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軽石へちま

Author:軽石へちま
基本自キャラで凄まじく妄想してみる。
隠れ家なのでBLとか黒とか暗とか主。
キャラ崩壊必至。何とも思わないけども。
妄想についてこれる人だけどうぞ。

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Re:light ④



 その剣をスルタンから賜ったのは、砂漠の国に戻り、改宗をした直後のことだった。まだ両腕が機能していた頃の話である。
 
『その剣を身に着けているといい。いざとなれば使えるし、両刃の剣よりこの国では力がある』
『はあ、そうなんですか』

 その剣は、今までケイが使っていたものと比べると、変わった形をしていた。まず、細身だ。そして、長い刃は途中で緩く湾曲している。最大の特徴は、その先端が割れていることだ。先割れの湾刀。使えないことはなさそうだが、慣れるまでには練習といくらかの実践が必要になりそうだった。今腰に下がっている、使い慣れた両刃の剣にそっと触れて、いよいよこれを手放す時が来たのだと、ほんの少し後ろ暗い思いを抱いたことを覚えている。
 そんなケイの思考を見透かしたかのように、スルタンは笑った。

『いや、いいんだ。手に馴染んだものを使えばいいさ。言ったろう、“身に着けているといい”と。使うのはそれしか手元にない最悪の場合だけで十分だ。もっとも、君の腕ならその湾刀だけでも十分力を発揮してくれるだろうが』
『いえ、そんなことは。……では、新たにこれを提げて歩けと?』
『そうだ。君を騎士として認め、育てた剣を捨てるというのはあまりに忍びないだろうしね。それがあれば、まだ君を快く思わん宮殿の連中も、市井も味方につくだろうよ』

 使い慣れた剣ほどではないが、こちらもやはり重みはある。刀そのものの重みというよりは、歴史や思念の詰まった重みだ。刀身と、鞘にも彫りでの装飾が施されている。もしかすると、実戦用ではなく儀礼用のものなのかもしれない。

『スルタン、これは儀礼用の剣では』
『ああ、ここしばらくは実戦で使うことはなかったよ。代々ボクらが持っていたものだからね。でもその剣は、いずれ実戦で使ってこそ真価を発揮する』

 傍らに置いたグラスを手に取ると、中の赤い葡萄酒をスルタンはくいっと一気に呷る。

『その剣はボクの“総意”だ。どう受け取ってくれても、どう使ってくれても構わない。折ってくれても失くしてくれても構いやしないよ、剣に気負う必要もない。信仰を変えてまでこの国に尽くそうという君の意思に、力ばかりあるその剣を託す。ボクが宮殿で持っていても仕方ないものだからね』

 この剣が宮殿に代々伝わる、国の人間ならまず知らない者はいない伝説の刀剣である、ということを知るのは、もう少し後のことであった。





 結局飲み明かして眠った記憶もなく意識がなくなったのはおそらく明け方ごろで、目を覚ますともう陽が高く昇っていた。俺も立場わかってないなあ、などと思いながら水場で顔を洗っていると、砂嵐が来る、と遅れてやってきたケレスが呟いた。
 ケレスが砂漠の天候をほぼ正確に予測できるという話は前に聞いたことがあったので、特別驚きはしなかったが、今空を見上げてもその兆候はまるで見られない。相変わらずの暑さ、からりと空気が乾いた快晴だ。外套をばさりと羽織りながら、ふうん、と今一度空を見上げる。ケイ自身、砂漠という場所について詳しいわけではない。こちらに来てもう短くはない時間が過ぎているが、ここで生き抜いてきた者の意見をさらりと流してしまうほど愚かであるつもりもなかった。

「時間までわかるの?」
「夕方から夜にかけてだろうな、今ここを出たらしばらく戻るのは難しい」
「そうか。……まあ、行かざるを得ないんだけどさ。君とヒロ君がぶつかるなんて不毛な戦闘は見たくないよ。後片付け面倒そうだし」

 欠伸をしながら大きく伸びをして、眠気を空に飛ばす。
 これから夕方となるとそう時間は多くない。問題はどこに向かうか、だ。

「見当はつけてんのか」

 近くの木に背を預けながら、伏し目がちにケレスが問いかければ、ケイは少し考えて、そうだなあ、と笑った。
 急いで宮殿を飛び出したはいいが、正直情報は少なすぎる。だからといって第二、第三の犠牲が出るのを待つわけにはいかない。
 
「大規模な殺戮は今回が初めてだったとすると、元は個人の快楽犯だったのかもしれない。今回のは城下からの馬車だったのもあるし、被害の規模も規模だったからね、情報の回りが早かった。これが、行商人ひとりが殺されただけ、って事件だと俺たちの耳にはなかなか入ってこない。場所によっては誰にも気づかれない場合もあるし、誰かが気づいて回収したとしても、役人でもなければわざわざ宮殿に情報を上げたりしないからな。ケレス君は、最近この辺で他殺体を見たことは?」
「特別意識して死体なんざ見るかよ」
「注意力散漫だといつか足元掬われるよ」
「そこまで落ちてねえ、馬鹿にすんな」

 結局、この砂漠ではケレスたちだけに留まらず、盗賊と呼ばれる連中が幅をきかせている。それが隠れ蓑になっているのだ。あの惨状を見るに単独犯とは考えられないから、集団で馬車を襲い、中の奴隷達を気の赴くまま殺している。そこに至る前に、その集団は個々が殺人なりそれに準じたことをこの砂漠でやっているはずなのだ。砂の海にどれだけ死体が増えたところで役人は動かない、やりたい放題できることがわかって、調子に乗っているといったところだろうか。ケイが宮殿を出たことで、表立った捜査は宮殿の方ではまだ何もしていないだろう。宮殿からの命がなければ、この近辺の町に常駐する役人も動かない。追っ手のない、この空白の時間で犯人は味をしめているだろう。となれば、都合のいい標的が現れれば近いうちに必ず行動を起こす。
 都合のいい標的が、高確率で出入りするであろう町。ケイはそこまで考えて、ちらりとケレスを見やった。視線に気づいたのか、ケレスもまた横目でケイを見て、息をつく。

「港町だろうな」
「そうだな、同感だ」

 宮殿のあるオアシスは最大規模だが、首都のど真ん中であるため、役人も多い。好んでそんなリスクを負うことは考えにくい。ならば、荷の出入り、人間の出入りも多い町。単にオアシスの町なら人間の出入りは多いだろうが、荷馬車を用いた出入りが激しいのはやはり港からのルートだろう。これが終わって宮殿に戻ったら早急に整備に取り掛かるべきだ。
 
「ここから港町まではどれくらいかかる?」
「一般的なルートをとれば半日だな。お前の腕なら多少縮まるだろうが、それでも今からじゃ嵐に捕まる」
「君がそう言うならそうなんだろうな。……それで、一般的じゃないルートを取ると、どうにか嵐に捕まらずに町まで着けると?」
「馬の力による。でかい砂丘を速度落とさずに越えられればその分早くは着く」
「あいつは俺とセルセラの山を越えてきたんだ、どうってことない」

 ラシードとフィンブルヴェトの国境にそびえる山脈。あの山々を共に越えてきたのだから、砂丘のひとつやふたつは脅威ではない。
 問題があるとすればケイの左腕が足りないことくらいだが、そんなものは今は問題ではないし、馬も問題と捉えてはいまい。
 外套のフードをかぶると、こもるような熱気に思わず苦笑した。

「悪いけどケレス君、案内役頼めないかな」
「対価がねえと話にならねえな」
「対価?」

 うーん、と顎に手を当て、数秒悩んだケイは顔を上げると悪びれずに極上の笑顔を見せた。

「君の右眼を守ってあげるよ」
「宿代と酒代、あとは馬の餌代と手間賃まとめて後で請求してやる」
「うわ俺の提案無視だな!?」
「持ってった奴に守られるなんて笑い話があるか」
「名案だと思ったんだけど」
「全力で甘いんだよてめえの思考回路は」

 そう言ってケレスは近くに掛けてあったマントを手に取るとその肩に掛け、歩き出した。迷わずにその背を追う。
 さあ、出立だ。
 本当は、まだ頭の中がまとまりきらないで蟠っている。どうしたいのか、どうすればいいのか。
 スルタンの“総意”に応える行動を、とれるのだろうか。
 使い慣れた両刃の剣と、その傍に携えた湾刀の鞘同士ががちゃりとぶつかって、音を立てた。



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2014.01.31(Fri) | rebellion | cm(0) | tb(0) |

一応メモ

アンドゥーと紗央に瑶子さんブチ込んでやかましくなる話。



・アンドゥーの部屋の給湯器が故障してお湯が出なくなって、冬場なのに風呂に入れず困る
・仕方ないので紗央の部屋の風呂貸してやる
・ちょうどアンドゥーが風呂から上って、よくあるお決まりの「ほら髪ちゃんと拭けてないじゃない」からのタオルドライサービスイベント
・の途中で瑶子さん襲来。アンドゥーを部屋に上げたあと玄関の鍵閉めるの忘れててあろうことかノーインターホンで乱入
・第一声は「同棲始めたなんて聞いてないけど!?」です
・そのあと軽い自己紹介でもって「あなたの街の地獄耳! ドクター照井 瑶子です! 瑶子さんって呼んでね!」というあなたの街ってなんやねんお前今イギリス住まいやん、というツッコミ
・「君のことなんて呼べばいいかなあ? 紗央ちんは紗央ちんだしー、奈央ちんは奈央ちんだしー、うーん、圭ちゃんとかでもいい気がするけど、あ、紗央ちんの視線が痛いので安藤くんにしますね、あんどー君!」「は!? いいわよ別に呼び捨てだろうとなんだろうと好きなように呼べばいいじゃない!」という茶番
・一通り自己紹介が終わって突然そわそわしはじめた瑶子さんに「何よ」って紗央が声かけると突然気まずそうな顔するので更に問い詰める
・「えっと、大きい声で言っていい? ちょっと想像したのよりずっとぱっとしない感じだったから面食らっちゃって」「それなんでわざわざ大きい声で言うわけ!? なんで了解とろうと思った!? ていうか了解取る前に話し始めてるし!」という漫才
・アンドゥーはアンドゥーだから若干へこみつつ、「いやぱっとしないのは本当だし」とか言うけど、この女ども「そうだよねー、ほら本人わかってるー」「そりゃそうかもしれないけど……」とか言うからほんとこいつら
・「ごめん圭一、こいつ見てわかる通り面食いだから」「そう、面食いなんです!」「なんで謝られるのかわかんないし面食い連呼されると死にたくなるんですけど」という漫才にアンドゥーも参加
・「ほらほら、だってさー、紗央ちんの思い出の彼の顔面偏差値はきっと80越えなんだろうなあって私の期待値がね! 高くてね! だからそんな紗央ちんの次なるターゲットはもっとすごいのではなかろうかと!」「そんなわけないでしょ!」「あんたら精神攻撃で俺を殺す気だな!? そうだろ!?」と更に参加
・でも実は瑶子さんとかにタっくんの思い出話してるってことを知ってちょっと複雑なアンドゥーがいたら俺得
・「で、なんで急に帰ってきたのよ」と紗央に聞かれて、「え、日本のドラマ面白いからちょっとツタヤに入り浸って一週間ガチでドラマ鑑賞しようかなと」「え、それ俺も混じっていいですか、地味に見たい」「……何地味に参加しようとしてんのよ圭一」「いや、だって紗央さんと見るの映画ばっかりだし、洋画だしアクション多いし」「ほほーう、ダメじゃん紗央ちーん、洋画はいいけどラブストーリーにしなきゃいいムードにならないよー?」「うるさい馬鹿黙ってて!!!」みたいな天然アンドゥーと茶番コンビ


まあ紗央のとこには顔見に来ただけで、泊まるのは双子のところなんだろうな。
だから数時間で帰っていくんだけど、瑶子さんが理央の彼女って知るのはその後でもいいかな。


「……あの人何なんですか、すごいテンションでしたけど」
「え、理央の彼女。知らなかったの?」
「は!? …………あ、あー、……でもなんか、わかる」
「でしょう」
「面食いだし、賢いし、理央先生振り回されてそう」
「あんなだから遠恋でも続くのよ、理解できないけど」

アンドゥーは理央に彼女がいることは知ってても実際名前聞かないし写真も見たことないから、実在しないんじゃないかとちょっと思ってたりしてな。
まあいい。寝る。メモ楽しい。

2014.01.17(Fri) | しゃべり隊 | cm(0) | tb(0) |

花が咲いたその先で




 幼い娘の手を引きながら、商店街を歩く。夕暮れの賑やかさに娘のみのりは色の違う両目を輝かせてきょろきょろしている。娘のそんな元気な様子を間近で見るのが、母である紗央にとって唯一の生きがいとなっていた。
 実家は元々宝飾店を営んでいた。それなりに大きな会社で、両親はいつも海外で仕事をしていた。顔を合わせることがほとんどなかった両親を顧みることなど、若く思慮に欠けた紗央ができるはずもなく、学生の頃はろくに勉強もせず夜は出歩いてばかり、本当にろくな娘ではなかったなと自分でも思うほどだ。もしみのりがあの頃の自分と同じ生活をしていたなら、間違いなく頬を叩いて矯正させる。そうするのが親の仕事だ。

「おかーさん、きょうはね、ねんどあそびした」
「そうなんだ。何作ったの?」
「ねこ! せんせいにもね、ほめられたの。かわいいねって」
「そっか。みのりはねんどあそび上手だもんね」
「うんっ」

 夕飯はシチューにしよう、と冷蔵庫の中身を思い出しながら紗央は考える。確か鶏肉がまだあったはずだ。にんじんも野菜室にまだある。

「みのり、夕ご飯シチューでもいい?」
「うん! おかーさんのごはんおいしいからなんでもいい! みのり、すききらいしないよ」
「そうだよね、みのりはぜーんぶ食べてくれるもんね。えらいえらい」

 えへんと胸を張って誇らしげな娘を、心の底から愛おしいと思う。
 こうして母子ふたりだけの生活になったとしても、この子を産んだことだけは後悔しない。するわけがない。






 この六畳一間のアパートは、一人で暮らし始めてすぐ借りた場所だ。家賃は安く、今のところ騒音もなく、不便はない。
 キッチンでシチューの用意をしている間、みのりは部屋の隅に置いているテレビを見て大人しくしている。人並みにぐずることはあるけれど、聞き分けは良い子だ。それに、空気を読むのが上手い。紗央がストレスで苛立っているときは更に苛つかせるようなことは絶対しない。偶然かもしれなかったが、そんなみのりに紗央は感謝している。
 高校在学中の頃からだ、親の目がないのをいいことに、男と同棲していた。料理は得意だったし、家事も嫌いではなかった。反面、相手の男は家事が壊滅的だったから、ちょうどいい関係が成り立っていた。それがみのりの父親で、妊娠がわかったのは高校の卒業式目前のことだった。紗央なりに男のことは心から愛していたし、欠点も多々ありはするけれど、それすら大事だと思えるほどの相手だった。相手からも、嫌われていたとは思えない。愛情表現は過多なくらいだったし、とてもいい関係が築けていたと思ったのに、子供ができたとわかった途端に男は掌を返して紗央を部屋から追い出した。その時のことは今でも忘れない。二月も下旬のまだ寒い日だった。手近な鞄に紗央の服を手あたり次第詰めて、紗央に押し付けて扉の外へ追い出し、「めんどくせェもん作りやがって」と吐き捨て、目の前で扉を閉めた。
 ――あたしひとりでつくったものじゃないのに。
 そう思って唇を噛みしめ男のアパートを離れ、歩きながらどれだけの涙をこぼしただろう。道行くひとには奇異の目で見られ、それでも止めることなどできなかった。作りたくてつくったわけじゃない、とはどうしても思えなかった。腹の中に宿る、この子の存在を知って自分は心の底から嬉しかったのだ。一緒にいる家族ができるんだと。

「おかーさん、おてつだいする?」

 見ていた番組が終わったのか、黒髪を揺らしながらみのりがこちらにやって来る。その頭を軽く撫でてやりながら、そうねえ、と紗央は思案する。何を手伝わせるにもまだ幼い。

「じゃあテーブル拭いてくれる?」
「はあい! あ、ちがう、がってん!」
「ふふ、なにそれ」
「ほいくえんでね、おとこのこが言うの。がってん! って」

 思ったよりボーイッシュに育っている娘は、一体どんな風に成長していくのか、今後が楽しみだ。濡れぶきんを手にぱたぱた忙しそうな娘のために、急いでシチューを煮込んでいく。
 男の部屋を追い出された紗央が行く場所など、あとは実家しかなかったが、本当に運の悪いことに紗央の不在の間に帰国していた両親が、何故不在にしていたのか理由を問いただした。学校はどうしていたのか、食事は、寝場所は、などなど。詰問されるままに答え、ついには妊娠していることも告白した。両親は激怒し、未成年に手を出すような男の子供など産むなと怒鳴った。それだけはできないと抗えば、今度は実家さえ追い出された。勘当というやつだ。幸い高校の卒業資格はもらえたので、選ばなければ働き口はある。――身重の体でできることなどたかが知れてはいるだろうが、それでもやらないわけにはいかなかった。子供を死なせることだけはしたくなかった。
 高校を卒業したとはいえ、お世辞にも賢くはなかった紗央ができる仕事などたかが知れていた。一時期は調理師の資格も取ろうと思っていたけれど、金銭的にも時間的にもそんな余裕はなかった。ファミリーレストランのホールの仕事をいくつか掛け持ちして、昼も夜も働いた。いくらか補助が出るにしても、自分のこれまでの貯金だけでは心もとなすぎる。
 このアパートはその頃から借りている。大家も理解がある人で、とても助かった。病院で無事みのりを出産し、退院してもすぐに仕事をせねばならず、みのりを預ける保育園も探さなければならなかった。仕事をしないと育てていけないし、家賃も払えなくなる。お金がないからといって生まれたばかりのみのりを放置していけるはずもない。みのりが乳児のうちは、正直何度も何度も頭を抱えた。
 もっと、この子を産んで育てていくのに、上手いやり方があったのではないだろうか。彼に捨てられることがなければ、父親のいない生活を強いることもなかったんじゃないか。両親ともっと真面目に話し合っていれば、少なくとも今ほどの寂しい思いも肩身の狭い思いもさせなかったのではないだろうか。自分の考えの浅さがみのりをどんどん不幸にする気がして、それでもみのりを手放すことだけは考えられなくて、みのりをきちんと育てていくためだけに、本当にがむしゃらになって働いてきた。食費に裂ける金額は多くないけれど、その中でもできるだけおいしいものを食べてもらえるように、家でもたくさん工夫をした。紗央がすることを全部みのりは喜んでくれて、辛い時は助けてくれて、そばにいてくれて、ああそうだ、こんな家族がほしかったんだとひとり嬉し涙を零したこともある。

「おかーさん、テーブルふけた!」
「うん、ありがとう……」

 嬉しそうにこちらに戻って来るみのりに微笑みかけて、またその頭を撫でようと腕を上げた時、すうっと膝から力が抜け、気が付くと床にうつぶせになっていた。呼吸がしづらい。あ、鍋火にかけたままなのに。

「おかーさん!? おかあさんっ」

 心底驚いた顔で屈んで紗央の顔を覗き込むみのりが、あ、と気づいてコンロの火を消したことに、場違いながら紗央は驚いた。そんなこともできるようになっていたのか。
 かろうじて動く右腕でみのりの頬を撫でる。おかあさん、おかあさん、と涙交じりで叫ぶ娘の声に、大丈夫だよ、と返したいのに声が出ない。
 
(あたしここで死んじゃうのかなあ)

 まだ、みのりにしてあげてないこといっぱいあるのに。ランドセル買ってあげて、入学式に出て、写真撮って、算数の宿題一緒にやって、夏休みの絵日記も、あさがおの栽培も、自由研究も、もっと、もっと、たくさん。あたしにしかしてあげられないこと、たくさんあるのに。父親はいないけど、でも、あたしだけでも、ずっとずっとそばにいてあげなきゃいけないのに。
 ぼろぼろ涙をこぼして泣いていた目の前の娘が、急にぐしぐしと涙を服の袖で拭うと、立ち上がって駆けだした。向かったのは紗央がいつも使っているバッグのところだ。鞄の中を漁って、紗央の携帯電話を取り出すと、ぱたぱたと走って部屋の外へ出ていく。
 何をしようとしているのか、倒れたままの紗央には見えないが、ドンドンと扉を叩く音は耳に入って来る。お隣は一人暮らしの学生だ。あまり顔を合わせることはないけど、真面目そうな。

「おかあさん、たすけてください、おかあさん、いちいちきゅう、してください」

「おかあさんたすけてください、おかあさんが、おかあさんが、みのりの、おかあさんが、」 

 ついに堪え切れずに再び泣き出したらしい娘の声を聞きながら、ゆっくりと紗央の視界は暗闇に沈んでいった。




2014.01.16(Thu) | 擬似親子 | cm(0) | tb(0) |

それはとてもすごい
「誕生日おめでとう」って言ってくれるケレスさんに無限の可能性を見出だす会。

それはともかく。
擬似親子ルートの樹理とアイリーンを会わせて喧嘩させたい。
そこにオリヴィアを投入してオリヴィア一人勝ちにさせたい。オリヴィアほんと瑶子さん完全体って感じ。

擬似親子ルートの樹理は、ケレスさん早く結婚したらいいのにとか思ってるし言うけど、きっと実際にケレスさんが女の人連れてきたらめんどくせえ反応するんだ。




秋臼さんが、流風とケレスさん絡ませるなら扇谷邸っていうから考える。
流風よりローラたんのがいいかなあ。
流風だとなんて喋るのかわからなすぎて……。
くだらないことをローラたんがずうっとしゃべる。わたしは3年も樹理のそばにいられたのよ!ってすごく嬉しそうに言う。
ケレスがジュリを愛してくれて、ルカはいっつも泣いてるの。嬉しくて悔しくて泣いてるの。ケレスが正しいことも、ジュリが間違ってないこともわかるから、泣いてるの。
ってニコニコしながら言う。
最後に頬にキスして別れたらいい。
シュタゲルートの流風が私の中で樹理のために戦うSDK化してる件。

2014.01.05(Sun) | しゃべり隊 | cm(0) | tb(0) |

ぺそぺそ
シュタゲルート樹理誕生日話を書いていて、熱を出した樹理と流風を会話させようと思ってたんだけど、そういやハロウィン話の時に、流風は樹理が“そっち側”に行かないと接触できない設定つけたなあと思い出す。
なので樹理にそっち側に行ってもらう。

樹理の誕生日は12月25日。終業式は終わってて、ツキ高も冬休みに入ったんだけど、ケレスさん仕事で学校。まだ天使成分残しておこうかと思ったけど、こうなったら反抗期でもいい。
久しぶりにすんごい高熱が出て、それでも家にいるって聞かないクソガキ。ケレスさん仕事に行って、どっかの部活のガキが怪我して病院に付き添うことになって、帰りが遅くなる。

帰るの遅くなる、って電話を樹理自身はちゃんと受けて、切るまでしてるつもりなんだけど、実は相当弱ってるし電話してるケレスさんには向こうで樹理がうわごと言ってるようにしか聞こえない。
樹理は普通より連れてかれやすい体質だから、弱りきってる隙に精神半分くらい持ってかれてる。だから流風が接触できた。

会話くらいならできるけど、薬あげたり汗拭いたり救急車呼んだりケレスさんに連絡したりはできないから超はがゆい。
早く帰ってこい、って念じるしかできない。
そのうち、樹理が想像以上にヤバいと察したケレスさんが息切らして帰ってきて、ぐったりしてる樹理抱えて要君のとこ行けばいい。遺伝の病気かもしれないし。
要君は要君で視える人だから、ちょっとヤバいなって思えばいい。

誰よりも流風がガタガタ震えてるといいよ。遺伝だったらどうしようどうしよう、って。

2014.01.04(Sat) | しゃべり隊 | cm(0) | tb(0) |

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