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軽石へちま

Author:軽石へちま
基本自キャラで凄まじく妄想してみる。
隠れ家なのでBLとか黒とか暗とか主。
キャラ崩壊必至。何とも思わないけども。
妄想についてこれる人だけどうぞ。

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9――helping hand


「……思ってること言っていいすか、ルカさん」
「察しはつくけど一応言ってみろ」
「……バカですよね、この国」
「正確にはこの国の王様だか何だか知らないけどトップの奴な。賢いのはゴマンといるだろ」
「いや、許容してる時点でヤバいですって」
「それは一理あるけど言わないでおいてやれ」

 昨日の夕方頃オアシスの町を出てから、もちろん時折は休んだが、全速力で馬を走らせ、日付を跨ぎ、真夜中に辿り着いたのがこの城である。
 ルカとシンゴは馬を下りた。人が少しでも少ないところを、と思って裏門にやってきたのだが、裏門のくせに豪華すぎる装飾が施され、それまではまだいいのだが、門には『裏門』とルビ付きで大きく掲げてある。バカ丸出しではあるが何とも親切である。
 その上ここの門番は、大きな柱に体を預けて眠りこけている。こうもラッキーなシチュエーションにはこの後にきっと罠があるのだろうが、ここまでぱっと見アホでいいものだろうかとルカは考えてしまった。

「うおっ、すげー運いいっスね、ルカさん! 門、鍵掛かってないですよ!」
「マジか……」

 冒険にあるまじき気軽さだ。一般民家に強盗しに来た奴だってここまで簡単に侵入はできまい。しかし、やたらと強い門番にいられても困るので、これは活用しない手はない。意気揚々と進むシンゴの後ろに付いて門を抜けると、内側からしっかり閂をして、先を急いだ。



「……牢屋までの道順が全部看板になってるなんて……」
「要らない苦労が省けて助かりましたねー」
「普通こういうのって罠なんだよな……。行った先に敵がしこたまいるとか」
「地下牢の雰囲気バッチリですよ? しかも静かですしそれもありうるかも……。あ、けど、敵がいたとしても『清掃の下働きで雇われてるんですよー』とか言えばどうにかなりますって」
「なるかアホ!!」

 雰囲気バッチリの石造りの螺旋階段。暗い地下へと続く階段を、なるべく音を響かせないよう努めながら、二人はゆっくりと下りていく。ところどころに掛けてあるろうそくの齎す灯りだけが頼りで、だんだんと暗くなる地下は今までのアホな看板を忘れさせるほどに嫌な雰囲気を醸し出していた。
 全く使い慣れてなどいない腰の剣の存在をぐっと手で確かめながら先へと進む。長い階段の終わりが見えた時に緊張が一気に増したのは、シンゴも同じようだった。一層慎重に歩を進めていくが、階段が終わった奥に人の気配を感じてルカは息を呑んだ。続いてシンゴも黙らせる。

「ルカさんっ、どうせ突撃しなきゃなんないんですからここで黙ってやり過ごせるわけないですって!」
「るさい、わかってるッ」

 そんなことわかっているのだが、外で寝ていた門番やらとはきっと違うだろう。何せこんな牢屋の看守を務める人間だ。そして、その牢屋に入っているのはあの2人。何かあった時に対処できる人材が配置されているに決まっている。武闘派かもしれないし、あの細い男――救出のメインの人物――のように奇怪な術でも使えるのかもしれない。
 ともかく、普通に考えて、普通の人間がここの看守をしているはずがないのだ。加えて自分たちは数日前まで貧乏ながらも至って普通の暮らしをしていたのだ。刃物なんて料理をするときの包丁やら細かい作業に使うナイフがせいぜいで、こんな剣、持っているだけでは意味がないとわかっている。今、ここで、使えなければ意味がないのだ。
 そこまでわかっているのにどうして踏ん切りがつかないんだろうか。ついこの間、生きて帰るために強くなりたいと思ったばかりなのに。

「っ、行きますよルカさん!」
「ちょ、待てよシンゴ……!」

 痺れを切らしたのかシンゴがルカの手をぐっと引っ張って、一段飛ばしで階段を下りる。
 遠慮なしに響く靴の音と、近づく最下部。それと、人の気配。 
 足が安定した平たい地面についた。ルカがぐっと目を瞑るのと一緒に聞こえてきたのは、自分たちの存在を咎める怒声ではなく、

「ひッ」

 という何とも情けない声だった。
 しかも声の主は槍に縋りつくように縮こまっている。

「お、おお、お、お前ら、な、なな、何者だ!!」

 一応決まりきった台詞を吐いてはいるが、その台詞に含まれるニュアンスは糾弾というよりも寧ろ助けを乞うもの、のような気がして、さっきまで足が竦んでいた自分をルカは恥じた。

「俺たち地下牢の清掃の下働きで雇われてるんスけど、今捕まっててもうすぐドナドナの如く隣国の拷問狂のとこに連れてかれるって噂の凶悪犯の檻ってどこですか?」

 シンゴは怯えまくってる看守相手にさらっと大声で言ってのけた。清掃用具を持たない清掃員がどこにいるのか、と普通はツッコミを入れられるべきところなのだろうが、何だかもう精神的にいろいろ限界らしい看守はそんなことはどうでもいいらしい。 
 それよりもルカが気になったのは、やたらと挑発的なシンゴの台詞だった。
 
「……シンゴ、お前あの金髪に腹蹴られたの相当根に持ってるだろ」
「当然です。内臓全部口から出るかと思ったんですから」

 今なら断然俺有利ですしね、と明るくシンゴが言ったのとほぼ同時に、一番奥の牢から騒がしく音が聞こえて、ルカとシンゴは顔を見合わせて、ああ、と声を上げた。
 ちなみに看守は再び「ひッ」と声を上げて縮こまった。

「ほらね、ルカさん。飛び込んだ方が楽なこともあるでしょう?」
「本当だな。探す手間が一気に省けた。……お前、後で腹蹴られても知らないからな」

 と、いうことで。
 シンゴはにっと笑顔を作ると、始終怯えっぱなしの看守の腹に、一発拳をお見舞いした。何が何やらな状況のまま倒れる看守を不憫だなあと思いながらルカは取り合えず懐を漁ってみる。内側の胸ポケットに仕舞われた小さな鍵を見つけると、いただきマス、と一礼して先に進んだ。



「おー、いいカッコだなお二人さん?」
「ほんっと、ざまーみろって感じっスね! 小一時間は観賞してたい気分です」
「こんな劇的悪党、とっとと処刑すりゃいいのにどこまでバカなんだよここの君主サマは」

 自分が優位に立つというのがここまで気分的に素晴らしいものなのだとルカは思い知った。もちろん、本気になればこの牢屋くらい抜け出せない二人ではないだろう。それでも大人しくここに監禁されているということは、薬を盛られたか、あるいはそこまで体力を消耗するほどの拷問を受けたかだが、後者はないだろうと判断する。遠目に見ても、外傷が酷いようには見えない。服もさして破れていないようだし、砂漠での自分たちの方が酷い仕打ちを受けていたのではないだろうか。
 しかし、薬を盛るにしても、だ。この男を無力化できる薬とはどんな代物だろう。一度会っただけだが、性格だの目つきの悪さだのからして並の男ではない。体躯のしっかりしているシンゴに一発の蹴りで膝を折らせたのだ。象の致死量分くらいの毒薬だろうな、とルカは心の中で思った。

「つーか、あんたらみたいのがどうしてこんな雑魚兵しかいない国に捕まれるわけ? ああ、でかいと逃げ足遅いってこと?」
「……ルカさん、それ俺も入りますか」
「……や、お前ちょっと黙っとけよ」

 牢の格子にかしゃんと手をかけて、その向こう側で鎖に繋がれている2人の男、まあ特には金髪の男を見た。
 自分はかなり性格が悪かったのかもしれない、と思うくらいに、優越感に浸れる光景だった。
 ここに飛ばされなかったとしたら、あの国でああやって繋がれていたのはきっと、自分だったのだ。女王の性格からして、繋がれるだけじゃ済まされなかったかもしれない。それも、ただ殺すのではなく、嫌と言うほどに痛めつけられて、ゆっくり息の根を止められる、きっと。
 
「……エイイチの差し金ですか」

 細く聞こえる声は、本日の救出のメインのものだろう。
 そうだけど、と返すと、なら早くこれを外して貰えますか、と割と控えめな台詞が返ってきた。助けないと自分たちもどうなるかわからない。看守から奪った鍵――ご丁寧に『扉』と印がつけられていた――で牢の扉を開けると、中に入った。

「流石にバレたら誰か来ますよね。面倒だしとっととあれ外して外出ましょう、ルカさん」
「ああ」

 まずはさっき助けを求めてきた男の枷を外す。細い手足は、無理をすれば脱出も可能だったのではないかとルカに思わせた。やっと鉄の荷物の外れた手首を軽く回しながら、助かりました、と素直に口にする男を見て、盛られたのは自白剤の類かとルカもシンゴも顔を見合わせた。

「一応お礼とか言えるんスね、あんたも」
「ええ、最低限の礼儀は重んじるべきでしょう」
「まあこっちも命かかってるからな。あんたら助けないとあの兄弟に内臓だの髪の毛だの血の一滴まで残らず売りさばかれそうだ」
「エイイチらしいですね」

 後のことを考えて雑談もそこそこにルカは、

「――返せよ」

 目的を果たすべく、男の前に立ちはだかった。
 それがなければ、ここにいる自分を正当化できない。 
 それがなかったら、きっと今にも全身が痛み出して立ち上がれなくなる。国になんか帰れなくてもいい。あんな国、勝手に滅びればいい。
 けれど、彼女のいた国だ。彼女がいたから、あんな国でもどうしようもなく好きだった。離れられなかった。理由を奪われたら、立ち上がる気力なんて一滴も残らない。
 金髪の男は睨むように、笑うように、鎖に繋がれたままルカを見ていた。

「っ、」

 どうして、負けた気になってる?
 絶対優位だ、殺そうと思えば殺せる、後ろの男はこいつを助けるほど人情派ではないと見ている。
 強い方が正義なら、自分は絶対に正しい。一度深呼吸をしてぐちゃぐちゃになった頭の中を整理すると、ルカは片膝を床につけて、限りなく乱暴に男の服を引っ張って時計を探した。音がする、しゃら、と流れる金の鎖。あの音。
 やがて懐から目当てのものを見つけ、ひったくるようにして奪い取ると、今度は絶対に盗られまいとそれを首にかけ、この牢を出るために憎い男の枷も外すために鍵穴に鍵を押し当てた。

「――さっさと売っとくんだったな」

 明らかに挑発だった。
 それがわからないほどルカは子供ではない。けれど、ことこの時計に関しては冷静でいられなくなる。
 かしゃんと鍵を取り落とし、端整な顔が一瞬にして憎悪に歪んだ。
 ――お前に何がわかるのか。毎日毎日この時計が知らせる時間だけを光にして生きてきた苦しさが。嬉しさが。彼女の歌声の優しさが。ひとつもわかってたまるものか。
 
「ッ、あ、あぁああああああああああ!!!」

 感情に任せて腰の剣を引き抜くと振りかぶって暗い牢の中にその切っ先を煌めかせた、が、重い剣を振り下ろそうとするルカの細い手首を、シンゴが強く掴んで制止する。尚もルカは剣を振り下ろそうと腕に力を込めていたが、体格差から生まれる腕の力にも差は当然あるようだった。
 
「殺す気でいるのはいい、けど、ちゃんと返って来たんだから、殺しちゃダメです……! その時計持ってるなら、あんたは穢れちゃいけない、だろ!?」

 そう言い切るとシンゴはルカから手を放す。
 ルカは唇を噛み締めた。
 まだ穢れてないみたいな、そんな言い方すんじゃねぇよ。
 黙るルカを牢の出口に押しやって、シンゴは鍵を拾うと残る枷の鍵も手際よく外す。

「……あんたもさ、あんまりあの人壊すようなこと言ってると俺が殺っちゃうよ? つーか、せっかく助けに来てやったんだから大人しくしてりゃいいのにさ。立場理解しろって」
「誰が頼んだ。お前らだってここに来なけりゃ死んでんだろ。優位に立った気でいるんじゃねぇよ」
「まあ確かに。……けど、あの兄弟に会わなくたって俺らはあれ、取り返しに来ましたけど? ルカさんが言ったんスよ、あんた殺す気で行くって」
「はッ、なら何で止めた。殺してとっとと逃げりゃよかったじゃねぇか」
「――……やっぱそう思うよな。俺も、そう思う」

 シンゴの呟いた声は本当に微妙な大きさで、ルカに聞いて欲しいようにも、聞かせたくないようにも取れた。





途中までは随分前に書いてたのにまたブランクあけちゃったもんだから困った困った。
あとはアンドゥーとかちょっと一緒に行動したりとか嵩皓ちゃんと至貴くんとか。
そしたら海だか湖だか大河だかで国境越えてそこでひとイベント起こして、それからヤマト編? 編って何、キモいよ私。
別名ルカ女装編、多分。


何がしたかったんだろう。シンゴのキャラが私の中でよくわからないことになっているようです。
困ったわ。
明日に備えて寝ることにします。おやすみなさい。

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2007.08.27(Mon) | rebellion | cm(0) | tb(0) |

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