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軽石へちま

Author:軽石へちま
基本自キャラで凄まじく妄想してみる。
隠れ家なのでBLとか黒とか暗とか主。
キャラ崩壊必至。何とも思わないけども。
妄想についてこれる人だけどうぞ。

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少女の休息 (2)


 ヤマトから貰った灰色の馬。それに跨って、雲の立ち込める空の下を走ること一時間ほど。
 かなりのスピードを出して一時間かかるのだから相当な距離だ。とても歩ける距離ではない。
 誰も越えたことのない、恐ろしいほど高い山々が聳える山脈。その麓に、本当に小さな教会の敷地があった。
 こんな辺鄙な土地では、馬なしに生活することは不可能だ。そのために教会でも数頭の馬を飼っている。教会の裏にある厩に自らの馬を預けると、ツバキは改めて正面の聖堂へと向かった。
 教会の主は中に入らずとも会うことができた。修道女の装束を纏った少女が、聖堂の周りの花に水を与えている。彼女はツバキの来訪に気付くと、顔を上げて笑った。

「ツバキさん! 久しぶりです!」
「お久しぶりですわ、シスター。今日もお一人で?」

 この教会の主であり、シスターであるモカは呆れたようにひとつ頷いた。

「あの人は手伝ったりしてくれません。今も、中で一人でお茶を楽しんでます」

 この教会には彼女を手伝ってくれるはずの同居人がいたはずだが、毎度のように彼はモカを手伝うことなく優雅な昼下がりを楽しんでいるらしい。モカもそれは慣れているからか、さして気にした様子もなく花に水を与えていく。白い雪の間から覗く赤い花びらが何とも幻想的だ。

「彼でしたら、小屋で休んでいると思いますよ。今日はまだ顔見てないですし。あ、お夕飯は一緒にとれます?」

 教会の近くにぽつんと建つ小屋を指差して、モカが微笑む。モカはツバキより少し年上のはずだったが、穏やかな性格の割りにその顔立ちが手伝って同い年くらいに感じられていた。ツバキはひとつ頷く。

「午後はお休みを頂けましたので。お料理はモカさんにお任せすることになってしまいますけれど、食器くらい運べますわ」

 ツバキの家事能力が壊滅的なのを知っているモカは、緩く首を横に振って苦笑する。

「いつも二人だから寂しくって。ツバキさんがいないとあの人一緒に食事してくれませんし」

 それは彼なりの気の遣い方なのだろうか? しかしそれはとても彼らしい。
 ツバキは凛とした表情を緩めて、微笑んだ。 



 小屋の扉を開けると、小屋の中はとても暗かった。空気も冷たい。もしかしたら午前中は“仕事”をしていたのかもしれない。段々と暗さに目が慣れてくると、小屋の奥、寝台に座った人影が見える。

「……エン、」

 相手の名を呼ぼうとして部屋の中に入りこむと、開けた扉から差し込んだ曇天の光が彼の全身に色を与える。
 ――髪の色が違う。
 金糸の髪。それは彼のものではない。彼が少し前まで“仕事”をしていた証拠だ。その色の髪をしている時は、彼の“仕事”の邪魔をしないために、彼の名前を呼んではならない。わかっていてもその名前を呼ぶのは、……大嫌いだ。

「……ツヅキ、様」

 絞るようにそう呼ぶ。
 ほんのささやかな抵抗だ。それくらいしか抗う方法が見当たらない。

「いいよ、ここでそう呼んだって意味ないだろ?」

 期待していた声を聞けて満足だった。
 彼はツバキの抵抗を知っているから、笑って受け入れてくれる。普通なら逆だ。抵抗したいと思うのは彼なのに。 
 彼は寝台から降りると部屋の中央のランプを点け、扉に近づく。部屋が明るくなったことでより彼の全身がはっきりと見えた。

「久し振り」

 金色の髪のまま、彼は笑ってツバキを招き入れた。

「……お久し振りです、エンジ様」

 声も、顔立ちも、ツバキが苦手とするツヅキのものとすごくよく似ているけれど。でも、全然違うものだ。だから彼の本当の名を呼ぶことができるのを心から嬉しいと思える。
 ツヅキを相手にする時とは違う。彼の声を聞くことは心地良いし、彼と同じ空間にいることで不愉快になることもない。
 
「せっかく休み貰ったならわざわざ来なくてもよかったのに。遠いんだし」
「最近あまりこちらに来れませんでしたから……。……ご迷惑でしたか?」

 彼はきっと拒むことなどない。それは分かっているけれど、もしそう思われていたら悲しい、とツバキは思っていた。
 本当なら、彼が先だったはずだ。エンジは、今ではツヅキの影武者をやらされているようだが、ツバキにはツヅキこそ紛い物に見えて仕方なかった。あんな人、来なければよかったのに。そう思うことも多々あるけれど、ツヅキがこの国に来なくて済む、ということは、それはエンジが本来の仕事を果たせるということを意味している。それは嫌だ。……嫌だと思うのならツヅキの存在を認めなければならない。それもしたくない。彼に、彼らしく生きて欲しいと思うのだ。
 きっと矛盾しているのだろう。それでも、コピーのような存在が現れるのは、代わりがいるのだと暗に言われているようで気分が悪い。

「迷惑だったらここに入れてないよ。……休みなら、やりたいことあったんじゃないか?」
「エンジ様にお会いしたかったです」

 エンジは単に、ツバキの勉強の邪魔をしたのではないかと思っていたのだろうが、そんな心配は無用だ。ツバキがすかさず言葉を返すと、エンジは困ったように両手を挙げた。

「負けたよ。俺も会えて嬉しいです、お嬢様?」

 影武者である最大の証拠、金色の鬘を外して、エンジは恭しく頭を下げた。



「私達はよく知らないですけど、河の向こうの国の事件、大変だったんですよね?」

 夕食の席で、モカはツバキにそう問うた。河を越えた先の国の話など、一般の国民はよく知らないことなのだろう。モカが辛うじてそれを知っているのは、あの事件のお陰で、それまで定期的にこの教会に顔を出していたツバキの訪問が途絶えたためだ。

「ええ。けれどひと段落しましたし。この件はお父様がいろいろと処理して下さったので、私自身はそこまで大変ではありませんでしたけれど」

 それをツバキの隣で聞いていた青い髪の青年――シアンが口を開く。

「彼は盗賊を捕らえるのに躍起になっていた、ということだった気がするんだけれど」

 彼はこの国に来てまだそう長くない。その上記憶に障害を負っている。それまでの記憶が断片的にしかわからないのだという。しかし新しく何かを覚えるということにおいては問題ないらしく、この国の情勢も積極的に知ろうとしていた。

「お父様が固執するのはルミさんのことくらいです。……国家問題にかこつけて、凶悪な盗賊を罰したい――ゲームみたいなものなのかもしれません」
「珍しいね、ツバキ君が彼をそんな風に言うなんて」

 ヤマトの言うことは何でも聞き、忠誠を誓っているように見えるツバキにしては確かに意外な言葉なのかもしれない。何か理由がある、だからああやって固執しているんだ。模範解答はそれだろう。
 ヤマトがそんな単純に凶悪犯を追いかけるなどというのは少し違和感があった。それはもっともだ。ヤマト自身、正義を翳すような人間ではないし。それは分かっていても、他にこのヤマトの行動を理論付けるような動機が見当たらない。
 ツバキが黙ってしまったために、全員が質素なスープを口に運びながらの静かな夕食が進んでいく。

「えっと、あ、せっかくお休みなんですから、お仕事の話はやめた方がいいですよね!」

 モカが明るく話題転換を提案する。
 国政に関する話題、ヤマトに関する話題は得てして空気が重くなるし、エンジは口を閉ざしてしまう。ツバキは日常生活からいって話題提供できるのはそんな重いものばかりなのだが、食卓の空気が暗くなるのはあまり好ましくないのだろう。元々モカが振った話ではあったが、ツバキもせっかくの食卓を暗い雰囲気で終わらせるのは気が引けた。

「けれど、すみません。仕事以外の話題は生憎持ち合わせていませんわ」
「ありますよ! 少なくとも私はものすごーく気になることが!」

 何やらモカは熱烈に主張しているが、ツバキには全く話が見えない。困ってエンジを見たが、エンジもそれは同じらしく、不思議そうに首を傾げている。

「なんか複雑みたいでしたから今まで聞けなかったんですけど、」
「はい」

 続きを促すツバキの声を聞いて、モカは一度大きく深呼吸をし、

「ツバキさんとエンジさんってどういう関係なんですかっ」

 と、この食卓に似合わない大きな声を出した。

「……はあ」

 そんな声しか出てこなかった。彼女が何を聞きたいのかいまいちよく分からないし、自分の中でもすぐに『これだ』という答えが浮かばない。
 自分とエンジとの関係。どう言えば誰もが納得し、自分も納得できるのだろう。そもそも、もしこの二人がツヅキに会ったとしたなら、どう思うのだろう。エンジの存在を疑わないでいてくれるだろうか。

「恋人、とでも答えれば満足ですか?」

 食事の間ずっと沈黙を決め込んでいるエンジが珍しく口を開き、ため息混じりに告げた。その声は、ツバキがいつも聞くエンジの声よりも少し冷ややかに感じて、何となく寂しい気持ちになった。

「満足、っていうか。そうなら納得だな、って。一日のお休みならともかく、いろいろあってお仕事が忙しい時期に、午後だけのお休みなのに一時間かけて会いに来るんですから」

 モカの言葉を聞いても、エンジの表情はなかなか緩まない。
 恋人、なんて、そんな肩書きで簡単に済ませられるものだろうか。
 もし自分とエンジが恋人同士の関係にあるとするなら、エンジを知らないその他の人々に、自分は誰と恋仲にあると思われるのだろう。

「済まないね。この年頃の女性の関心事なんだよ」
「ちょ、あの、シアンさんっ、私が悪いこと言ったみたいじゃないですか! そもそもあなたがもっとちゃんとしてくれてたら私だって、」
「食器の類はモカ君が下げておくから、食事が済んだら二人で戻るといい。こう騒がしくては話すことも話せないだろう」
「なんで私だけに下げさせるんですか! ちょっとは手伝って下さい!!」

 この二人のこういった掛け合いは、綺麗だなと思えるのに。
 ヤマトとルミもこんな感じだ。結局互いをしっかり考えているのが分かる。
 自分とエンジは?
 ツバキは考える。彼を知りたいと思うことは多々あるけれど、深い仲になりたいと思ったことがあったろうか。
 ――この人の傍に置いてほしい、なんて、そんな気持ちは二度と抱くまいと心に決めているのだ。
 だからこそ今のツバキがある。国のため父のために一生を捧げようと決意できた自分がいる。

「ツバキ、食事が終わったら来てくれるか? 町まで送る」

 先に食事を終えたエンジが、食器を手に立ち上がった。

「あ、いいんですよエンジさん! 私たちで片付けますから!」
「お世話になってるんだからこれくらいさせて下さい」

 これはどちらが引くべきなのか難しいところだ。
 モカだって割と頑固な部分がある。誰かが早く真ん中に入るべきだ。

「そうですわ、モカさん。片付けくらいさせて下さいな」

 そしてそれはきっと自分の役目なのだろう。
 連れ立って台所へ食器を片付けに行く途中、エンジの表情が少しだけ緩んだような気がした。





もうちょい続く。
ツバキとエンジ君をどの程度接近させたらいいのか、っていうか前に何があったんだかよくわからんことになってるので適当な感じで。


教授のゼミに入ってると、「うちの教授」っていう言い方ができて嬉しいです。
その上うちの教授若いんで、今日飲み会の席でカラオケ話したらカラオケで歌うみたいな話してたから、何歌うんですかとみんなで質問攻め。
井上陽水とかサザンとか歌うんですって……! びっくりしてしまったよ。
池袋の居酒屋なんですが、雰囲気が遊郭っぽくて綺麗なんです。案内役のお姉さんがちょっとだらしない感じの浴衣着てて、傘さしながら席まで案内してくれます。
100%教授連れてくるところじゃありません。(笑)
「これ幹事の責任問題だよ!!」とか騒いでました。
あと、帰りの電車教授と一緒だったんですけど死にそうでした。罰ゲームか拷問かって感じ。
ゼミでは男色の話出てたのでやたら熱心に聴いてました。関心事だから仕方ないじゃない。


茂花ちゃんと創兵君には申し訳ないことしてる気分でいっぱいです。ていうか申し訳ない。
茂花ちゃんのお父さんはもう亡くなってる感じで、創兵君が来るまで茂花ちゃんがひとりで教会の仕事してたんならなんかその間にいろいろあってもいいと思う。
老人設定は文字で表すには難しいので、王道突っ走れってことで記憶喪失一本にしました。
そこらへんも予備校の時間にでも考えようと思います。


過去話も振らなきゃなんないけど、昨日書いた設定が思ったより自分の中でヒットしててどうしよう。
何にしろ、ルカもただ守られてるだけの王子様じゃないだろうと思うので、シンゴが前進したみたいにルカだって前に進んでいいと思うんだよねえ。
しかしケレスさんが書けない。最初の方書けても治されたところで絶対感謝ないから!(爽)
それもそれで楽しいんだけどなあ。書けねえよ。
「貸しだ」ってルカに言わせたい気もするけど、庇ってもらって重傷負ったとかなら貸しじゃなくてチャラだよなあ。そっちの方がわかりやすいかもしれない。
そういう単発はいくらでも思いつくんだけど、そこに至る過程が意味不明。
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2008.07.15(Tue) | rebellion | cm(0) | tb(0) |

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