プロフィール

軽石へちま

Author:軽石へちま
基本自キャラで凄まじく妄想してみる。
隠れ家なのでBLとか黒とか暗とか主。
キャラ崩壊必至。何とも思わないけども。
妄想についてこれる人だけどうぞ。

最近の記事
最近のコメント
最近のトラックバック
月別アーカイブ
カテゴリー
ブロとも申請フォーム
ブログ内検索
RSSフィード
リンク
スポンサーサイト
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

--.--.--(--) | スポンサー広告 |

魂の闘い




 ケイは書類という形で積み上げられた仕事の中で奔走していた。
 あれもこれもそれも全部。全部なしとげなければ。自分が元凶だから尚更その気持ちは強く、書類に目を通し続けてサインする、その作業が止まることはない。
 やっと城の補修関係の手続きが終わり、あとは最大の課題となる兵士の補充を残すのみ。それでもまだまだ書類は積みあがったままだ。手を休めることなく仕事を続けていると、執務室の扉を叩く音があった。

「どちら様ですか」

 書類の末端にサインをしながら扉の向こうに問いかける。

「あー、俺です。シキです」
「今ちょっと立て込んでる。急ぎじゃなければ後の方がいいんだけど」

 とはいえ、いつ終わるともしれない仕事だ。後というのがいつになるのかはケイ自身にもわからなかった。
 これまでこの執務室の扉を叩いた部下はそうやって取りあえずは帰らせていたのだが、シキはどうやら立ち去っていない様子だ。

「ていうか、俺が用事ってんじゃないですよ。届け物です」
「届け物? あ、じゃあ入って」

 そう声を掛けると、失礼します、という声と共に一礼してシキが執務室に足を踏み入れる。確かにその手には何か握られている。

「届け物って?」
「……すげえ言いにくいんですけど、……国書です」

 ケイはペンを机に置き、はははははは、と乾いた笑いを披露してから椅子ごとシキに背を向け、目に見えてずどーんと落ち込んで見せた。
 その落ち込み方は異様だ。さっきまでバリバリ仕事をこなしていた執政官の姿はどこにもない。

「……なあシキ君、それここで燃やしちゃってさ、郵便事故ってことにできないかなぁ……」
「ご自分が火炙りになる覚悟があるのならどうぞ?」
「……ちょっと、それシャレになんないから」

 シキの一言でケイは余計落ち込んだようだった。
 城の補修、兵の補充、君主を城へ呼び戻す。全ての仕事をケイは執政官としてそつなくこなしていたが、最大の問題を後回しにしていた。
 ケイを通さずに勝手に君主が契約したのだろうが、一応国家間の約束事だ。盗賊を捕らえたら引き渡すと。それを、いくら最高の権限を与えられているとはいえ、執政官たる立場の人間が逃がしてしまったのだ。その上相手があの国のヤマトとなればややこしくなるのは当然だった。
 うなだれながらシキから郵便を受け取り、その封を切る。

「…………」

 ケイの周りの空気が一瞬ぴしっと固まった。

「……なんて書いてあったんですか?」
「……ははははは、やっぱりこれ燃やしといてもらえる?」
「ま、そうだよな。わざわざ手渡しで来たんだし、燃やそうが何しようがすぐそこに末路はあるってことで」

 ぎょっとしてケイはシキを睨むように見つめる。何だか聞いてはいけないことを聞いてしまったような気がしていた。
 ……手渡し? 誰が手渡すというのか。決まっている、使者だ。使者以外に何がいる。
 しかし一抹の不安を拭い去ることができずに、ケイは一応シキに訊ねてみることにした。

「……て、手渡しって?」
「いや、だから、お隣の国の代表様が、河を越えてはるばると」
「……シキ君、お、大人をからかうもんじゃないんだよ?」
「目に見えて動揺しまくってるくせに何が大人ですか」
   
 未だに信じようとしないケイを見てか、シキはやれやれと息をつき、仕方無しに口を開く。嘘を言っているわけではないだろうことはケイもわかってはいたが、この忙しい時には相手にしたくない人間なのだ。

「あのですね、俺だって人がいないから臨時とはいえ門番やらせてもらってんです、役目くらい果たしましたよ。こっちに来るなんて聞いてなかったから、約束がないなら後日でって言ったんですけど、『ならこれ国書だから、届けといて』って」
「……で、その人は今……?」
「しばらく観光するって。この前来た時はとんぼ返りだったから見て回れてないとか言って、お付きの人と市場の方に」

 ――雲隠れするなら今のうちか。
 瞬時にそんな考えが頭を過ぎったが、その思考はけたたましい音と共に砕かれることとなる。
 とんでもない音が響いて、ドアが蹴破られる。ドアのすぐ近くにいたシキは驚いて飛び退いた。

「よう、ケイさん。ひ・さ・び・さv」
「ええお部屋どすなー。流石執政官サマは格が違うわぁ」

 暴れ馬の来訪に、取り合えずシキは上司たるケイを庇うように腕を広げて後ずさったが、その肩を後ろからケイが叩いた。何をしても無駄だと判断したらしい。
 しかし、目の前の二人の格好は異様だった。おそらくヤマトであろう人物はおそらく鬘であろう金色の髪を被っているし、もう一人はきっとツヅキなのだろうがよくわからない怪しげなオカルトじみた小物をいくつも手にし、二人とも頭からしっかりとフードを被っていた。
 似ても似つかないが、まさか。

「……えーと、盗賊のつもり、だったりする?」

 目の前の来訪者がにいっと嬉しそうに笑う。
 いくら実物を目にしたことがないとは言え、酷い。特にツヅキの変装は変装ともいえない。術を使うという情報だけを頼りに作り上げた感じだ。

「このカッコして市場歩いて回ったらみんな物恵んでくれるのな。いやあ、しっかりした執政官サマがいると国民もみんなしっかりするもんなんだなぁ」
「ちょーっと大股で歩いて、ちょーっと道端の物蹴飛ばしたりしただけやのに素敵な町やわ。遊び心で適当に呪文みたいの唱えるだけで道開けてくれはるし」
「いい町だなぁ本当に。――つーか、さっきちょっとばかし市場の真ん中でゴタゴタ起こしちゃってさ☆ 城で殺された兵士の親とか言って切りかかってきたもんでさぁ」
「俺らは別人やってちゃんと主張したのに酷いお人やったわ……」
「正当防衛正当防衛」


「……シキ君、市場の方、頼んでいいか?」
「……勿論デス。……ご武運を」
「いや、本気でシャレになんないからなそれ」


 小声でシキに市場の沈静化を指示すると、シキは振り返って深く一礼した。まだ死ぬと決まったわけではない、まだ。まだ分からない。 
 ヤマトとツヅキ、その二人の隣をすり抜け、シキは早々と執務室を出て行った。彼らの話は十中八九本当だから、きっと市場は地獄絵図だろう。盗賊の再来だとか騒いでいるのかもしれない。

「……遠路はるばるようこそ」
「もてなし方が足りねぇなぁ? 危うく門前払い食らうとこだったし」
「アポ無しや言うても、こちらから赴いてんのやからもう少し対応があったんとちゃうん? ――約束不履行なんやし」

 息を呑む。
 それはそうだ。向こうの言い分は正しい。
 
「執政官の立場とはいえ、あんさん君主に雇われてる身ぃやないの? そんな人が上の許可も仰がず一存で大それたことを。まだ首があるのが不思議でしゃあないわ」
「……それは、」

 被ったフードを取り去り、身につけた小物を外していくツヅキが、きろりと鋭い瞳でケイを射抜いた。
 何か、……何かとてつもない裏がありそうな表情だった。上司部下の関係について、何か彼なりに思うところがあるのだろう。
 しかし、それを抜きにしたとしても。今の台詞を他の誰に言われたとしても、ケイは頭を下げざるを得ないだろう。自分の勝手な事情で、相手を切り伏せることさえ敵わなかった。

「こら。お前こそ俺のいる前で出すぎた発言すんな。俺の台詞だろうが」
「俺ってばとことん上司に尽す良い部下タイプやから黙っとけへんのですわv そんなんヤマトはんが一番知ってるくせにぃ」
「――ま、こいつのいう事は正しい。な、ケイさん」
「……ああ」

 国家の利益を害するものを排除する。上に立つ者としてその判断をするのは当然だ。どんなに不透明で後ろ暗い利益だったとしても、そんなものはどこの国にでも存在する。だから、国家にとって害のある人間は秘密裏に処理されなければならない。あの盗賊たちはいい加減有名になりすぎている感はあったから、秘密裏に処理しようと公開処刑だろうと影響は大差なかったろう。今まで捕らえることもできなかった盗賊たち、しかも両人を捕らえて処刑の一歩手前にまで持ち込んだのだ。あれが無事遂行されていれば、国同士の連結も密になっただろう。
 ――今回の一件で国に不利益をもたらしたのは、他でもない自分だ。

「……俺の一存で彼らを逃がした。脱獄を許したのは、元々彼らを捕らえられるとは思っていなかったことも原因だ。それに、脱獄の手助けをしたのは何故彼らに加担したかも分からない、君たちと同じくらいの青年だ。少年といってもいいかもしれない。理由もわからずにまとめて処罰するのは、……気が引けた」

 我ながら適当な理由をでっちあげていると思う。
 心底そう思っていないわけではない。多少は考えている。けれど、ケイにとって本質は別のところにある。執政官の立場にありながら、騎士に拘り続ける愚かな自分。すべての原因はそれだ。

「すべて俺が悪い。煮るなり焼くなり好きにしてくれていい。彼らに施す予定だった刑を代わりに受けてもいい」

 向こうにとってもそれが一番楽だろうし、それで解決することなのなら安いものだ。国交断絶というのは避けたいところ。そんなことは相手方も望む話ではないだろうし。
 ツヅキが上目でヤマトの様子を確認するのが見て取れた。
 当のヤマトは、つかつかとケイに近づくと、その肩を強い力で掴み、鼻先が触れるほどに顔を近づけた。

「……勘違いしないで欲しいですね。何であんたが全部悪いことになる? 悪いのは盗賊サマご本人でしょうが。さすがに俺でも、全部が全部誰でもいいってわけじゃないんでね」
「……ッ、なら、何のために来たんだ……。そう思ってるならわざわざこっちにまで来る必要はなかったはずだ」
「機嫌悪かったから気分転換ついでって奴。チャラにしてもいいけどさ、ひとつ条件呑んでくんないかな」

 先ほどのツヅキの視線と同じくらいか、それよりも強い力が伝わってくる。とんでもない条件なのだろうか。しかし、ケイを身代わりにするようなことはしたくないようだった。なら、他に何が?
 目を逸らすことなく、ケイは口を開いた。

「……俺に、何をしろと」
「簡単。……あんたと例の盗賊サン、どっちが強いんだろうなーって、知りたいだけ。いつか機会があったら殺し合い、してみてくんない?」

 意味の無い殺し合いはできない。無駄な殺生を、神が赦してくれるはずはないのだ。君主の命だとしても、守るべき契約だとしても。

「何に固執してはるん? 自分の立場、わかっとるんやろ?」
「あんたはこの国の執政官なんだろ? ――実力があるなら、自分でできることはやっていいんだ。……騎士としての自分は、今は捨て置いた方が無難だと思うけどな」

 ――神の命に忠実に従うべきなのは、騎士の仕事だ。
 悠長にそんなことを言っていられる立場なのか。今、自分は何者なのか。
 声が、選択を迫る。
 騎士を捨てることができるのか、できないのか。
 今はどちらを選ぶ時なのか、もう子供ではない、わかっている。

「……そんな機会、あるかどうかわからないよ」
「分かってる。何年先でも構わない」
「……第一、そんなこと知ってどうするんだ」
「俺より強いかどうかが分かる」
「――俺は君ほど偉くも強くもない。無駄だと思う」
「いいや?」

 ヤマトの大きな手が、ケイの肩を軽く押して突き放した。 
 ヤマトの声にはいつも迷いが無い。どうしてそこまで自信が持てるのかと思うほどに真っ直ぐだ。

「あんた馬鹿なんだもんな。負けますよ」

 吉報お待ちしてます。
 それだけ言い残して、隣国からの来訪者は部屋の外へと消えた。





「あのまま追い詰めたら、三日後にでも首刈ってきそうなもんやったのに」
「いいや、俺は身代わりになるに一票だね」
「そんなんやりようですわ。やり方によってはどうにでもなります」
「そうだとしても、あの人はどんな理由があっても、一週間一ヶ月じゃ誰も殺せない」
「だからって無期限やなんて」

 小舟に揺られながら、二人はそんな会話を繰り広げていた。
 砂漠の国の南端から舟に乗り、かなり長い距離を舟で渡る。最短距離を選ばないのはもちろん、本国に帰って仕事をするのが嫌だというヤマトの意見のためだ。

「甘いなぁヤマトはん。そんなこと言うてると、吉報聞く前に俺に殺されてまうわ」
「そんな簡単に殺させてやんねぇよ。嫁と子供に見守られて眠るように死ぬのが夢なんだ」
「それやったら誰の目も届かへんような暗いところで送って差し上げます」
「うわあい、最悪の心配り嬉しいなぁ☆」

 いつものやり取りだ。
 これは誰が聞いたって冗談で、おふざけだ。ヤマトだってそうは思っている。
 けれど、ツヅキは確実にヤマトの胸を貫く何かを懐に忍ばせているはずだ。それが分かっているから、ヤマトも常時武器を携帯している。
 殺されてやるものか。日々が魂を守るための緊張状態だった。
 ただ、ツヅキもすぐにどうこうしようというわけではなさそうなので、緊張状態は軽く緩んだ状態ではあるのだが。

「あの執政官サマが盗賊はんに勝てるとお思いで?」
「さあな。けど、負けないよあの人は」
「差し違え?」
「それもどうだか。ただ、自分の命の他に守るものがある奴は、絶対に負けない」

 馬鹿馬鹿しい話を聞いたかのようにツヅキは笑いながらヤマトから視線を逸らした。
 砂漠から段々と離れ、肌に馴染みのある冷気が近づく。

「――だから俺も、お前には負けない」
「――その自信粉々に砕いたるわ。覚悟しとき」

 二人がフードを目深に被ると、見慣れた雪がちらつき始めた。






明らかにextraな話だと思うのに、日本語タイトルつけたくて。
最初は冒頭部分だけでギャグぽくするはずだったのに終わってみたら単なるシリアスだった。
馬鹿馬鹿しい話も書いてみたいっちゃみたいんだけど。
メインはラストです。(何)
ヤマトとツヅキくんが適当盗賊に化けて市場を荒らしたので、その噂を聞いた当人達が「はぁ?」ってなればいい。
「……あんたらここにいたのにいつの間に町襲ったんだよ」
「つーか町襲ってんじゃねぇよ非道!!」
とかボロクソ言われてシンゴは殴られてればいいと思います。

ケイさんも楽しいです。好きです。
一番最初のinterlude読み直して愕然として、うわああああ書き直してぇえええええ、と思いましたがもう無視することにしました。(爽)
いいよいいよいいよ、騎士云々でもいいよもう。
騎士道とかちゃんと調べだしたのが最近だったからだなあ。痛い。

ていうかこの二人書くの何気に楽しかったです。しかしすいませんでした秋臼さん……!
どれだけ一緒にいても、馬鹿騒ぎしてても何してても緊張状態。いつでも懐から武器取り出す気持ちでいるんだろう。
特にヤマトは所詮私のキャラなので、良い子ではないが普通の子なんです。だから精神めちゃめちゃすり減らしてると思う。それでもああいう態度取るのが器ってやつなんだろう。器だけはある男だ。
自分の部屋でルミと会ってる時だけ癒される。ルミがいるからやってられるっていうか、闘えるというのか。死んでもいいけど殺されない。体は許しても心だけはという心意気。(何か意味がものすごく違う気が)
ツヅキくんはヤマト殺そうとすることには動揺とか一切ナシで! 普通の子と普通じゃない子の差ですよね!


ツキ高じゃ絶対考えられないんだけども、リベリオンのヤマトってツキ高よりは良い子だし、ツキ高よりも普通度が強調されてる気がするから総攻めでなくてもっていうか寧ろリバでいける気がしてきた。
そんな私はもう死ねばいいのに!(爽)

スポンサーサイト

2008.06.30(Mon) | rebellion | cm(0) | tb(0) |

この記事へのトラックバックURL
http://hechima1222.blog88.fc2.com/tb.php/146-92f98d91
この記事へのトラックバック
この記事へのコメント
Name
E-Mail
URL
Title

password
管理者にだけ表示を許可
/
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。