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軽石へちま

Author:軽石へちま
基本自キャラで凄まじく妄想してみる。
隠れ家なのでBLとか黒とか暗とか主。
キャラ崩壊必至。何とも思わないけども。
妄想についてこれる人だけどうぞ。

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透き通るまであと少し 2



 一限が終わって結構早めに出たからか、地元駅についたのは正午を少し回った頃だった。駅前の手近なファーストフード店に入って昼食を済ませ、これからどうしようかと話し合う。

「どうせうちに来るなら母さんはいるだろうし、構いませんけど」

 そう野島は言う。多分野島慎吾も家にいるだろうとの話だ。
 けど、お父さんはまだ学校で仕事中だろう。その仕事が終わって、野島の家に来れるのは何時頃になるだろうか。それまで人の家で寛ぐというのは僕には少し難しい。
 細長いポテトを摘みながら、うーん、と思案する。

「大和さんのところ、顔出してこようかと思う」
「あ、なら俺こっちの大学見物でも行ってきますよ。ハルにはちょくちょく顔見せないと忘れられそうだし」
「あー」

 今は高校生ではない。大学生だ。しかも大学に入ってからの野島は、高校の時より確実に女のあしらい方が上手くなっているし、喋るのも、どこかに出かけるのも、要領を得ているようだ。
 その野島をして、未だに踏み込ませない女というのが例の鳥辺山深春。あんまり話したことはないけど、ぽやーんとしてふわふわして、鳥辺山先生が過保護になるのわかる、っていうか、明らかに疎そうな子だった覚えがある。
 今のところ野島がこっちに来る時というのは、両親に会うというよりもその子のところに顔出しするっていう方が近いだろう。

「わざわざこっち来てアピールすんのも大変だな?」
「なっ、あ、べ、別に、そういうつもりじゃ、」
「隠し事するなよなー。香水くさい女にいつも囲まれてんのに、ああいう子が好きとは。……ああいう子、ってより、あの子、か」
「だ、だだっ、だからっ、そういうつもりじゃないですし!! 自分こそ黎さんとデートなんかしたりして!!」
「だからあれは違うって」

 いつもいつも強引にやりこめられてるけど、今日は一矢報いることができそうだ。でかい顔しすぎなんだよ、いつも。
 ストローを咥えてコーラを啜ると、恨めしそうな野島の視線がぶつかってきてるのがわかった。腹が立ったので腕を伸ばして頭を叩く。
 生意気なんだよお前ー、って、どうしてもっとちゃんと年齢差がはっきりしてた時に言ってやらなかったんだろう。今更後悔だ。




 駅前で野島と別れ、バスに乗って高校へ向かう。十分程度揺られると、見慣れた校舎。料金を払って下車して、そこからは徒歩。
 相変わらずの大きな門。呼び鈴も押さずに手で門を開けて、広い庭を見渡す。
 きっと庭には誰もいないだろうな、と思って少し離れの方を覗くと、

「……あ」

 まだ花の時期には大分早い、椿の木の前に、着物姿の大和さんが立っていた。
 何となく声を掛けづらくて、ずっとその姿を眺めていた。寂しそうにも見えるし、いろいろ諦めているようにも見える。けして楽しそうな表情ではなかった。

「……何だ、来てたのか。珍しい」

 先に気付いていたのは僕なのに、声を掛けてきたのは大和さんの方が早かった。いつもいつも悪どいことばっか考えて実行して、ガキみたいなのに、今日は年相応に見える。見えてなきゃ困るってのもあるけど。

「野島の家で夕飯ご馳走になるんです。それで、お父さんも来るって言ってたけどそれまでは時間あるし。こっちに顔出そうかと思って」
「なるほどな」

 ぼんやりと葉だけの椿を見ていた大和さんは、緩い動きで歩き出した。僕の横を通り過ぎ、母屋へ向かうらしい。僕もその背を追った。
 小さな砂利をざくざくと踏む草履の音。大和さんには、この家がとてもよく似合う。家が好きだから似合うんだろうなあ、と小さな頃からよく思っていた。間違いなく、高校の夏服なんかは似合わなかったろう。
 母屋につくと、大和さんはお手伝いさんにお茶を出すよう頼んで、それから真っ直ぐ私室へと向かった。何も言わないってことは、ついてこいってことなんだろうと勝手に解釈して、僕も廊下を歩く。
 私室の障子を開けてすぐ、目に飛び込んできたのは、机の上に積み上げられたものだった。本というには薄い。和食を出す店のお品書きくらいの薄さのものが、机に積みあがっている。二十冊以上はありそうだ。

「大和さん、あれは?」

 僕が問いかけると、大和さんはまた苦笑して、僕を見る。

「なんだと思う?」

 分からないから聞いているのに。はぐらかされたのか。ちょっと複雑だ。
 大和さんは部屋に入ると、その束の前に腰を下ろす。それが何なのか知りたい僕も、大和さんの隣に座った。
 大和さんが一番上の一冊を手にとって広げると、そこには若い男の写真があった。いかにも育ちの良さそうなお坊ちゃんの写真。でもどことなく爽やかで、悪くはないかもしれない。僕が品評するとこじゃないけど。

「椿に来た見合い写真だよ」
「!」

 どうやらそれは、大和さんお得意の冗談ではないらしい。
 まあ、……うん、椿も来年の春には高校を卒業する。いいタイミング、といえばそうなのかもしれない。けど、今までそんなこと一度も考えたことのない僕にとって、その耳慣れない言葉は確かな衝撃を齎した。

「……結構、来るもんなんですね。あの椿にでも。椿の写真も送ったんですか?」
「まさか」

 ため息交じりに大和さんは写真を閉じると、山の上に戻した。
 大和さんが言うには、この写真を送ってくる家なんてそれなりにいい家柄ばっかりだから椿の顔くらい調べるのはわけないらしい。大和さんもここまで来るとは思ってなかったらしい。
 ……何だ、顔か? 顔なのか。見慣れてる僕からすればそこまでたかるほどの顔か、と思ってしまうんだけど、それは多分性格の悪さを僕が考慮に入れまくってるせいだ。今更、初めて会った時どう思ったとか考えられるわけがない。そもそも、初めて会ったのって向こうが一歳の時だ。覚えてるはずない、そんな昔のこと。

「見合いって言っても、椿、都筑くんとまだ付き合ってるんでしょう? 椿は大和さん似ですからともかくとして、都筑くんは誠実そうだし、将来道踏み外して結婚するとか言い出すかもしれませんよ」
「そりゃおぞましいな」

 僕には、おぞましい、の意味が理解できなくて、それは多分、都筑くんのお父さんと大和さんの個人的な関係の問題なんだろうと思う。
 都筑くんは、僕からすると少し苦手だけど、でも悪い人ではないと思う。少なくとも、この写真の連中よりかは椿を任せられる気がする。椿に料理貰って縁切らない男は僕と真紘さんくらいなものだと思ってたから。

「炎而はまがりなりにもあいつの子供だからな。今はまだお遊びだろうが、……いつか“本気になった”って言われてもどこまでが本気か信用できない」

 やっぱり、大和さんのいう事はあまり理解できない。
 ただわかるのは、都筑くんが“あいつ”の子供だから、いつか信用できなくなるらしい、ということ。
 僕は、そういうのは嫌だ。親がどうのこうので、もう縛られたくない。それとも、親は縛っていたいものなんだろうか。今まで奔放に椿を育てていたように見える大和さんが、今は少しだけ違う気がする。
 大和さんは、椿をどうしたいんだろう?
 可愛がっているようにも、突き放して育てているようにも見える。
 椿はいつも、気まぐれにも見える大和さんの行動に、ただ従っているだけだ。

「椿が、都筑くんがいいって言っても、信用ならないんですか、大和さんは」

 大和さんが僕を見た。
 余計なことだったかと謝ろうと思ってもう一度大和さんに目を向ける。
 大和さんは、縁側の向こうを見ていた。まだ花の咲かない椿。
 その時の大和さんの表情を、僕は忘れないでおこうと思った。
 
 
 大和さんは多分、ずっとこうして、自分が守るべき家で、椿の花が咲くのをずっと待っているんだろう。


 僕ならこんなお父さんは嫌だと思う。全部口にしてくれなきゃわからない。今でもそう思うのだ。
 ――この人にルミさんがいてよかった、と僕は心底思った。




「すいません、長居して」
「いいのいいの! 自宅みたいなもんでしょー?」

 思ったよりも長居してしまい、気がつけば日が傾いている。
 帰りはルミさんが門まで送ってくれた。車で送ろうか、とも言われたけどそれは丁重にお断りする。押しかけておいてそこまでの扱いはさすがに受けられない。

「有難うね。樹理くんと話せて結構すっきりしたみたい」

 誰が、とは言われずとも分かった。
 
「さっすが、養子計画が持ち上がっただけあるねー、樹理くん!」
「へ?」

 とんでもない笑顔でとんでもないことをルミさんが言い出すから、きっと僕でなくても同じ声を出してしまったろうと思う。
 養子計画って。この人たちが言うと洒落にならない。

「いやあ、十年以上前だけどね? 樹理くんあんまり大人しくて可愛いもんだから黙ってうちで引き取ろうかー、って話してたことあって。残念ながら実行には移せなかったわけだけど」
「当然ですよ……」
 
 でもやりかねないな、大和さんなら。どっかの子供連れてきて養子にして家継がせるって。………。

「……また来てやって」
「え」
「樹理くんは、うちの息子みたいなもんだけどそうじゃないでしょ? だから何でも言えるの。本当は椿に知ってほしいこともたくさんあるけど、立場上簡単にはいかないから。嫌じゃなければ、話し相手になってあげて」
 
 寂しい人だ。
 と、思いつつも、僕には何も言えない。
 何か言う権利を持つとするなら、あるいは義務があるのは、それは芹沢 椿ただ一人だろう。

「……仕方ないですね」
「ほんと、仕方ないわよね」

 それが何かの足しになるなら、僕は何度でも足を運ぼうと思う。
 椿に見せられない表情を、僕は覚えていようと思う。
 綺麗な花が咲くまで、ずっと。


 それから僕は屋敷に背を向けて歩き出した。
 どちらかというと愛情表現過多で、大和さんに比べれば器用なのかもしれない人たち。なんとなく、早く顔を見てやろうかという気分になって、アスファルトを蹴るスピードは自然と速くなった。







何がしたいんだか分からなくなってまいりました。
多分冒頭の樹理とルカ書きたかっただけ。
なんか、椿が何の意思表示もないまま結婚して、終いにゃ大和がエンジ君に殴られるなんて展開になった場合、この人どうにかなってしまうんじゃないかと思った。ED1のシキ様並に呆けるんじゃないかと思えてきた。
後悔はするだろうけど、時間を戻せても同じ方法しか取らないとは思うんだけどねえ。
ルミはちゃんと近くにいてくれそうな気がします。ルミさんそんな弱くない。ていうか「これくらいの方が静かで楽よ」とか言ってくれそう。ルミさんが車椅子押すんですか、なんていうかそれは、押されてる人がいるってのが断然気持ち悪いですね。



ああ、あと大和はやっぱりエンジ君をどっかで信用できない奴と思っててくれたらいい。
お遊びな分には構わないけど、本気になられたら一番困る相手。風哉くんの子供だから、どこまでが冗談でどこからが本気か読めない。しかも風哉くんみたいに開けっぴろげでめちゃめちゃ明るい性格ってわけじゃないから余計にタチ悪いとか思ってそう。
これは廃人フラグ立ったね! やったあ!!(何)
でもって見合い写真は返事もせずに大和さんが全部処分するので椿はきっと存在さえ知らない。
お嬢様扱いするのが楽しくなってきました。



ゼミの準備しろよ、という。
寝ます、明日確か一限だよ私!

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2008.10.01(Wed) | Title | cm(0) | tb(0) |

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