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軽石へちま

Author:軽石へちま
基本自キャラで凄まじく妄想してみる。
隠れ家なのでBLとか黒とか暗とか主。
キャラ崩壊必至。何とも思わないけども。
妄想についてこれる人だけどうぞ。

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Rain in the Dark  1



「毎年毎年何か不思議な気分。あたしあんたより半年もお姉さんなわけね」
「半年も俺のいない世界でよく生きてられたな」
「どこぞの映画パクんないの!」

 五月、初夏。今日はあたしの二十歳の誕生日。
 あたしは音楽学部で声楽科に通ってて、芹沢は文学部の日本文学科。芸術キャンパスと文系キャンパスはちょっと離れた場所にあって、今日は芸術キャンパスで待ち合わせ。歩いて十分かからない距離だし、芹沢もこっちに用事があったみたいだ。

「今日ってこっちで授業ないでしょ? どうしたの?」
「ん? そろそろ試験シーズンだろ。課題云々っての」
「にゃるほど」

 めんどくせー、とまんま学生の表情で言う芹沢は、芸術キャンパスではいち講師。日本文化学科で華道の授業の先生をしている。当然、文学部では普通に学生してる。若い若くないって問題じゃないから女子学生にも大した人気のようで、こっちのキャンパスで見かける時は大体女子に囲まれてる。嫉妬する気にもならないのは、遠巻きに見える芹沢の愛想笑いが引きつっているからだ。今は遠くアメリカにいる水城をやたらと見下してた芹沢だけど、今ようやく水城の苦労が分かったに違いない。いい薬だ。
 元々講師の依頼は芹沢のお姉さんに来たもので、それをどうしてこいつが受けてるのか甚だ疑問だけど、お姉さんは次期当主の身だし、こんなところで週一回授業している暇なんてないんだろう。その点、学生である芹沢は時間を持て余している。それでいて資格もあるし、最適ということ? まあ、あたしは授業受ける機会なんかないから関係ないんだけど。……ちょっとは受けてみたいけどね、センセイしてる芹沢なんて絶対見れないし。

「さて、どちらに向かいますか? 年増のお姫サマ」

 嫌味ったらしい笑顔で芹沢があたしの左手を握る。半年くらい何だってのよ、まったく。

「どちらでも構いませんわよ、この若造」

 握り返してそう言うと、芹沢は、女子学生に囲まれてる時とは比べ物にならないくらい、楽しそうに笑った。





「わ、え、すっごい、……綺麗」

 芹沢に祝ってもらう誕生日はこれが二回目。去年も、普段のあたしなら絶対入れないような高級レストランに連れて行って貰った。代わりに芹沢の誕生日にはあたしの下手な手料理をご馳走している。そんなのでも本当に喜んでるから、おぼっちゃんというのはよくわからない。
 今日来たレストランは六十階建ての高級ホテルの最上階にある展望レストラン。来る途中で服もプレゼントされてそれを着て、案内された席から見える夜景は、月並みだけど宝石をちりばめたようにきらきら光っていた。
 でもあたしが声を上げたのは夜景にではなく、目の前に差し出されたものに対してだ。

「こんな綺麗なドレス貰っちゃったんだから貰えないよこんなの!」
「二十歳だろ、いいじゃねぇか。受け取っとけ」

 芹沢が差し出すのは青い細長い箱。さっき開いてくれたその箱の中には、エメラルドが光るネックレスが収まっていた。小さなエメラルドの隣に、それより一回り小さいダイヤが揺れる。すごく可愛いデザインだ。素敵だと思う。

「金をかけることが全てじゃないが、記念なんだから喜べよ。別にお前が物につられてる奴なんて誰も思ってねぇし」

 そう芹沢は言うけれど。去年もそう言って、今年と同じように綺麗なドレスと、シルバーのブレスレットをくれた。こうして物をくれるのが誕生日だけならいいけど、芹沢のプレゼント癖というのはものすごくて、普段からなのだ。だから余計に遠慮してしまう。似合うと思ったから、とは言われても、そう毎回貰うのは庶民の感覚からかなりかけ離れている。
 ……それに。

「……お金かけなくても別にいいのに……。ネックレスじゃなくたっていいんだし」

 率直に言ってしまおう。
 こんな高いものじゃなくていい。千円も五百円もかからなくたっていい。三百円だって一向に構わない。凝ったものじゃなくていい。安物で良いのに。
 ――こんなに愛情表現過多なのに、芹沢は指輪は絶対贈ってくれない。
 婚約指輪とかじゃなくてよ!? それはちょっとびっくりしちゃうから。けど、付き合ってたら普通、とか思ってしまう。ペアリングをしたいわけでもないし、付き合ってることをアピールしたいわけでもない。ただ、どうしてなんだろう、って。それだけはいつも考えてしまう。
 前にも遠まわしに指輪をねだったことがある。その時も、芹沢は、今と同じように少し困ったように目を伏せてから、豪快に笑ってみせる。

「あんな小せぇモン、金のかけがいがねぇだろうが」

 あの時も、芹沢はそう言った。
 愛情表現過多なくせにあたしを束縛することを恐れているようにも見える。そんな芹沢はかなり不思議だ。帰りは必ず送ってくれるし、手も握る、キスもするけど、そこから先に踏み込むことは決してない。
 それって普通なのかな? とサークルの男子に聞いたら、即ありえないと返事が来て、あたしってもしかして妹くらいにしか思われてない? とか考えたこともあったけど、そうでもないみたいで。
 考えれば考えるほど不思議なんだけど、でも、きっとあたしを大事にしたいんだろうな、って気持ちだけは伝わるから、深くは聞かないでおく。いつか教えてくれるかもしれないし。
 だからあたしはこの箱を受け取るしかない。深い緑が可愛らしく揺れるネックレス。芹沢が立ち上がってネックレスを取ると、あたしの首にかけてくれる。

「……ん、やっぱり似合う」

 あたしの目を見て優しく目を細めるこの男が、あたしを愛していないわけがない。それだけは何故か自信をもって言えてしまう。だからあたしは何も聞けない。芹沢の気持ちははっきりと分かっている、だから何も聞けないのだ。







椎名林檎の「闇に降る雨」はまんまルミだと思いました。


この過去話(未来話?)考えた当初から思ってたのが、大和って指輪贈らないだろうな、っていうのと、無闇に手出さないだろうな、っていうの。
別れるの分かってるから束縛したくない。でも自分はめちゃめちゃ好きだし金持ちだからプレゼントはしたい、だから指輪だけはあげない、みたいなね。
でもルミはそんなの知らないし普通の子だから、やっぱり指輪が一番だなって思っちゃうよ、という話。
大和のプレゼント癖がすごいのはルミに対してだけです。椿には違うと思う。だって片付けできないから。(笑)


べたべたしすぎるわけじゃなくて、何でか学校で講師もしてて、バレーできて背高くて、ちょっと意地悪で、でも一番真っ直ぐに好きでいてくれるなんて、そんなのルミが指輪欲しがっても仕方ないじゃないか。高3から大学時代の大和は一番ヘタレですが、私の持ちキャラ中一番好感度が高い時期でもある。
あ、そういや空の結婚式話と帳尻合わせるつもりだったのにすっかり忘れてた!
空の結婚式に合わせるんだと20の誕生日じゃ遅いんだ。(笑) ま、いっか。


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2009.03.08(Sun) | 大和中心 | cm(0) | tb(0) |

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