プロフィール

軽石へちま

Author:軽石へちま
基本自キャラで凄まじく妄想してみる。
隠れ家なのでBLとか黒とか暗とか主。
キャラ崩壊必至。何とも思わないけども。
妄想についてこれる人だけどうぞ。

最近の記事
最近のコメント
最近のトラックバック
月別アーカイブ
カテゴリー
ブロとも申請フォーム
ブログ内検索
RSSフィード
リンク
スポンサーサイト
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

--.--.--(--) | スポンサー広告 |

8――atonement


 俺にだって、守れる。
 俺にだって、助けることくらい、できる。
 夢の中と知っていながらも、シンゴは声を出さずに強く思った。




 窓から差し込む光の眩しさで目を覚ました。一度大きな欠伸をして、ここが見慣れた世界でないことを思い出す。窓の外はもう既にかなり明るい。朝などもうとうに過ぎているのだろう。いつも朝早くに起きて仕事をしていたシンゴにとって、ここまで長く、そして深く眠ってしまった経験はなかった。とにかく、この一日か二日で、いろいろなことがありすぎた。
 立ち上がり、窓の外で賑やかに活動する人々の姿を確認してから、シンゴは部屋を見回した。質素で狭い部屋に並ぶ二つの寝台。ここは宿屋である。手当てをしたとはいえ、刃物で傷つけられた肩が痛んで患部を軽く押さえた。しかしそんな痛みも、もう一つの寝台の上に人の姿を確認すると安心感から吹き飛んでいく。シンゴは再び自分の寝台に腰を下ろした。
 あの後盗賊が去って、気がつくと夜が明けていた。シンゴとルカは一言も交わさずに砂漠を歩いた。どこに向かう、とかの計画は皆無。というよりは立てようがなかったのだが、それでも、行き倒れても構わないという思いは少しもなく、寧ろ生きることへの執念が二人を歩かせていた。朝にあの木のもとを出て、先日シンゴが辿り着いたのと同じオアシスについたのは夕暮れ前。多少進んだ道は違うとしても、この前の自分のスピードが異常だったことに気付く。あの時は、ルカがもしかしたら死ぬかもしれないと思って、必死だったのだ。
 奪われたあの時計はきっと、今のルカの命なのだろう、とシンゴは思う。あれがなければ今、自分達がここに存在する理由さえ見失ってしまうのだ、多分。夜の暗さでも認識できる、あの美しい金時計。あれが何なのかは、想像はつくが知りたくない、とシンゴは思う。ただ、あれがずっとルカの手元にあるということは、ルカにあれを手放す気がないことを意味している。
 ルカはとても綺麗な顔をしていて、顔に似合う、茶色くて長めのさらさらした髪もやはり綺麗で、シンゴよりもずっと賢く、運動能力も同年代の子供の中では群を抜いていた。要するに、普通ではなかった。普通でないのは容姿や能力ばかりではない。家庭環境がとにかく劣悪で、父親が多額の借金を作って蒸発し、母親はその借金を返済するためにまた借金をし、最後には、まだ親の庇護が必要な年齢だったルカを残して病気で死んだ。それが数年前のことで、両親が共にいなくなってからの数年間、ルカは自分に全く返済責任のない親の借金を返すために、毎日毎日――シンゴが覚えている限り、それは夜が多かった気がする――シンゴも目を背けたくなるような仕事を続けていた。 
 ルカがそんな仕事をするのは、早く楽になりたいからだと思っていた。早く楽になりたいなら、あの金時計を売ってしまえば早い話なのだ。そうすれば、肉体的にも精神的にもそれ以上傷つくことはない。あれを手放せばきっと町にはいられなくなるが、借金を返済して余りあるほどの金と、自由が手に入るだろう。
 それでもまだルカはあの町にいて、時計を持っていた。体の痛みより、心の痛みより、何より、あの町で、シンゴやあの王女といることを選んだのだ。だから、ルカがあれを諦めることは絶対にない。あれを諦められるなら、最初から自由を手に入れていたはずだ。あれを諦めることは、ルカが自分の生き方を諦めることになってしまう。そんなの、シンゴが許せるはずはなかった。

「……シンゴ……」

 ルカの声がシンゴを呼ぶ。
 久々のルカの声に、シンゴは明るく、はいっ、と返した。

「……外で何か食ってきた方が、いい。腹減ってるだろ」
「え、あ、いや、」

 否定しようとしたが、図星だった。シンゴは言葉に詰まった。

「そうですけど、行くならルカさんも一緒ですよ。俺一人じゃ行けません」
「俺はいい。今、ちょっと気分、悪いから。……この前お前が買ってきたパンだの何だのあるし」
「じゃあ俺だってそれで大丈夫です! それにっ、気分悪いなら尚更外で診てもらった方がいいです!」
「平気だ。……慣れてるから。……それより、そこの剣、持ってけよ」
「剣?」 

 寝具にくるまったままのルカが、布から腕を出して指差す先を、シンゴは目で追った。部屋の隅に立て掛けられていたのは、二本の両刃の剣。こんなもの昨日はなかった。宿屋に着いたときには疲れきっていたから、二人ともすぐに眠り込んだのだ。それに、何故さっき部屋を見回した時に気付かなかったのか、本当に不思議なくらい、その二つは部屋に馴染まない、異質なものだった。

「ここらで一番の刀鍛冶が作ったものだ。どこだかの国の軍も御用達の代物だそうだし、質は確かだと思う。盗んだわけじゃないから首狙われたりしない、安心しろ」
「……ルカさん、……これ、慣れてるって、……ルカさんッ!!」

 ――こういうことを平気でするから、自分はルカに敵わない。
 シンゴは強くそう思う。どんなに嫌でも、本当に、どんなに拒絶したいようなことでも、ルカは生きるためならやってのける。死ななければ上等だ、と思っているのだろう。シンゴには真似できることではない。シンゴなら、嫌なことは嫌だからやらない。それが生きるための手段だったとしても、最後までプライドは捨てられないのだ。

「……女王が俺たちを反逆者だ、って、罪人だ、って、思っても、俺はそうは思わない。お前が言うみたいに、自分の思うことを信じてみる。俺の罪は女王に歯向かったことじゃない、お前をこんなところまで連れてきたことだ。女王にじゃなく、俺はお前にこそ償わなきゃいけない。どれだけお前が謝るなって言っても、本当に申し訳なくて仕方ないんだ。だから俺は、お前を生きて、早く国に帰すためならどんなことだってする」

 小さく呻きながら、ルカが体を上げる。昨夜最後に見たときより幾らかやつれているように見えて、シンゴはとても悲しくなった。
 あれだけ疲れていた昨夜よりやつれて見えるなんて、こんなことがあってたまるか。

「そんなの、要らない……!! 俺は、償ってほしいなんて少しも思ってない!! 俺は俺の意思でここにいるんだ!!」
「お前は本当に優しいからそうなんだろうな。けど、何もしないでいるなんて、俺がおかしくなりそうなんだ」
「あんた、っ、やっぱ筋金入りの馬鹿だろ!! 自分痛めつけて何がそんなに楽しいんだよ!! せっかく町から離れたのに……!! 嫌なものは嫌だって思えよ、痛いなら痛いって言えよ、逃げろよ!! こんなことしなくても、金なら、盗られてないんだし!!」

 ルカが、ふ、と笑った。

「商人って汚いんだ。町のああいう気前いい奴とは訳が違う。その金貨の価値がここでどれくらいになるのかはわからないけど、明らかに砂漠の人間じゃなくて、しかも子供の俺たちにいいもの売ってくれると思うか? もっともらしいこと言われて騙されて終わりだよ。騙されない自信はあるけどな」

 それから、はあ、と大きく肺から息を吐き出して、続ける。 

「方法がこれしかなかったとは言わない。楽な方法だとも思わない。でも、それは今の俺たちに絶対必要なもので、俺たちは早く帰らなきゃならないんだ。だから、俺は自分がしたことを間違っていたとも思ってない。俺とシンゴが生きるためにどうしても必要なものだから」

 シンゴは剣を手に取って、その刃をすっと指先で撫ぜた。
 それと同時に、一筋の赤い液体が流れていく。切れ味はかなり良いのだろう。

「……けど、俺にできるのはここまでだ」
「……これを渡されるからには、することがあるってことですよね」

 ルカが頷く。
 その瞳はどこまでも真っ直ぐで、盗賊と会っていたときのような動揺は少しも見られない。
 
「――殺してでも取り返す。腕が捥げようと、目が潰れようと、自分が生きていれば構わない。あの時計を、あの男を殺してでも絶対に取り返して、国に帰る……!」
「……生きるか死ぬかですからね。ルカさん、生きるために手段選ばないって好きですよね」
「事実だからな。生きてればどんなことだってできる。だから、生きるためにもどんなことだってできる」
「……上等です。強い方が正義っつったのあいつらですからね。正義の名の下に殺してでも取り返しましょう」

 剣の立て掛けてあった場所の近くに置かれていた、帯剣用のベルトを身につけると、剣をそこにしっかりと固定させて、二、三度抜きやすさを確認してから再び口を開いた。

「……俺は、ルカさんにここまでの決意をさせたあいつらを許さない」

 憎しみも入り混じった声で呟いて、拳に力を入れる。
 
「……じゃあ俺、下で話とか聞いてきます。ちゃんと休んでくださいよ。次倒れたりしたら本気で怒りますからね」
「分かってるよ。……気をつけてな」

 心配そうなルカの声を弾き返すように笑顔を見せると、シンゴは部屋を出た。
 腰の剣の重さが、シンゴを少し苦しめた。






て、点呼どんが上げるのめっちゃ早いから!!!
下書き1枚しか終わってなかったから短め、か?


ルカが何してんのか明言を避けているところがいかにも見切り発車っぽいよね! みんなにお任せだよ!
都市伝説みたいに死体洗いのバイトとかでもいいし、もう何でも結構です。
大人に上手く取り入ることを覚えたんだろうな、と思う。
ルカに鎌持たせたかったけど、どうやって運ぶんだよ、と思って剣に変えてみた。


この翌日とかに壱郎くんとかに会えばいいと思ってる。
殺そうとまで思ってた人間を助けるハメになるなんてついてないね!
けど返してもらえなかったら殺すくらいの勢いで行くと思うのです。


ていうかもう点呼どんぐっじょぶです……!!

スポンサーサイト

2007.07.06(Fri) | rebellion | cm(0) | tb(0) |

この記事へのトラックバックURL
http://hechima1222.blog88.fc2.com/tb.php/21-47aec5bf
この記事へのトラックバック
この記事へのコメント
Name
E-Mail
URL
Title

password
管理者にだけ表示を許可
/
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。