちの分家の娘で、今は空都の研究室で海洋調査の助手をしています」
「優秀だな」

 拓海も部屋の外に出た。みのりを引きずって、暗い路地に立ち尽くす椿の目の前に立つと、軽く膝を曲げて彼女と視線を合わせる。黒髪も、大きな黒い瞳も、夜に綺麗に溶け込んでいる。暗いところでは顔はしっかり見えないが、きっと器量の良い子なのだろう。

「……こいつは両親とも馬鹿だからな、可哀想なくらい頭は悪い。母親みたいに料理だとか家事ができるわけでもねえ。ただ運動能力はそこらの奴には絶対負けない。使えねえかもしれないが、……よろしく頼む」

 少し冷たくも見える瞳をほんの少し伏せて、椿はこくりとひとつ頷いた。

「……芹沢の風当りは強いです。私にできることなら、微力ながらお手伝い致します」
「……頼りにしてる。みのりと仲良くしてやってくれ」
「人付き合いは苦手なので、それはどれほど期待に沿えるかわかりませんが」

 椿が大真面目にそう言うと、吹き出したのは大和だった。「お前じゃそうだよな」と笑いながらつぶやくと、拓海に向き直って軽く礼をする。

「俺が責任もって預かります。心配しないでください。しょっちゅうこっちに下りてくるんで、顔も出しますから」
「……俺のことなんか知らないも同然なのに、芹沢に楯突く真似させて、……すまん。感謝する」
「いえ、……あの生活をしていて、そこから出ようとするなんて、それができるなんて、俺は尊敬してるんです。俺もあの家を飛び出したいと思ったことがないわけではないですから」

 では、と大和が踵を返す。みのりの腕を掴んだままの椿が路地を歩き出す。みのりは数歩それに着いて歩くと、急に椿の腕を振り払って、拓海に向かって駈け出した。拓海の腰に手を回して抱き着いたみのりは先ほどまでと同じようにまた泣き出して、ぐずぐずと涙を拓海の服に吸わせている。

「おとーさん」
「なんだ」
「忘れちゃやだからね」
「……忘れねえよ」
「ぜったい!? 絶対に!?」

 両手でみのりの頬を覆う。両の親指でぐっと涙を拭ってから、その小さな体を抱きしめてやる。
 忘れるわけがない。この子が母親の中に宿ったことを知った日のことも、この子が生まれた秋の夜のことも、初めて歩いた日も、しゃべった日も、何もかも忘れるわけがない。拓海にはその自信がある。絶対に揺らがぬ自信がある。

「……お前は二番手だからな。お前のことは絶対忘れねえ」
「おかあさんのことも忘れちゃやだああ」
「お前が忘れなきゃいい。俺はここから離れられねえ。何があるかもわからん。だからお前はずっと覚えてろ。父さんと母さんから生まれたことを、お前は絶対に忘れるな」

 腕の中の娘が、こくこくと小さく頷く。何度もうなずく。ぼろぼろと涙を零しながら。
 この子が生まれて十五年。十分だ、と思う。ここまで愛せる存在にふたつも出会えたのだから、この先何があっても悔いがあるということはないだろう。あとは、みのりさえ幸せに生きてくれれば。




「幸せになれ、みのり」





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2013.05.21(Tue) | パロディ | cm(0) | tb(0) |

パロ強化月間


進撃パロは取りあえず紙にまとめます。
訓練兵時代を首席で乗り切った千咲さんかっこいいと思う。
千咲さん守るために悪い大人殺しちゃう子供慎吾とか楽しいと思う。


「空挺懐古都市」って漫画の新刊が出てたので買った。
絵が綺麗で、設定も面白いんで好きで読んでたのですが、これパロするならどこがおいしいかなと考えた。
大地が海に沈んでしまうっていうんで、特殊な燃料を使って空に浮く都市をつくりあげました、という御話なのですが、この燃料の排気? 煙? を体内に取り込みすぎると、記憶障害が起きる。
古妖精病(メランコリア)って病気で、心に一番依存している相手のことを忘れてしまう。しかも日付跨ぐとまた記憶がリセットされるので、頑張って一日ですげえ仲良くなったとしても日付が変わったらおじゃん。
忘却対象は恋愛関係にある相手に限らず、憧れだったり敬愛だったりっていう理由もアリなので、家族だとかも忘れちゃうことがあるらしい。
記憶ネタがおいしいのはセーラームーンを経験してきた世代は仕方ないと思うんだよね。

新刊の中にもあったけど、すでに付き合ってる奴らじゃそんなにおいしくないんだよな。相手が自分を忘れてしまったことで、相手が自分をどう思っていたのかがわかるというシチュエーションが大変おいしい。
それならきっと冬二くんとみのりがすげえおいしいと思う。もう、ほんとにおいしいと思う。
要君のところに押しかけて、いろんな感情を押し込めて殺したような声で、「みのりが、」って言ってほしい。
ご近所のメンバーがいいかなと思ったけど、このみのりの親はタっくんと紗央がいいなと思うのでまた別。
タっくんはよくわからんけど前科者で、地上にあるその燃料の採掘に関わる危ない仕事をさせられてる。紗央は元々孤児で、その危ないエリアにいたところをタっくんが拾って嫁にしたとかな。住んでるところはそのエリア近辺で、タっくんの同僚っていうか同じようにそこで働いてる人たち向けに食堂をやってたり。紗央は少し前にタっくんのこともみのりのことも忘れてるといい。紗央は選べない子。
それでタっくんがなけなしの金を積んで、みのりだけでもって空挺都市の学校に入れてくれたとか。
その辺の設定を考えてうわ何かすげえ楽しい、と思ったけど書ける気がしない。
自分のことを覚えてない紗央に毎日同じように話しかけて、金を払って紗央の料理を食べて、でも自分は紗央を忘れられないのに苦しむタっくんがちょっと見たい。
学校が大学みたいなのか高校みたいのかにもよるけど、大学だったら要君が医学部で、高校なら保健医。
瑶子さんは学者さん。データのとれない実験なんて意味ないから絶対に恋はしないとか言ってる人だといい。
F5メンバーを同い年にするなら大学かな。高校ならケレスさんが先生で、流風は絶対ケレスさんのこと忘れてる。


2013.05.17(Fri) | しゃべり隊 | cm(0) | tb(0) |

きれいな女の子

「――……」

 シーツにくるまった白い体が小さく上下しているのを見る。僕は結構、枕が変わると眠れないタイプみたいで、ホテルなんか入るとあんまり寝付けない。まあ今のところホテルに睡眠とりに入るなんてことは多くないわけで、女の子と部屋に入ってやることやったら少し休んで自分は携帯いじってるかテレビ見てるかだ。今日もその例に漏れない。今の時刻は七時少し前。ついさっき、寝起きの一戦という奴を交えたばかりのところだ。品のない言い方だって言われるかもしれないけど、それじゃあ逆にどう表現すればいいってのさ。
 下着だけを身に着けたまま、グラスに水道水を一杯汲み、飲み干す。乾きはそれだけでは満たされなくて、もう一杯汲むと、グラスを手にしたままベッドの端へ腰かけた。付き合ってるわけじゃないから恋愛感情はこれっぽっちもないけど、さすがに起こすことには抵抗がある。チェックアウトの時間まで寝かせてやるくらいの心の広さは持ち合わせている。備え付けのテレビの電源をつけ、音を消す。見るのはニュースばかりだから、字幕でも十分情報は得られるものだ。あとで部屋に帰ったら新聞チェックしないとな、などと思う。僕は経済紙と全国紙の二紙を契約してとっているから、きっとあの狭いポストに詰まって入っているはずだ。普段部屋にいる時は寝るのが遅いから、一紙部屋に取ってから寝ることが多い。全国紙はチラシが入るから、その分厚みがある。ああ、そういえば古紙回収にも出さないと。古紙の回収というのはいいシステムだと思う。あの新聞の束がトイレットペーパーになって帰ってくるのだから、この発想はすごい。
 あまり動きのない国内政治。与党が変わって少しだけ経済にも動きが出始めたが、それもどれだけ続くのやらといった感じだ。外国は外国で不穏なニュースに事欠かない。この下向きのスパイラルを観察するのが面白い。それが僕が大学に進学した理由だ。この理由だけ聞けば、なんて立派な学生だろうと感動する大人もいるだろう。NHKのニュースをこうしてラブホテルの一室で見てたりしなければ、だ。
 政治にも興味はあるし、世界の動きにもとても関心がある。大学を出たら、絶対にイギリスの大学に留学する。外側からも世界を見たい。外側から日本を見てみたい。そんな崇高な志もあるけれど、でもやっぱり僕は若い男なのだ。さすがに性欲すべてを知識欲に変換できるほど変態ではない。僕はとても柔軟に、自分の知識欲を阻害しない程度の相手と、適度に仲良くすることを覚えた。もちろん、僕の学問への姿勢を理解してくれる相手がいれば素敵だ。それも僕が認める中身を持ち合わせた女の子ならなおさら。

「!? うおっと」

 静かな部屋に、音の消えたテレビが流れ続け、そこに買ったばかりのスマートフォンが震える音が響けば、いくら持ち主が僕だからって驚くのは仕方のないことだと思う。
 慌ててディスプレイを確認すると、『鈴城 紗央』の文字。なんだ、紗央ちんか。
 鈴城 紗央というのは、女の子みたいな字面だけど完璧に男の子です。背がすらっと高くて、さらさらの黒髪に、母親譲りだというアイスブルーの瞳。そりゃもう毎回会うたびぶん殴りたくなるくらいのイケメンです。しかも警察官で理央ちゃんのいとこ。そんな見た目の奴公務員にしといていいのかよとか思うけど。人類のためにモデルとかにしといてやんなよ、と思ったけど、警察官のくせにコミュ障っぷりは異常で、こりゃ芸能界なんてぜってー無理だ、と思ったのは秘密だ。彼は僕がバイトしてる喫茶店の常連さんだ。その喫茶店は夜はバーになるお店で、紗央ちんはよく夜に足を運んでいた。料理はマスターお手製でもって自慢の逸品。結構それが人気で口コミの評価はいいんだけど、紗央ちんは大体毎回同じものを頼んでは眉間に皺を寄せていたので、五回目にはマスターが痺れを切らして、何か文句があるならどうぞ、と聞いたわけだ。そしたら「厨房を貸せ」ととんでもない発言を頂き、閉店後に厨房を貸してみるとマスターご自慢のチキングリルにひとつ手間を加えて更においしくなった一皿が出来上がった。だからってこんな奴普通出禁にしたっていいと思うけど、マスターは紗央ちんをいたく気に入った様子でたまに新作を振る舞っている。紗央ちんは紗央ちんで、アドバイスの代わりにたまに厨房を貸してほしいと言う。料理が趣味だけど、自分の一人暮らしの部屋じゃ満足な調理ができないかららしい。まあ、そんな感じでそれなりに親しい相手だ。ただ、こんな朝っぱらから電話もらうほどは親しくなかったと思いますけどね。

「はいはい、おはよー紗央ちん。どったの? 僕今取り込み中なんだけど」
『あ、あの、』

 仕方なしにスマホを耳に当てると、想像と違う声が聞こえた気がした。あれ、紗央ちんこんな声高かったっけ?
 ちょっと悪い予感がするけど、いやいやそんなはずないと頭を軽く振った。あれだ、ちょっと僕も疲れてるし寝不足なんだ。

「えーと、紗央ちーん?」
『あの、照井さん、おはようございます。理央です。すずしろ りおです』
「は!?」

 寝てる女の子を起こすわけにもいかないのでそれ以上のボリュームの声は出せなかったけど珍しく僕の頭の中のテンパり具合がヤバい。
 なんで紗央ちんの携帯から理央ちゃんが電話!? しかもこんな朝っぱらから!? なに、もしやあのイケメン、理央ちゃんに手ぇ出してたとかないよな新手のプレイだったりしたら確実に殺す。
 つーか何で好きでもない女抱いた直後に本命から電話もらうとかおかしいでしょこの状況!!!

「あ、あー、うん、そっか、理央ちゃんか。おはよ。なんでまた紗央ちんの電話から?」
『電話を手違いで水没させてしまって……。昨日新しいものに変えたんですけど、メモリがすべてダメになってしまったので、その』

 うん、それはよくある理由だからわかる。メモリがダメになって、だから僕の番号を知っている人の電話からかけてきたのもわかる。だが何故この時間に。

「番号とアドレスならまた送ってあげられるけど?」
『いえ、全部変わることになったので、送ってもらっても見られないんです』
「そっか、なるほどね。この電話はアドレス移してもいいかって僕に許可とりにきたわけだ」
『ええ、そういうことです。この時間ならもう起きていらっしゃるかな、と』

 ……すっかり忘れていた。相手は超絶優等生お嬢様だったということを。
 毎日の規則正しい生活。栄養に配慮した食事。一挙一動に漂う優雅さ。周りの女の子と違って、理央ちゃんはほとんど化粧っ気がない。それでも肌はきめ細かくて白くて綺麗だ。なんか特別に手入れでもしてるの? と以前聞いたら、特には何も、と答える。それなら生活習慣だろうと思って、何時に寝起きしてるの? と聞いた時、彼女はなんと答えたか。

(確か六時前には起きるって言ってたっけ)

 それならこの時間は十分活動時間になるだろう、彼女にとっては。お嬢様の扱いというのはこれだからむずかしい。

「いいよ。理央ちゃんと連絡取れなくなったら僕困るし、紗央ちんから赤外線とかで送ってもらってよ」
『ありがとうございます』
「でも、こーんな朝早くに電話されちゃあ驚いちゃうよ。僕じゃなかったら出なかったかもよ、理央ちゃん?」
『それは、……すみません。照井さんならきっと出て頂けると思って』

 僕なら、ね。
 ひらりひらりと僕の誘いをかわすのも上手ければ、無意識に男を翻弄するのも上手い。こんな子、男所帯の理学部にほっといたらすぐ食われちゃうでしょ。純真無垢な女の子を汚してみたいという男は少なくない。彼女みたいに特別美人ならなおさらだ。この僕だってそうなんだから。

「すみません、は要らないから、今度デートしようよ。次の日曜は空いてる?」
『デートならお受けできません』
「なら、君に謝罪の機会をあげる、というのはどう? すみませんは要らないけどね。新しい携帯見せてよ。スマホ?」
『あ、はい、今替えるならそっちの方がいい、って奈央――妹にも言われて。……でも、そうですね、日曜日お会いします』

 少しの逡巡の後の彼女の言葉に、僕は口角を上げる。この子は本当に真面目だ。今だって電話の向こうで、彼の言うことも一理あると言わんばかりに神妙にうなずいてるに違いない。
 こうして話している間に、ベッドで眠っていた女が目を覚ました。電話口に声でも出されたらたまったものではないので、必要なことを端的に理央ちゃんに告げる。

「じゃあ日曜ね。場所今考えるのも難しいから、11時に大学の正門前にしようか。どう?」
『はい、大丈夫です』
「ん、楽しみにしてる。……それじゃあ、君の近くに今いる紗央ちんと電話代わってくれないかな?」

 はい、という返事の後、向こうでがさがさ音がする。紗央ちんが席を外してたとかそんなところだろうか。

「よーじぃ、どこの女と喋ってんの?」

 こっちはこっちで、起き上がった女が少し掠れた甘ったるい声で僕を呼ぶ。僕が返事をしないままでいると、後ろから僕の首に腕を回してきた。
 うん、なんていうか、勘違いされるのはやっぱり我慢がならないよね。

「――本命と」

 君なんかと違って優しくて綺麗で透き通っている、僕がまだキスもできない本当にきれいな女の子だよ。
 




2013.05.10(Fri) | 青薔薇 | cm(0) | tb(0) |

点呼どんが巨人パロすると聞いて
やるなら全力で乗っかります。


エレンが梶くんなので、きっとエレンはキノだろうなと思いつつ。
原作一読しただけだと兵長なんで人気なのかよく分かんなったけど、何となく読み返したら爆発した。1hydeくらいしかないくせに、この男……!
まあああいう戦い方だから、有能な人はすべからく小柄なんだろうなとも思います。あんまりでかいと立体機動ってうまく使いこなせそうにないし。空か。空の出番か。
英彦さんはなんとなくエルヴィン団長ポジションあたりにいたら敬礼する。
そしてハンジさんのテンション壱郎くんじゃね? と思ったけどそしたら貴久先生が巨人という存在すべてを包括するサムシングになりそうなのでやめておきます。ハンジさん女性なら瑶子さんでもいい。
うちのキャラこの世界観に合わなすぎて吹くwww
エレン→キノ、エルヴィン→英彦さん、リヴァイ(身長のみ)→空、と思ったら何か新しいものが生まれそうな気はします。したらペトラに奈央を推しますね。
医務局的なところに要くんがいるのは当然ですよね。
いや、兵長ポジションにケレスさんとかシーマスさんとか絶対カッコいいけど、兵長は160cmで三十路だからいいんだよ、身長高くてイケメンじゃそれ何か別物だよそれもおいしいけど、という私見。
冬二くんはライナーじゃないんですか? ポジション的に。


無理やり考えるとたのしいな。うちのキャラ合わないけどwww

2013.05.10(Fri) | しゃべり隊 | cm(0) | tb(0) |

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