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軽石へちま

Author:軽石へちま
基本自キャラで凄まじく妄想してみる。
隠れ家なのでBLとか黒とか暗とか主。
キャラ崩壊必至。何とも思わないけども。
妄想についてこれる人だけどうぞ。

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7-2   one's justice

「――その年で反逆者なんて、どんな下らねぇ事情かと思えば」

 不意に響く、声。
 それと一緒に、ちゃら、と、流れるような軽い金属音がして、反射的に振り返る。
 なんだか聞き慣れている音のような気がする。それは、ルカ以外のところから響いてはいけない音だった。ルカの、ズボンのポケットという場所以外から、聞こえるはずのない、音。全身から血の気が引いて、そっと布の上からポケットに手を当ててみる。
 ――あの時か!!
 ルカが気付いて男の顔を見ると、その顔はさっきシンゴを蹴ったときにように歪んでいた。楽しそうに。

「おや、今日の収穫はもうないと思っていたのに、思わぬ幸運ですね」

 後ろでずっと事を静観していた華奢な男が言った。
 思わぬ幸運なんかにしてやるものか。何を捨ててもいい、さっきまで言われたくないと思っていたことをいくら言われてもいい。自尊心だの何だの、命以外なら全て捨ててもいい。あれは、あの町にいても、どこにいても奪われてはいけないものなのだ。

「っ、それを、返せ……!!」

 返せと言われてほいほい返すような奴なんていないことはルカにだってわかっていたが、そう言うより他はなかった。
 金髪の男が、まるで見せびらかすように金時計を揺らす。あれは、ルカが今ここにいて、いつか国に戻るための“理由”。あれがなければ、前に進むことなんてできない。

「王女でも攫おうとしたか? ……こんな時計、お前みたいな薄汚いガキが持ってていいもんじゃねえだろ」
「返せ!! お前らに渡していいようなもんじゃない!! 返せよ!!」
「……お前、自分ばっかり悲劇の英雄ぶってんじゃねぇぞ」
「っ!? ざけんな、そんなんじゃ!!」

 金髪の男が馬の背に乗る。行かせるわけにはいかない。ゆっくり歩き出す馬を追ってルカは走った。あの時計は、彼女との待ち合わせに使うもので、彼女と会うため以外に使う必要なんて、ない。彼女がルカに与えてくれたもの。彼女のおかげで、暗かった一日に一筋の光が射した。あれを失ったら、もう彼女と会えないような、そんな気さえする。
 馬が歩き出したのを見てか、もう一人の男もここを離れるらしい。何とも表現できない“何か”がまた空に舞う。

「なら、お前が世界の正義か? 国を追放されて、こんなところでくたばってるお前が?」
「違う! そんなこと誰も言ってない!!」
「違わないな。人のことは盗賊だの悪党だの糾弾するくせに、国に背いた自分たちは正しいと。――笑わせるな、オママゴトしてるんじゃねえんだよ」

 ルカは立ち止まった。
 正義の剣を振るうのは常に強者だ。ルカもシンゴも、その名の下に制裁された。強者が正義なら、正しさはいつも強者によって定められる。
 あの国で、正義の場所が覆るはずがない。もう長く、王国として、王族という正義の象徴が統治してきた場所だ。それでも、町に対して悪政を行ったわけではない。ただ、あの女王は、短気で残虐なだけ。不穏分子を排除するのに何の躊躇いもない。ルカは、王女を追放した、という点に関してのみ不満をぶつけて逆らっただけだ。
 正しかったのだろうか。ふとそんな疑問が頭をもたげてくる。逆らわない限りは、城下の町に悪い影響などなかった。

「俺たちが商人を襲うことが百歩譲って公平でなかったとしても、今は違う。お前らも俺たちも悪人。資格としては平等だ。なら、生きるか死ぬかを懸けてるこの砂漠で、お前が物を盗られたとしても、文句は言えないな?」

 強い者はいつも、正義を振るう。
 振るわれる側として生きてきたから分かっている。
 生まれた時、幼い時から家庭環境が他と違った。他より貧しかった。他より容姿が多少優れていた。長所だろうが短所だろうが、弱者は全て批判される。今までは、それも仕方ないと受け入れてきた。そうであるのは事実で、変えようがない。少なくとも、ルカには変える力がない。他より弱いのも仕方ない。
 ――今度も、仕方ないのだろうか。
 相手が強いから、自分達が子供だから、仕方ないのだろうか?
 分からない。判断がつかない。確かに向こうも悪人で、自分は反逆者で、秤にかけたらもしかすると、自分の方がより罪深いかもしれないのに。

「………は…………きに………………ってんだよな……」

 シンゴが、何かを呟いている。馬を追っていたルカからシンゴまでの距離は近くもなければ遠くもない微妙な間合いだったが、ところどころ音として聞き取れるところからすると、ルカに聞かれてもいいような言葉なのだろう。少なくとも、独り言では、きっとない。
 え、とルカが振り向いたときにはシンゴは立ち上がって、遠目にもわかる満面の笑顔をルカに見せていた。

「正義だろうが真理だろうが理屈に流されてたら帰れませんよ、ルカさん? 理屈から言ったら追放なんて帰ってくるなってことなんですから。それでも帰ろうとするのは、そんな馬鹿げた理由からじゃない。ルカさんが信じてるのは、国の方針だとか女王の考えじゃなくて、自分の思うことでしょう? 確かに俺たちは女王に背いた反逆者で、国外追放されちまったけど、俺はちゃんと言いましたよ、ルカさんが正しいと思ったことを、俺も信じてる。それが正義じゃなくても構わない。正義じゃないってんなら悪党上等反逆上等です! 俺馬鹿なんで、ルカさんと違ってルカさんのこと疑いませんから!!」

 今度はルカにも一言一句聞き取れるように、大声で言い切ると、シンゴは砂の上を駆けた。ルカよりもずっと長い間この砂漠を歩いたために多少慣れたのだろう。砂に足を取られる事もなくルカの元へと辿り着くと、すぱんっ、とルカの手を叩く。 
 ルカの手からナイフが滑り落ちた。それを素早く拾うと、ルカが止めるような暇もなく金髪の男が跨る馬へと突っ込んでいく。

「ルカさんの、っ、返せぇえええええええッ!!!」

 いくら走れるまで慣れたとはいっても、普通の土の上を走るのとは訳が違う。普段ならルカと張れるくらいの脚力を誇っているシンゴも、このままスピードを上げられたのでは敵わないと悟ったのか、手にしたナイフを、無防備に見える背中に思い切り投げつけた。

「使えねえ主人を持つと犬も大変だな」
「そうですね。些か哀れでもあります」

 シンゴの放った刃は金髪の男のフードを掠めて砂に落ち、それとほぼ同時に男によって放たれた別のナイフが綺麗にシンゴ目掛けて飛んでいく。

「づ、っ……!」

 男は馬に乗ったまま後ろ向きで投げたはずなのに、ナイフは見事にシンゴの右肩に刺さり、シンゴはそこで膝を折った。
 盗賊二人はその様子を振り返って見ることもなく加速していく。
 今殺さなくてもしばらくすればくたばるだろうと声が聞こえた気がして、シンゴに駆け寄りながらルカは唇を噛み締めた。
 シンゴが肩のナイフを抜いて、それでもなお立ち上がろうとするのをルカは制止する。

「……もういい、……いいよ、シンゴ」
「いい、って……!! いいってどういうことっスか、ルカさ、っつ……」
「お前は俺の盾じゃないだろ。今はもう、いいから、今はもう、それ以上傷つかないで、頼むから……」

 その言葉を聞いて、ふ、とシンゴの瞼が閉じた。死んだのかとルカは少し心配になったが、小さく上下する胸が眠っていることを教えている。 
 シンゴは何故かこんなにも必死になって、身を挺してルカを庇っている。前から仲は良かったのだが、ここまでさせるわけにはいかない。もし、今後似たようなことでシンゴが命を落としたりしたら、と思うと気がふれそうになる。
 
「正義は、いつも強い者に、………」

 静かに、思い出したようにその台詞を呟く。
 なら、なってやる。
 自分が正義だと。正しいのはこちらなのだと。
 あの二人に、あの国に知らしめたい。
 そのために、またきっと力を借りなければならなくなる。それでももう傷ついてほしくないとも思う。相反する感情の中で、ルカはひとつの決意を固めて、死んだように眠るシンゴの手を取った。 

「……強くなるから、俺のこと、許して……」

 小さく呟くような声が、段々と冷えていく砂漠の砂と一緒に風に流れた。



眠いす。
しかし妙なことになってきました。
あああダメだ、眠い!!


明日はやっとinterludeに入れそうな気がするよ。
眠い眠い眠い。寝よう。


今眠くないので追記に追記です。
今朝チャリ漕いでて、シンゴが「ルカさんが正しいと思ったことを、俺も信じてる」って言ってたのは、ああそういう意味なのかなあと自分で書いてるくせに思った。
不憫な子だ。ツキ高とは別物で考えてやることにしようと思う。
そう言ってても、全部がルカばっかなわけじゃなくて、ちゃんと自分の気持ちもあって動いてるんだと思う。ルカより余程自立してるな、意外ですよ。

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2007.07.04(Wed) | rebellion | cm(0) | tb(0) |

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