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軽石へちま

Author:軽石へちま
基本自キャラで凄まじく妄想してみる。
隠れ家なのでBLとか黒とか暗とか主。
キャラ崩壊必至。何とも思わないけども。
妄想についてこれる人だけどうぞ。

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静か過ぎる へや


「……真紘さん、絶対人選間違ってる。そんなに頭弱くなったのかな」 
「そんな小言を言ってる暇があるのなら手伝ってくださいます?」
「僕別に手伝いにきたわけじゃないし」
「あら、じゃあはるばるとこんなところまで何をしに?」
「真紘さんの新居を見に」
「今すぐ手伝ってください」

 長い髪を邪魔にならないよう、左右の高いところで団子状にして、段ボール箱の並んだ部屋で正座しながら椿は僕にぴしゃりと言う。
 本当に手伝いにきたわけじゃないのだ。真紘さんが一人暮らしをすると言い、大和さんが住むところを斡旋すると言い、そうして宛がわれたマンションがどんなものか見に来ただけ。
 ただ、来る直前芹沢邸に足を運んだら大和さんに、『椿が手伝いに行った』と爽やかに言われ、それ手伝いになってないんじゃ、と思ったのは事実だ。

「ひっろい部屋だなー……。……椿が散らかし放題になるのも仕方ない」
「少しは口を謹んでいただけます? それに、これは遺伝ですから」
「こんな遺伝があってたまるかと思うのは僕だけなのかなあ?」
「いいえ、私が一番強くそう思っておりますわ」

 椿は破滅的に部屋の整理とかが下手だ。家事に関わるスキルはゼロといっていい。ていうか破滅的なんだからゼロどころじゃなくマイナスかもしれない。椿の部屋が綺麗である状態を見たことがないし。ああ、でも、整頓ができないからといって、服を脱ぎっぱなしにするとか、そういう汚さではない。多分椿は自分で片付けているつもりなんだろうけど、教科書とか本とか、気がつくと崩れて床の上に散らばっているのだ。
 そんな椿ひとりにこの部屋を任せたらどうなるかくらいわかっているだろうに、真紘さんは外出中。椿は黙ってりゃいいものを、真紘さんに恨みでもあるのか、整理を始め、玉砕。しかし広い部屋だ。男の学生の一人暮らしの部屋なのに、3LDKはでかすぎると思うのだが、大和さんの斡旋なんだし、芹沢の持ち物なんだし仕方ないのかもしれない。

「で? 真紘さんはどこ行ったんだよ」

 椿が散らかしたものを適当な棚に片付けていきながら、僕は聞いた。
 大学生活がどんなものか知らないけど、一応高校の教科書を持ってきたんだろう。狭い部屋ならともかく、これだけ広い部屋ならいくら無駄なものがあっても大丈夫そうだ。真紘さんもかなり片付けが苦手な部類だけど、お母さんによって矯正されてるし、自分でも気をつけているだろうし、椿ほどではないし。

「お昼の用意をすると言って外出されましたわ」
「ああ、まあそれなら納得だ」

 椿に食材を買わせるほど酷いことはない。椿にコンビニのお弁当を食べさせるわけにもいかないだろうし。簡単なものでも作る気なんだろう。
 
「……こんなところで真紘さんが一人で住むなんて、意外ですわ」

 椿はしみじみとそう言った。
 僕もそう思う。
 真紘さんの家は、明るい父親と、そんな父親を引っ張るみたいな母親と、強気で可愛い妹と、そして真紘さんと、家族としてすごく綺麗で、僕なんかは憧れてしまうのに。真紘さんも家族に何の不満もなかったろうと思う。それなのに、いきなり一人暮らしをしたいなんて。そういう年頃なんだろうか。

「まあ、一人暮らしなんて羨ましい限りですけれどね」
「言っていい? 何があっても椿には絶対無理。椿より先に部屋が死ぬね」
「こちらも言ってよろしいですか? 私がごく普通の金持ちの家の娘なら社会的に死んでますわ、樹理さん」
「おおっと、ごく普通の金持ちの娘ならこんなこと言う気にならないよ。もう少し自分を省みた方がいい」
「どうしても私に殺されたいみたいですわね、樹理さん?」

 椿が綺麗な顔して不敵に笑い始め、僕もできるだけ爽やかにそれを返していた時、ちょうど真紘さんが帰宅。がさがさとビニール袋の音をさせている。

「お前ら物騒なんだよ、何やってんだ」
「おかえりなさいませ、真紘さん」
「おかえりなさい、真紘さん。や、だって椿が例の如く何かほざいてるから」
「ほざいてるとは何ですかっ」

 黙ってれば可愛いのに、という一言はもう言い飽きたので俺も真紘さんも言わない。絶対言わない。ていうか椿は真紘さんの前では僕の時より若干猫被るからなあ。黙ってればきっと可愛いんだろう。僕の前では黙ってたためしがないから可愛く見えないだけで。
 もし彼女作るとしても椿みたいなのは絶対にごめんだ。ましてや椿そのものなんて絶対に嫌だ。これを貰う男がいるとしたら、それは家の都合でほんっとうにどうしようもなかったか、頭の螺子がぶっ飛んでる奴か、どっちかだろう。

「ん、昼飯。やたらあるから食えよ」

 真紘さんは大きいビニール袋を二つぶら下げていて、備え付けだった大きいテーブルにそれを置くと、先に椅子に座った。
 整理なんか全く済んでない状態で、僕と椿も席に着く。何か作るのかと思っていたけど、袋に入っていたのは三段重ねの重箱と、多すぎるくらいのおにぎり、それとレモンパイだった。

「紗央おばさまが?」

 椿が察してそう訊ねる。そうか、そうだよな。こんなことしてくれるのは母親くらいなものだろう。真紘さんもひとつ頷いた。

「大した荷物もないのに大げさに寄越しやがって」
「紗央おばさまですもの。元々世話好きですし、真紘さんは最初の子供でしょう? いくつになっても心配なんだと思います」
「……知らねぇよ、んな事」

 乱暴に重箱を開けていく真紘さんは、なんとなく、らしくない感じがした。卒業前の、あの日からだ。真紘さんは何か、自分を揺るがされるものと出会って、それから、家族でいることが嫌になったのだろう。それは、きっと可哀想なことなんだろう。でも僕は思ってしまう。
 なんて高慢な悩みなんだろう、と。
 椿も、少し目を伏せて、それから、袋に一緒に入っていた割り箸を手にすると、いつもの猫を被った笑顔を見せた。

「いつも通り本当に美味しそうですわね。いただきます」

 僕もそれに倣う。
 ひとりの部屋は静かだろうな。そう思った。






みのりは同い年だしよく会うしで椿は本性出して喋るけど、真紘には「年上の男」って感じが抜けないから猫被るんだろうなあ。
真紘よりも樹理相手の方がいとこっぽい感じがして素で喋るんだと思う。
炎而君は螺子がぶっ飛んでるわけでも家の都合で仕方ないわけでもないのに失礼な、このクソガキ。

真紘は樹理の生い立ち知ってるし、紗央も知ってるけど、みのりは知らない。
真紘と樹理が仲良しなのは目の色とか普通じゃないっていう共通項があるから。絶対こいつら芹沢邸で出会ってる。じゃなきゃ会わないだろうな。


てな感じで、スノウの幕間でした。
椿が大学入って家を出るときに真紘を頼らなかったのはまだ距離感がある気がしたからだろう。
もし頼られても真紘が断りそう。あらぬ過ちを起こしそうだから。(笑)

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2008.03.28(Fri) | 未来話 | cm(0) | tb(0) |

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