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軽石へちま

Author:軽石へちま
基本自キャラで凄まじく妄想してみる。
隠れ家なのでBLとか黒とか暗とか主。
キャラ崩壊必至。何とも思わないけども。
妄想についてこれる人だけどうぞ。

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Memory of Rainy Day


なんてことないがえぐい話なので隠してみた。
ルカの過去話はかなり書いてみたかったので楽しいです。
extraでもないしinterludeにするにもなあ、と思ったのでいっそ何でもないものにしました。


こんな経験してる子が今のルカみたいに育つって奇跡じゃないか。
普通もっと捻くれて人生斜に構えて見たりしそうだけど。
多分ちょっと前まではそうだったんです。幸せそうな子供みんな「世界の黒い部分なんて何も知らないんだろお前ら」みたいに見下したりしてたと思う。
だからきっとナオと会って変わったんだろうと考えるのが自然です。ナオと会ってからも仕事は仕事で続けてたけど、今まで慣れてたのがすごく嫌になったと思う。こういう設定楽しすぎる。
本当は雨の中で誰かが助けてくれるとかいう展開にしようかと思ってましたが、救いはない方が楽しい、と思って救わせませんでした。
なんていうか、もしかして盗賊の二人よりも幼少期恵まれてないかもしれない。でも自分の中でも嫌だった歴史だからわざわざひけらかして言ったりはしなかったり。
シンゴはともかく、こんな話聞いたら普通かなり引くと思うんだがどうなんだろう。
あ、ヤマトがルカの稼ぎたかが知れてるとか言ってますけど、多分悪くはなかったと思います。
ただ借金の貸主が悪い人なだけに、法外な利子つけられて返しきれないんですよ。


こんな生活してたから新しい世界っていうのにものすごく憧れてて、今実現してるわけなので多分もう死んでもいいと思ってるはずです。痛いことばっかだけど、あれだけじゃない世界を見られて幸せだろうと思う。
まあしかし目的はお姫様救出なので。




 ――さっきの轟音。
 遠い記憶の中、どこかで聞いたことのある音だった。
 
「ルカさん……? 気分、悪いんスか? さっきから様子変ですけど」
「ん、いや、ちょっといろいろ思い出しちゃってさ。……すぐ治る。平気」

 洞窟の奥にひとりで篭って出てこなくなった俺を心配してか、シンゴがグラスに水を入れて持って来てくれた。それを飲み干して、グラスを返し、ちょっとゆっくりしたいんだ、というとシンゴはすぐに出て行ってくれた。
 人のいなくなった洞窟。しんと静まり返る暗闇。思い出す轟音。

「……死にたく、ない」

 今も昔も惨めな自分。






 降りしきる雨。
 雨。
 ざあああああああああああああああああああ、と、雑音。
 うるさいのに、うるさくてうるさくて仕方ないのに、音を感じられない自分がいた。
 目は閉じたままで、なのに半開きの口がやけにリアルで、いつかこうなることはわかっていたけれど、それでも俺はどうすることもできなかった。
 昔はすごく美人だった母は痩せこけて、もう、見る影もない。俺は母親似だとよく言われたが、その時は否定したかった。
 たった一人の母を失った、大雨の日の夜。明かりもない粗末な暗い部屋。一閃する光は雷鳴を伴った。轟音。天の怒り。
 ――それが、九歳の頃のことだった、と、思う。



 母を失ってから、一人で生活しなければならなくなった。
 言葉で俺の身を案じてくれる町の人もいる。そりゃあ、いる。でもそれは言葉だけで、もちろん俺を引き取ろうだとかそんな話にはならない。期待しているわけじゃなかったが、それなら黙殺される方が余程楽だと思った。
 父親が妙なところから借りまくった金、を返そうと必死だった母親。その母が死んで、負債が俺の肩に圧し掛かった。元々学校には行っていなかったけれど、自由な時間などないほどに働かされた。奴隷みたいなもんだった。
 それでも、今思えば最初の頃は楽な仕事ばかりで、靴磨きだったり牛や山羊の乳搾りだったり、重いものを運ばされるような仕事はあまりなかったし、本当に奴隷のように働かされている奴は山ほどいるんだろうと思った。呼吸もままならないほど肉体を酷使されている奴だっているんだろうと。その点、きっと俺は子供だから優遇されているんだと。もしかしたらそれなりに可愛がられているからこその仕事かもしれない、とさえ思っていた。
 そんな仕事、金にも何にもなりゃしないのに、お気楽だったと思う。適度に食わせてもらえてはいたから、危機に対する感覚がなかったんだろう。というか、それが普通だ。どこの子供が日々危機を気にして生きるんだ。



 それから、一年だか二年だか経った、また、雨の日。



「ッ、は、ぐ、……!!」

 ざああああああああああああ

「う、……かあ、さ、」

 ざああああああああああああ


 全部雨に掻き消された。
 母を呼ぶ声。あんなにも母を恋しいと思ったのは初めてだった。
 痛くて気持ち悪くてすべて吐き出してしまいそうで、今までどうしてあれだけ楽な仕事で済んでいたのかが一瞬ですべて理解できた。
 下手に筋肉がついては売り物にならないということか。十や十一でそれだけのことが理解できた自分は大したものだと思う。
 全身の痛みと気だるさと、生理的な気持ち悪さでそれ以上歩くことができずに膝をついた。もう夜遅い。普通の子供は、今頃親の腕に抱かれて幸せな寝息を立てているのだろう。
 なのに、俺はどうしてこんな夜に、ひとりで、動くこともできずに、胃液を地面に吐き出し続けるのか。もう吐くものなどない。ろくに食事など摂っていないのだ。摂れと言われても、摂れるような状況でも気分でもなかった。
 どう考えたって俺がこの世で一番不幸だ。なんで、どうして、どうして俺がこんなこと。何度嫌だと言っても誰も聞いてくれない。俺のせいじゃないのに。俺は、俺のせいでここにいるわけじゃない。俺は、俺のせいで生まれてきたわけじゃないのに。
 母に語り掛けたくても母はもういない。骨さえない。どこかに運ばれていく母の亡骸を、その頃俺はただ呆然と見送ったのだ。生きていた頃、俺だけが支えだと言っていた無責任極まりない母は、死んでもなお辱められたのか。
 こうなるなら、俺なんて産んでくれなくてよかったのに。何が支えだ、勝手に支えにしておいて勝手に死ぬなんて卑怯だ。
 あんたがこんな仕事してたから、俺までとばっちり受けてる。あんたに顔が似てるからって、俺はこんなこと、させられてる。
 痛くて苦しくて辛くて涙ばかりが溢れてきても、きっと誰も気付かない。雨に流されてしまう。泣き声をあげても、雨の音が掻き消してしまう。みんな、俺は人並みの不幸を背負ってるくらいに思っているんだろう。もしくは、単に見てみぬ振りなのか。

「このクソガキ……!! こんな所まで逃げてきやがって……!!」

 ばしゃばしゃと騒々しい音がしたかと思うと、後ろから腕を痛いくらいに掴まれて引っ張り上げられる。雇い主の息子だった。嫌だと抵抗しても、そもそも十かそこらの子供が大の大人に敵うわけはなく、ただ腕に痛みを感じるだけだった。

「嫌だ、や、だ、仕事ッ、終わっただろ!? ふざけんな、もう嫌だ!!!」

 渾身の力で叫んで、最後の方はもう涙声だったと思う。
 嫌だったんだ。本当に、嫌だったんだ。思い出すだけで寒気がして、吐き気がして、頭がどうにかしてしまいそうなくらいに、嫌だった。

「いや、やだ、お願いだからッ、あれ以外なら何でもするから……!!」
「お前金が必要なんだろ……? 借金返すんだろ? よかったじゃねぇか、母親に顔が似てたおかげで仕事が山のように入ってきてよぉ? 今まで靴磨きだの何だのの何十倍も報酬もらえてんだぜお前? お前みたいに恵まれたガキはそういねぇよ、分かってんのか? それとも、」

 男の手が、俺の上着の前をたくし上げて、つ、と腹を指でなぞる。それも気持ち悪くて、ぐっと腹筋に力を入れた。
 男の言葉は何と続くのか。薄目で男を見ると、唇が凶悪に歪んでいた。

「中身、売るか? 酒にも煙草にも薬にもやられてねぇモンなら物好きに高値で売れるんだ、どうする……?」

 耳元で、低い声で、とてつもなく恐ろしいことを囁かれて、俺は腰が抜けた。
 それは、どういうこと? 悪いことは何もしていないのに、体の中のものを売り捌かれて、誰にも助けてもらえずに惨めに死んでいけというのか。そんな理不尽な。

「いや、や、だ、」

 怖い。
 ざあああああああああああああああああ
 怖い。
 ざあああああああああああああああああ
 死ぬことが、
 ざあああああああああああああああああ


 怖い。


 そう強く思った瞬間、雷の閃光が暗い夜空に光った。そして間を空けずに、轟音。怖かった。何もかもが恐怖に直結して、そこから俺はもう何かのスイッチが入ったように男にしがみ付いて惨めに哀願した。きっと顔もぐちゃぐちゃだったろうと思う。

「殺さないで、やだ、怖い、死にたくない、なんでもするから、ちゃんと、できるから、俺、ちゃんと働くから、だから、殺さないで……!!」

 殺さないで、死にたくない、俺がそう泣き叫べば泣き叫ぶほど、男の顔は満足そうに笑みを作る。もう何だってよかった。俺みたいな子供が生きていくのに手段を選ぼうなんていうのが間違いだったのだ。
 生きてさえいればいい。多少怪我をしても、病気をしても、五体満足で生きていられるならそれで十分だ。死にたくない。
 まだ嬉しいことも楽しいことも満足に経験のしたことのない子供が、死にたくないと泣き叫ぶのはどんなに滑稽な光景だろう。今の俺が、あの頃の俺を見たら笑いが止まらないかもしれない。
 死にたくない、なんて、……なんて、必死な言葉だろう。

「そうだよなァ? まだ子供だもんな? 死ぬのは怖いよなぁ?」

 いろいろなことがありすぎで頭がぐちゃぐちゃだし、雨で体は冷えるし、俺は膝を折って、泣きながら肩で息をする。
 
「帰るぞ、風邪とか言って仕事休んでみろ、本当にてめぇの腹切り裂いてやる」
「ッ、やだ、平気だから、できるから!!!」
「ならとっとと立てよ、……今晩の仕事がまだ残ってんぞ」

 男は俺の濡れた髪を鷲掴みにして、まだ立ち上がれていない俺を強引に引っ張って歩き出した。髪が全部抜けるかと思うくらい痛くて、熱が出たのか体中が燃えるように熱くて、……でも、死にたくないから男の後をついていくしかなかった。





「………っ、は、はは、」

 苦しい。でも乾いた笑いが込み上げてきた。
 最初はあんなに嫌だったのに、生きるためだと思えば慣れることができたのだ。死にたくない、殺されたくない、生きるためなら何だってできる。なんて馬鹿な子供だったんだろう。けれど、子供だったからこそ本気でそう思った。
 気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い。自分で自分を汚らわしいと思う。天真爛漫に笑顔を振りまいていれば町の大人は大体優しく接してくれた。その影でひそひそと内緒話をしていたことは知っている。でも、外面だけでも優しく接してくれるだけで俺は嬉しかったのだ。
 城下の王子、なんて、そんな馬鹿にした愛称つけられていても、それでもよかった。生きるために当然にしていることだ。これ以外に道が無いから仕方なかった。

「………ナオ……っ」

 けれど。
 これ以上は嫌だと思ってしまった。
 生きていくためなのに。仕方の無いことなのに。嫌だと思った。
 ただ彼女といたいと思ってしまった。傍にいるために、汚れたくないと思ってしまった。もうこの上なく汚れているとしても。せめて、これ以上は。

 ――会いたい。

 膝を抱えて、服の上から金時計を握り締めた。




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2008.06.24(Tue) | rebellion | cm(0) | tb(0) |

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