プロフィール

軽石へちま

Author:軽石へちま
基本自キャラで凄まじく妄想してみる。
隠れ家なのでBLとか黒とか暗とか主。
キャラ崩壊必至。何とも思わないけども。
妄想についてこれる人だけどうぞ。

最近の記事
最近のコメント
最近のトラックバック
月別アーカイブ
カテゴリー
ブロとも申請フォーム
ブログ内検索
RSSフィード
リンク
スポンサーサイト
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

--.--.--(--) | スポンサー広告 |

片翼の小鳥の足を折る



「ッだぁあああああ!!!」

 まだ暗い、朝早く。盗賊たちのアジトの近くではここ数日毎日のようにそんな雄たけびが聞こえてくる。
 剣を抜く動作も以前に比べれば格段に速くなったし、かわすことはできなくても相手の動きがだんだん見えるようになってきた。それは進歩だ。相手に傷ひとつ負わせることができなくても、単なる町の子供だった自分がこうして剣を持って、『戦う』ということを覚えたのはつまり、この環境がシンゴをその道へと歩かせたということだ。
 砂を蹴って剣を振り上げ、町から帰ってきたばかりのケレスの背中に飛びかかる。こんなことを毎日続けているお陰で動きは大分速くなったのだ、完全無防備な背中にこの速さで飛び込めばどうにかなるかもしれない。そう思ったのも束の間だった。剣を振り下ろした瞬間にケレスは体勢を低くして、一握り砂をその手に掴むと後ろ手で空中に撒いた。それなりの速さでケレスに向かっていたシンゴは当然その砂を顔面に食らい、砂が目に入ったおかげで動きが止まる。早く洗い出したいくらいに目は痛んだが、膝をついたら負けだ。それまでになってしまう。
 本能的に目を守るため涙で視界が覆われたが、シンゴは倒れることなく薄目のまま砂の上に立っていた。ほんの一瞬目を逸らしただけなのに、もうケレスがどこにいるのかわからない。

「ッ!!」

 空気の流れる音。それでわかる。
 ――蹴られる!
 蹴られる、ということが予測できただけで十分だった。腹部を強く蹴られたが、前もって腹筋に力を入れておけたために痛みはそれほどでもない。もちろん、砂の上に膝どころか腰を落ち着けてしまったために今日の鍛錬はこれで終わりだ。




「っはー、あー、目ぇ痛かった!! ぜってー赤くなってんだろコレっ」

 鏡でも見なければわからないが、オアシスの清水で目をいくら洗浄しても違和感が拭えない。砂が目に入るとよくあることだ。異物感がいつまで経っても取れない。
 ついでのように頭も水に浸して、まるで水浴びをした後の犬のようにぶるぶる体を震わせる。汗を流してすっきりしたところで近くの木に体を預けると、もうじき夜明けだった。
 夜はいつも早くに寝てしまうシンゴにとって、過ごしやすい時間というのは夕方だった。けれど最近ではこの夜明けの時間こそが一番美しく、清清しく過ごせる時間なのではないかと思えていた。ルカがまだ眠っているから、ひとりでいろんなことを考えられる。その大半は面白くもなんともないことだが、それで十分だった。

「…………」

 夜明けの砂漠を見ると、答えを得た日のことを、思い出す。
 くだらないことを聞くなと一蹴することもできただろう、けれど結局ケレスはそれをしなかった。それだけは純粋に評価してやろう、とシンゴは思う。知っているのと知らないのとでは心の持ちようがいかようにも変化する。



『人間の行動で究極的に他人のためになることなんて存在しねぇ。人殺しなんて最たるもんだ。どんな理由があろうと、人殺しはエゴ以外の何物でもない』



『それを“他人のために”なんて言えるわけねぇだろうが』



 分かっていた。
 そうなるのだろう。どう考えたって、そうなのだ。
 誰かの命を奪うということ。それにはどんな正当な理由もおそらくは存在しない。誰かの生を奪う権利など誰にも与えられていないのだから。理由があるとすれば、自分を満たすため。自分のためにしかなりえない。
 だから、『誰かのために』人を殺すということは、文言として矛盾しているのだ。自分のためにしかならないことなのに、誰かのために殺すというのは、それは。


「その誰かに、重荷を押し付けるっていう、こと」

 
 そんなことできない。誰も望まない。そんなことは、してはいけない。気付いているのなら尚更だ。
 ルカはこんなことに気付かなくていい。誰かのために何かをすること、誰かのために誰かを傷つけることを美徳だと思っていればいい。そうして知らないまま幸せに生きて、何十年も経って、いつか、本当に遠いいつか、ふと気付けばいい。それでいい。
 分かっているくせにどうしてこんなことに拘るのか、とケレスの目が言っていた気がする。仕方ないじゃないか、答えが出たのはつい最近なのだから。


『単なる快楽目的に人を殺す奴だっている、人殺しを経験したいが為にそうする奴もいる。そういう下衆もいる一方で、本当に他人の為に人を殺せると思い込んでる奴もいる。そいつは自分が尊いことをしたと思い込んでるんだろうが、“分かってない”だけで実際は頭のイっちまった奴と同程度だ』


 だがな、と頭の中で声が続く。


『無差別に人殺しするような輩より、てめぇの方が余程得体が知れなくて――気色悪ぃ』


 気色悪い。
 ああ、その言葉はなんて、今の自分を的確に表しているのだろう。
 気色悪い。自分が気色悪い。分かっていて固執してしまう。
 分かっている、分かっている、分かっている。
 許されない。誰も許してくれない。
 すべて自分のため。ああそうだ、これから誰かを殺すとするなら、それはすべて自分のため。誰のためでもなく自分のため。
 そして襲い掛かる重い痛みを心に身体に感じて、喜びに咽び泣くのだろう。それでいい。それしかない。気色悪い自分はすべて悟ったのだ。そして自分の行く末が見えるのだ。重い罪を自ら作り上げ、自ら背負い、そうして罪を与えられて喜ぶのだ。

「……何呆けてる」

 あの日と同じようにオアシスに赴いたケレスが、珍しくシンゴに声を掛ける。
 シンゴは木の幹に背を預けたまま、ぐうっと体を伸ばして、笑った。

「呆けてねぇよ。……俺がめでたくヒトゴロシになったらさ、ついにやりやがったかー、って鼻で笑って、腹にまた蹴りでも拳でも入れてくれよな。そしたら俺、いつかあんたのこと殺せるくらいまで心置きなく強くなれる気がする」

 陽が昇る。
 ははは、と笑っていたシンゴだったが、耐えられそうになくて顔を俯けた。
 まだ目の中に砂が残っていたのだろうか。ずきずきと痛む。いつもの頭痛でなく、どこかが痛くて仕方ない。
 俺まだ十六だぞ、と心の中で泣き笑いしながら叫ぶ自分がいる。
 得た答えは、たった十六年生きてきただけの子供の心には大きすぎる穴を空けた。

「あー、いってぇ……。あんたが砂なんか投げっから目ぇ痛くて仕方ねぇよ……!」
「――人のせいにすんじゃねぇ」
「しねぇよ! ……人のせいになんか、しねぇよ……!!」

 何のために痛みを負ったのか。
 いつになったら目の中の砂が消えるのか。
 覚悟をしただけでこんなに痛い。
 

 いつかこの痛みも喜びに変えなければならないのだろうか。
 これよりも恐ろしい痛みが襲うというのか。
 絶望が重く圧し掛かってきて、背を預けるこの木が今すぐこちらに倒れて、この身を押し潰してくれたらいいのに、と思った。







結局書いた。こうなった。酷い、と思った。なんだこれは。




決してシンゴがドMとかいう話ではなくて。
しかし16歳にはきっと酷な話なんだろうなあ。
ここでいきものがかりのブルーバードとか空気読みすぎ!
ええ曲や。
これに気付けるのがルカならハッピーエンド一直線なんだろうけど、シンゴだからなあ。
ちなみにケレスさんが気まぐれでルカに例の質問をぶつける話も途中まで書いてました。
ルカもルカで強くなってるんだよ! ただ気合いの入れ方がシンゴの方がすごすぎるだけで!
ケレスさんとシンゴのやりとりは殺伐とした感じだけど、ヒサさんとルカはもっと穏やかだといいなあ。ていうかきっとそうなんだろうなあ。楽しそう。混ぜて欲しい。(嫌)



予備校中馬鹿みたいに進めすぎて気持ち悪いです。
なのであえて即興のこっちを先に仕上げてみた、という。


スポンサーサイト

2008.07.11(Fri) | rebellion | cm(0) | tb(0) |

この記事へのトラックバックURL
http://hechima1222.blog88.fc2.com/tb.php/157-0dc408cd
この記事へのトラックバック
この記事へのコメント
Name
E-Mail
URL
Title

password
管理者にだけ表示を許可
/
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。