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軽石へちま

Author:軽石へちま
基本自キャラで凄まじく妄想してみる。
隠れ家なのでBLとか黒とか暗とか主。
キャラ崩壊必至。何とも思わないけども。
妄想についてこれる人だけどうぞ。

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月の眩暈と光源体 2



「な、何あの子っ、髪超っふわふわ!! さっき目ちょっと開いたけど緑だったし!!」

 戻ってきた葉山は興奮気味に叫ぶようにそう言う。 
 
「……で、あの子は何なの?」
「……ヤマト、簡単な話くらい通しとけよ……」

 ヤマトには軽く話をしてあったのだが、ヤマトは自分のところで止めてしまっている。何度も同じ話をするのは面倒だというのに。

「流風のガキだよ。なあ流風?」
「………え、だって水城って留学してたんでしょ? あれ?」
「だぁから、子育てしながらの学生生活だったわけだ。それで博士号っつーんだから大したもんなのか、博士号が大したことないのかどっちかだな」
「……お前、反論しないと思って言いたい放題だな……!」

 俺はほとんど子育て参加してないからどっちでもないというのが正解だ。
 あの年まで育てるのは彼女に任せていた。俺は週末に一緒に遊んでやる程度。だから最初は慣れるまで会う度に人見知りされて驚いたもんだ。

「……えっと、じゃあ、……相手は?」
「亡くなった。先々週だったかな」
「え、……じゃあ、何、あの子お母さんいないの?」
「そーゆーこと」

 細かいことはわからなくても、葉山はそれで納得したらしい。
 まあ、俺に弟はいないんだし、金髪で緑色の目してたら誰だってこういう想像にしか辿り着かないだろう。

「えっと、名前! なんていうの?」
「樹木の樹に理科の理で樹理。普通に日本名だよ」
「樹理くんか。椿の様子見ついでにもうちょっと眺めてくるっ」
 
 椿ってのは娘だったかな、そうだよな。
 ぱたぱたとせわしなく別の部屋に駆けていく葉山を見送ると、ヤマトは早速脇に置いていたビール瓶のふたを開ける。

「よく連れて帰ろうと思ったな」
「置いてくほど薄情じゃないし、一応父親って自覚はあるもんで」
「親には? 話してあんのか?」
「全然。まあ、もう戸籍の調整も終わってるし、何か言われたってもう樹理はいるんだから仕方ないだろ。母校で勤務決まってるから金の面では面倒かけないよ」

 二つのグラスにビールが注がれ、カチンとグラスを合わせてから口を付ける。
 高校卒業して数年っていってもそう長い時が経ったわけでもないのに、もうどっちも子持ちってすげえ変な気分だ。

「お前こそ、――よく子供なんて面倒なもん作ったな? 超意外なんですケド」

 ヤマトは、そんなもん作らないと思ってた。
 家が決めた女と結婚すればまた違っただろうけど、葉山と結婚するって決めたってことはヤマトのこれまでの人生観を全部覆らせたってことだ。それって何か、すげえ進歩。家のために生きることしか考えてなかった奴が、自分の人生をいかに幸せに生きるか考えて、今こうしているって、うまく言葉にはできないけどとてつもないことなんだと思う。

「跡継ぎとか?」
「そんなもん椿じゃなくても外からいくらでも連れて来れる。直系じゃなきゃ嫌、なんて俺思ってないしな」
「子供嫌いそうに見えますけど? ヤマトさん」

 グラスの中のビールを飲みほすと、ヤマトは極上の笑顔で「嫌いだけど?」と言ってのけた。そんなこと断言していいのかよ、と思う。俺は留学してる間とかそんなに飲酒してないから酒には強くない。久々だから節制することにした。ヤマトは仕事柄そうじゃないんだろうな。空になったヤマトのグラスに新しくビールを注いでやる。

「お前のことを悪く言うんじゃないが、子供なんて愛情云々だけじゃ作ろうと思えない。特にうちみたいな旧家はな。短絡的な親が多いから虐待だの何だのって起こるんだろ」

 まあ、簡単に考えちゃえば子供といえど第三者だもんな。
 俺は悪く言われたと思ってないし、ヤマトのいう事はそう間違ってはいないと思う。
 ――樹理の場合は、愛情云々は後付けのものだったから、なおさら俺達の場合とは当てはまらない気もする。

「……慎吾の同級生の、なんだっけ、都筑? あいつに子供できたから、って葉山が前電話で言ってた気すんだけど。そこまで張り合ってんの、お前ら」

 俺が向こうに行ってそう何年もおかずにそんな話を葉山と電話でした気がする。高校時代からヤマトと都筑はよくつるんでいたけど、そこまで張り合ってるとなるといろいろ通り越してお前ら馬鹿だろ、って感じだ。

「は? あー、まあ、そうだな。あいつのところにガキが生まれたから、“今”椿がいるのは否定しない」
「“今”?」

 ヤマトの口から、奇妙な限定句が出た気がした。
 今。

「俺の性格からして、本気で張り合ってたら同い年のガキ意地でも作ってると思わないか?」
「まあ、お前バカだからな」
「うるさい。つーか、結局はきっかけってことだろ。都筑は大学行かないで家に入ったから俺とは違うし、もし張り合ってたら俺はともかくあいつは大学休むかやめるかしなきゃいけない。音楽やりたいって進んだ大学なんだ、そうはさせたくなかったしな」
「なるほど」

 そうか、大学卒業する頃の子供だよな、そういえば。
 昔から葉山のことは過剰なくらい大事にしてる奴だったけど、その姿はご健在らしい。

「ついでに言うと、周りもうっさいし跡継ぎ云々の問題もあるし、あいつの親は俺の親なわけだから孫の顔見たいって言われりゃ見せなきゃならんだろうし、」
「溺愛する嫁の子供が欲しくないわけがない?」

 からかうように俺が言うと、ヤマトは複雑な顔をしつつも否定はしなかった。つまりはそういうことなのだろう。

「ヤマト、すっげー変わった?」
「変わってねぇよ。愛情云々だけじゃないっつっただろ」
「けど、“今”って言った。確かに今一歳のあの子が今芹沢にいるのは都筑のとこのがきっかけかもしれないけど、……結局お前の中では今だっていつだってあの子の存在は決まってるもんなんだよ。俺の知ってるヤマトは絶対そんな風には考えなかったね」

 やっぱりヤマトは複雑そうな顔をした。いつまでも余裕綽々で生きてた、俺の知ってるヤマトはどこ行ったんだよ。ちょっと弱くなったんじゃないのか? 嫁の存在ってのは偉大ですねえ。旧家の長男のくせに恋愛結婚しただけある。
 痛いくらい分かったのは、ヤマトの子供は周囲のいろんな環境に望まれて生まれてきたってこと。愛されてるねえ。 
 そんな愛に溢れた子供と、樹理を並べて考えてしまうとどうしても樹理が可哀想な気がして、あまり考えたくはなかった。
 あのヤマトでさえ望んだ命。その子は世界中の誰よりも幸せに生きることができるんじゃないだろうか。自分とは関係ない誰かの命を粗末に扱うことを何とも思わないようなヤマトが、自分の遺伝子を残すことを望んだのだから。
 ――なら、樹理は。
 彼女が望んだ。俺が望んだ。それだけで十分じゃないか、とは思う。それでも胸の内がもやもやするのは、俺が、誰かに祝福されたいだけなのかもしれない。俺が、まだ子供だから。

「水城っ、樹理くん起きちゃったっ」
「ああ、悪い。今そっち行く」

 起きたからと言って泣いたりしないのがありがたいところだ。
 俺が腰を上げると、続いてヤマトも立ち上がった。

「しばらくいるんだろ? ここ勝手に使えよ。俺達は椿連れて母屋戻るから」
「悪いな、ヤマト」
「いんや、久々に親友同士水入らずと行こうじゃないか、ってな」

 子供が眠る部屋で、ヤマトは自分の娘を抱きかかえると、葉山と一緒に母屋へ戻っていく。樹理はまだ寝惚けている様子で目を擦りながら、玄関の扉を閉める俺のズボンの裾をぎゅっと握った。

「おとーさん……?」
「ん、樹理着替えるか?」
「んーん、もうねる……」
「分かった」

 三歳の子供に十時間以上の移動はきつかっただろう。樹理を抱き上げて、先ほどまで寝かされていた部屋へと戻る。
 寝惚けながらも樹理は俺のシャツの布をぎゅっと掴んで離さない。

「……樹理……」

 父親にも母親にも似ちゃいないふわふわの髪。肩口に押し付けられた小さな頭を撫でてやる。
 大丈夫、ちゃんとお前は俺が望んだから。
 どこまでも俺のエゴだとしても、俺だけはちゃんと、お前の存在を望んでるよ。






今回の山場。(早)



これだけのことを大和は考えてるけど、結局椿が次期当主だろうってことは変わらないので、自分は直系が継がなくてもいいと思ってても周りがそう許すはずもないし、椿自身がそういうものだろうと思って未来を受け入れてるので、椿の前では当主としてしか接せない大和。そこがわからなくて、結局大和は自分の嫁しか愛してないのね!!とかいう発想になる椿と私もまた中二病。
こいつが普通の家の父親なら幼稚園の運動会で父兄参加種目とか本気で出場すると思います。死ねばいいのに。(笑) そしてぶっちぎりで1位獲る。
私が中二病だから、椿と樹理の勘違いの方向は理解に苦しみます。
椿が成長してからエンジ君と会わせたりとか落とせっつったりとかは間違いなく風哉くんと張り合ってますが、椿が一言自分で「嫌だ」って言えば強制する気は少しもありません。
家だって継ぎたくないって言えば好きにさせる気しかない。最初から好きにさせようと思ってるのにそこもわかってもらえてない。
主体性のない人間が一番嫌いなので、唯々諾々と自分の意思もなく従ってしまうようならそのまま芹沢の駒として使おうくらいには思ってそうだが。


椿がもし男だったらどういう張り合いの仕方をしたんだろうか。ぼっこぼこにしてやんよー、みたいな感じですかね。毎日喧嘩挑むとか。
学力勝負とか。まさか今と同じ方法は取らないだろう。(笑)
そしたら芹沢一族馬鹿すぎる。

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2008.09.03(Wed) | 未来話 | cm(0) | tb(0) |

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