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軽石へちま

Author:軽石へちま
基本自キャラで凄まじく妄想してみる。
隠れ家なのでBLとか黒とか暗とか主。
キャラ崩壊必至。何とも思わないけども。
妄想についてこれる人だけどうぞ。

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小さな君をその肩を

「樹理くーん」

 離れの戸を開けて、中に入る。しんとした室内。リビングに足を向けつつ耳を澄ますと、微かにカリカリと鉛筆の音がした。けど音はそれだけ。だからあたしは何だかいつも心配になってしまう。あたしや大和が見てない間にこの子に何かあるんじゃないかって。

「あ、ルミさん」

 樹理くんがたった今気付いたかのようにプリントの束から顔を上げる。樹理くんは今年、小学校四年生に上がった。今は夏休み中だけどうちの離れに居候中。水城がバスケ部の顧問で合宿についていかなきゃならなくて、毎年この時期はうちで預かっているのだ。
 椿もいるから去年までは母屋の部屋を使ってもらってたんだけど、今年は何だかんだ自分でできるから離れを使わせて欲しいと申し出を受けた。母屋は人がたくさんいるから今までも居心地悪かったのかもしれない。

「宿題の邪魔しちゃった?」
「疲れてきてたので、大丈夫、です」
「そっか。最中持ってきたんだけど、食べる?」
「あ、いただきます。じゃあ僕お茶淹れるので」

 てきぱきとテーブルの上の宿題を片付けて、樹理くんは席を立つ。大和と椿にはできない芸当だわ……。片付けるって概念が芹沢にはそもそも欠落しているからどうしようもない。
 ポットの中のお湯を急須に入れて、二つの湯のみにお茶を注いでいく。その様子をあたしはテーブルから遠目に見ていた。
 水城は三日間留守にして、四日目に帰ってくるという。今日は二日目だけど、昨日の夕飯、樹理くんは自分で作って食べていた。簡単なものならできる、とは言っていたけどまさか自宅ではないところで自分でどうにかしてしまうとはあたしも大和も想定外だった。
 
「ごめんね、淹れさせちゃって」
「いえ、毎年お世話になっているのでこれくらい」

 おまけに、小学四年生にしてこれだけ礼儀正しい。
 あたしの目の前に湯のみを置いて、樹理くんも席に着いた。
 母屋から持ってきた最中の箱を開けながら、湯のみに口を付ける樹理くんの顔を見る。前に水城から相手の女性の写真を見せてもらったけど、すごくよく似ていると思う。美男美女から生まれる子供はこうなるってことね、と感心してしまうのだ。もちろん椿を哀れんでいるわけじゃない。椿だって可愛いわよ、それなりに!
 父親は授業と部活とでほとんど家にいないし、若いから修学旅行だ遠足だの下見に行くことも多い。帰りだって毎日遅いだろうから顔を合わせることだって少ないだろう。これまでは夜は実家に預けて夕飯とらせてるって聞いたけど、この分でいくと最近はきっと樹理くん自分でどうにかしているんだろう。ますますできた子だ。
 だからあんまり子供っぽくなくて、心配だ。大和に対してはまだ生意気言ってるみたいだからちょっとは安心できるんだけど。

「宿題、難しい?」
「そうでもないです。ちゃんと先生の話、聞いてるし」
「偉いねー、あたし小学生の時そんなことできなかったよ? 宿題なんていつも最後の週まで残しちゃうし。日記なんかは張り切って毎日つけてたんだけどね。絵日記とかもう騒がしいくらい色鉛筆使っちゃったりして」

 ――あれ?
 今ちょっと表情が翳った気がした。何か悪いこと言ったかな……?

「あ、えーっと、寂しくなったら母屋おいで? 椿もいるから、ね?」

 取り繕うように言うと、樹理くんは控えめに首を横に振った。

「家にひとりでいるのも本当は平気なんです。けどルミさんたちがいいよって言ってくれるから甘えてるだけで。……夏休みせっかく家族でいるところ、僕が入って邪魔とか、したくないですから」

 ……で、小学四年生にしてこの口上。
 まったく水城は何教えてんだ馬鹿親父、と思わざるを得ない。子供が言わなくていい台詞いくつ言ってるんだろうこの子。こういう言葉でしか他人と会話できないのかもしれない。やっぱりこの子は、可哀想だ。
 さっき表情が曇ったのはきっと、どんなに勉強ができても日記だけはうまくつけられないからだろう。楽しい夏休みなんて知らないんだろうなあ。ただ退屈な休みが長々と続くだけ、って思ってるんだ。椿にもそういう節があるから困る。夏休みは稽古のためにあるんじゃないのに。夏休みなんてガキは遊んでりゃいいのよ、遊んでりゃ!! と思うのはもしかしてあたしだけなんだろうか。あたしがこれまで過ごしてきた夏休みって、特殊なものだっただろうか。海行ってプール行ってお祭り行って花火して映画行って遊園地行って買い物して、ってそんなに特別なことなのかな。

「……今度みんなで海行こっか、樹理くん」
「え、」
「樹理くんと、樹理くんのお父さんとー、あたしと椿とあのダメ親父で」
「でも、お父さんいつも忙しいから」

 最中をかじりながら、樹理くんは視線を落とした。それは落胆しているというよりも、最初からそんな可能性はないとわかりきってるみたいな表情。
 子供が知らなくていい表情を、この子はたくさん持ってる。そんなのダメだ。

「いーい? 子供は親を振り回すもんなのよ。たくさん我が侭言っていいんだから! 樹理くんが言えないならあたしが振り回してやるわよ、水城と大和くらい!」

 樹理くんの視線が落ち着かない。そんなことされたら父親の迷惑になるんじゃないか、困らせるんじゃないかって思ってるんだろう。本当にそんなこと思う奴だったらこの子うちで引き取ってとっとと縁切るわよ。水城はそんなこと思うほど馬鹿じゃない。人の親になるの決めたときも、賢いからこそ人一倍慎重に考えたはずだ。
 この子が小さい頃から、このふわふわした髪の感触があたしは大好きだ。ぽんぽん、と頭に手を乗せて、優しく撫でる。

「樹理くんのお父さんはこんなことで困ったりしないから、大丈夫よ」

 すると樹理くんは、しばらくの間の後、困ったように微笑んだ。多分笑った。すごいレアなもの見た気分だ。しかもやっぱり笑うともっと可愛い。けど大和が同じように撫でたところでこんな表情見せてくれないだろう。ざまあみろって感じだ。
 本当はあたしのことも苦手なんだろうな。
 ずっと母親なんて知らないだろうから、だから母屋にも来づらいのかもしれない。そんな樹理くんが新しい表情を見せてくれた。それだけで、椿が初めて言葉を話した時並に嬉しい。

「日記の楽しい書き方、教えてあげるよ」

 今年の樹理くんの日記が、綺麗な色で埋まればいいな、と心から思った。





ルミにだけは懐いてたらいいなあ。というお話。
この後ルミは大和のとこ行って胸倉掴んでがっくがく揺すります。
でもって母屋にいるお手伝いさんたちが「でーぶいよ! でーぶい!!」とかいってドメスティックバイオレンス発言しますがルミさん総無視。

「あんたたまには家族サービスしなさいよ家元とか言って単なるヒッキーじゃない!!」

とか言うと思う。言いすぎ!(笑)
挑発フレーズとして、「あんたが動かないなら離婚して半年後に水城と再婚してやる」という言葉も一応用意していますが、大和の場合そんなこと言ったら流風を殺すことが目に見えているので言いません。大和と流風とどっちにも愛想尽きた場合言うかもしれないが。

もういいよみんなで海行けよ!!
男運転でね!! 大和運転ってよりも、流風が運転して大和は助手席のが似合うと思うんだ。
助手席で流風にペットボトルの蓋開けて手渡したりして欲しいんだ。
海着いたら何故か持ってきていた普通のボールで本気ドッヂやってりゃいいんだ。
キャッチするたびに砂浜に響く『スパァアアアン!!』という音。何事。


椿としばらくは普通に仲良かったんだろうけど、何時頃からなんとなく黙り始めたんだろうか。
思春期か。
多分いろんなことを椿が気にし始めたのを樹理が見抜いたから前みたいに軽く話せなくなったっぽい。それでも樹理は自分が一番可哀想だと思ってます。ええ、自己中心的ですから。

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2008.09.16(Tue) | Title | cm(0) | tb(0) |

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