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軽石へちま

Author:軽石へちま
基本自キャラで凄まじく妄想してみる。
隠れ家なのでBLとか黒とか暗とか主。
キャラ崩壊必至。何とも思わないけども。
妄想についてこれる人だけどうぞ。

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恋に落ちる音



 突然の雨。
 買い物を終えて外へ出た時にはもう雨がざーざー降っていて、さすがに傘なしで帰れる気はしない。ちょっと買い込みすぎてしまったせいもあって、ビニールの袋を持つ手も痛くなってくる。これは、少し困った。
 小降りにならないかとスーパーの軒下から空を見上げる。家を出てくる時は真っ青だったはずの空は、今では厚い灰色の雲に覆われている。分かってたら傘、持ってきたのにな。予報にはちゃんと出ていたのだろうか。天気を気にせず家を出てしまったことを今更後悔。肩を落として小さくため息をつくと、あたしの頭上に影ができる。

「入ってく?」

 顔を上げると、子供みたいな満面の笑み。大好きな暖かさ。
 ネクタイを締めて、割ときっちりした格好の空君があたしの目の前に立っていた。




「めっずらしーよな、奈央が傘無くて立ち往生なんて! いっつも自分で持ってるか理央が持ってくるかどっちかだったし」
「うん、今日はたまたま。理央も出かけてるし」
「初めてかもな、俺が入れる方になるなんて」

 空君はそう言って笑った。確かに、中学の頃も高校の頃も、空君はいつも傘を忘れてた。だからいつもあたしが入れてあげてた。うちの方が学校から近かったから、あたしの家に着いたらそのまま傘を貸して、翌日返してくれる時には甘い大粒のキャンディーを渡してくれてた。母さんに言われたから、なんて言ってたけど、今思うと空君のアピールだったのかもしれない。
 空君の傘は折り畳み傘だったけれど、結構大きい。空君は自分の鞄もあるのにあたしの荷物を持ってくれて、俺の方が背高いから、って傘も持ってくれている。こうして並ぶと、やっぱり空君高校の頃よりずっと背伸びたんだな、と思う。理央なんかは大学入ってからそんなに伸びなくなった、って言ってたけど、あたし、空君見るときこんなに首傾けたかな? いつも同じ、横並びだった気がしていた。

「空君は? どこ行ってたの?」
「ん? 水泳部の大会。暑苦しいだろー? 公式の大会だったからさ、ちゃんとしてかなきゃいけなかったんだよな」
「顧問の先生も大変だね。ご苦労様。戦績は?」

 大会だというから、当然それは気になる。
 空君はまた笑いながら、ぐっと親指を立てた。

「結構いいんだ! 表彰台が四人、かな。強豪校いくつも出てたから、それにしちゃ上出来って感じ。頑張ったなー、って皆にジュース奢ったら金飛んでった!」

 けど、嬉しい出費なんだろう。水泳部ってそんなに少人数じゃなかった気がするから、それなりにお金使ったんだろう。でも懐は痛んでないみたいだ。
 それから空君は、水泳部の子がどれだけ頑張ってたのかを本当に楽しそうにあたしに話して聞かせてくれた。途中でハプニングがあったけど巻き返した、とか、いつも練習してる子がちゃんと一番取れた、とか、たくさんのこと。空君が楽しそうに話してくれることは、あたしだって楽しい。でも、……でも、あたしは空君の話が聞きたい。今更そう思ってしまうのはわがままなんだろう。
 傘を持ってくれる空君の右腕に、あたしの左肩が触れる度にそう思う。空君がそうやって楽しそうに話してくれる、その思い出にあたしはいないでしょう?

「――あ、もうちょっとだな」

 しばらく歩いて、この横断歩道を渡ればあたしの住むマンション。
 赤信号で立ち止まって、車が左右に通り過ぎていくのを見つめる。

「……今日、お夕飯食べていかない?」

 いつも言うその言葉が何故か今日はいやに緊張してしまった。
 会えると思ってなかったから。あんな所で、傘を差し出してくれるなんて思ってなかったから。だから少し、偶然に感謝して。
 空君が部活の生徒さんの話をたくさんするから。楽しそうに話すから。ほんの少し、嫉妬して。
 せっかく会えたから、今日の思い出を水泳部のみんなとだけで閉じないで、あたしもそこに入れて欲しい。多分あたしはそう思ってる。今までにない感情にものすごく、戸惑っているけれど。

「あ、……ごめん。すっげー行きたいんだけどさ、俺これから学校行かなきゃいけないんだ。今日の報告と、明日から始まる夏期講習の講座の用意しないと」
「あ、う、ううん! あたしこそごめん、忙しいのに!」

 そうだ。
 あたしが今まで、空君といるよりクリニックで子供達の相手をしていたみたいに、空君だって区切らなきゃいけない場面はいくつもあるだろう。なんてわがままなんだろう、あたしは。空君は一度もあたしに無理強いしたことなんてないのに。
 信号が青く変わる。白黒の道をゆっくり歩いて渡って、マンションの屋根に入ると、空君はあたしから離れた。それが少し寂しい。

「……俺、急ぐ気とか全然ないんだ。奈央が俺のこと好きー、ってのすごい分かるから」

 その言葉に、体中の温度が上がった気がした。空君には、全部ばれてる。
 自惚れてる? と空君が頬を掻きながら聞いてきたから、あたしは小さく首を振った。

「だからさ、……奈央が、急がせてよ。生温いままじゃ嫌だ、って、俺を焦らせて」

 その台詞は真剣に響く声で言ってくれたのに、空君は照れてしまったみたいで、「なんてな!!」と大声で仕切り直すように言う。
 そんな言葉、あたしだって恥ずかしい。ちょっと前のあたしは、こんなこと言われても平気だっただろうか。もう思い出せない。
 じゃあ、とあたしに荷物を返して、顔を隠すように背中を向けて学校に向かう空君に、できるだけ大きな声を掛けた。

「空君っ」

 ほんの数歩歩いただけの空君はそこで立ち止まって、傘を差したままゆっくり振り返った。

「こ、今度、お出かけしよう? ふたりで! 海とか、プールとか、一緒にあたしも泳ぎたい! ちゃ、ちゃんと、……可愛い水着、選ぶからっ」

 二人だけの思い出が欲しい。
 ちゃんと伝わっただろうか。緊張しすぎて空君の顔をまともに見れない。

「超期待してる!!」

 空君の声。返事をしようと思ったのに、それより先に空君は走って学校へ向かってしまった。けど、それでもいい。期待された。応えないと。
 空君が返してくれたビニールの荷物。ビニールの持ち手の部分がすごく強く握られていたのが分かる。同じようにあたしも強く握って、部屋へと戻った。







行き詰ると、突拍子も無いものが書きたくなります。
ということで、メルトのオマージュ……!! 空と奈央でやりたくてやってしまった。
片想い設定だといろいろ無理が生じてくるので、記憶以後の話でもって誕生日話からの続きみたいな。


空絶対この後アンドゥーの部屋襲撃して長々と惚気話をすると思います。
で殺意抱かれればいい。
しかしウザいながらも私は空だとか慎吾みたいなキャラがどうも好きであって、空なんかは忍耐で言えば私のキャラの中では多分一番。そんな十年以上も片想いしとくバカいないって。
だから奈央がそう思ってくれるようになれば空は本当に嬉しいだろうなあと思う。嬉しすぎるからそれだけでよくて、それで満足したらまたこれまでと変わらないで堂々巡りになるもんだから、奈央に焦らせて欲しいとか思ってる。何だこいつ。この前のアタック25の赤の人くらいウザいぞ。
奈央は海とかプールとか行かなそうだから絶対紗央と水着見に行くと思う。で、擬似ファッションショーやらされてそう。
二人で出かけるって言ってもあの二人が許すわけないじゃない。
「いつも一緒に行こうって言うのに!」とか言って陰からついてくんですよ。ほっといてやれ。


メール送らなきゃ。送ります、はい。送ります。
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2008.07.28(Mon) | 触発されました | cm(0) | tb(0) |

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