プロフィール

軽石へちま

Author:軽石へちま
基本自キャラで凄まじく妄想してみる。
隠れ家なのでBLとか黒とか暗とか主。
キャラ崩壊必至。何とも思わないけども。
妄想についてこれる人だけどうぞ。

最近の記事
最近のコメント
最近のトラックバック
月別アーカイブ
カテゴリー
ブロとも申請フォーム
ブログ内検索
RSSフィード
リンク
スポンサーサイト
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

--.--.--(--) | スポンサー広告 |

世界のあたたかさ




(――……だるい)

 薄く目を開いて、一番に思ったのはそんなことだった。
 嫌なだるさ。あの国にいた頃、ただ生きるために朝から晩まで働いて、くたくたになって寝床に倒れこんだ後、来て欲しくない朝がまた来てしまった時の気分。
 ぼんやりと見つめる先は暗い。でも見慣れている。アジトの洞窟。ごつごつした岩の天井。
 体を起こすのも面倒で、目だけを左に動かす。また、見慣れた影。大きな影だ。俺よりずっと大きい体が、うたた寝をしているのか首が小さく前後に揺れている。

「……シン、ゴ……」

 小さくそう声を掛けると、シンゴの体がぴくりと動いて、眠たそうにしていた目もしっかり開いて、俺を見つめた。
 すごく驚いているような表情。

「……お前、目の下……、すごいことになってる」

 シンゴは砂漠に来た時から疲れていたみたいだけど、今は本当に目の下がすごい。自分がどれくらい眠っていたのか分からないが、多分それは相当長い時間で、その長い時間、シンゴは眠らないで俺の傍にいてくれたんだろう。
 上体を起こすと背骨が軋んで痛む。手を伸ばして、親指でシンゴの目の下の隈をなぞると、シンゴは俺の背に腕を回して、驚くくらい強い力で抱き締めた。軋む背がもっと痛む。

「っ、あんたが死んだら、俺は、どうしたらいいのかって、俺、」
「死んでないんだからいいだろ」
「ふざけんな!! 一日半、ずっと起きないし、熱もすげえ高くて、俺、もうあんたが死ぬんじゃないかって、思って」

 はしゃぎすぎた子供みたいだ。不慣れなのに少し頑張りすぎたのかもしれない。あのどうしようもなくだるい感じは熱のせいかもしれないな、と思った。

「……怒って、る?」

 シンゴはゆっくり体を離すと、複雑そうに目を伏せた。
 俺のよく知ってるシンゴなら、「大丈夫ですか!?」って何度も何度も騒いでそうだったけど、思ったよりずっと静かだ。
 俺が眠っていた一日半の間に何かあったのか。それとも、俺が一日半眠っていたこと自体が問題なのか。多分、後者だろうな。

「……怒ってないですよ」

 不貞腐れたようにシンゴは呟いた。あんまりにも気持ちが乗ってない言葉だった。

「……俺があいつ、助けたからか」

 だって絶対怒ってる。そう思うから更に付け加えると、

「怒ってないって言ってるじゃないですか!!」

 やっぱり怒った声で、叫ぶように返された。
 そう返されてはもう次に何を言ったらいいかわからない。次は俺が黙る番だった。

「……何で、あいつみたいな奴のこと助けようって思えるんですか……。ルカさんが習ってた術は、あんな致命傷みたいな傷治すためのものじゃない! 自分の命と他人の、……あいつの命、どっちが大切なんですか! 自分があいつにされたこと、覚えてます!?」
「けど、それは誰かを見殺しにしていい理由にはならない」
「国を追い出されて、戦うことも何もわかんない単なる子供だった俺達に、こんな武器、持たせた奴なのに!!」
「あいつらに会わなくてもきっと必要になったと思う」
「っ……!!」

 俺がひとつひとつ言葉を返してやると、最後にシンゴは俺を睨みつけて、今度こそ、叫んだ。

「じゃああんたは! ここであんな奴助けて死んで! 大事なお姫様助けられなくてもそれでよかったって言うのか!?」
「――……それは、」

 本来あの術は術を使う者の力を対価とするものじゃないから、俺が不慣れだったせいで熱を出したり寝込んだりしてしまっただけなのだ。でも、シンゴにとってこの一日半は恐ろしく長い時間だったのだろう。
 俺を庇って一緒にこんなところまで来てしまったシンゴ。
 弟や妹を置いて、俺なんかのために、ここにいてくれるシンゴ。
 シンゴは俺が眠っていた間、何を考えたんだろう。俺が死んだら自分がどうなるか考えたのだろうか。俺の隣で、少しも眠らずに、俺のいない旅路を考えたのだろうか。
 『ごめん』しか言える言葉を持ち合わせていなくて、それでも、その言葉じゃシンゴは納得してくれないこともわかっている。逆の立場だったら、ここで『ごめん』なんて言われることは、ナオに会えないまま死んだってよかった、って言ってるようなもんだ。だから言えない。言えるわけがない。
 シンゴもそれをわかってくれているのか、それ以上答えを求めることはせずに、ひとつ大きな息をついた。

「……ルカさんが寝てる間、俺何考えてたと思います? ルカさんが倒れるまでして助けたあの男、本気で殺そうと思ってたんです。ルカさん倒れさせるような真似しやがって、って。もう我慢ならなかった。傷はちゃんと塞がったみたいですけど、最初調子は整ってなかったみたいで、殺すには絶好の機会って感じで。――自惚れじゃなくって、あの時の俺なら、あの状態のあいつくらいきっと殺せた。ルカさんがくれたコレ、思いっきり振り上げて、力任せに下ろせばいい」

 剣の柄を手に、シンゴは皮肉めいた笑みを浮かべて淡々と話す。
 その様子は、シンゴにはとても不似合いだ。俺が倒れたばっかりに、シンゴはこんなことを本気で考えたのだと思うと、ずきずきと胸が痛くなる。

「……けど、できなかった」

 さっきのシンゴの声があまりにも真剣だったから、その言葉を聞いた俺は心底ほっとした。でも、シンゴはそうじゃないらしい。やり損ねた、みたいな表情をしている。

「見殺しにするのは卑怯で最低だって、ルカさんは言った。なら俺がこの手で殺るのは、どうなんだって。本当に実行しようかってくらいぎりぎりまで考えてたけど、……ルカさんが本気になって助けたあいつを殺したら、ルカさんが目を覚ますにしろ覚まさないにしろ、俺はきっと旅を続けることもできなくなる……! ルカさんが助けたあいつを殺すなら、すぐに自分も死ぬ覚悟がなきゃいけない。……俺は、そこまでは、できなかった」

 シンゴの話は、たまに脈絡がなくてわからなくなる。
 どうして、俺が目覚めなくても旅を続けることができないのか。
 深く問うことは躊躇ってしまう。シンゴは本気だったのだ。
 シンゴは優しい。だからきっと、誰よりも自分のことを責めて、当然あいつのことも責めたんだろう。俺が倒れたりしたから、なおさら。
 けど俺だって、あいつを助けたからすごい人間って訳では、全然ない。きっと、俺が俺でなければ助けなかっただろうし、俺にあの記憶がなければ多分放っておいたんじゃないだろうか。それに、『貸し』なんて言葉を繋ぎに使わなければ満足に術を使えなかったのだ。それは、心から救いたいと思っていたとは言いがたい。そんな邪道な使い方をしたから一日半も眠る羽目になったのかもしれない。
 ただ、何か与えることができればいいと思った。それは自分の心を満たすため。幼い頃からこの心にぽっかりと空いている、空虚を満たすため。ぎこちなくても、未熟でも、自分の心を満たすためであったとしても、何か与えることができるような人間であれたらいいと思った。
 ――俺の為に、死んで欲しくないと思った。
 これは汚い考えだろうか。

「……あいつ、は?」

 言い出せばシンゴは不機嫌になるだろうとわかっていたけれど、聞かずにはいられなかった。
 言ってみるとやっぱりシンゴは不機嫌そうに、今はぴんぴんしてますよ、とだけ素っ気無く答える。

「命の恩人のお見舞いにくらい来るべきですよね、まったく」
「んなのガラじゃないだろ……」

 あいつが見舞いとか、想像しただけで笑えてしまう。ガラじゃないとかいう以前の問題のような気もする。
 シンゴの空気が少しだけ和らいでほっとしていると、洞窟の出口の向こうでヒサさんが歩いているのが見えた。馬の影も少し見える。
 それから、見慣れたフード姿の、

「――……あ、」


 あいつと、一瞬だけ目が合った、気がした。


「え、何、どーしたんスかルカさん!! なんで泣いてんですか、俺変なこと言いました!?」
「っ、いや、……違う、違うんだけど、……」

 痛いわけでもないのに。何でもないのに、涙が出てきて止まらない。
 ああ、俺最近絶対涙腺緩い。どうなってんだろう。
 どうしちゃったんだろう、本当に。
 シンゴの気持ちもよくわかるくらい、最低で最悪で、こんな状況でなかったら絶対に会いたくないような人間なのに。
 あいつが今生きていて、今砂を踏んで歩いている、どんなに偉そうでもどんなに横柄でも、そんなことを今、俺は、涙が出るほど嬉しいと思っている。 

「ごめ、俺……!」
「本当は嫌ですけど、でも、いーですよ。泣いてる子供見んの、慣れてるんで」

 ちょっと偉そうなシンゴの言葉。弟扱いされてる……! そんな俺の反論も待たずに、シンゴは、

「……おつかれさま、です」

 やっぱりまだ不機嫌そうに、俺の頭に手のひらを乗せた。








久々にリベリオン話でも。
ケレス先生負傷後にルカが治療して、そのまた後の話。
かなりラストの近くまで書いてたのに一から書き直しました。もっとシンゴをぶっ壊したくて仕方なかった。そしたら何かいつにも増してBLくさくなった。(笑)
まあいいや。いつものことなので気にしてません。


シンゴは「実行できなかった」「ギリギリまで考えた」って言ってますけど、多分それは実際振り上げる直前まではやってると思ってます。背後取るとか、枕元に立ってみるとか。いや何回もしてないですよ。一回そこまで行って、ほんっとうに振り上げる直前で思い直してるんだと思います。
ヤマトのところ行くよりも砂漠にいる方がシンゴの精神は不安定。台詞書いてて「何だこいつ気持ち悪い」と思ってました。そんなシンゴを書くのが楽しいです。
しかしリベリオンのルカは可愛くないなあ。


遥か4の井上和彦の設定を聞けば聞くほどドツボにはまります。(笑)
石田の服装はいつも気になります。
でも何だかんだで、ビジュアルっていうか色合いが限りなく樹理な那岐さんを見て、ああもう樹理のCVとか宮田でいいじゃない僕キャラだし、と思いました。
最近のコードギアスのルル+スザクも好きだったりします。スザク自体はウザクなんだけど、幼馴染で主従関係ってすっげえ萌える。(笑)

スポンサーサイト

2008.09.07(Sun) | rebellion | cm(0) | tb(0) |

この記事へのトラックバックURL
http://hechima1222.blog88.fc2.com/tb.php/198-5ebd78ca
この記事へのトラックバック
この記事へのコメント
Name
E-Mail
URL
Title

password
管理者にだけ表示を許可
/
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。