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軽石へちま

Author:軽石へちま
基本自キャラで凄まじく妄想してみる。
隠れ家なのでBLとか黒とか暗とか主。
キャラ崩壊必至。何とも思わないけども。
妄想についてこれる人だけどうぞ。

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中学生の恋愛。


 芹沢 椿、という女と付き合っていたことがあった。
 中1の冬だった。
 同じクラスで、長くて癖のある黒髪を2つに結っていて、それなりに可愛くて、とても個性的な口調をしていて、成績はずば抜けているわけではなかったけれど、悪くはなくて、大人しそうに見えるけど、ちゃんと誰とでも話ができて、合唱部では綺麗にアルトのパートを歌っていて、家柄がとてもよくて。
 入学してすぐの頃から、なんかいいな、と思っていた。全部完璧に出来る完璧な人間なんかいない。それなら、彼女は完璧なんじゃないかと、思った。
 手を繋ぐどころか、一緒に帰ったこともほとんどなくて、俺も芹沢も部活で忙しくて、ああ、そういえば名前で呼ぶなんてことももちろんなかった。ただ、俺が告白して、芹沢がそれを受けて、それだけで、何かが成立していたんじゃないかと思っていた。中学生なんてそんなもんだろうと、思っていた。


 だから、あの雨の日の帰り道に見たものを、信じたくなくて。
 隣町の高校の男。すらっと背が高くて、肩にスポーツバッグを掛けていて、女物の赤い傘を手に、傍らに女を侍らせて、その女は、黒髪を2つに結った、俺の彼女だった。
 会話してても、少し内気そうに見えて、可愛らしい上目遣いに何度心が揺れたか知れない。その男の隣でも、その方針は変わっていないようだったが。無地の紺色の傘をさしたまま、俺は立ちすくんでいた。曲がり角で、男は何か芹沢に話しかけて、芹沢は笑顔で頷くと、ゆっくりと背伸びをして、当然俺がしたことのないキスを、その2人は平然と俺の視界でやってのけた。それから、男は家が近いのか、傘を芹沢に返すと、ばしゃばしゃと無遠慮に水溜まりを蹴飛ばしながら、走っていった。

「あら」

 芹沢が振り向いて、俺に気付き、一歩ずつ近づいてくる。
 俺はすごく気まずくて、顔を逸らした。

「……貴方には度胸も面白みもありませんもの」

 その一言で、俺はやっぱり顔を上げた。なんだ、その言い訳。なんだ、その言い方。
 
「――っ」

 でも、その言葉を吐いたのが、この表情だったから、納得した。
 こいつは、本当はこんな冷たい顔ができる奴だったんだと。
 全部、シナリオだったのだと。
 
「……度胸があったら、何してもよかったってのかよ」

 俺の方こそ、言い訳だった。
 言い訳だけれど、半分本気だった。
 俺だって、お前がこんな面白い女だったなんて知ってたら、もっともっと、本気だったかもしれないのに。

「ええ、もちろんですわ。嫌ではないからお付き合いしていたのですし、その方が断然面白いでしょう? 貴方も、私も」

 過去形になっているところがいやにリアル。ああそうだよな、普通終わるよな、こんな現場見たらさ。
 雨が一層強くなった気がした。芹沢の赤い傘にも、俺の紺色の傘にも、ばたばたと雨だれが落ちる。芹沢は冷たい笑顔を崩さなかった。
 目の前で揺れる、癖のある黒髪。なんか聞いたら耳から離れない口調。綺麗な声。よく見ていたはずなのに、近くで見ると、いつもよりずっと可愛く見えて、別れ際って嫌なもんだな、と思った。 

「人間を見る目が養われたでしょう。貴方の人生の糧になりますわ」
「…………」
「けれどやはり面白さは必要だと――」
「椿」

 続くはずだった芹沢の言葉を遮って、俺は初めて、芹沢の下の名前を呼んだ。
 声が少し震えていたかもしれない。それくらい、俺は緊張していた。俺はそれだけ、こいつの名前を、呼んでみたいと思っていたんだ。ドラマの登場人物のように、漫画の展開のように。それがどれだけ少女趣味だって構わない、中学生の恋愛なんて、一般的にはそんなもんだろ。男も女も。こいつが、そうじゃないってだけで。

「――――っ」

 それから、傘を落として、乱暴に口付けた。
 芹沢は驚いているみたいだった。
 俺が今こいつに見せることができる、精一杯の度胸だった。
 初めてなのに勢いづいたもんだから、歯が当たるみたいになって、これじゃギャグだろ、と自分の中の冷静な部分が呟く。
 顔が離れると、ぽつん、と芹沢の長い睫毛に雨粒が落ちた。それから、また芹沢は同じ笑顔を作って、

「背水の陣、ですわね」

 そう言った。
 濡れたアスファルトに落ちた芹沢の赤い傘が、やけに映えて目に映った。
 椿は地に落ちても綺麗なんだと誰かが言っていた気がする。
 なるほど、こいつのためにあるような名前じゃないか。
 芹沢は落ちた傘を拾い上げると、御機嫌よう、と穏やかに告げて去っていった。

「っ、………」

 こんなに虚しくなるなら、あんなこと、しなければよかった。
 キスなんて、漫画やドラマの中で言ってるみたいに、甘くもなんともない。 
 誰だよ、ファーストキスはレモンの味っつった奴、出て来いよ、ぶん殴ってやるから。
 あんなの、ただ冷たいだけだった。冬の雨の味しかしなかった。
 ジャケットが濡れて重みを増すのがわかっていても、俺は傘を手に出来なかった。風邪引いてもいいや、そう思った。どうせ明日学校行くの、なんか気まずいし。行きたくないし、学校。

「っ、そ………」

 こんなことに改めて気付かされて、痛い思いをするのなら、それがわかっていたなら、最初から告白なんてしなかったのに。
 あの癖のある黒髪も、耳から離れない口調も、綺麗な声も、今さっき見た、あんな冷えた表情さえ、俺は好きで仕方なかったんだ。
 思ってても伝えられないなんて、そんなもんだろう、中学生の恋愛なんて。
 そう思って、少し、俯いた。






椿ってどんな子かな、と思って第三者的に書いたはずなのに、適当に作ったこの主人公にちょっと愛着が湧いてしまってどうしようとか思っている私。
ていうかこの主人公打たれ強いな。すごいなこの子。カッコイイな。
椿はきっとこんな感じなんだろうな、と思ってみてたりする。
中1なんてきっとそんなもんだろう。この主人公くんは一気に階段駆け上がった感じなんだな。
なんか成長したらものっそいクールキャラに育ってそう。
あんまり話しなくなったのに、遠目に見てるだけで「あ、もしかして今動揺してんのかも」とか分かる奴だとすごい。
そして女性恐怖症になってるといいな!(鬼だ)
友達に「今度女子グループと遊び行くんだけどお前も来ない?」とか言われても、「いや俺もう女とかいいわ」とか断って「ちょ、お前そっちの気あったのかよ…!」とか言われて慌てて全否定すればいい。
え、クールじゃないじゃん。(笑)

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2007.08.16(Thu) | 未分類 | cm(0) | tb(0) |

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