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軽石へちま

Author:軽石へちま
基本自キャラで凄まじく妄想してみる。
隠れ家なのでBLとか黒とか暗とか主。
キャラ崩壊必至。何とも思わないけども。
妄想についてこれる人だけどうぞ。

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退屈な恋をしようよ神様


 たまに、機嫌が悪くなる。
 そういうことは本当に稀だ。いつも機嫌はいい。何だって大体前向きに考えられるし、大体楽しいし。
 機嫌が悪くなる原因はくだらないくらい些細で、爪が割れてたりだとか、部活の朝練に来た人数が想像していたよりひとり少なかったりとか、教科書2ページいっぺんにめくったりだとか、笑えるくらい小さい。

「ってぇ……」

 今日は朝から機嫌が悪くて、表面上はいつも通りこなしていたけれど、やっぱり放課後になると苛々が抑えきれなくなる。体育館裏で隠れてるつもりか知らないけど、俺からしちゃやたら堂々と喫煙してる同級生3人をここぞとばかりにぶん殴ってきたのはいいけれど、やりすぎたのか拳が痛い。右酷使すんじゃなかったな、と思う。明日体育バスケじゃなかったか? それに部活もこれじゃあヤバいかもな。
 教室にふらりと戻って自分の席に座る。夕暮れの教室は赤い。拳の痛みに時折眉をしかめながら、ぼんやりと窓の外を眺めた。
 くだらない学生生活。いっそ今すぐ終わらせたって別に痛いことなどありはしない。高卒くらいの学力はあるつもりだし、一般人の思うところの常識だってわかっているつもりだ。こうしてむしゃくしゃしては殴ってを繰り返していれば俺の拳も痛くなるし、向こうだってまさか殴られたいわけではないだろう。俺が芹沢の長男だからなのか、多分俺は、支配欲に襲われているんだと思う。それならとっとと支配する側に立てばいいだけの話なのに。

「っわ、びっくりした」

 廊下から聞こえる高い声。視線を向ける。 

「なんだよ」
「もう誰もいないと思ってたのに人がいたからびっくりしただけ」
「部活か、お前」
「そう。今終わったとこだけど」

 一度も同じクラスになったことはないが、流風を介してやたらと喋る相手だ。葉山 ルミ。俺の性格の悪さ見切って、どこで聞いたんだかいろいろ噂も聞いてて、女って怖いなー、となんとなく俺に思わせた相手。もちろん、怖いなんてそんな本気で思ってるわけじゃないけど。

「手、どうかしたの?」

 だらんと下ろしたままの俺の腕を見て、何を思ったか葉山は教室に足を踏み入れる。
 つかつかと近づいて、俺の目の前の席に腰を下ろした。
 持っていた楽譜の類はその隣の机に置く。長い髪が揺れた。

「別に。痛むから放ってるだけですけど?」
「殴ってきた?」
「そんな物騒なこと学校でするわけないじゃないですかー、いつの学園ドラマだよ」
「でも、痛いんでしょ? 変じゃん、部活でもなく怠惰なあんたが手痛めるなんて」

 見せて見せて、と、心配しているというよりはただ珍しいものを見たいだけのような口調で(実際そうなのだろう)、葉山は手をこちらに差し出した。
 痛めた右手を素直に差し出すと、驚いたような目で見られてしまった。

「……見たいんだろ、見れば」

 手の甲は真っ赤に腫れている。しばらくすればどす黒く変色してくるだろう。
 明日は適当に学校サボればいいだけか。部活だって単なる娯楽程度でやってるにすぎない。おかげで、主将やってたからってサボっても全然心は痛まないのだ。
 
「……学校、楽しくないの?」
「こんなことして手ぇ痛めてんだから、楽しいとは言えないんだろうな」
「絶対損してるよねー。背高くて顔も割りと良くて、スポーツできて、水城とトモダチやってて、水城ほどじゃなくても勉強だってできないわけじゃないんでしょ? 彼女のひとりでも作れば完璧じゃん。あ、もしかしてもういる?」
「いたらこんな風にお前に手触らせてねぇよ」
「それもそうか」

 腫れた部分には触らないように俺の手のひらに触れながら葉山は笑った。
 緩く波打つ長い髪が揺れる。夕陽の光を浴びて、染めた茶色い髪がもっと明るく見えた。

「――流風のこと、好きなんだっけか、お前」
「は? あー、まあ、女子の大半は一度は憧れると思うけどね。あいつが頑張ってトップにいるっての分かったからあたしは尚更かな。けど、だからこそあたしには絶対手の届かない人だって思ってるから」
 
 芸能人見てる感じ、と葉山は言う。
 俺としては首を傾げざるを得ないが、当人からすればそうなのだろう。流風なんて、外面を良くしたいがために足をばたつかせている、湖面の白鳥みたいなもんだ。水中で懸命にばたつくその姿はきっと、誰よりも人間くさい。

「だから、芹沢見てると結構羨ましかったりして。あの水城からかえるのって、ケレス先生か芹沢くらいなもんじゃない? そっちには当たり前かもしれないけど、からかわれてる水城って普通じゃ見れないもん。普段は本当に涼しい顔してるんだし」
「思ったことないから実感湧かないな」
「そうでしょうとも」

 こいつも現実の流風を知ればもう少し見る目も変わるだろうに。
 憧れていられるうちが華ということかもしれない。 

「俺が手伝ってやる、っつってもお前、諦めたままでいる?」
「何やっても多分何にもならないと思うんだよねー。それに、自分とはちょっと違うからこそいいっていうか。手の届くところに来たら冷めちゃう気がする」
「何だそれ。恋愛って言わねぇぞ」
「そう。だから言ってるじゃん、“憧れる”って」

 よくわかんねぇな。
 そう言おうと思って、やめた。わかったって仕方ないことだ。
 こいつが流風に対してどんな感情を抱いていようと、俺には関係ないこと。
 憧れであろうが恋愛感情だろうがどうだっていい。
 そう、思ったのに、

「……よくわかんねぇな」

 自分の声に驚いた。一度引っ込めた言葉を持ち出すなんて珍しい。
 この女に気でもあるのなら、口説くことくらいできないわけじゃない。それをしないのだから自分は何とも思っていないのだ。
 自分だけが何となく気まずくて、右手を引っ込めようとする。急に動かしたせいか、刺すような痛みが手の甲に走った。

「っつ……!」
「あ、ごめん! 帰ってちゃんと手当てした方がいいよ。もう保健室の先生いないだろうし」

 あ、とまた何かに気付いたような声を出して、ちょっと待っててよ、と葉山は楽譜もそのままに教室を出た。何事かと黙って待ってみると、数十秒で戻ってきた。手にはハンカチが握られている。
 
「……ていうか、思ったんですけど。殴ったりとかしなきゃよいだけの話なのでは」
「殴られるような奴がいなくなれば俺だって殴らなくなる」
「その理論でいったら多分、芹沢以外の人間はみんな殴られてるよ」
「だろうな」

 だろうな、って。と苦笑しながら、葉山は水に浸したハンカチを俺の右手に巻いた。
 ――世界にどんな事情があっても、俺が上に立つことは変わらない。血筋で支配欲に突き動かされる俺は、その世界で喜んで生きていくだろう。

「クリニックにでも行けば? あそこならまだ開いてるだろうし」

 白いハンカチを巻かれた右手。ものすごい違和感。
 俺は首を横に振って、提案を拒否した。

「いや、これから稽古がある」 
「その手で?」
「そう。この手で」

 稽古は唯一、支配欲をかき消せる手段だ。
 まだ学ぶべき身であることを自分に知らしめる。あの時間、空間がなければ、俺はひたすらに殴り続けなければならない気がした。

「俺は帰るけど」
「ん、あたしも帰る。鞄持てるの? その手で」
「別に。左あるし、近いし」
「そっか」

 左手で鞄を担いで立ち上がると、葉山も楽譜を持って立ち上がった。
 窓から射す夕陽が、教室の床に長い影を作り出す。この時間に教室に女子と二人で、そこに俺がいるなんてかなり違和感がある。それも、手に女のハンカチを巻いているなんて。

「部活の連中と帰ったりしないのか?」
「あたしこれから職員室に用事あるから。ホールの鍵返して、ちょいと世界史の質問を空先生に」
「ご苦労なことで」
 
 それなら別に一緒に学校を出ることもないだろう。その方が不自然だ。俺の家は駅とは正反対の方向だし。
 教室は一緒に出て、階段を下りる。職員室のある二階で葉山は「じゃあ」と俺に手を振った。鞄を持たない、けれど怪我をした右手を挙げて俺も合図する。

「またな」
「うん」

 また不思議な違和感。
 夕闇に溶け込んでいく暗い階段を一段ずつゆっくり降りながら、じくじくとまだ痛む右の拳にぐっと力を入れた。






リベリオン関係のネタが進まないのは日曜にどうにかなるので放っておきます。(何)



でもって未来話っていうか、お前それ父親としてどうなのよな大和さんの内情が書きたくなったので、高校時代から遡ってみる。
いろいろ考えてたけど、ルミより余程こやつの方が乙女思考な気がして萎える。(笑)
時間軸適当だがもう何でもいいだろう。(適当すぎる)
3年の臨海学校前かなあ。臨海学校は別に書きたい。臨海学校ネタは前に流風ベースで書いたの基盤で。


たまに学生書くと楽しくなる。
野島さんちのルカと水城さんちの流風を会話させたのもかなり楽しかった。
旅行でいろいろとネタがふくらむといいなあ。(笑)

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2008.08.08(Fri) | 大和中心 | cm(0) | tb(0) |

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