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軽石へちま

Author:軽石へちま
基本自キャラで凄まじく妄想してみる。
隠れ家なのでBLとか黒とか暗とか主。
キャラ崩壊必至。何とも思わないけども。
妄想についてこれる人だけどうぞ。

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死にゆく僕等に最後の痛みを 1


「理央」

 激痛が引いたように感じられた頃、声を、聞いた。
 気がついてみるとそこは、四方を真っ赤な壁に囲まれた密室。起き上がった俺は全身を黒い服で覆い、目の前には、真っ白な服を着た、

「……せ、がわ、……」

 瀬川がいた。
 ああ、夢だ。と思った。
 そうでなければここが生の向こう側なんだろう。
 確かに俺はさっき奈央に刺されて、倒れて、痛みを感じながら目を閉じたはずだ。瀬川はトラックに撥ねられて死んだ。きっと俺も、もう。

「……久々、だな。理央」
「……説教でもしに来たのか? お前が俺と一緒にいられるはずないだろ」

 瀬川が行くとすれば天国だろうし、俺が行くとすれば地獄だ。
 瀬川はただ純粋に奈央を愛していただけで、俺は、みっともなく、何をきっかけにしてでも奈央を手に入れようとした、汚い男だ。

「……やっぱお前、単なる兄ちゃんじゃなかったんだな。俺の一番のライバルだったわけだ」
「お前らが付き合うって言い出した時、本気で吐くかと思った」
「理央の望み通り結局どうにもならなかったけどな」
「当然だ。誰がさせるか」

 こんなの、負け惜しみだ。
 瀬川は奈央と手を繋ぐくらいしかできなかったのかもしれない。
 でも、それだけで十分だったんだ。奈央の心に居座り続けるには、その手の温もりがあれば、それで十分だった。

「……理央は、俺になりたかったんだよな、きっと。で、俺は理央になりたかった」
「……そう、なんだろうな」
「理央は俺になれれば奈央のこと、ちゃんと好きでいられたと思うんだろ? 俺は、理央になれれば奈央とずっと一緒にいられると思った。俺は思ったよ、お前と奈央をずっと見てて、あの状態の奈央の心の穴を俺は綺麗に埋めてみせる、って。ま、俺がいなくなったからああなっちゃったんだよな。可哀想、とも、可愛い、とも思ったよ」
「趣味が悪い」

 瀬川は、ははは、と笑ってから、おそらくはこれまでで初めて、俺を本気で睨みつけた。

「――俺がいろんな気持ち抑えてんの、わかんねぇの……?」

 殴りたければ殴ればいいと思った。
 どうせもう死んでいる。死んだ後にまた殺されそうな気がしたから、それ以上は言わなかったが、瀬川は当然不機嫌そうだった。

「お前は分かんないからそう言えるんだよ。俺には、奈央の態度はいつも拒絶にしか見えなかった。それでも一緒にいたいと思ったのはもちろん俺のエゴだけど、……お前がいなければもう少し違ったんじゃないかって思ったことは何度も何度も何度もあった。せめてお前が普通の兄貴なら違ったんじゃないかって」
「変わらないと思うけどな。お前だから、こうだったんだ。もし俺とお前の立場が逆だったとしても、お前は自分が思うような行動に出られない」
「それなら、」
 
 瀬川が笑った。

「奈央があくまでも、本当に普通の妹だったら? お前と多少の能力の差異はあるかもしれない、けどそれを個性と認めて素直に生きる、普通の妹なら? お前はそうやって勝ち誇っていられる?」
「………っ」

 瀬川の真っ白なシャツが、眩しく見えた。
 声にならない。
 俺が思っていた血縁の強み。それはすごく脆くて、結局は、血縁なんて言葉を借りながら、奈央の心の暗い部分を利用していたにすぎなかった。

「お前にも味わってほしいんだよ、理央。俺とおんなじ痛み。心がこっちを向いてくれないことが、拒絶が、どれだけ苦しいか知って欲しい」

 瀬川がぱちんと指を鳴らすと、光が弾けた。
 閃光の眩しさに目を細める。光の中に、瀬川の白い服と俺の黒い服、それに赤い密室が融けていった。


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2008.04.17(Thu) | eternal damnation | cm(0) | tb(0) |

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