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軽石へちま

Author:軽石へちま
基本自キャラで凄まじく妄想してみる。
隠れ家なのでBLとか黒とか暗とか主。
キャラ崩壊必至。何とも思わないけども。
妄想についてこれる人だけどうぞ。

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雨垂れを落とす



 夏休みが始まってすぐの部活帰り。
 元主将ってことで顧問と三十分程度喋ってから昇降口へ向かうと、雨が降っていた。ここ最近はこんな雨が多い。辺り一面真っ暗で、大粒の雨がざあざあと、地面に当たって強く跳ね返る。
 連日こんな感じだったから朝に一応鞄に折り畳み傘を入れていたはずだ。スポーツバッグの中を漁って、紺色の折り畳み傘を取り出すと外へ出た。
 外ではサッカー部が撤退を始めていて、あれじゃあずぶ濡れだろうなと他人事のように思った。バレー部は大体体育館での練習だから、こんな悲劇に見舞われることは少ない。ご愁傷様、と心の中で呟いて、人よりも若干大きな折り畳み傘を広げ、一歩踏み出した。

「あー、すっごい降ってる……。やっぱり走ってくしかないか」

 踏み出したところで、雨の轟音の中、知った声が聞こえた気がして振り向く。
 ――葉山か。
 頭の低いところで長い髪を緩く二つに結った葉山は、外に飛び出す決意を固めているらしく、頭の上にタオルを乗せていた。

「……傘、忘れたのか?」
「うわ、でかいと思ったら芹沢っ! いっつも折り畳み入れてるんだけど、重いからってこの前バイト先のロッカーに置いてきちゃって! 仕方ないからそこまで走るつもり」
「へー」

 ばたばたばたっ、と大粒の雨が相変わらず降りしきる。
 じゃあそういうことでっ、と葉山が走り出したので、

「おーい、入ってくかー?」

 と背中に声を掛けた。
 聞こえてなかったら別にいいやと思っていたけれど、この声はしっかり相手に届いていたらしい。葉山はぴたりと止まって、振り向くと、雨に打たれながらこちらに戻ってきた。

「そういうことは走る前に言ってもらえる……!?」
「入りたいなら先に言やあいいのに」
「言えるかバカあっ!!」

 ほんの少し打たれただけなのに、この大粒の雨のせいで葉山の制服は肩もスカートも、長い髪もかなり濡れてしまったようだ。これは悪いことをしたかもしれない。 
 スポーツバッグに入っていた予備のタオルを葉山に押し付け、歩く。葉山は突然渡されたタオルに困惑していたようだったが、取りあえずそれで髪を拭きながら小走りに着いてきた。
 標準よりも大きめの傘とはいえ、二人入れば濡れるのは当然。傘は気持ち葉山の方に傾けて持つことにした。

「ついでにこれも返す」

 今度はポケットに入っていた、先日のハンカチを返す。

「……何ていうか、普通洗ってアイロンかけて返すものだと思うけど」
「俺にアイロンなんてかけさせてみろ、真っ黒になるぞ」
「自慢しないの!!」

 当然、洗った。(手洗いで)
 乾かした。(それくらいはできる)
 アイロンという考えはあったが、アイロンがあってもかければ大惨事になることがわかっていたから、皺を伸ばして干しただけでそれ以上はできなかった。
 言い訳じゃない。事実の列挙は以上だ。
 何だかんだ言って葉山も納得したのか、まあいいや、とハンカチはポケットにしまっていた。

「……バイト先って、流風もバイトしてたとこだっけか」
「そう。最近勉強で忙しいからってなかなか来られないみたいだけど」

 勉強で、か。
 流風はまだ、俺にも事情を説明する気がないらしい。
 いやに英語に力を入れたり、洋書読み出したり、担任の部屋に入り浸って勉強教えてもらってるところからして、担任の出身大学に留学、の線が怪しいとは思っている。本人に聞くまでは何が本当のことなのかわからない。ただ、俺に話したいと思えば流風から話すだろうし、来ないなら流風にとって俺はそれだけの存在だということだろう。そうでなくても、卒業の頃には明らかになる話だ。

「お前はまだ続けてるのか? あのすげえ制服着て」
「すごい制服だけどもう慣れちゃったわよ。一応合唱部でパートリーダーやってたから、希望の学科にすんなり上がれそうでね。やめる理由もないかなって」
「内部の強みだな」

 受験勉強が特別必要になるわけではないのが内部進学の強みだ。
 流風みたいな外部受験や留学のケースは別だが、大半は希望した学科に上がることができる。
 俺はまあ、希望だけは出しているが、実際どうするかはまだ決めていない。大学なんか行かなくてもいいとは思っているし、高校を出たら家に入るのが一番いい気もしている。現当主のじいさま(っつっても親父だが)はもういい年だし、自分が家を継ぐと言って聞かない姉様をそろそろ結婚させてやりたいという弟の健気な思いもある。

「芹沢は? そういえば、理系クラスいるのにあんたって選択科目文系ばっかじゃない? 大丈夫なの、それで」
「は? あー、俺希望は文学部だから。別に試験必要になるって言われたけどどうってことない」
「……えーと、じゃあ何で今理系クラスにいるんですか、あんたは」
「いやあ、流風とクラス離れたら面白くないだろ?」

 これだからぼっちゃんの考えることはわかんないのよー!! と葉山は騒いでいた。分かる訳ないだろう。お前らから見たら俺はかなり自由奔放なのかもしれない。こんな自由、今しておかなくていつするんだ。
 しばらくそんな下らない話をして歩く。雨の勢いは衰えない。
 喫茶店が近づいてくる。重い雲で暗い空気を打ち消すような、店内の優しい灯りが窓から漏れ出していた。

「えーっと、……ありがとう」

 俺の傘から出て、葉山は小走りに店の軒先に立った。
 女子から礼を言われるような展開にこれまで出くわしたことが無いので何だか新鮮だ。

「いえいえ。汚いハンカチの礼だと思え」
「ああ、なら納得」
「普通そういう反応しないと思うけどな」
「あんたが思えって言ったんじゃないっ」

 ツッコミも的確でよき事だ。
 ううう、と葉山は唸ってから、気がついたように肩のタオルを取って、どうすればいい、とでも聞きたそうな目で俺を見た。
 
「……アイロンはあてなくていい」
「わ、わかってるわよ!」

 今この場で受け取ったって構わない。俺のせいで濡れたんだから、俺が貸して、回収して、それが普通だ。
 自分がどうしたいのか、何をしているのかいまいちわからずに、それでも何となく現状に満足している自分がいることにも気付いている。

「お前、来るの? 臨海学校」
「え? あ、うん。内部って決めてる人ならみんな行くと思うけど」
「だよな」

 ちなみに俺は不参加票を出していたりする。
 理由はもちろん、内部って決めてない奴を親友に持ったからだ。
 
「あ、なら臨海学校の時、これ返すから」
「アイロンはあてなくて」
「何回も言わなくてもわかるわよ!! あんたじゃあるまいし!!」

 ――そう言われたら、行かざるを得ないだろう。
 ひとりで行くのも微妙だ、当然流風を拉致る必要がある。

「……じゃあ、またな」
「うん。また臨海学校で」

 俺が喫茶店に背を向け、元来た道を戻って歩きだして少ししてから、扉が閉まる音がした。
 その間が、俺にはなんだか好ましかった。





二部が始まったのでこっちも進めてみる。



未来話だと最後エンジ君にぶん殴られる大和だけど、本当のことはルミと流風くらいが知ってればいいんじゃないかな。
殴られてびっくりするだろうが、その後意味深に笑うくらいが大和っぽい。
大和とルミを書いてから椿の話を読み返すと、どう見ても椿の回想に「?」って部分が多くて楽しくなります。
大和がお母ちゃんの命日に墓参りしてタっくんと会うような話も書きたかった気がするんですが。
どうしてくれようかクリソツ兄弟……!

男キャラ視点でこういう話を進めることに限界を感じます。
でもルミでやったら多分面白くないんだよなあ。

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2008.08.09(Sat) | 大和中心 | cm(0) | tb(0) |

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