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軽石へちま

Author:軽石へちま
基本自キャラで凄まじく妄想してみる。
隠れ家なのでBLとか黒とか暗とか主。
キャラ崩壊必至。何とも思わないけども。
妄想についてこれる人だけどうぞ。

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君と生きる世界の香り 5



『あ、あのさ、芹沢?』

 話を切り出されたのは昨日の昼。午後は選択授業があるが、俺も葉山も取っていないから、ゆっくり食堂で昼食をとっていた時だ。

『明日、その、時間ある? 放課後っていうか夜っていうか』

 十八の誕生日はそれなりに親に挨拶しなきゃいけない。しかしそれは別に義務でもなんでもない。一応それを頭で確認してから、どこか不安そうに尋ねてくる葉山に頷きを返した。

『そ、それじゃあ、…………あの、……』
『何だよ、誕生日云々の話なら随分楽しみにしてますけど?』
『そうじゃなくてっ、あ、いやまあ、似たようなもんなんだけど』

 髪を指に絡めて遊びながら、葉山はやたらと何かを躊躇っているようだった。はっきりしてくれないとこっちも気持ち悪い。
 そのまま一分程度沈黙。やっと意を決した葉山が顔を上げて口を開く。

『……う、うちで、夕飯っ、食べない?』
『……は? ……ああ、いいけど』



 その時は簡単に答えたのだが、葉山の家で夕飯食べるってことを自分の家と同じように考えていたというのが馬鹿な話だったのだ。正直、そこまで考えてなかった。





「娘さんとお付き合いさせていただいてます、芹沢大和と申します」

 玄関に一歩踏み入ると、奥からすぐに葉山の母親だろう女性が姿を現した。
 近づいてくるその人に深く頭を下げて挨拶をすると、先に家に上がった葉山がぎょっとして俺を見る。いや、俺は頭を下げているから葉山がどんな顔をしているのかなんて見えてないのだが、十中八九、九分九厘ぎょっとした表情をしているのだろう。

「本日はお招きくださいまして本当にありがとうございます」
「あらあら、そんな改まらなくていいのに。……ルミの母です」
「な、なんで二人とも改まってるの!! いいからほらっ、上がってよもう!」

 葉山がむきになって俺の腕を引っ張り、やかましい娘でごめんなさいね、と葉山の母親が苦笑した。その苦笑に俺は会釈をしてから、お邪魔します、と言い慣れない一言を口にして、早足で家の奥へと俺を引っ張っていく葉山の後に着いて歩く。
 階段を上ってすぐの部屋。葉山は勢いよくその扉を開けると、やはり俺を強い力で引き入れてぱたんと再び勢いをつけて閉めた。

「なんであんな恥ずかしい挨拶すんのよー!! あたしが家に居づらくなるでしょ!?」
「お前の親なんだから当然だろ」
 
 俺が当然に思っていることを口にすると、葉山は呆気にとられたようでぽかんと口を開けて椅子に腰掛ける。どこでもいいから座ったら、と言うので俺はベッドに腰掛けることにした。
 葉山の親だ。あの人がいなければ俺がこうしてここにいることも、あんな挨拶をする機会もなかっただろう。感謝しなければ。葉山が生まれなければ、当然会うこともできなかったのだから。

「……あんたでもあんな腰低くして挨拶できるのね」
「家にいるときは大体あんな感じだ。こういう俺の方が珍しいんだよ」

 ベッドに置いてある枕のすぐ側には、編み物の本が二冊ほど置かれていた。新しそうに見えるのに随分読み込んでいるのだろうそれを見て、俺は少し、安心する。
 そういうお前がいてくれる限り俺はこうして砕けていられるのだと、安心する。

「……俺の家のこと、下手に喋るなよ?」
「え、何でよ? まだ喋ってないけど盛大にバラそうと思ってたのに」
「やめとけ。一気に空気悪くなること請け合いだ」

 どうせ遊びなのだろう、と思われることが嫌なのだ。
 金持ちは期間限定の本気の恋愛をしてはいけないのだろうか。
 ずっと一緒にいられるなんて少しも思っていない。その点では、親が思うように幸せにはしてやれないのだろうと思う。娘の幸せを第一に願うからこそ、こんな男と付き合っているなんて快くないだろう。俺がこういう一般家庭の親なら、きっとそう思う。

「そーゆー台詞は寂しそうに言っちゃ効果薄いわよ。嘘つくとか、下手に繕うとか、嫌いでしょ?」

 俺が何を考えてるのかなんて、軽く見通してるみたいな顔で葉山は笑う。

「……お前、相当俺のこと好きだろ」
「はぁ? 逆でしょ、逆」

 嘘をつくこと、自分を繕うこと、俺自身が嫌がっていることだ。 
 それを当然のように指摘してくれるのがお前で、俺は心底嬉しい。

「あんたが嫌なら別にいいんだけど。けど、下手に消極的な芹沢って気色悪い」
「うるせぇよ、人がせっかくいろいろ考えてやったってのに」
「そういうのを杞憂っていうの。……あんたの親があたしをどう思うかはわかんないけど、うちの親はあんたが心配するほどマイナスなこと考えてないと思うよ」

 至極真面目に、俺の目を見てそう告げた後、葉山ははたと気付いたように目を見開いて、それから顔を真っ赤にした。それから一人で突如慌てだす。くるくる変わる表情は器用というか奇妙というか。どちらにしても、俺の目には好ましく映る。 

「何だよ百面相」
「だ、だって何あたしたち真面目にこんな話してるわけ? 結婚するわけでもあるまいしっ」

 俺は最初からそんな気分だったというのに。気付くのが今更すぎる。
 まあ、こいつとしては自分の恋人を親に紹介するという方が余程でかいイベントだったろうというわけで、それはごくごく普通に抱く気持ちなんだろう。

「……俺はそれでもいいけど?」
「え、……えっと、えーっと、あの、」

 できるものなら。
 できるというなら。
 本当に叶うのなら、誰が何と言おうとお前を選ぶのに。
 本気で戸惑っているらしい葉山は、椅子に座ったまま視線をきょろきょろさせてちっとも落ち着かない。仕方がないから助け舟を出してやることにする。

「……冗談だ。俺にも人生考える時間くらいくれよ」
「な、何それっ、こっちの台詞よ!!」

 そう、冗談だ。それも冗談。
 俺は十分考えた。きっと、お前以上の奴に出会うことなんて今後一切ないんだろうということも、わかっている。
 好きな女の家に来て親に挨拶して、なんて、そんな経験一切しないもんだと思ってたんだ。想像したことのないいくつもの経験を、葉山と一緒にいるだけでできるのは正直、すごく楽しい。
 まだ高校生なんだ、GDPを直視するのはもう少し後だっていいだろう? 今日が十八の誕生日だとしても。あと数時間くらいはいいじゃないか。







「ごっめんねー、やかましかったでしょ?」

 帰り道は葉山が付き添ってくれていた。俺の手には大きな紙袋が左右ひとつずつ。片方は葉山が編んでくれたセーター。葉山と葉山の母親が作ってくれた手料理の夕食を終えてからそのセーターを見せられたのだが、気合いが入りすぎて、測ったサイズより一回り大きく仕上がったらしい。俺が服をでかいと感じることはあまりないから、試着して「でかい」と呟いた時の葉山の泣きそうな顔が忘れられない。つーか普通に笑える、あの顔。
 夕食の途中で葉山の父親も帰宅して、一緒に食卓を囲むことになったけれど、――うちとは違うのだ、と強く思った。明るくて楽しそうで、何より、家族に上下があまり感じられない。部活の話、勉強の話、趣味とか、普段自分の親には聞かれないことばかりを聞かれて、かなり戸惑った。バレー部だし体力には自信があると言ったら、葉山の父親に今度一緒に山に登らないかと誘われた。断る理由なんかひとつもない、でも、俺みたいのでいいのか? と思ってしまう。素直にそう聞いたら、ルミのことだからもっと今時っぽい子連れてくると思ってたんだよ、と返された。

「……いや、楽しかったし」

 これで俺が帰った途端表情変えて小言言ってたら悲しいな、と思う。帰るギリギリまでそう思ってたけど、その夕食の最中に、家の素性は伝えずに『ほぼ一人暮らし』ということを伝えていたからなのか、いくつかの弁当箱にさっきの夕飯の残りを詰めて紙袋に入れて渡してくれた。それがもう片方の袋だ。

「お弁当箱、あたしに直接返さないで、今度遊びに来る時返してくれればいいから、って言ってた。だからさ、気が向いたらまた遊びに来たら?」
「女の両親に公認もらえるなんて彼氏冥利に尽きるっつーもんだな」

 今まで葉山を育ててあの高校に入れてくれた、あの二人に感謝をしつつ、その大事な娘と付き合っているのが俺なんかで済まないという気持ちが体の中で膨れていく。
 もっと今時っぽい子を連れてくると思っていた。それは流風のことだろうか。流風なら、見た目と中身のギャップでもっと好感度を上げたかもしれない。
 『普通の家庭』に少し憧れてしまうから、そう思う気持ちは余計に強くなる。
 葉山の家を出て百メートルほど。駅まではまだあるが、夜中に女一人で歩かせるわけにもいかない。ここまで送ってくれただけで十分だ。

「もうここでいい。後は分かるから」

 曲がり角で立ち止まると、そっか、と葉山は俺を見上げて笑う。
 
「これ、ちゃんと着るから」
「とーぜんでしょ」
「やたらでかいけどな」
「うるさいっ、もうちょっと背伸ばしたらいいじゃない!」

 いつものように軽口を叩いて調子を取り戻しておく。
 何と言っても今日は俺の誕生日なのだ。帰れば一番大きな仕事が待っている。
 今日は十分楽しかった。もしかしたら俺の人生で一位二位を争うような日だったかもしれない。
 あとは帰って自分の仕事を全うするだけ。じゃあまた連絡する、と告げようとしたところで、俺のマフラーにそっと手がかかる。

「……曲がってるから直したげる」
「あ、……悪いな」

 ネクタイはともかく、マフラーが曲がってるのなんて気にしないから黙って直されることにする。しばらく葉山はそうして俺の灰色のマフラーをいじっていたが、それが数分続くとさすがに長いから何かあったのかと目線を落としてみた。
 視線の先の葉山は拗ねるような瞳で俺を見上げると、突然マフラーの先を強く引っ張った。 

「な、っ、」

 最近よく思うようになったのだが、葉山ルミという女は、俺が当初想像していたよりもずっと強かな人間なのだ。
 ――最初のキスをそっちから仕掛けられるとは思っていなかった。
 正直、驚いた。本当に驚いた。

「……気をつけて帰ってね、おやすみっ」

 俺の我が侭に付き合ってくれているだけだと、心のどこかで思っていたからだ。
 ろくに俺の顔も見ずに背中を向けて走り去っていく葉山を呆然と見送る。
 そして、言いようのない寂しさが、暗い路地から近づいてくるのが分かった。

「……相当俺のこと好きだろ、あいつ……」

 馬鹿みたいに嬉しくて、直視したくないほど寂しくて悲しくて苦しくて、そんな自分が信じられない。まるで中学生だ。
 自分が好きでいる分だけ、もしくはそれ以上に、相手に自分を好きになってもらいたい。
 そんな子供じみた理論はドラマや小説の中だけで、少なくとも俺は、俺が好きでいるならそれでいいと思っていたのに。
 ひとつ先を望んでしまう。今日があるなら明日を、明日が来るなら明後日を。あの拗ねたような表情をもっと見せて欲しいと思ってしまう。

『関係にちゃんと名前があれば、安易に否定も肯定もしないよ』

 葉山のその言葉を思い出す。恋人という関係でも、そう思ってくれるのだろうか。俺がしなければならないことを、受け止めてくれるのだろうか。
 葉山が握り締めたマフラーの端は、皺になっているように見えた。






大和と私は中二病認定。



こんなに我が侭で俺様な自分に付き合ってくれてるのは単に気紛れだとか暇潰しだとかだと大和はずっと思っていて、どう足掻いたって一方通行なんだろうと思ってたらしいです。思ってたというよりも思い込んでた、寧ろ、そうあってほしかった。結局最後別れることになったとしても、気持ちが一方通行ならきっぱり割り切れるだろうし。だから、ただ単に放課後一緒にいたり、休日でかけたり、そんな別に付き合ってなくてもできることをしてくれている内は大和も心底自分を幸せだと思えたんだろうけど、気持ちがなければできないことをルミがやり始めて、動揺したんじゃないかと思う。
そう思うとやっぱり、なりたくて家元になってると言い張っていても、家がなければいいと思ってるのが割合的には断然多いんだろうな。
大和が決定的に弱くなっていくのはこの頃からだと思います。「自分はこう生きるしかないんだ!」って小さい頃からずっと決めてて、それに沿って俺様な態度も何でも全部作ってきたのに、この軸がなければいいと自分で思い始めているので、ここから大和は打たれ弱くなる。うん、そうだと思う。
ルミと付き合ってても、この時まではそこまで弱くないと思うんだよねえ。付き合ってても、いずれ別れるし、やっぱり自分は自分の決めたように生きるしかないと思えてるから。
この辺は未来設定でもタっくんにチクチク言われる部分ですな。ざまあみろ。


ここまで弱いと楽しいですね。ここからしばらく最弱な期間が続いて、ルミと結婚云々の話になるまで2,3年ほど底辺です。この時期の大和さん、ルミを盾に取られたりしたら簡単に殴られてくれそうです。普段なら盾に取られても多分手出させないくらい即ボコボコにしてくださると思う。いや、怯むとは思うんだけど。
大和が普通の人なのってリベリオンの中だけなのかと思ってたけど、こっちの世界でも本当に普通の学生なんだなあと思います。特殊性としては流風のが断然強いし、一本気とかなら慎吾や空にも劣ると思う。普通に悩んで普通に強がる普通の学生ですな。ただ背負った環境が普通の身には大きすぎるだけで、他は全部普通だから、精神がものすごく弱ってしまうと強がることもできなくなりそう。
ルミと一緒にいるのは楽しいから、そこでは楽しく過ごせるし、他の人にもいつもと同じようには振舞えるんだろうけど、一部の人は気付いてるかなって感じで。
まあ、どれだけ環境がでかかろうと、万全の状態の空とかならもう少し上手く立ち回れそうな気がするのでやっぱり大和普通なんだね!
個人的にこの大和は、いつぞやの流風死亡ルートの大和よりも弱いと思う。


ということで流風を書きたいな。これストックだから書いてないしな。
ES書けよ自分……!!


(とか言って昔の流風死亡ルート見直したら何となくそんな話書きたくなってうずうずしているという罠(笑))
テレビの通販のお姉さんのイントネーションがいちいち京都っぽくて笑ってしまいます。
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2009.02.25(Wed) | 大和中心 | cm(0) | tb(0) |

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