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軽石へちま

Author:軽石へちま
基本自キャラで凄まじく妄想してみる。
隠れ家なのでBLとか黒とか暗とか主。
キャラ崩壊必至。何とも思わないけども。
妄想についてこれる人だけどうぞ。

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借りた

あまりにも気になるので、ツタヤオンラインで「クロエ」と「アンチクライスト」借りた。届くの楽しみ。
2枚頼まないと発送しないっていうんだもん……。アンチクライスト見たかったんだもん……。
あらすじ見る限り、どっちも紗央っぽいよねと思う次第。アンチクライストはエログロだけどな。うん。


アンドゥーと紗央は元々部屋が隣同士だったけど、たまに出かける時出くわしたら会釈する程度で全然仲良くないし交流もなかった。互いがどんな仕事してるかも知らない。
たまたまアンドゥーが紗央の働く洋菓子店の近くを夜に通りかかった時、足を挫いた上に靴のヒールが折れて動けないでいる紗央を見つけて、自分の靴を貸してあげる。(仲良くもないのにおぶって帰るとかいう選択肢はなかった模様)
そっからちょっとずつ仲良くなって、でも付き合う時とかも全部紗央からだといい。そういうところケレスさんとかに突っ込まれたりしないかな。
アンドゥーは一生懸命紗央の看病してても、紗央がアンドゥーのために別れ話持ち出したら、嫌だ嫌だって気持ちももちろんあるのに、紗央がそう言うならって身を引いてしまいそうなんだよな。


山中ヒコの「エンドゲーム」面白かったです。ほんと、たいへんツボでした。
ほぼそっくりシュタゲルートのタっくんと炎而くんでした。


よし、そろそろ寝よう。
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2013.11.30(Sat) | しゃべり隊 | cm(0) | tb(0) |

こんな町っぽいのが見たい 【追記】
よざかる主題歌が似合うような世界が見たい。
リベリオン考えてパンクしただけなんて言わないよ!!!
日常生活っぽい中に、変な人が結構いるような世界。微妙にみんなと関わってたりするけど決定的に大きく動くことはなかったみたいな世界。
取りあえず、アパート住みと一軒家住みがいるってとこまで決めた。
ちょっと兄弟ご近所から設定引っ張ってきてるところもある。

<アパート住み>
●201号室
千咲:美人で成績優秀、女子バスケ部のホープで運動神経抜群。ということ以外は普通のJK。2年生。本筋通りクールな性格で感情の変化が表情からあまり読み取れない。兄の穂積と二人暮らしで、兄貴はウザいと思っている。
穂積:千咲の兄。千咲の学校で政経の先生をしている。チャラいおにーさん。妹がパーフェクト美人すぎて心配。血のつながりがあるかどうか心配。

●202号室
慎吾:千咲たちの隣の部屋に引っ越してきた。1年生。バスケ部。挨拶に来た時に千咲に一目惚れする。狩人(吸血鬼狩り)の一族で、兄と共にケレスたち兄弟(って分かるのは調査した後で、仕事としては“この土地に住む純血の吸血鬼を狩る”こと)を狩るためやってきた。運悪く突入時に居合わせた千咲を助ける。
空:慎吾の兄。狩人の一族の長男として生まれる。千咲たちの学校で新任教師として世界史を教える。
恋人の奈央が昔吸血鬼の血を与えられ、吸血鬼として生きざるを得なくなったために、狩人でありながら吸血鬼に自らの血を与えて生かす生活をしている。

●403号室(どこぞの映画の設定パクってます)
アンドゥー:英語の教師をしている。恋人の紗央と同棲しているが、紗央が奇病に冒され、看病の日々が続いている。花がそばにあると病気の進行が遅くなるため、給料はほとんど薬や花に消えている状況。花を買うのは高いので、近所に住むケレスたち兄弟の屋敷の庭で花をたくさん育てているところに目をつけ、譲ってもらっているが、その見返りに緊急時には血を分け与えている。
紗央:元々はアンドゥーの隣の部屋に住んでいたが、病気に罹ったことで自分ひとりでの生活が困難になったため、同居の形をとるようになった。それまでは近くのケーキ屋でパティシエールとして働いていた。アンドゥーが自分の生活費を切り崩して自分の面倒を見てくれていることに心を痛めており、アンドゥーのために早く別れたいと思っている。

●104号室(どこぞのBLノベルの設定パクってます)
真紘:大学2年生。人の心の声が聞こえる。その為少し人間不信気味。たまたま出会って助けた女の子がなんだかよくわかんないけど天使レベルでいい子だったので、少し気になってる。2階に住んでる教師やってるチャラい男が、会うとなんか馴れ馴れしいから苦手。

●107号室
瑶子:このアパートの大家さん。自称魔法使い。実際も魔法使い。紗央の奇病のもとになったものを作ったのが瑶子さんとかね。この土地を守る魔法使いって言うか魔女みたいなものだったけど、時代の流れに応じて今はアパートの大家さん。やんちゃな吸血鬼兄弟がやってきたもんで、ちょっとおばちゃんじみてきている。
理央:瑶子さんのお世話係。瑶子さんが暴走しがちなのでおさえる係。副業として学校で理系科目教えている。専攻は化学だけど生物や数学教えることが多い。

仲がいいのは千咲さんとこと慎吾のとこ、アンドゥーのとこと瑶子さん。真紘は割とぼっちだと思う。
親に金があるから広めのところで一人暮らししてるんでしょう。
ドラマとか漫画だったら紗央に子供ができちゃってて、でも自分はいつまで生きられるかわからないからアンドゥーを自由にするために、妊娠したこと告げずに別れ話するとかありそうだけど。この子はあたしがちゃんと連れてくから、って紗央ガチで考えるもんなあ……。
給料ほとんど使って、少しでも紗央を楽にするために毎週毎週大きな花束買って帰るアンドゥーまじアンドゥー……。


<外に住んでるひと>

●ケレスさんたち4兄弟
兄弟ご近所の4人。純血の吸血鬼一族。でも別に日光がダメとかいうわけじゃないしニンニク料理も食べるけど、それが何か? みたいな感じ。唯一、純銀の弾丸でだけ殺せるとかで、空と慎吾は協会からそういうの支給されて携帯してるといい。
アパートから少し離れた大きなお屋敷に4人で暮らしている。庭ではたくさん花を育ててる。薔薇が多い。
日光はダメじゃないけど、あんまり長く浴びてると疲れちゃって血が必要になるとか適当な設定でいいか。
アンドゥーが花を分けてほしいって言った日がたまたまそういう日でケレスさんに血吸われて不味いとか言われるとか、もしくは流風が体調崩しててどうしようもないとかそんなんでもいい。
ケレスさんと貴久さんはせっかくだから先生していてもいいと思う。下二人は学生。
アンドゥーだけが知ってるとかいいじゃないか。

●要君
町医者。瑶子さんと古い付き合い。魔女との付き合いってくらいだから本筋レベルで不死なんだろうねこの人。
よく瑶子さんが要君のクリニックに足を運んで、世間話を延々しているといい。
黒猫の叡一くんと一緒に住んでるといい。

●タっくん+風哉くん+炎而くん
タっくん狼男で、日没以降だけ人の姿に戻る。昼間はでっかい狼。
風哉くん炎而くんは安定の孤児双子で、ガキの頃にタっくんに拾われたとか。
タっくん人間で双子が狼でも可愛いな。どっちでもいい。捨て子の双子拾ったはずなのに、夜が明けたら子狼になってたとかもふもふで可愛いな。でっかい狼もいいんだけどな。
ちょっと離れたところにある薄暗い借家に住んでる。
タっくんに警官させようと思ったら子供が狼のがいいな。じゃあ双子が狼で。

よく鼻が利く双子可愛いと思います。ケレスさんとこの屋敷の近く歩くときはいつも警戒してるとか。
慎吾たちが越して来てから均衡が崩れて、それまで平和に暮らしてたけどどたばたし始めるのがいい。千咲さんもちょっと巻き込まれて、慎吾が体張って守る。最初和輝さん出そうと思ったけど、慎吾がかっこよくならないと面白くないのでやめた。
奈央を襲ったのは雑魚吸血鬼(しかも変な嗜好をお持ちだったため、血を飲まされた)だったからそいつは即空が狩ってると思う。ケレスさんたちを憎く思うのはそれが純血で真祖だから。こいつらがいなければ奈央が苦しむこともないのに、って思ってる。
でも空さんはいつも安定の空さんなので、いざとなったら自分が吸血鬼になる覚悟もあるし、そうなったら奈央を生かすために慎吾殺す覚悟もできてるんだろうな。
真紘はタっくん+双子と関わるようになって、それから紗央とアンドゥーの大事な局面で力を使えるといい。
天使はもちろん水希ちゃんで。



やっぱりアンドゥーをちょっと書きたいなと思うのと、穂積千咲きょうだいがウザそうwww

2013.11.29(Fri) | しゃべり隊 | cm(0) | tb(0) |

Re:light ③



「執政官殿はどちらに」
「はあ、今は休暇中です」
「……どうしても口を割るつもりはないのか」
「ですから、休暇中ってちゃんと割ってるでしょう。執政官殿は休暇中です、三四日帰らないと聞いています。お休みの日の行動までは聞いてません。ていうか、俺より余程立場が上なんですから、ご自分で本人なりスルタンなりに確認すればいいのではないかと思うのですが? 将軍閣下」

 ケイが首都を飛び出した二日後、執政官不在の執務室の前で、二人はそんな押し問答をしていた。かたや執政官であるケイの留守を任されたハイパー平兵士のシキと、渦中のお相手である将軍職のヒロである。将軍が訪ねてくることは予期していたとはいえ、慣れた相手ではないのでシキは内心冷や汗ものだったが、単に下手に出るだけ、という対処法はシキの性格上難しかった。そしてひとり心の中で呟く。とばっちりだちくしょうめ。
 望んでもいないのに側近まがいの扱いを受けているのがまずかった。これだけ近いのだから、シキがどの程度ケイのことをわかっているのか、それをヒロも見通しているのだろう。行先は教えられていなくても、ほぼ確実に推測はできるだろうと。ケイの行先は聞かされていない。これは本当だ。しかし確かに推測はできている。ケイは、砂漠へ向かったのだ。砂漠にいる盗賊に会いに行った。それが何を意味しているのか、ヒロに知れればどう思われるか、ケイがわかっていないはずはない。今この時にすることが好ましくないことも重々承知だろう。将軍が目くじらを立てるのも当たり前といえる。シキだって、止められるものなら止めたいのだから。

「状況は分かっているだろうな、君も」
「はあ、すんません下っ端なもんでぼんやりとしか理解してないんスけど」
「今の状況でなくとも、国の最高権力者である執政官殿が“側近も知らないどこか”へ行くことが褒められたことと言えるか」
「すんません、俺側近じゃないですし。だから休暇中って言いましたよね。休みなら、俺みたいなガキに言伝しにくいようなこともあるんじゃないスかね。わかんないスけど。俺下っ端だしガキだし側近じゃないし」

 分厚い扉に平気な顔で寄りかかれるのはシキくらいだ。他の兵士たちは皆、元騎士で元軍人の執政官サマに畏敬の念を抱いているようだった。そんな畏れるような相手ではないのに、とシキは思う。ケイは異教徒ではあったけれど、ここ数年のごたごたが落ち着いてからは改宗して中身もこの土地の人間になった。異教徒だったからといってもともとそこまで粘着的にこだわる土地柄ではないが、故郷では城に仕える騎士だったというのが幻想の原因だろう。騎士様がなんぼのもんだというのか。この国でもケイは馬に乗って駆けていたではないか。

「……で? 用事、なんなんですか? 必要があれば伝言しますけど」
「いや、結構だ。………戻ってくれば嫌でも結論が出る。世論も俺を支持するだろう」

 立派な捨て台詞を用意して踵を返した将軍の背中を眺めていると、シキの口からふと言葉が飛び出た。

「アンタは“執政官殿”を信じようと思ったことはないんスか」

 言おうと思ったわけではない。けれど出てしまったものは仕方なかった。自分でもぎょっとする。
 ヒロはやはり立ち止まって、振り返ると睨むようにこちらを見た。将軍閣下に凄まれて委縮しない兵士などいない。無論シキも一兵卒としてぶるりと身がすくみ上る思いだった。しかし、ただの兵士ではないハイパー平兵士のシキにはただ委縮するだけなんて、そんな殊勝なことはできないのであった。扉から背中を離して相手と対峙する。

「あの人が信じるに足る行動をとっていないだけだ」
「ならアンタはとってるとでも?」
「十分だろう。この国のために戦って死ぬ覚悟がある、それを国民も知っている」
「執政官殿にその覚悟がないとどうして思うんですか。第一、他の国からやって来て、慣れない土地で軍人やらされて、将軍までやった。アンタもそれは近くで見てるはずだ。引き上げられて政治やってる今でも、まあそりゃあ抜けたとこはある人だけど、剣振り回して馬で駆ける。砂漠が砂嵐だっつっても、遠くで何かありゃ駆けつける。なんやかやあったけど、元の信仰も捨てて改宗だってしただろう。盗賊とやりあって腕片方なくしたのはどうかと思うけど、それだってあの人の個人的な問題だ。本人がそれでいいっていうし、能力が激減したわけじゃないし、そもそもアンタらはあの人に文官になってほしいんだろう。上等じゃないか、目くじら立てるようなことじゃない。執政官殿がどれだけの覚悟を持って日々へらへら生きてんのか、アンタは少しの想像もできてないんだ。あの人が自分と同じ感情で動くのを当たり前だと思ってる」
「っ」

 ヒロがぐっと息を詰めた。殴られるかと思ったが、どうも動こうとはしない。

「まあ、ごもっともだとは思うし、俺だってアンタと同じ気持ちではあるよ。けどさ、アンタや俺と同じものさしではあの人はちゃんと測れない。だから俺やアンタは、あの人の中身を信じるしかないんだ。形にすることはたくさんやってるだろ。今の状況は褒められたモンじゃないけど、それだって自分が一番理解してる。今必要だからそうしたんだろう。何らかの形で答えは出しますよ、多分」
「……君は、言う割にあの人のことを理解しているようだ」
「違う。アンタが見ようとしてないだけだ。あの人は隠すってことをしようとしないから」

 シキが知っているのは、ケイが何も隠さないということだけだ。元々異国の騎士をしていて、この国に来てからの経歴なら知っているけれど、どうしてケイがその思いに至ったのかまで、詳しいことは知らない。そういう人間なんだと思うことにしている。開けっぴろげで、難しいことは考えていないように見えて、たまに仕事を抜け出して、自分のしたいようにしているし、けれど相手のしたいことも尊重している。無理なことは言わないし、そう主張すれば汲んでくれる。ケイは隠さない。あとはどう受け取るかの問題だ。
 今回のことも、休暇だというからには休暇を満喫して帰って来るのだろう。戻ってきたときには必ず執政官としての仕事を遂行する。

「……それでも、俺は今回のことを易々と見逃すわけにはいかない。これは俺だけの問題じゃない、奴隷達の命がかかっている。この国の基盤がかかっているといってもいい」

 若い将軍は崇高な決意のもと、真っ直ぐそう言った。将軍とはかくあるべきだ。ケイがヒロに一目置いているのも、こうしてしっかり芯が通った人間であることを分かっているからだろう。

「このままアンタがあの人をまるで理解しなければ大虐殺が起きるわけでしょう。それはそれで国政に関わると思いますけどねえ」
「賛否両論はあるだろうが、それが正義だ」
「賛否両論の否の皆さんを宥めすかすのは執政官殿のお仕事ですからね、この部屋の書類がどれだけ増えようと、主不在の日がどれだけ増えようと、アンタには関係ないってわけだ」

 シキの言葉に、ヒロは口角を上げた。これはまずかったかもしれない、とちらりと心の隅で思ったが、やはり出てしまったものを取り下げることはできなかった。ふん、と鼻で笑った後、ヒロが口を開く。

「そうだと言ったら? 俺は俺の仕事をする、彼は彼の仕事をする。結構なことじゃないか」

 さっきこの部屋に来たばかりの時とはいささか表情が変わっている気がした。割り切ったような顔だ。ヒロの言う『自分の仕事』とは盗賊たちを討伐することに他ならない。命を賭けてそれを遂行すること。悪を残らず刈り取ることで、自らの正義を遂行する。
 ケイとヒロが分かりあえないのは、下につく人間として困るのだ。ケイの奔走が徒労に終わることは一番あってはならない。

「執政官殿が何言っても聞かないってんですか。そんなの理性ある人間のすることじゃないっスよ」
「なら獣だと? ――軍師の好きそうな喩えだな、結構な褒め言葉だ。執政官殿にはぜひ居心地の良い檻を用意してもらいたいよ」

 アンタを囲う檻なんてどれだけの意味があるもんやら――と喉元まで出かかったが、それは飲み込んでおいた。自分とヒロとの喧嘩にするつもりなど少しもないのだから。
 幾分か晴れた表情で今度こそシキに背を向け廊下を歩き出したヒロが、数歩進んで足を止めた。何事かとシキも動かずにいたが、相手が振り返る様子もない。

「勘違いするな、俺は“理のある”上の決定には逆らわん。期日より前に動くつもりもない。だが筋が通らないのなら、お望み通り獣となってやろうじゃないか」
「執政官殿には超合金の特製檻と頑丈な錠を五万個ほど用意して待ち構えるよう伝言します」
「面白い。ぜひそうしてくれ」
「優秀な猛獣使いにもよろしくお伝えください」
「そうしておこう」

 ヒロのブーツの底が音を立てる。少しずつそれが遠ざかり、角を曲がってその背中が完全に見えなくなると、シキは急いでケイの執務室に飛び込んだ。心臓が早鐘を打っているのがわかる。ばんっ、と大きな音を立てて扉を閉め、内側から扉にもたれてずるずると座り込んだ。寿命が縮んだ。間違いなく二十年は縮んだ。殺されてもおかしくない状況だった。今生きてるのが奇跡だ。
 将軍は話があってここに来たのだ。先日のことがあったから、もしかしたら少し冷静になって話をしようとしたのかもしれない。それでも、ケイがここにいる確率は少ないこともわかっていただろうから、賭けのような感じでもあったろう。もしケイがこの場にいれば、わざわざ砂漠に行かずとも解決策を生み出せた可能性はあった。とても低い確率ではあっただろうが。
 なんでこういうときに出かけてるんだよアンタは。大きなため息をつきながら、もう一度あの言葉が口を突いて出た。

「とばっちりだ、ちくしょうめ」



2013.11.22(Fri) | rebellion | cm(0) | tb(0) |

Re:light ②



 暗がりの洞窟に、ぼんやり灯る頼りないランプの明かり。浮かび上がる金髪の盗賊の表情はいつも通り最悪のものだったので、ケイは安心して微笑んだ。

「――君に話があるんだ」






 来る途中で突風が吹き、彼らのアジトにたどり着いたのは深夜のこと、賢い愛馬のおかげでなんとか無事にたどり着くことができた。外套は砂まみれだが、乾いているので払えばなんとかなるだろう。馬は十分褒めてやって、外に繋いである。水と野菜はここにあるものを少し貰うことにした。馬を使うのだから最初から考えておかなければならなかったのに、ケイ自身余程急いていたのか、馬の食事のことをすっかり忘れてしまっていたのだ。これは大きな借りである。
 片腕で外套を脱ぐ。慣れるまで相当かかったが、今では腕をなくす前と同じように洋服の脱ぎ着はできるようになっていた。これを掛けるだけなら問題はないのだが、大きな外套の砂をしっかり落ちるように払うには、相当の力が必要だし、左右の方向で持ち上げないと、裾が地面に着いてしまって元も子もない。数度試したがどうしても裾が砂に突っ込んでしまうので、これはもう諦めるほかないだろうと思っていると、見かねたケレスが何も言わずケイの手から外套を奪い取り、ばさばさ数度大きく振って砂を落とした。ぞんざいに放られた外套を受け取ると、もう一度袖を通した。ありがとう、というケイの言葉に、ケレスからの反応はない。

「この前、馬車が襲われた事件があったんだけど、知ってるよな」

 盗賊の情報網を舐めているわけではない。特にケレスとヒサの二人組は、町の情報通でも得ていないような情報を元に仕事をしていたりする。今回のはそれなりの規模の事件だったから、まさか全く知らないことはないだろうという判断だった。
 ケレスは自分のグラスに瓶から酒を注ぎ、テーブルの上に瓶と空のグラスを置くとベッドの縁に腰かけた。適当な場所がないので、ケイはテーブルの目の前の椅子に腰かけることにした。
 ケレスはこちらを見ない。相手の性格からいって、肯定と受け取って間違いはないだろう。

「車を曳いていた馬は無事だった。少ないけど積み荷もあってね、それも無事だったんだ。ただ、乗っていた奴隷達と御者は殺された。酷い有様だった」

 フラッシュバックする現場の映像を散らすように、ケイは目を強く瞑って頭を振った。彼らの断末魔が聞こえるかのようだった。切断された腕や足が、砂に埋もれていく様もまた、やりきれなかった。
 奴隷達は人間だ。また、虐げられるべき存在でもない。ヒロが激怒する理由は大いにあるし、理解もできる。立場上などという冷めたものではない、人間として忘れてはならない感情だと思う。

「それで、誇り高き奴隷将軍が砂漠の平定に乗り出すと」
「奴隷将軍なんて呼び方は良くないな。……まあ、流石察しはいいねケレス君」
「誰だって見当くらいつく」

 ヒロは奴隷達の希望だ。どんな戦場も、国のために先陣を切って駆ける。何人、何十人、何百人の敵の首を刈り、必ず生きて帰る。国を生かすために、他を殺し、自分も生きて帰る。軍の長である者には一番必要で、一番難しい素養であるとケイは思う。幼い頃から戦場というものを教え込まれたあの体は、戦うために一番いい動きを知っている。将軍としてのヒロは、きっと負けないだろう。だから彼は将軍としての土俵にこの問題を持ち込みたいのだ。確実に成し遂げるためにはそれが一番だ。その圧倒的な武力でケイを圧倒するにも、それが最善というのもわかる。

「そう、将軍は殲滅作戦を提案してる。砂漠の盗賊たちを一掃するべきだってね。その考えが間違っているとは思わないけど、俺には頷くこともできない。――君を倒すべきだって思えないからなんだろうな」
「相変わらず全力で甘いな。寝首かかれてねえのが不思議だ」
「あはは、そうかな」

 甘いと言われることにはもう慣れた。別にケイは緩い仕事がしたいわけではない。今も昔も、守りたいものは確かにあったのだ。

「……異論はあるんだけど、それだけじゃ彼の決意を変えることはできない。俺が何を言ったところで、悪い方向にしか運ばない気がして」

 何を言っても、何をしても、彼女のためにならない気がしていた。
 言われるがまま国を離れたら、彼女の歩く道はいつの間にか茨の道になっていたようで、もう取り返しがつかなかった。その華奢な体を、彼女がケイを騎士として認めた剣で、串刺しにした。
 あんな悲劇を繰り返したくはないのに、どう足掻いても結末が透けて見えるようで、足が思うように動かない。

「好きにしろ。余計なことしやがった馬鹿は何度殺してやっても足りねえだろうが、同じ括りにいる以上煽りを受けるのは仕方ねえ」

 グラスに口を付けながら、ただ、と付け加えたケレスに、ケイは目を伏せた。ああ、そうだ。やっぱりだ。わかってる。

「それなりの覚悟をしてもらう。そうガキに伝えとけ」
「そう、だよな。タダで君の首が獲れるわけがない」

 ヒロがケレスたちのテリトリーに踏み込むのなら、相応の覚悟がなければならない。代わりにケレスも、ヒロが踏み込む以上は失う覚悟はするだろう。同じだけの奪う覚悟も持ち合わせて。その時何が起きるのか、ケイ自身はどんな覚悟をしていたらいいのか、わからなかった。ケレスが持ち合わせる覚悟と同等のものを、ヒロは用意できるだろうか。否、と思う。彼はまだ若い。奪うばかり、失うばかりの戦場ではそれが表裏一体のものだとまだ気づけていないに違いない。
 ケレスに狙われればヒロもただでは済まないだろう。ケレスは片目を失っている。全盛期ほどには動けないだろうが、それでもラシードでケレスの相手をできるのは今はケイかヒロしかいない。ケイは片腕を既に失っているため、ケレス同様動きはこれまでに劣る。つまり、ヒロという将軍を欠けばこの国の防衛力に関わる重大事に発展してくるのだ。それを、彼はどれほど理解しているだろうか。

「本当に他人のために動く奴なんざいねえ。俺は自分がやりたいようにやってるだけだ、そこに邪魔が入れば殺すことも大いにある、自分のためだ。それ以外に他にどんな大義名分が要る」

 ケイはその言葉に、静かに耳を傾けるだけだった。
 けして同意も流されることもないけれど、それは真実だと分かっている。
 ケレスの言葉は、ケレスの正義だ。そこに踏み入る者を彼は決して許しはしないだろう。ケイにも、自分なりの正義がある。ケレスの正義とケイの正義は今のところ交わることはないから、あれ以上戦わずに済んでいるのだ。ただ今、ケレスの正義とヒロの正義は真っ向から対立している。そうなったらどちらも剣を抜くことを躊躇いはしないだろう。ケレスにとって、ほかの誰かの正義は知ったことではないけれど、自分の正義を踏み荒すというのなら害悪でしかない。ヒロにとってはおそらく、自分の掲げる絶対的な正義以外はすべて悪だろう。
 別の正義は悪ではない。ケイはそれを知っているし、ケレスももちろんわかっている。ゆっくり噛み砕いて説明してやる暇はないから叩き斬ることで教えてやるだけで。

「……君の世界には君ひとりしかいないんだね。だから強いんだ」

 ケイにはそのように感じられた。寂しそうには見えないのが不思議だった。
 捕らわれるものさえなければ、とケイ自身思う。過去も立場も、何もなければ。空想はするけれど、それでもきっと、ケレスを同じ考えに至ることはないだろう。過去があって、立場があって、命をかけて守りたい誰かがいて、それをすべて自分のためと言い切ってしまうにはまだまだ弱いのだ。誰かのためと放り投げるのは簡単だ、自分のためと抱え込むのは剣を飲み込むほどの痛みを伴うだろう。
 宮殿を出る前にシキが言った、盗賊への憧れとは、この感情のことだろうか。憧れとも、嫉妬とも、羨望とも、どれとも呼べない、複雑な感情。
 その徹底された強さに、魅かれてしまう者もいるに違いない。ああ、いたのだ。確実にひとり、いた。保ち続けることができずに途中で心をこわしてしまった、強さに憧れていた少年がいた。

「……あんまり若い子にはさ、君の考え方は強烈すぎるんだよ。自分が特殊だって理解してる?」
「あ?」
「ルカ君が言ってたなと思ってさ。シンゴ君は君に鍛錬の相手をしてもらってたって。確かにあの子の強さは君に似てるところがあった」
「あれは強いって言わねえ」

 じゃあ何だよ、と問いかけると、痩せ我慢、と実に強烈な反応が返ってきた。

「あの子はあの子なりに、生死についてわからないなりに自分の中の道徳観や倫理観と戦わせてみたんだろう。君の持論が彼に答えを与えて、それに納得したのなら、やっぱりあの子は君の強さを引き継いでるんだよ」 

 ならばあの少年も見たのだろうか。この絶対の強さをもつ盗賊と、同じ景色を。
 その強さを身につけたなら、どんな景色が見えるのだろうか。
 くだらねえ、と吐き捨てて新しく酒を注ぐために立ち上がった相手を見る。顔の左側についた傷。これをつけたのは紛れもなく自分だ。

「俺にはきっと無理だろうけどさ。一度でいいから君と同じ景色が見てみたいな」
「お前みたいな甘い奴の見てるモンなんざ見たくねえ」
「俺のことはいいんだよ、ていうか見たくないとか酷いなあ!」

 ふっと口角を上げて笑ったケレスが、ケイの目の前の空のグラスにも酒を注いだ。それから自分のグラスも酒で満たす。

「飲んでいいってことは、今日は泊まってっていいんだ?」
「帰れっつったら帰んのか」
「四日ほど休み作ったんだよなあ、実は」
「大層なご身分だな」

 がちりとグラスを合わせると、ランプの炎が揺らめいた。更ける夜の洞窟で、明け方まで何やかやとくだらない話をした。
 けれど肝心の問題は解決してはいないのだ。時間もない。
 ヒロの正義とケレスの正義がぶつかって争いが大きくなるのなら、それを回避することができるのは、ケイの正義でしかない。スルタンも言いたいのはそんなことだったはずだ。

(――夜が明けてしまう)

 時間が少しずつ減っていく。もっと考えたいことがあるのに。
 ヒロとも、ケレスとも違う、自分の思う形が必ずあるのに、

『あんたがあたし以外の騎士になるなんて認めないんだから』

『あたしはこの国を必ず継ぐわ。必ず、平和で素敵な国を作って治めてみせる』

『だからあんたは、あたしに誓いを立てなさい。あたしに仕え、あたしのために戦って。――ケイ』

 笑顔の彼女がそう言って串刺しになるから、どうしてもそれを簡単に言葉にすることはできそうになかった。



2013.11.13(Wed) | rebellion | cm(0) | tb(0) |

Re:light ①





「――積み荷目当てではなかったと」
「あれはもう、奴隷たちを殺すことに主眼をおいていたとしか考えられません。馬車は数キロ離れた地点で行商人によって保護されています。積み荷として少しだけ乗せていた食糧の類には一切手をつけられていませんでした。馬も無傷で、――人間を殺すためだけにあの馬車は襲われたのです」

 砂漠の国、ラシードの首都、レルアバード。この地を治めるスルタンの住まう宮殿は、緊張感に包まれていた。
 戦さえなければ温厚である若き将軍、ヒロが珍しく殺気を散らしながら宮殿を歩く、その様子だけで周囲の兵士たちは恐れおののいた。殺気だけで人を殺せそうな勢いというのは大変なものである。ヒロの傍で話を聞いていたケイの脳裏に、金髪の盗賊の姿がちらりと過ぎった。
 報せを受け取ったのは今日の明け方のことだった。寝ずの番をしていた兵士がばたばたと城内を駆け、馬車が何者かの襲撃に遭ったらしいと報告しに来た。それだけなら別段珍しいことでもなく、積み荷が盗賊に奪われることもしばしばあったため、このように深夜に叩き起こされることなどまずない。問題なのは、ケイよりも先にその報せをヒロが受け取っていたことであった。彼は戦争孤児で、戦争奴隷でもあった。前任の近衛将軍に奴隷市場で買われ、スルタンの近衛兵になり、天性の武の才で戦功を立てて将軍の地位にまでのし上がった、いわば奴隷たちにとっての英雄的な立場である。普段はその片鱗すら見せないが、戦の時はケイであっても手がつけられないほどよく暴れる。そんな生い立ちの彼が、無残に奴隷たちが殺されたという報せに憤慨しないはずはなく、戦という仕事であれだけの損害を相手に与えることのできるヒロが、個人的な怒りで得物を振るえばどうなるか、容易に想像がつきそうで、ケイには結末が見えなかった。ただ、良い方向に転じることだけはありえないだろうと、寝起きの頭で手早く着替えると自らも馬に跨って現場へと急いだ。
 現場は死臭漂う凄惨なもので、その様子を見れば、今ヒロが言ったような背景があるのは明白だった。犯人は、人間を殺すためだけにこの馬車を襲った。馬や、ほんの少しの積み荷は無事だった。もともとこの件がすぐに発覚したのは馬が無事だったためだ。数キロ離れた地点で行商人が保護し、近くのオアシスまで連れて行き、そのオアシスから首都まで鳩を飛ばした。馬車はもともと首都からそのオアシスに向かう予定だったもので、その町から首都へ鳩が飛ばされた。多少の時間は経っていたが、広大な砂漠でこれだけ迅速に動けることはめったにない。十数人の奴隷達と、御者はみな無残に殺害されていた。首が刎ねられているもの、腕や足のないもの、目の抉られているもの、数人の女の奴隷は陵辱ののち殺されたのであろう。惨い、とも、可哀想に、とも、どんな言葉も選べはしなかった。それはヒロも同じようではあったが、彼の背中だけは怒りを雄弁に語っていた。
 首都に戻ってすぐに、宮殿にいるスルタンに跪き、事の説明を行った。あまり興味がなさそうに目を伏せるスルタンに、ヒロは畳みかけるように続ける。

「ついては、早急に砂漠地帯に蔓延る盗賊たちを殲滅すべきかと」
「……ヒロ君、飛躍しすぎだ」

 あまりに思い切った将軍の発言に、隣で同じように跪いていたケイは慌てて水を差す。言いかねないこととは思っていたが、本当に言い出すとは。
 ヒロは不愉快さを表情全面に押し出して、ケイを睨みつける。

「どこがですか。順当な判断です」
「まだあれが盗賊の仕業かどうかもわからない」
「はあ? 貴方ついに狂いましたか? あれだけのことをする、そんな集団が盗賊でない可能性を考えられるなんてとんだ冴えた頭ですね!」
「積み荷は奪われていない。単発の愉快犯である可能性もある」
「それは否定できません。なら執政官殿には、犯人が盗賊でない可能性を否定できる根拠をお持ちで? それでなくとも盗賊には散々砂漠を荒らされているんですから、この機会に殲滅しておくのが妥当です。今回の犯人がその中にいればなお良し、いなくても盗賊を殲滅することでうちが害を受けることなどひとつもない」

 スルタンの瞳がきろりとこちらを向いたのがケイにはわかった。床を見つめながら、考える。ヒロの言うことは正しい。ならばそれに水を差す自分は、彼にとって害悪でしかないのだろう。しかし、ただ単に殲滅作戦を取ると言うのが正しいことなのか、それはケイ自身にもわからなかった。それは単に彼の正義であって、善行とはまた意味合いが違うのではないだろうか。
 黙るケイに、言い分がないなら続けます、とヒロは今度は立ち上がって続けた。

「スルタン、どうぞ私の話をお聞きください。私は奴隷の身分を経て今こうして将軍の職をいただいております。今も城下で、どこかのオアシスの町で働く奴隷の彼らに“希望”と呼ばれることにも、“英雄”と称されることにも、及ばずながら応えられるよう尽力してきたつもりです。ならば私は当然、彼らの怒りを汲んで戦う義務があります。彼らの怒りは私の怒りであり、私の嘆きは彼らの嘆きでもある。彼らが求める結末を、私は、私だけは蔑ろにするわけにはいかないのです。また、執政官殿の実力、政治的手腕は確かなものでしょう。とても元騎士、元軍人とは思えない行動力がある。しかし一方で、その行動力ゆえに一部の盗賊とも関わりを深くしているように思います。今回の件で私の意見を否定するのも、そこから来るものかと」
「違う!! そんなんじゃない!!」

 自分のことだけならまだしも、全く今回の件と関係のない人物を引き合いに出されては黙っていられずにケイもまた立ち上がると、ヒロの刺すような殺気の矛先がこちらに向いた。
 
「ならば貴方は何故盗賊の殲滅を拒む? まさか盗賊も愛すべき国民だなどと言い出すつもりではないでしょうね? 捕らえた盗賊を逃がし、意味の分からない決闘を始めたかと思えば腕を落とされ、今度は殲滅作戦は嫌だと? そこに個人的感情以外の何があると言うんですか」

 言いたいことはそれだけだとでもいうように、ヒロはスルタンに敬礼をする。
 ヒロの言い分が正しすぎるくらいに正しくて、ケイには唇を噛みしめることしかできない。ヒロの見透かしたような薄い笑みが、久しぶりにケイに苛立ちを呼び起こした。

「――悲しいことですが、内政も軍事も最高権限は執政官殿がお持ちです。しかし今の彼の指示を私は聞くつもりは毛頭ありません。彼の言い分を無理矢理聞かせるというのなら、その時は覚悟していただくよりほかないでしょう。その半端な体で私と戦えるのなら、の話ですが。有能な政治家を失わないためにも、スルタンの英断を」

 その大柄な体躯からは、今日一日絶やさず殺気が散らされていた。スルタンが一度でも頷けば、彼はすぐに軍師とともに砂漠に飛び出し、砂を血に染めるだろう。彼ならやるだろう、それを実行する力があるのだから。そしてそれを止める力はケイにはもうないのだ。
 ブーツの底で床を叩きながら玉座の間を後にするヒロを、ケイは忌々しく見つめていた。苛立つのは無論、自分に対してだ。
 相変わらず興味のなさそうな瞳のスルタンは、くっ、と可笑しそうに喉で笑うと、「ケイ君」と声を掛けた。

「異論はあるのかい」

 その言葉に、ぐっと拳を握る。

「……異論はあります。ですが、それだけでは彼は納得しないでしょう」
「だろうね。まあ、君の言い分も分からないでもないよ。でも、ヒロ君の言い分を否定しきれないのも確かだろう」
「……はい」
「だから言ったんだ、君はとっとと文官になるべきなんだよ。半端に剣を握ろうとするから彼も怒るんだ。彼にとって君は尊敬する先輩なのだから、盗賊が今回の主犯ではなかったとしても、殲滅作戦は彼にとって利しかない。これが成功してあの盗賊を討ち取れれば、君に二度と剣を握らせる必要がなくなるからね」
「わざわざ私に新しく先割れの湾刀を下さった貴方がそれを仰るんですか」
「馬鹿だね、あれは装飾品だよ」

 普段は馬鹿でしかないのに、これでなかなか鋭いからこの男は侮れない、とケイは思う。ここで働く楽しみも見えると言うものだ。
 失礼します、とケイも敬礼をして、扉へ向かい歩き出す。

「ケイ君、ヒロ君もボクの返答を待っているようだ。読みかけの本を読み終わったら結論を出すことにしよう、そうだな、五日後くらいと思ってくれればいい。君は立場上同席してもらわなければ困るよ」
「……御意」

 重い扉を開け、部屋を出る間際でスルタンの高笑いが聞こえた。もう少し我慢してくれればよかったのに、と苦く思いながら、ケイもまた退室した。








「あんたが甘いから将軍怒らすんじゃないスか、正直に“殲滅作戦なんて面倒だから元凶だけ取りあえず倒そうよ”って言えばいいのに」
「それシキ君の本音じゃないか」
「これ以上とばっちりで仕事増えるの御免なんで。第一昇格だって望んでないし」

 諸々のごたごたを経て、気が付けば執政官付きの兵士でありながら占い師であるアキの護衛も兼ねる、ハイパー平兵士のシキは眉間の皺を隠そうともせずに、新しく持ち込まれた書類の山をケイの机に置いた。度々ケイが執務室を抜け出すこともあって、どれがどの書類やらわけがわからなくなるのを、苛々しながら整頓するのはシキの仕事である。無論、命じられたわけではない。いつ戻ってこない日が発生するかわかったものではないが、今のところケイは戻ってくればやるべき仕事はすべて片づけて帰るので、整頓してあるに越したことはないという判断だろう。その気遣いにはケイも助かっている。整頓されてなければそれはそれで適当に片づけるだけなのだが、仕事は早く片付いた方がいいに決まっているのだ。

「シキ君」
「はい」
「三、四日留守にしたいんだけど、頼まれてくれるかな」
「将軍閣下のつめたーい視線を浴びて過ごせってんですね、この鬼畜執政官」
「適当に逃げてくれればいいよ、君が悪いんじゃないんだし」
「どこも否定しないのかよ!! なんだそれ!!」

 シキはがりがりと頭を掻いて、深く深いため息をついた。それから、じとりと恨みのこもった視線でケイを見る。

「だめだっつっても黙って行くんでしょうが、あんたは。事前に報告あるだけマシですよ。どこでも行ったらいいじゃないスか」

 この問題は多分、自分だけで考えても答えが出るはずはないとケイ自身よくわかっていた。元々直感を信じて動くことが多い性質だが、今回はその直感すらない。相談しようにも、城内にいる人間には話せないし、城内の人間は皆ヒロを支持するだろう。それが当然だとケイも思う。ならば、自分の葛藤を理解してくれる人に話さなければ。そんなことをするからヒロにすべて突っ込まれるのだと分かっているにしても、今のケイにはそれしか選択肢がないように思えた。
 幸い、この短気な部下は割合ケイの行動に理解がある。呆れているともいうのかもしれないが、その面でもケイは非常に助かっている。

「あ、でもちゃんと戻って来てくださいよ。絆されて結局“俺も盗賊になります!”とか言いやがったら将軍より先に俺があんたを殺します」
「それはないって、さすがに」
「どーだか。あんた、あの盗賊に憧れてる節あるから。盗賊っていうより“世直し隊”みたいな感じありますからね、あいつら」

 つきんと痛いところを突かれた気がして、慌ててシキを見たが、当のシキはあまり深く考えて言ったものではないようで、ふあああと欠伸混じりだ。
 
「……そういう風に見えんの、俺って」
「見えます。将軍閣下も怒ってんのってそういうことでしょ多分。有能な政治家が国家に楯突く奴に取り込まれたらそりゃあ被害甚大だし、文官ってだけならまだしも、その体でまだ腕が立つんだから、ただの脅威でしかないですよ。奴隷を殺されたことにももちろんお怒りだろうけど、あんたが自分と一緒に戦ってくれないのが一番の不満なんだ。しかも、あんたはこう言い出すって最初から透けて見えてるから尚更」
「俺はそういうつもりはない」
「それが厄介だって言ってんですよ。三日四日でそれがどうにかなるなら安いもんなんじゃないですか」

 半端に剣を握ろうとするから彼も怒るんだ、とスルタンは言った。
 半端か、そうか、そうだろうな、半端な体だとヒロもそういえば言っていた。確かに、そうなんだ。でも、片腕を失って初めて、自分はここで生きる人間と思うことができたのだ。それを見越してこそ、スルタンは剣を持ち替えろと新しい剣を寄越したのではないだろうか。
 
「かならず戻るよ、シキ君」

 腰に携えた湾刀に右手で触れながら笑うと、部下は「とーぜんでしょ」と呆れたように頷いた。




2013.11.07(Thu) | rebellion | cm(0) | tb(0) |

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