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軽石へちま

Author:軽石へちま
基本自キャラで凄まじく妄想してみる。
隠れ家なのでBLとか黒とか暗とか主。
キャラ崩壊必至。何とも思わないけども。
妄想についてこれる人だけどうぞ。

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君と生きる世界の香り 3




 毛糸の玉の中心から糸がするすると伸びて、その先は葉山の指に絡められている。更にその糸を棒にかけ、俺からすれば非常に複雑な動きで葉山は毛糸を編んでいく。
 毎日毎日、「早く寝ろ」「やりすぎるな」と心配してやっているというのに、当の葉山は毎日寝不足らしく、学校でも欠伸交じりに編み棒を動かしている。
 今日は俺も葉山も放課後に予定がないので、俺の住んでいる離れでゆっくりしている。ついさっき葉山によって片付けられたリビングはいつもの倍綺麗になっていた。

「……ちゃんと寝ないと体壊すぞ、お前」
「不器用だから頑張らないと間に合わないんですー」
「別に間に合わせなくていいって」
「間に合わせるって言ったんだから間に合わせるの」
「強情」
「それで結構です」

 寒い日ではあったが、今日はよく晴れている。ソファーのある居間に、窓から夕暮れのオレンジ色の光が差し込んでいた。
 ソファーに思いっきり凭れて、葉山が飽きもせずに細い棒を動かしているところを眺める。手が動くたびに肩が揺れて、一緒に長い髪も揺れる。……まあ、だからってどうってわけでもないんだけど。

「そういえばさー」

 手を止めずに葉山が声を上げる。

「水城って内部進学じゃないんでしょ? どこ行くか聞いてる? もしかして国立大とかー? あ、けどただ国立ってだけじゃ難しくないだろうから、国立の医学部とかっ」
「聞いてねぇよ」

 それでやっと葉山は手を止めて、訝しげに俺を見た。
 そんな目で見られたって、知らないもんは知らないんだ。俺も聞きだそうとは思ってないし。

「なんで? 親友って奴なんじゃないの?」
「全部話すのが親友じゃないだろ」

 思っていること、自分のバックグラウンド、全て話すなんて無理だ。

「話すなら理解してもらわなきゃ困る。否定されたりしたらやってらんないしな」

 話すのなら、理解して欲しいと思ってしまう。けれど、全てを理解してもらえるなんてことはきっと有り得ない。難しいことだ。
 例え、その関係にどんな名前がついていたとしても。家族だろうが、親友だろうが、――恋人だろうが。

「関係にちゃんと名前があれば、安易に否定も肯定もしないよ」

 引っ張られた毛糸の玉が床に転がった。葉山はまた編み棒を動かす。 

「話してくれたら理解はするでしょ? 例え水城が本気で徳川埋蔵金とかエジプトの秘宝を探したいって言い出したとしても、理解はすると思う。ただ、それ聞いた自分の気持ちが本人にとって肯定にとれるものか否定にとれるものかになるだけ。ちゃんと関係に親友なり何なり名前がついてれば、はっきり伝えられる。それとも、あんたは理解されないのが怖いと思ったら何も言えないわけ?」
「そうじゃない。ただ、重要なことなら理解されるだけじゃなくて肯定してほしいと思うだろ」
「普通の人は気持ち汲んでくれて肯定してくれるのかもね。でも、言ったでしょ? 関係にちゃんと名前があるなら安易に否定も肯定もしない。気持ちがあればその人のこと考えるもん。考えた上で、否定だってしてくれるのが気持ちのある関係」 
「なら、話してもらってない俺は流風にとってその他大勢の中のひとり、と」

 それでも別に構わないと思っている。
 似ているとかいうわけじゃないけれど、流風と俺はどこか似たようなビジョンを持って生活しているような気がしていた。どんなにつるんでいても、結局俺も流風も『個』なのだ。完全に馴れ合うことができない。大勢の中で生活することができない。野島のように上手くはいかないのだ。
 くすりと笑う声が隣で聞こえた。

「そーゆーんじゃないと思うんだよね」
「なら何だよ」
「あの水城がいっぱいいっぱいになるくらい勉強しなきゃ行けないようなところなんでしょ? 単に余裕ないだけな気がしてきた。目の前しか見えないタイプの人間だしね、水城って」

 あの流風があれだけ勉強する、……確かにそうかもしれない。
 聞き出す気がないのだから、いつか聞ければいい、くらいの気持ちでいる。そこまで深く気にすることではないだろう。

「お前、流風には甘くね?」
「そりゃああれだけ王子様してれば周りの女は皆甘くなるって」
「顔と成績と運動神経がずば抜けてるってだけなのにな」
「世間はそれを王子様と言うのだよ、大和クン」
「悪うございましたねえ、王子様でなくて」
「甘くなるのと付き合えるのは別問題でしょ?」

 思ったよりもあっさりと葉山はそう言ってのけた。
 正直、驚いた。
 葉山もそれをわかっているのか、ひとつ軽く咳払いすると、いつものお返しよ、と髪を揺らして微笑んでみせる。

「……意外とできあがるかもな、それ」
「でしょ? やればできる子だしね、あたしって」

 葉山の編むセーターは、何を作ろうかぱっと見で理解できるほどに形を成していた。







 俺の誕生日が一週間後に近づくと、篭って頑張らなきゃ! と葉山は放課後すぐに帰宅するようになった。俺は家の用事さえなければ暇だし、駅前まで葉山と歩く。家とは逆方向だったとしても、帰りに喫茶店に寄ったりして美人パティシエールをからかうのも一興だ。

「別に間に合わなくたっていいんだから、根詰めすぎるなよ」
「はいはい、わかってますよー」

 絶対分かってない。
 ……自分が与えるものは、いつまでも相手に残るように形にする。
 貰うものは、形がなくてもいい。
 自分でも女々しいと思う。他の奴だって、俺がこんなこと思ってるなんて分かったら女々しいと笑うだろう。それでも、本気でそう思うのだ。気持ちだけでいい、と。
 手を振って改札から遠ざかる葉山を見送って、帰宅するために一歩を踏み出す。
 

 よく、ドラマのような勘違いをする奴がいる。


 本当に好きな奴がいるなら、いっそ逃げ出せばいいと。
 何を馬鹿なことを。
 この家の一員でなければ俺は存在しないというのに。


 面倒だから喫茶店に寄るのもやめて、真っ直ぐ帰宅することにした。
 学校前の長い坂道。傾斜が緩いからそこまで苦ではない。一度鞄を肩にかけ直して歩いていると、ズボンのポケットに入れた携帯が震えた。
 ディスプレイを確認すると、佐久間からだ。

「何かあったか?」

 第一声はそれ。迎えに来させるために俺から連絡することはあっても、向こうからかかってくるということはそう多くない。

『祈山様のお嬢様から、明後日の日曜に会うのはどうか、と連絡をいただきましたがどうなさいますか?』
「わざわざ電話してきた割にそう大事な用じゃないんだな」
『いえ、できるだけ早く返事を頂きたいとのことでしたので』
「何だろうな。……いいよ、もう屋敷に着くから自分で連絡入れる」
『恐れ入ります』

 通話を切った時にはもう校門が目と鼻の先にある。わざわざ電話に出ないですぐ帰れば済む話だったかもしれない。
 祈山の娘さんと会うのはいつもならそう緊急の用事になることはない。月に一度は会うと決まっているんだから。一つ年下で、学校では生徒会活動もしているということだから、俺より余程忙しいだろうと向こうに日程を一任しているだけだ。それでも大抵無難に日曜に会うことが多い。こうして突然連絡が来るなんて初めてじゃないか? 多分。

「お、大和ー!!」

 校門の前に来ると、校舎の方から小走りに近づいてくる小柄な影が見えた。ぶんぶん手を振るその人は、うちの生活指導教員であらせられる瀬川 空先生で。 
 校門を出て俺の目の前までくると、

「ありゃ、何でお前こっちから来たんだ? 家あっちだろ」

 とか言って、俺の屋敷の方向を指差して問いかけた。

「大事な彼女を駅まで送ってきたんで」
「あ! そーだそーだ、お前に一言言ってやろうと思ってたんだよなあ俺!」

 送ってきた、という言葉を聞くや否や空先生は眉間に皺を寄せ、偉そうに胸を張ってみせる。そんなことしたって小さいの変わんないのにな。

「最近ルミ授業中寝てばっかでさー! 付き合い始めが楽しいのは俺もよっくわかるけど、深夜の電話とか自重しろよな! お前は家近いからいいかもしんないけど、あいつは電車通学だし」

 そんなこと言われても。俺は何回も注意してるっつーの。
 まあでも、そんなこと素直に教えてやるのも癪だ。あいつが夜更かししたいのはあいつの勝手だ。俺が強制したわけじゃない。

「空先生と奈央さんってもうそういう時期とっくに過ぎてますもんねー。僻みっスね、わかります」
「ひ、っ、僻みじゃねえよ!! 俺は教師として、授業中居眠りしてるような生徒を注意しなきゃいけないの!」
「それもあのお兄さん付きだと部屋に呼ぶのも難しいんですね、わかります」
「何をう!! これでも最近は二人で夕食とかとるんだぞ!」
「お泊りは保護者同伴、と」
「清い交際と言ってくれ」
「先生、清すぎる交際は交際って言わないんですよ。オトモダチ」
「そんなわけねぇだろ!! ちくしょう、お前なんか早く帰っちまえ!!」
「呼び止めといて何ですかそれ」

 しかし帰れと言われたからには帰らせていただくことにしようと思う。 
 しっつれーしまーす、と気の無い声を出して、家に向かうため再び歩き出すと、大和、と空先生の声がかかった。
 振り向いてみると、空先生がただ俺を見ている。

「お前、進路ってちゃんと決めてんのか?」
「理系クラスにいるんで、文学部の進学試験受けましたけど」
「そうじゃなくて」
「それは、今先生が気にしてくれることじゃないですよ。そのうち報告しますから」

 担任でもないし。
 つーかぶっちゃけ、うちの担任がそういうの一番気にしてないんだろうけど。
 



「琴の演奏会?」
『はい、明後日の午後六時からあるそうなんですが、どうかなあと思って』

 “彼女”は気立てがよくて可愛らしくて、分別も気持ちの整理もきちんとつく、相手としては申し分の無い女性だ。俺は気は利かないし別に見てくれも良いわけじゃないが、気持ちの整理だけはついている。向こうとしても利害一致といったところだろう。

「いいですよ。なら、三時頃迎えに行きます。電車の方がお好きでしょう」
『あ、ありがとうございますっ』
 
 彼女は前からそうなのだ。
 車での送迎だとかが苦手らしい。聞いてみれば、お嬢様みたいで落ち着かない、とのことだが、実際お嬢様ではないのだろうかと思ったりする。
 彼女と会うことは家の仕事の一環のようなものだけれど、深く意識しなければ単にひとつ年下の女子と出かけるだけなのだ。そういう時にまで車で送迎されるのではあまり面白くない。俺も電車の方が落ち着く。
 何より、車の後部座席で二人で座るとなると間が持たなくてどうしようもない。というのが本音だ。もしかしたら彼女もそうなのかもしれない。

「それじゃあ、明後日楽しみにしてます」
『こちらこそ』

 向こうは上品なお嬢様だから、きっとこちらが切るまで通話を切らないだろう。 
 だからここは男の俺から通話を切ってやる。葉山なんかはそんな心配する必要もなく、痛快なほどぶつりと切ってくれるもんだ。あれはあれでいろいろと空しいものがある、か。
 脱いだ制服のジャケットをハンガーに掛けて、ベッドにダイブする。
 明日の生物の授業小テストするとか言ってた気がする。が、俺は流風みたいに真面目じゃないのでそんなものは気にする余地が無い。それよりも考えることは他にあるのだ。

(――どんな口上を用意するか)

 どんな言葉を吹っ掛けてやろうか。
 まだまだだと思っていたその日は、もう七日後に迫っている。
 頭を捻って考えた台詞も、多分その時には忘れているだろう。そうだとしても、考えることで決意を新たにできる。
 あと、一週間だ。






頑張ったけど全部中途半端。
4兄弟も結構書けてたのに終わらなかった。
つーかうみねこが面白くてね? いや、これもまだ終わらないんだけどさ。


眠いのでもう寝ますが、とりあえず。
天草さんのCVとか絶対谷山だろあれ!!!! ビジュアルと一言目の台詞でびびっときました。
正直、マリア云々のところは長いなあと思って軽く眺めてました。
開眼きんぞー☆がどうしてもうさみちゃんに見えます。



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2009.01.03(Sat) | 大和中心 | cm(0) | tb(0) |

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