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軽石へちま

Author:軽石へちま
基本自キャラで凄まじく妄想してみる。
隠れ家なのでBLとか黒とか暗とか主。
キャラ崩壊必至。何とも思わないけども。
妄想についてこれる人だけどうぞ。

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タイトル付けられない(笑)



「……おっそい」

 ヤマトが部屋に戻るのはいつも遅い。普段から遅いには遅かったが、ここ数日は輪をかけて遅い気がしていた。最近はいつも、屋敷の護衛として寝ずの番をしているはずの兵士達さえ眠ってしまうような、そんな時間に帰ってくる。
 それでも、帰らないことは絶対にない。本当に忙しくて執務室で居眠りをしてしまって、それで目覚めた時既に夜明けだったとしても、ちゃんと部屋に戻ってくる。寝ていていい、とヤマトに言われているとはいえ、大体気になるから起きているのだが、流石に夜明けまで起きていることはできずに、そういう時はヤマトが部屋に戻ってきた音で目を覚ますのだ。
 『悪い、向こうで寝ちまった』とヤマトは苦笑していた。何を謝ることがあるのだろう、とルミは思う。疲れているのならどこで眠ったってルミは構わないのだ。ただ、ヤマトが倒れてしまうようなことがなければ、それでいい。
 ――とはいえ。
 こうも連日遅いとなるといろいろ勘ぐりたくなるのが性分だ。会議だというのなら、町の有力者の老人達も遅くまで集まっているということ。週に一日や二日ならともかく、毎日など有り得るだろうか?
 これが浮気だの何だので他の女の所に行っているというのならまだ気が楽なのだが、その可能性はゼロに等しい。確かにヤマトは、ルミをこの屋敷に連れて来た時に、“部屋に住まわせるが、結婚するまでは一切男女間の関係を持たない”と宣言した。そういったことが影響して、誰か女のもとを訪れるというのなら納得できる。けれど、ヤマトならそういったことは包み隠さず喋ってしまうだろうし、他の誰の言葉でもなく俺だけを信じろ、と言ったのはヤマトだ。まるでそれしか知らないようにルミを愛するヤマトが他に女を作るというのは、当事者であるルミからしても考えにくい。浮気が原因でなく帰りが遅いのなら、それはつまり、国の仕事であったり、その他のことであったり、とにかく、ルミが知ってはまずいことが絡んでいるはずなのだ。
 今日こそは真相を掴んでやろう。本当に仕事なら、少し労うことくらいはできるはずだ。自惚れかもしれないが、ルミの前でだけヤマトは緊張を解いている気がする。他の誰も知らないヤマトの表情を、ルミは知っている。
 雪の降る音だけが聞こえる夜更け、ルミは一人で部屋を出た。


 ヤマトの私室には、洗面所から湯殿まで、部屋を出なくても生活できるだけのものが揃っている。毎日の食事は、ヤマトが一緒にとれないときにはツバキが欠かさず運んでくるし、外が晴れれば実家に帰ることもある。
 だから、普段ルミが部屋の外に出ることはない。ヤマトとルミの関係を快く思っている者など、この屋敷にはいないのだ。ルミが無意味に傷つけられないよう、部屋を出なくて済むようにしてくれているのは重々承知していたが、実際のところルミはそこまで柔ではない。ヤマトが「信じろ」と言った。だから全身全霊をかけて信じている。誰の言葉にも惑わされるつもりはない。ヤマトの誠意に誠実に応えるだけで、何も恐れることは無いはずなのだ。
 会議室の手前で、普段着のまま歩くツバキを見かけた。彼女は秘書としての仕事以外にも薬師としての勉強をしているようだし、色々と忙しいのだろう。

「ツバキちゃん」
「あら、ルミさん。お部屋を出られては困ります。お父様が心配されますわ」

 何とも決まりきった文句だ。ルミは腰に手を当てて首を振る。

「今日はいいの。……ヤマト探してるんだけど、会議中?」

 ツバキの答えを聞かずとも分かっていた。会議室からは一切声が聞こえてこない。会議でないことは明らかだ。しかし、ツバキは少しも表情を崩すことなく、答えた。

「はい。お父様は国政に関わる重要な会議をなさっています。終わり次第お部屋に戻られると思いますから」

 流石はヤマトが育てた娘だ、とルミは感心してしまう。ここまで忠実に言いつけを守るとは。出来が良すぎてルミも気後れするほどだ。
 こう言われてはルミもそれ以上追及する気にはなれず、部屋まで送ると言ってくれたツバキの申し出を丁重に断り、仕方なく踵を返した。



 しかし、ただで戻るというのも気分が悪い。ということで執務室にまで足を伸ばして見る。久々に一人で歩き回ったからか迷いそうになったことは秘密だ。
 大きな扉の前に立ち、ノックをしようと手を挙げたとき、

「こーんばーんは♪」

 と陽気な声が聞こえ、驚いてルミは振り向いた。
 声の主は分かっている。ルミにこんな風に声をかけるのは、この屋敷ではこの人物しかいない。

「……ツヅキ君」
「夜分遅くにご苦労さんどすなー。ついに離縁でも決意されはりました?」

 心底楽しそうに、金髪の青年、ツヅキは笑う。ツヅキとは、ツバキ相手ほどではないが、喋る機会がある。話してて飽きないような人物ではあるが、たまにわざわざ言葉の中に棘を含ませてくれたりするので、ルミにとって苦手な部類に入る人間ではあった。

「ヤマト、知らない? ツバキちゃんには会議中って言われたけど、ツバキちゃんも君も会議室にいないてことは、会議中って確実に嘘でしょ?」

 ツヅキもツバキも、大抵ヤマトと共に会議に出席している。そのツバキはさっき普段着で廊下を歩いていたし、ツヅキも今ここにいる。ということは、先ほどのツバキの発言はやはり嘘ということになる。

「あっはっは、ツバキはんはどっこまでも愚直やなあ! 秘書たるもん、緊急に際しては臨機応変に振舞わんと」
「愚直なんてことないでしょー? 忠実なのはいいことじゃない。あたしに何か聞かれたら会議って言えって言われてるんでしょ? あたしが部屋出ないと思ってるからだと思うけど」

 ツバキはヤマトの言う事には忠実に従う。だからこそ、会議など行われていなかったとしても、そう答える外なかったのだろう。

「で、ツバキちゃんを愚直呼ばわりするツヅキ君は臨機応変に言い訳してくれるんでしょ? ヤマト、どこにいて何してるのか教えてくれない?」

 ツヅキのことだ、大人しく答えたりはしないだろう。部屋に戻るか、屋敷中を歩き回ってみるしかないかもしれない。

「外におります」

 屋敷の中で迷ったりしたら絶対笑われる。それは癪だけれど、ここまで来て引き返すのは――。
 そう思っていたが、ツヅキが割とそれらしいことを今言った気がする。事実かどうかはまだ分からないが。

「……本当?」
「うっわー、そこまで疑われるんは心外やわー。こないな事、言い訳するほどでもあらへんし、第一隠しとくんが不思議なくらいなんやから」

 あっけらかんとツヅキは言ったが、隠すようなことだから隠しているのではないか。ルミに知られてはまずいから、口裏を合わせていたのだろう。

「雪降ってるのにこんな夜に外でなんて……。軍事演習とか?」

 ルミ自身、かなり深刻に考えたつもりだったのだが、それを聞いた続きは心底おかしそうに腹を抱えて笑い出した。さすがにルミもむっとしてしまう。文句の一つでも言おうと思ったが、そこはツヅキに先手を打たれてしまった。

「そりゃちゃうわ、ルミはん! そりゃ勘繰りすぎや、いっくらなんでも。俺はその方が面白そうやから戦争するんでも構へんけど、あんさんくっどいくらい言われとるんやないの? この国で戦争はせえへんって」
「う、……」

 それをツヅキに言われてしまうとは心が痛い。ヤマトがいつも言っていることだった。この国で戦争はしない。国土が荒されるような展開には持ち込みたくないのだ。

「それに、あんなくだらんことと戦争を同一視したらあかんわー。ヤマトはん、この寒い中緑化計画を鋭意進行中や。――これもルミはんが知ったらまずいー、言うんでツバキはんと口裏合わせてたんやけど、……戦争の方が信憑性高いんかなー、あーあ、ヤマトはんもお可哀想に」
「ううう、……」

 こちらの方が余程ありえそうだ。外での緑化計画というのは、間違いなく種を蒔く作業だろう。それは週一回二人でやると決めたはず。それを無断でやっているのなら、ルミが起こることは確実だし、ヤマトが隠そうとしたのも頷ける。

「……外のどこにいるの?」
「さあ、そこまでは」

 と言いつつ、ツヅキのことだから知っているに違いない。とルミは根拠のない自信を持つ。ここで引くわけにはいかない。ヤマトが約束を破ったというのなら尚更だ。

「じゃあ一人で探し回って見るから。……これで風邪でも引いたらツヅキ君のせいだって言うからね!! あたしのことになるとあいつ、烈火の如く怒るわよ、きっと」

 ものすごく恥ずかしいことを言っているのは分かっている。今も顔から火が出てきそうだった。それでもヤマトの居場所を聞きだすためなのだ、仕方ない。
 ルミはこの町の出身ではないため、あまりここの地理には詳しくない。その上、ここ数年は屋敷か実家かどちらかでしか生活していないのだ。ちゃんと聞かなければ外に出ても迷ってしまう。

「あーあーお熱いことで。ごちそーさん」
「恥ずかしいんだから改めて言わないでよバカぁ!!」
「あーはいはい。ルミはんの最愛の旦那様は、さっき見た時は広場の近くにおったみたいやけど、気まぐれなお人やからなあ。その後は俺かてこーしてルミはんとおしゃべりしとるからどこにおるかは分からんなあ」
「広場?」

 広場といえば、町の中心部。
 屋敷は町の奥に位置しているから、ここからだと大分離れている。

「行ってくる! ありがとうツヅキ君!」
「いーえ。お気をつけて」
「うん!」

 ルミは勢いよく駆け出し、そっち出口とちゃいますよー、と後ろからツヅキに声を掛けられて、再び勢いよく方向転換をして出口へと向かう。
 外は雪。少し寒いだろうがきっと大丈夫だ。向かう先には怒りの矛先がいるのだから。






もっとツヅキ君を嫌味ったらしくしたかった。
けどツヅキ君はルミよりもツバキの方に冷ややかに当たりそうなので、そんな感じです。(何)
ツバキの方が突っ込みどころあるからなあ。


さて、そろそろ眠ります。

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2008.08.25(Mon) | rebellion | cm(0) | tb(0) |

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