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軽石へちま

Author:軽石へちま
基本自キャラで凄まじく妄想してみる。
隠れ家なのでBLとか黒とか暗とか主。
キャラ崩壊必至。何とも思わないけども。
妄想についてこれる人だけどうぞ。

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21――breakfast



『あいつが少しでも救われるなら、俺はどんなものを捨てたって構わない』

 強い言葉だった。ルカ自身もそう思っていたはずだ。
 彼女を、ナオを救うためにならこの身など安いものだと思っていた。今だってそう思っている。自分だってそういう強い決心を持っているはずなのに、あの時シンゴの顔が頭をよぎったのだ。
 シンゴは、ルカが見ている限り、ルカ自身より余程自己犠牲が強いように見える。脱走した囚人の首を刎ねたのが、その最たる例だろう。どうして? 何故そこまで? 俺はそんなこと、望んでないのに――



「――お目覚めですか?」

 まだ重い瞼を擦りながら上半身を起こす。
 目の前には長い黒髪が揺れていた。――ツバキだ。
 昨夜はヤマトの部屋で一通り話を聞いてから、時間も遅いからと客間に案内されて休んだのだ。だからあれからシンゴには会っていない。

「……シンゴは」
「もう落ち着いてらっしゃいますわ。念のため動かないよう私の部屋でお休みいただいてます」
「なら、よかった」

 ツバキの立つ窓の前、ルカはその向こうに視線を向けた。今日も雪らしい。布団に入っていなければ凍え死んでしまいそうなこの身を切る寒さも、ここの住民には至極当たり前のことなのだろう。ツバキの服装は膝が見えるもので見ていて寒そうにも思えるのだが、当の本人はけろりとしている。
 
「朝食の用意が済んでおりますわ。あちらの机の上に昨夜お見せしたわが国の兵士服をご用意していますので、そちらをお召しになった上でお父様のお部屋へお越し下さい」
「お父様、……ああ」

 この少女の父親になど会ったことがあっただろうかと一瞬考えてしまう。しかしそれもすぐに思い直す。この子にとっての父親は、あのヤマトなのだ。四つしか年の離れていない、兄妹のようにしか見えない親子関係。それでも当人同士は親子であると言い張る。親子関係などというのは口を挟みづらい問題だし、この二人の関係よりもシンゴのことやこの国の話の方が重要だったために聞く機会を得られずにいた。

「……何で、お父様、なんだ?」

 脇においてあった水差しを手に取り、その隣のグラスに注ぐ。
 ツバキはそれまで穏やかな笑みを湛えていたというのに、ルカの言葉を聞くと一瞬だけ視線を逸らした。

「お父様が私を引き取ってくださったからですわ。それ以外考えられないでしょう? 四つしか離れていませんもの」
「そんなの分かってる。どうして親子なんだって聞いてるんだ」

 それからグラスの中の水を飲み干した。冷えすぎた水は喉の内側を刺すように冷たい。

「……さあ。私はお父様に親子であることを告げられたに過ぎません。真意はわかりかねます」
「そうかもしれないけど、お前だって複雑なんじゃないのか?」
「割り切ってしまえばすべて受け入れられますわ。名前がない方が辛いことだってありますもの」
「?」
 
 ふわりとツバキがスカートを翻した。白い生地が揺れる。

「それでは、お着替えを邪魔するわけにもいきませんから失礼いたします。お父様のお部屋までの道はご存知で?」
「ああ、昨日ここまで来た道の逆行けばいいんだろ?」

 入り組んだ屋敷ではあるが、来た道はあまり難しくなかった。二度ほど曲がってきた程度だ。
 その返事を聞くとツバキは納得したように微笑んだ。

「お父様のお誘いで今朝は私も同席させていただくことになりましたので、先に行ってお待ちしておりますわ」
「分かった。……けど、こっちの服でいいのか? ゆうべあいつと話した時、女装しろとかするなとかいう話になってたんだが」

 だからルカがこの屋敷に連れてこられたのだ。その話はどこへ行ったのだろう。
 しかしそもそもあの時あの場にいなかったツバキにこの話をしても無駄なのかもしれない。いいや別に、と続けようとしたところで、くすくすとツバキの笑い声が耳に届いた。
 おかしいものを見るような目。控えめに笑うその姿はまるっきりお嬢様のそれだ。

「……なんだよ」
「いいえ。律儀な方だと思っただけですわ。そんなにもあちらの服、お気に召しまして?」

 ――ツバキにも話は通っていたのだ。
 わざわざ身を切る話をして損をした。素直にこの服に袖を通せばよいだけだったのだ。
 ツバキはまだ可笑しそうにくすくす笑いながら、それでは失礼します、と静かに部屋を出て行った。





 この屋敷に来て数度目になる、この扉。仰々しいまでのそれは見た目通りの重さがあり、開くにはそれなりに力が要る。
 扉を開けば、廊下と同じ赤い絨毯が部屋中に敷き詰められていて、大きなテーブルを前にツバキが配膳の準備をしていた。
 部屋を見回してもシンゴの姿はない。さっきツバキが言っていた通り、まだ部屋で休んでいるということなのだろうか。

「シンゴ、はお前の部屋なんだよな」
「ええ。食事は別にお持ちしましたからご安心ください」

 一応確認を取ると、ツバキは頷いた。それで一応は安心することができる。 
 スープやら何やらの配膳を一通り終えると、ツバキはルカの全身を見て満足そうな表情を浮かべた。

「よくお似合いですわ。この分でしたらあちらの服もさぞかし素敵に着こなせるんでしょうね」
「嫌味はやめろっての」

 適当な席に腰掛けて、主の登場を待つ。
 ――主。
 そう、この服を着た以上、あのヤマトという男はこれからルカの主なのだ。
 あの国にいた頃、自分をこき使う男を主だと思うことはなかったし、もちろんあの蒼い瞳の女王に対してだってそう思ったことは無い。けれど、これからは。
 ぐっと拳を固くすると、背後に気配を感じる。その気配に対しいちはやく頭を下げたのはツバキだった。

「おはようございます、お父様」
「おはよう、ツバキ」
「ルミさんは、まだ?」
「ああ、起こしてやってくれ」
「畏まりました」

 そのやり取りは、娘というよりも使用人に近いような気さえする。
 恭しく再び頭を下げると、ツバキは寝室があるのだろう奥の部屋へと向かって行った。

「で? 新しい雇い主に挨拶もできねぇたぁどえらい新人だな」
「おはよう」
「ゴザイマス、だろ?」
「望んで仕えてるわけじゃないんだ、敬語まで強制されてたまるか」

 それが本音だ。言ってみればヤマトは一度きょとんとした目をしたが、すぐにぷっと吹き出した。それから、言うねぇ、との一言。

「俺の機嫌損なったら死ぬかもしれねぇのに、怖くねぇのか?」
「殺す相手に自分の女守れとか恥ずかしいこと言えねぇだろ。あんたは俺を殺さないよ」
「なるほどな。――だが、やろうと思えば国もお前も力でどうとでもねじ伏せることができる。それだけ分かっとけよ」

 脅しかよ。
 そうは思ったが、相手は現に何人も大した罪のない人間を殺しているのだ。それはほとんど、気紛れに近い。敬語云々に関してはそううるさくするつもりはないのだろうが、態度には気をつけておいた方がいいのかもしれない。
 ルカの正面の席にヤマトが腰を下ろしたのと同時に、奥の部屋からツバキのものではなさそうな女の声が聞こえてきた。

「ヤマトが起こしてくれればいいのに、わざわざツバキちゃんに迷惑かけないでよっ」
「そりゃあ悪かったな。アホ面晒して熟睡してるところ邪魔しちゃ悪いと思っての親切だったつもりなんだが」
「あんたの親切はひねくれてんのよ! って、うわ、お、お客さんいるなら最初にそう言ってよ!!」

 出てきた女は長いこげ茶色の髪をしていた。前髪を控えめな赤い髪留めで留めている。瞳も大きい、背も低くはない。……可愛くないとは言わないがそこまでの美人かと言えば首を傾げてしまう。ツバキの方が可愛くないか? 正直なところ、ルカはそう思っていた。
 しかし、ヤマトの表情を見ればわかる。普段どれだけこの男が暴君ぶりを発揮しているのか、この女は知っているのだろうか。同一人物か疑ってしまうほど、ヤマトの表情は穏やかで優しいものだ。相手を本当に大事に思っているからできる表情。きっとヤマトは、この世の何よりもこの女を大事に思っているのだろう。

「ええっと、……初めまして」

 怖がる様子もなく、彼女はルカの目の前までやってくるとぺこりとお辞儀をした。年はルカと変わらないように思える。ヤマトと同い年なら、ルカよりも年上だ。

「初めまして」
「あたしはルミ。名前は?」
「ルカ」
「なんか音似てる」

 そう言ってルミは笑った。
 失礼かもしれないが、ルミの存在はこの屋敷には不似合いだ。多分、外で畑仕事をしたり動物と遊んだりする方が余程彼女の性には合っているだろう。それでも、不似合いであっても彼女は馴染んでいる。矛盾している、とルカは思う。浮いてるのに馴染んでる。この部屋は彼女の居場所だ。
 じゃあ食事にするか、と全員が席についたところで辺りを見回す。シンゴ以外にもう一人足りないような気がしていたのだ。

「ヤマト、ツヅキはいないのか?」

 挨拶もせずに早々とヤマトはスープに口をつけていたが、ルカの声にすぐ顔を上げると、ああ、と思い出したように声を上げた。

「お前の相方の見張りだ。一人でほっとくのも可哀想だろ?」
「いつもこんな感じなのか、あいつとあんたって」
「神出鬼没って奴だからな。どうでもいい時にはいたりいなかったり、けど必要な時には絶対近くにいる、そういう奴だ」

 そんな会話から食事が始まる。面白いんだけど時々嫌味言うんだよねー、とルミが零し、ルミさんにまでそんな態度なんて信じられませんわ、とツバキが続ける。
 
「それって、」

 ルカの言葉の続きを促すように、ヤマトの目がルカを見る。

「……必要だから使った、ってことか」
「飲み込めねぇな。金持ちのぼっちゃんは分かりやすく噛み砕いてもらわねぇと」
「可哀想だとかそんなの考える人間じゃないだろ、あんたは。……シンゴの側に誰か置いておく必要があったからツヅキを使った。俺をわざわざこっちの朝食に呼んだのはルミを紹介するためで、ツバキはあんたの娘だからここにいる」

 ルミとツバキは顔を見合わせているようだった。ルミはまだシンゴの存在を知らないのだろう。
 ルカが言いたいのは、説明されているよりもずっとシンゴの容態は悪いのではないかということだった。放置しておけない状態にあるのではないか、と思うのだ。もしそうなら様子を見に行きたい。

「お前の相方が重症だって? そりゃそうだろうよ、お前だって見てんだろ。とんでもない破壊衝動に駆られて何しでかすか分かったもんじゃない。余程強力な麻酔でも打ってなきゃ一人じゃ置いとけねぇよ。キレたあいつの馬鹿力には普通の兵士じゃ対応できないし、下手すりゃ自傷行為だってしかねないんだ」
「暴れたら力で押さえつけるんだろ? ……行き過ぎたことしない可能性がないとは言い切れない」
「言い切れる」
 
 間髪いれずに返したヤマトにルカは少し怯んだが、乾いたパンを口に入れながら睨むようにヤマトを見た。

「どうしてそう断言できる」
「俺がそう命じたからだ」
「あんたの言う事に必ず従うかどうかはわからない」
「従う。……目的のもの以外はどうだっていいんだ、あいつは。だから別のものを傷つけることはしない」

 ヤマトの表情は穏やかだった。
 それをどう表現したらいいのか、ルカには分からない。
 信頼ゆえの優しい表情なのかもしれない、あるいは、諦めているのかもしれない。どのようにも取れる表情だった。
 空だったヤマトの左手が、机にがり、と爪を立てる。

(……なら、ツヅキにルミを守らせればよかったじゃないか)

 内心ルカはそう考えていた。
 ヤマトは確実にルカを見下している。ならば、一応の信頼を寄せるツヅキに力で守らせればよかった。女装した男を側に置いておく必要も何も無い。ただ、それを口にするのは憚られた。自信はないが、そう言えばヤマトが怒るような気がしたのだ。


 矛盾している。


 信頼している相手なら、自分の大事な人間を預けたっていいはずだ。ツバキとルミはあまりよく思っていないのかもしれないが、中身を買っているからこそヤマトはツヅキを側に置くのだろう。信頼していない相手なら、一番の側近にすることなど有り得ない。
 この国は思ったより単純ではないのかもしれない。ツバキが淹れた香草の茶を啜った。






登場キャラが多いと、喋らなくなりますね。



やっと雪国編にちゃんと入れそうなので、こっからサブストーリーとして砂漠とかアンドゥーとかソラとかむっちゃんとか使いたいと思ってます。
この朝食の時のシンゴとツヅキ君とか書きたかったけど無理だった。疲れる。時間無い。ていうかツヅキ君に関してはもう秋臼さんに丸投げで。
ツヅキ君が上手いこと喋ったらシンゴはいろいろ吐き出してしまいそうで怖いな。でもって聞き出したツヅキ君が楽しそうににやりとすればいい。
ああ、あとツバキの過去話も書きたいぞ。大量のメモはちゃんと取っておいてあるので消化していきたいなあ。


最近自分で作ったリベリオンのイメージソングメドレーを電車とかで聴いてて、「ああこのシーン書きたい」「寧ろ映像で見たい」と妄想するようになりました。
シンゴの話は前々から書きたいと思ってたんだけど、たまーにテレビつけてブリーチやってたりして恋次とか出てきてると本気でヤマト書きたくなる。いえ寧ろ映像で。
ブリーチ何気にシンゴ・ルカ・ヤマトで宝庫なので!(笑)
ヤマトに関しては彩雲国でも可。ああいうアニキキャラがいいですな、やっぱり。
クラナドで渚に子供ができてびっくりしました。
ギャルゲーでカップルに子供できてその後、ってやっぱすごいよ。
秋生さんが大好きです。
野球をやる大和は大分秋生さんがモデルだと思います。かっとばせー!
技術さえあればやりたいことは死ぬほどある、と。


雪国編は一応、こっから2年の期間があるもののラストに向かって一直線で、しかし他キャラの土台が整わないと先には進めないわけで、ナオとアンドゥーを用意せねばな。
アンドゥーのファイルが消えたんだが……。(笑)

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2009.01.20(Tue) | rebellion | cm(0) | tb(0) |

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