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軽石へちま

Author:軽石へちま
基本自キャラで凄まじく妄想してみる。
隠れ家なのでBLとか黒とか暗とか主。
キャラ崩壊必至。何とも思わないけども。
妄想についてこれる人だけどうぞ。

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7-1   one's justice


 
 砂漠というのは、とことん視界が悪い。
 昼間も思ったが、こうして日が沈んだことで更に強くルカは思った。
 昼間は昼間で光を砂が反射して眩しく、いつも顔に影を作らなければ前に進めない。
 夜は高低差のやたらある砂山がいくつも連なっているために深い影が出来て、暗くて前がよく見えない。
 頭上に“何か”がいる。それだけじゃない。砂を踏む音が、少し離れたところから聞こえてくる気がした。

「ガキが二人……?」

 しかも、向こうにはこちらが見えているらしい。シンゴと背中合わせの状態になりながら、ルカは息を呑んだ。シンゴの体も強張っているのがよく分かる。普通じゃないものが今目の前に現れようとしているのだ、無理もない。今まで普通でないものに出会ったことがないから、上手く切り抜けようにも頭に何も思い浮かばないというのもとても歯痒かった。
 頭上の影が濃さを増して収縮していく。空気の流れから、砂に下りようとしているのだろう事がわかった。ほぼ同時に、砂を踏む音の主も姿を現した。
 黒い雲が、冷たい突風に流されていく。新月からそう日にちも経っていないであろう細い月の弱い光が砂を淡く照らす。だんだんと見えてくる人影に、ナイフの柄を握る力を強めた。

「この木に人がいるのがそもそも珍しい。その上子供など四半世紀振りですね」
「はッ、てめぇ以来かよ」
「おや、貴方が子供をよく見かけるほど子供好きだったとは驚きです」
「んな曲解しかできねぇてめぇの方が余程ガキだ」

 馬“らしいもの”から下りた誰かと、“何か”から下りた誰かは、そんな妙な言い争いをしながら、被っていた深い色のフードを外した。ルカもシンゴも、それに合わせて砂を踏む足に強く力を入れる。

「……っ、こいつらですよ、ね、多分っ、盗賊って」
「ああ、だろうな」

 シンゴの集めた情報はあまりにも少ないが、まず、普通なところが見当たらない。異常の塊だ。普通の旅人などではないことは明らかだった。

「会話聞いてる限りじゃ相当アホっぽいですけど」
「お前に言われたらあいつらも怒るだろうよ」
「な、何スかルカさん、この非常時にその言い方!」
「はいはい、悪かったよ」

 ルカは視線を盗賊であろう二人に移した。未だに二人はよくわからないやり取りを繰り広げている。
 ――片方は、そこまで背は高くなく、とても華奢だ。だが絶対に頭のきれる冷静な人間だろう。そうでなければ、力押しが得意そうに見えるもう一人と釣り合いが取れないし、この容姿だけで砂漠で恐れられるというのは無理がある。
 もう一人は、いかにも、な風貌をしていた。背はシンゴより若干低いかもしれないが、それでもルカよりは高そうだ。そして何より目を引いたのが、流れる金色の髪。弱い月明かりが、見たこともないその色を照らして、男の金髪はより輝いて見えた。あんな色の髪は、見たことがない。初めて王女に会った時、その瞳の青の深さに驚いたのと同じ気分をルカは味わっていた。
 
「……で、どこの国の咎人だ、お前ら」

 鋭い目でそう問われる。
 ――俺たちは咎人なんかじゃない。少なくとも、お前に、お前達に言われる筋合いはない。
 腹立たしくて喉までそんな言葉が出かかったが、勝ち目など最初からないことが分かりきっている。この二人がもし例の盗賊でなかったとしても、ルカがまだ万全でない今の状況ではどうあっても太刀打ちできないだろう。
 今はこの場を乗り切ることだけ考えればいい。そう思ってルカは言葉を飲み込んだのだが。

「……ルカさん、“とがびと”って何スか」
「……空気読めよ、お前」
「全員が言葉の意味分かってなかったら話が進まないじゃないスか!!」
 
 この展開で真面目にそんなことを質問できるシンゴは並の神経の持ち主ではない。
 少し離れたところから、華奢な方の男がくすくす笑っていた。
 笑われて何となく恥ずかしさを覚えながら、ルカは口を開き、なるべく目の前の盗賊に声を聞かれないよう小声で告げる。

「……咎人ってのは、罪人だ。悪い奴」
「ッ、俺たちはそんなんじゃない!!!」
「ちょ、シンゴっ、黙ってろって!」

 気の短いシンゴはやはり大声を出して反論した。ルカも同じことを思っていたとはいえ、下手なことを言って怒らせてはどうなるかわからない。しかしシンゴは止まらなかった。
 ずんずん歩いて二人の前に立ちはだかると、くるっと振り向いてまた大声を出した。

「何で反論しないんですか、ルカさん!! 悪いのは俺でもルカさんでもない! 悪いのはあの国で、あの女王です!!」
「――反逆者か、お前ら。……それくらいしねぇとこんな砂漠のど真ん中にいねえな」
「若いのに謀反とは微笑ましい。たった二人で王国の転覆を謀りましたか」
「だから!!! 俺たちはそんなんじゃないって言ってるだろ!!」

 シンゴがいくら喚いても、客観的事実はひとつも変わらない。
 ルカは女王に逆らって、シンゴはその巻き添えを食らって、国外に追放されて、ここにいる。
 反逆者として十分資格があるのかもしれない。けれど、そう思いたくない。ぎり、と歯を食いしばると、ぽろりと本音が零れ出た。

「……っ、俺たちは、責められることなんて、何も、っ」
「貴方に罪を与えるのは貴方ではない。正義か悪かを定めるのもまた、貴方ではない。正義やあらゆる権力はいつも強者に付随するもの。それすらわからないでこんな所で立ち往生とは、青いですね」

 涼しげなその言葉に、違いない、と金髪が笑う。
 その笑いが、あの女王の笑いよりも余程怖くて、ルカはシンゴのようには動けなかった。自分を見られていない。全く相手にされていない。それが、よくわかる。

「……お前、」

 笑っていた金髪が、馬を引きながらゆっくりシンゴの脇を通り、立ち尽くしたままのルカに近づいた。一層体が強張るのを感じて、それを悟られまいとルカは視線をきつくして金髪を睨む。今までに見たことのない色をした細い髪が目の前で流れ、相手の骨ばった大人の指がルカの顎にかけられた。

「……無駄に綺麗な顔してるな。……下手なものよりお前の方が金になりそうだな」
「っ、るさい……!」

 ルカは腕に爪を立てた。どうしても、それだけは言われたくない。あの町から離れたのだから、それはもう、考えたくもないことなのに。
 ルカが苦悩する様子を見てか、金髪の男は笑っていた。見下したように、ではなく、完璧に見下している。そうやって見られていることもわかっている。悔しいと思うし腹立たしいと思う。なのに動けない。あの時、女王に歯向かった、あの時のような威勢のよさを今一番欲しいと思った。

「私は嫌ですよ。連れて行くにも売りさばくにも手間がかかりすぎる。貴方が全て面倒を見ると言うなら止めませんが」
「んなかったりぃこと誰がやるかよ。冗談くらい素直に受け取れねぇのか」

 ――こういうガキ行くところにしか行けねぇんだから、わざわざ手ぇ貸してやることもない。
 金髪の言葉はそう続き、こいつの指を噛み千切ってやろうかとルカが思った瞬間、先に声を荒げたのはシンゴだった。

「っ、お前らッ、ルカさんにそういうこと言うな!!! ルカさんにだけは言うんじゃねぇ、この盗賊野郎!! 人の物盗んで、迷惑かけてっ、お前ら人として最低だ!! そんな汚ねえ手でルカさんに触んじゃねぇええええええ!!!」

 激情に駆られたシンゴが砂を蹴って向かってくるのが分かる。舌打ちの後に顎を放されると、ルカはやっとのことで砂の上を一歩だけ後ずさった。踏みしめた砂が流れて、少し足がもつれたが、視線を男から外すことだけはしなかった。
 シンゴの声が男のすぐ後ろまで迫った時、はっとしてルカは大声を上げた。

「や、やめろシンゴ、止まれッ!!」
「何でですかルカさ、――あ、っ、ぐ、」

 この年になって、久々に大人を怖いと思った。
 さっきのこの男の口元は、笑っているというよりも歪んでいて、ルカが、なんだか楽しそうだ、と認識するよりも早く、男の長い足がシンゴの腹部をものの見事に蹴り上げていた。シンゴは眉間に深く皺を刻んで、声も出さずに歯を食いしばり、目の前の男を睨みつけていたが、

「っ―――」

 間もなくして、ルカの目の前で砂の海に倒れた。

「シ、ンゴ……?」
「全く大人げのない。子供相手に」
「余程相手して欲しかったみてぇだったからな。これで満足だろ、ガキ」
「シンゴ!!」

 ルカは、先ほどまで動けないくらいに緊張していたのも忘れて、転げるようにシンゴの元へ向かう。砂に足を埋もれさせながら進み、途中で転んで起き上がるとどうやら金髪の男に足を引っ掛けられたらしい。相手の性格の悪さに苛立ちは抑えきれないほど高まっていたが、そんなことよりもずっとずっとシンゴが心配だった。

「シンゴ、おい、シンゴっ、平気か!?」
「っつ……平気、です……! すいません、俺……」
「謝るなっつったのはどこの誰だよ!! 黙ってろ!!」

 腹を押さえたままのシンゴだったが、命に関わるようなほどの重傷ではないようで、ルカは心から安堵した。シンゴが無事でいてくれれば、自分はまだ動ける、まだ生きていける、そう思えていた。





7があまりにも長いのでやっぱ2つに切る。
ルカの設定は私の独断と偏見と思い込みでそのまま突っ走ることにしました。
まあ別に、不思議じゃないだろう、みたい、な?

人様のキャラ本当に扱い悪すぎじゃないか私。
独断と偏見と思い込みも行き過ぎたら不味いんじゃないの私。
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2007.07.03(Tue) | rebellion | cm(0) | tb(0) |

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