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軽石へちま

Author:軽石へちま
基本自キャラで凄まじく妄想してみる。
隠れ家なのでBLとか黒とか暗とか主。
キャラ崩壊必至。何とも思わないけども。
妄想についてこれる人だけどうぞ。

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君と生きる世界の香り 1



 十八の誕生日が近づく。
 祝い事だ何だと騒ぐわけではない。確かに周りは面倒なほど騒ぐけれど自分はただ当たり前にその日を迎えるだけだった。生きていれば当然にその日は来るのだ。だから取り立てて嬉しいわけでもない。よく言う話だが、誕生日は自分を祝うのではなく、寧ろ親に感謝する日なのだと。それには同意だ。よくもこんな世界に産み落としてくれたものだと、感謝の気持ちで胸が一杯だ。
 ただ、そうやって当たり前に迎えていたその日は、今度十八回目を迎える。それは、芹沢という家にとっては重要な意味を持つ。身の振り方を決める日だ。家の構成員としてどうやって生きていくかを決める日。気持ちはとうに決まっている。
 ついさっき使用人の佐久間が作ってくれたばかりの朝食を前にし、席に着いて手を合わせる。家事の一切できない俺がこうして離れでひとりで暮らせるのはひとえにこの男のおかげだろう。当の佐久間は朝食を作り終えると、呼ばれて母屋に戻っていった。香ばしく焼けた鮭の切り身に箸を入れる。
 今日は普通に学校だ。来月の頭に期末試験を控える、冬に入りつつある十一月。今月末が俺の誕生日。試験前っていうのはいろいろと気が引けるけれど、特別勉強するわけでもないから問題はない。多分。

「大和様」

 黙々と箸を進めていると、戻ってきた佐久間が声をかけてきた。戻ってくるのが割りと早い。用事を聞いてとんぼ返り、ということは俺に関係することか。
 目だけで続きを促すと、佐久間はすまなそうに軽く頭を下げてから用件に入る。

「夕霧様が本日の展覧会のお供に大和様を、と」
「なるほどね。いいよ、どうせ放課後は何も、」

 そこまで言って佐久間の顔を見ると、どこか不思議そうな表情をしている。なので俺は改めて今日の予定を考えた。
 何も無かった、はず。……あ、いや、予定あるか。

「葉山ルミ様とお出かけになられると聞いていたのですが」
「……そうだった」

 約束を破るのは好きじゃない。けれど姉様からの頼みを断ってしまうわけにもいかない。
 ほんの少し考えて、顔を上げた。

「会食には間に合わせる。それじゃダメか?」
「十分でしょう。夕霧様にお伝えします。車でお迎えにあがりますので、連絡をお願いします」
「分かった」
 
 返事をすると、佐久間は食後のコーヒーを淹れるためにまたキッチンへ向かった。 
 ……まったく、よくできた使用人だ。
 心からそう思う。俺なんてただ邪魔なだけのガキだったろうに、もう十年近くも俺の近くにいてくれている。食事を終えて、佐久間が淹れてきたコーヒーに口をつける。
 嫌いじゃない、そんなわけない。それでも俺は二人に謝らなければならないのだ。
 俺は二人の我慢を無碍にするつもりだ。それは自己犠牲だとかそんな綺麗なものじゃない。俺が俺であるために、そうしたいのだ。





 兄がこの家を出て行った頃のことなんて覚えちゃいない。その時俺は二歳で、自分の家が特別なんて思ってなかった。覚えているのは、両親に構ってもらわなかった、ということ。両親としては次男の俺よりも、将来この家を継いで行く長男の教育に力を入れていたのだろう。兄は俺より十六も年上だ。母親代わりは十歳年上の姉様だった。俺が赤ん坊の頃から、俺の世話をしてくれたのは姉様で、長男にばかり目をかける両親の気持ちもわかった上で、弟である俺に接してくれていた。
 自分もいずれ、どこかの良家に家の為に嫁いでいかなければならないことも知っていて。
 姉様の存在があまりにも大きかったから、余計に兄のことなど覚えていないのだ。記憶の隅に微かに残るビジョンは、屋敷で怒鳴り散らして両親を罵倒する声、それから、部屋の中に散乱している茎の折れた花、

『何、見てんだよ……?』

 そう言って見下ろす、冷たく鋭い視線。
 絶対にこの人のようにはなるまいと思った。けれど、もうその頃からきっと俺は、この人のようにならなければならないと思っていただろう。

「おーいっ、芹沢ー? 何呆けてんのー?」

 目の前でひらひらと手を振られて我に返る。大きなメロンパンをちびちびと食べながら、葉山が不思議そうに俺を見て小首を傾げている。
 昼休みの屋上には人の姿はない。屋上なんてベストスポットだよなあ、と流風とはよく話すのだが、どうも他の連中はここまで上がってくるのが面倒だと思っているらしく、食堂や中庭、教室に留まっている。勿体無い奴らだ。確かに上がってくるのは面倒だし、この季節だから肌寒くもある。今は幸い風もなく、日当たりもいい場所で弁当を広げているからそこまで冷えることはないが。

「人のこと注意してる暇あったら俺の目気にしてないでとっとと食えよ、馬鹿」
「べ、別に気にしてるわけじゃ」
「大口開けると印象悪いって? 俺そーゆーの気にしないから」

 葉山が恨めしそうに俺を睨む。俺はその視線を軽く交わしながら、既に空になった弁当箱を片付けた。 
 付き合う前はこういうの全然気にしてなかったくせに、関係に名前がつくと途端にこうだ。どれだけ俺がこいつの眼中になかったかがわかる。いいけどさ、そういうのも俺は気にしない。
 一応そういうの気にしてくれてんのって嬉しいし。
 人が気にしてあげてんのにっ、とぶつぶつ言いながら、顔を少し赤くして、それでも葉山は食べるスピードをそれまでと変えようとしなかった。

「今日、買い物行くんだよな? 何買いに?」
「あんた何色が好き?」
「……人の質問に答えろよ、先に」

 まあ、別に急かして聞きたいわけでもないし、葉山の質問を拒む理由もないから、黒、とだけ答えておく。

「……セーター編んであげる。だから後でサイズ測らせてよね」
「は?」

 また小さく一口メロンパンを齧って、ぼそりと呟く葉山。聞き返したのは聞こえなかったからではなく、なんとなく、意外だったからだ。
 意外と恋人らしいことをしようとしてくれているのだろうか。俺も葉山も、自分のスタイルを崩すような付き合い方をしたくなかったから、結局今までと大差ない形に落ち着いている。家庭科の成績は壊滅的だった俺からすればセーターを編むなんて重労働どころの話じゃなく、もはや拷問だ。小学校の頃から、編み物だとか裁縫だとか好んでやる女子の気持ちは全く理解できなかったし、馬鹿なんじゃないかとすら思っていた俺だが、……なんだ、これは素直に嬉しい。

「楽しみにしてる」
「あんまりやったことないから上手くいかないと思うけど」
「冬のうちに間に合わなくても着てやるから」
「何それっ、一言余計なのよあんたは!!」

 本心だから仕方ない。俺はバレー部で主将兼エース務められるくらい体でかいんだ。毛糸だって何玉使うんだって感じだし、初心者がこのサイズを編むとなったら時間だって相当かかるだろう。だから冬の間に間に合わないかもしれない。こいつのことだから途中で投げ出すことはないと思うが、たとえ冬のうちに間に合わなくても、俺はその気持ちを一生大事にできると思う。
 まだぶつぶつ言っている葉山が持つメロンパンを、体を伸ばして一口いただくことにする。どっかで話題切らないとまだ小言が止まりそうにない。

「あ!! 何なのよいちいちー!」
「食わないと虫が寄るぞ」
「そんなに遅くないですー! ていうかっ、食べるなら綺麗に食べなさいよ、口元に付いてるし」

 まるで子供を相手にするような口調で葉山は言うと、俺の口元に手を伸ばし――

「……いちゃついてるとこ悪いんだけどさあ、お二人さん?」

 俺と葉山の間に割って入るように、黒い影がかかった。
 ちらりと横目でその主を確認すると、それはぴくぴくと不機嫌そうに眉を動かしながら偉そうに腕を組む流風だった。

「ほんっと空気読まないよなあ、流風? 英語より空気読めた方が実社会で役立つと思うけど?」
「な、何言ってっ、違うんだよ水城、別にいちゃついてなんかないし!」
「空気読めてなくて悪うございましたねえ。つーか、付き合い始めのカップルの邪魔なんて俺だって好きでしてんじゃねぇんだよ」

 うわあ、機嫌悪いこと。
 まあ仕方ないことかもしれない。俺は、葉山が流風に憧れていたことも、流風が葉山をそれなりに気に入っていたことも知っている。……別に付き合ってなかったんだから間男でもなければ横恋慕というわけでもなかろうとは思う。今こうして落ち着いているんだから後ろめたく思う必要もおそらくないわけで。
 流風は仕切りなおすように一つ息をつくと、葉山に目を向けた。

「ヤマト、借りていいか? すぐ返す」
「いいよいいよ、持ってって!!」

 流風の登場に余程動揺したのか、葉山は慌ててそう口にした。
 俺はジャケットの肩を流風に引っ張られ、取り合えず校内に戻される。
 髪をかきあげると、流風はじとりと睨むように俺を見る。

「慎吾が用事あるんだとよ、お前に」
「野島が? 何で俺に」
「さあ? けど生徒会がらみみたいだし、この時期だから舞踏会関係なんじゃないか? 何回電話しても全然出ねぇってさっき俺のとこ泣きついてきた」

 ……そういえば朝家出てから携帯一度も開いてないな。
 ポケットに入ったままの携帯を確認すると、着信が四件。すべて野島からのものだった。おそらく、休み時間ごとにかけてきたのだろう。

「悪い、俺優等生だから携帯はサイレントにしてんだよなぁ」
「ったく、だからって何で俺がわざわざ探してやんなきゃいけないんだよ……」
「後輩思いですこと」
「そんなんじゃない」

 この時期に生徒会からのお呼び。おそらくその生徒会も、理事長に頼まれて俺を呼び出したのだろう。舞踏会の飾りつけの話だろうか。面倒ではあるが、それなりにやりがいはあるし、娯楽は好きだ。もしその話なら受けてやろうとは思うけれど、舞踏会の時期の俺は少々高くつくだろう。

「……幸せそうだなあ、お前」

 流風はもう戻るのか階段を二、三段下りながら、しみじみとそんなことを呟いた。
 何いきなり、と壁に背を預けて問いかけると、流風は階段の手すりに手を掛けて、首だけをこちらに向ける。

「理系のくせに文学部に進学内定して、彼女といちゃつきながらランチってさ」
「僻みっスか、流風きゅん」
「違う。つくづくお前らしいなと思って」
「俺の頭は万年ハッピーだと」
「違うのか?」

 違わない。
 俺はいつだってそうやって生きてきた。
 今選べる範囲で、今自分で手に入れられる最大の幸せを、一番面白いことだけを掴んできたつもりだ。

「今楽しまなくていつ楽しむんだよ。だから俺は、流風みたいの見てっとすげえ可哀想だと思ってる。貴重な青春無駄にしてんなぁ、って」
「ほっとけ」

 そのまま、流風は階段を下りて、見えなくなった。
 俺は流風を可哀想だと思う。他の勉強熱心な奴にはこんな風に思わないが、流風は特別だ。どんなに勉強オタクだったとしても、それは多分今だけで、大学に入るなり社会に出るなりしたらきっとそれを楽しめるようになるのだろう。でも流風は、多分一生あの生き方を変えることなどない。それは楽しいことを自ら排除するように、自分で茨の道を進むかのように。楽しいことの中から苦しいことを選ぼうとする流風は、本当に馬鹿なんだと思う。俺とは正反対だ。
 幸せは有限だなんて思わない。その場に応じた最高の選択肢が即ち幸せと呼べるものだろう。質は劣るかもしれないが、どんな地獄にも幸せはある。
 鉄扉を押し開け、葉山の元に戻る。葉山はやっとメロンパンを食べ終えたようで、手の中の紙パックのいちご牛乳を飲んでいた。再びその隣に腰掛けて、何を話しかけるでもなくぼうっと空を見上げた。冬に入りつつある秋の空はどこまでも高い。
 隣の葉山がいちご牛乳を飲み終えたのが分かる。紙パックを潰す姿を横目に見ながら、俺は声をかけた。

「葉山」
「なによ」

 幸せは恐らく無限にある。

「お前が好きだ」

 一瞬面食らったような葉山の顔が見えるけれど、その表情はすぐに呆れたような苦笑へと変わる。次の一言はいつも通りか。

「はいはい」

 その返事に俺は満足した。
 何度だって伝えたくて、遠回りな方法ではなく一番の近道を、いつだってどこでだって伝えたいと思う。それをいつまでも知っていて欲しいと思う。


 幸せはきっと無限にあるのだろう。
 ただ、――時間だけは有限なのだ。






続きはいつになるかわかりません!
けどもうちょいストックはあったりなかったりで、でも最近上げてないなあと思って。
ていうか、11月28日は大和の誕生日! と決めたので告知じゃないが28日には何か上げたい。大安だし。(何)


べったべたなバカップルしてる大和が書きたかったんです。満更でもないルミも書きたかったんです。そんな二人の間で複雑な流風みたいのも書きたかったんです。
ここに至るまでの過程もストックしてあるけど割愛。私どんだけ大和好きなんだ!(笑)
付き合い始めから結婚するくらいまで、あれ? 椿が生まれるくらいまで? の話の予定ですが終わらなくなりそう。
タイトルとイメージソングは宇多田ヒカルの「Flavor of Life」から。
どっちかっていうとルミ視点だと思ってたけど、大和でもいけそうな気がしてきた。
IF未来もちょっと書いて挫折しました。名前だけは気に入ってるんだけどなあ。


私でもこの時期って予定入るのね、びっくりした!
前半は忙しいけど、後半はこれまたびっくりするくらい暇になると思います。
年末暇な日あったらまたオールしたりしなかったりしませんかー?>秋臼さん&点呼どん
物理的にパソコン立ち上げれる日が少なくなってきたから妄想トークだけでもしたいんだよちくせう!
ヴァンパイア騎士おもしれぇええええええ!!!(何)


やばい、本当に面白いぞこれ。このDQNな面白さは異常。
けど漫画買うほどじゃないと思ったり思わなかったり。声があるから面白いんだな、これは。
DS版とかアホだマジで!!!(笑)
近親相姦とか私のツボをわかってらっしゃる。そんな設定じゃなくても岸尾声のああいう先輩キャラは大好物ですありがとうございます。
自分で思ってる以上に岸尾が好きらしいです私。でも柚木と枢先輩でツートップだな。寧ろ枢先輩のがポイント高い。シスコンでミステリアスな先輩で近親相姦でもって岸尾声とか、吐きそうなくらいツボる。
そんな私はスイプーやりたくて仕方ないです。

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2008.11.25(Tue) | 大和中心 | cm(0) | tb(0) |

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