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軽石へちま

Author:軽石へちま
基本自キャラで凄まじく妄想してみる。
隠れ家なのでBLとか黒とか暗とか主。
キャラ崩壊必至。何とも思わないけども。
妄想についてこれる人だけどうぞ。

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ミステル・セレナード





 ルミはそう言ったけど。

(………そんなこと言われたって)

 と、あたしは思ってしまう。
 そう簡単にはわからないのだ。
 この場所が居心地良くて、生温くてあたしはそれに依存しているだけなんだろうか。生温くて気持ち良いから、甘えたいと思ってしまうだけなんだろうか。
 浴槽の中で、ぶくぶくと息で泡を立てる。わかんない。親切な奴じゃないけど、あたしを家に入れてくれるのは親切心だと思ってた。付き合えと言ったのも、名前がない関係にただ名前を与えてあげただけなのかと。
 でも名前がつけられたことで安心したような気はする、ほんの少しだけ。
 こんな取り止めのないことを考えて、もう三日が経とうとしている。それなのにあたしはまだ分からないままだ。
 
 あたしを一番甘やかしてくれる人。あたしが一番甘やかしたい人。

 そんなの、……そんなの、誰なんだろう。
 あたしだけ、あたしだけを一番甘やかしてくれる人なんて。
 これまでなら一番最初に浮かんだだろう人の面影は、今では沈んだまま浮かんでこない。頭の上で軽く纏め上げた髪が一房ぱさりと落ちてお湯に濡れる。
 ぶくぶく、泡を作る。
 ケレスの顔が一瞬浮かんで、目をぎゅっと瞑った。これじゃあ不可抗力みたいだ、そんなのはいけないと思う。ちゃんと考えないと。
 ――でも、でも、あたしをこうして家に上げてくれた。
 生活する空間にあたしが居てもいい、って、そういうこと? コイビトって名前があればいいって、そういうこと?
 一緒に食事してくれる、あたしが作ったものちゃんと食べてくれる、後片付けだってしてくれる。それは、あたしの今までを壊さないようにしてくれてたのか、それとも?
 考えるほどわからなくなる、泣きたくなる。ケレスが何考えてんのかわかんなくて泣きたくなる。

「―――っ!?」

 ちがう、何か、おかしい。自分じゃなくてケレスがわかんなくて泣きたくなるなんて、そんなの日本語がおかしい。
 ただ、ルミと話して、こうしてひとりで憂鬱な三日間を過ごしてわかったのは、

(………何も、変わらなかった)

 ということ。
 あの時、ケレスをグーで殴ってしまったあの時、あたしは死ぬほど怖かったのだ。怖かったから無意識に手を出してしまった。怖くて怖くて仕方なくて、何かが変わってしまうことを恐れて。あんなことをしたのに謝れなくて、そのくせ拒絶されるのも怖くて。
 あたしがびくついてるの分かってて、だから、ケレスはあたしを放っておいてくれたんだろうか。何のメリットもないのに、ただ別れるとだけ言えばあたしは出て行ったかもしれないのに、何を待っていたんだろう。あたしが準備するの待っててくれてるのかな。そうだったらどうしよう、どうすればいいんだろう、ご飯を食べてくれるのも、あの日キスを仕掛けてきたのも、あたしに近づくためだったら、あたしを知ろうとしてくれていたなら、それがもしかして今のケレスにとっても普通だったとしたら、そうだったらあたしは。

 どんな言葉で切り出したら、あたしは驚かず変わることができるんだろう。

「ん、………」

 かれこれ一時間近く湯船に肩まで漬かっていたら流石にのぼせてきた。
 熱でくらりとする頭で、浴槽から出ると、鏡を見る。いつになく赤くなった皮膚、それに、青い瞳。
 ……きもちわるい。
 この色さえなければもう少しまともな思考ができたのだろうか。



 
 ケレスから借りただぼだぼのスウェットを纏ってリビングに戻ると、ケレスはソファーに陣取ってテレビに視線を向けていた。クイズ番組だ。あたしは全く見当もつかない問題だったとしても、ケレスが大体の出演者よりは賢いということをあたしは知っている。そうやってどうでもいいことを一つずつ知っていって、あたしは何かを得るだろうか。それとも、もう得ている、とか。
 ケレスの正面の席に座ると、ケレスはあたしの顔を見て、顔赤いぞ、とだけ言う。ちょっとのぼせたみたい、と返せば鼻で笑われる。ムカついてクッションを投げる。そんなのも当たり前のやり取りで、このやり取りがあるからあたしはいつも以上に素直でいられる気がしている。
 ほんの少しの間があった。テレビの中の馬鹿騒ぎだけが聞こえる。

「……お前、」

 この家にケレスが『お前』と呼ぶのは目の前のあたし以外にいない。
 あたしは視線をケレスに移す。

「どうするんだ、これから」
「何が?」
「付き合うのか、やめるのか」

 どきっとした。
 その声は嫌に凛と通っていて、返事を迷わせる。どう答えたらいいんだろう。

「……今のままじゃ不満なわけ?」

 一応聞いてみると、ため息が返ってきた。

「実態もない肩書きだけに振り回されるんだ、お前もしんどいだろうが。俺もいつまた殴られるか気が気じゃないしな」
「そ、それはもう終わったでしょ!!」
「終わってねぇよ」

 声が詰まる。
 あたしの選択次第では、まだそれが続くとケレスは言いたいのだろうか。
 それなら別れると一言言えばいい。それが嫌ならそっちから打ち切ればいい、なのにケレスは選択の幅を広げる。あたしに言わせたいのだろうか、でも、そういうことでもない気がする。
 ここにいたい、もう少しこうしていたい、くだらない毎日を送っていたい、ここで甘えさせて欲しい、そんな言葉が出掛かっては飲み込む作業を繰り返す。
 目の前のテーブルに置かれたリモコンを手に取ると、電源ボタンを押してぶつりと電源を切る。それから、目の前の席からケレスの隣に腰掛ける。

「……質問があります」
「何だよ」
「……あたし、もしかして、ものすごく酷いこと、してた?」
「あぁ?」

 ケレスの眉間に皺が寄る。しばしの間があって、ケレスはあたしの目を見て、まるで馬鹿にするみたいに口を開く。

「まあ、……してるよな」
「……仕方ないじゃない、あたしはっきり言ってくれないと理解できないタイプなのよ」
「ほう、言ったら理解すると」
「な、内容によるわよ、そりゃあ!!」

 ただでさえのぼせて頭に血が上ってるのに、更に顔がかっと熱くなって今自分がどうなってるのか把握するのも難しい。
 ケレスは相変わらず偉そうにふんぞり返ってこっちを見ている。……ムカつく。

「……あたしの作ったご飯食べるのと、キスしようとするのはどっちが普通なの?」
「一度もしたことないものを判断材料に入れるな、論外だ」
「うるさいわね、高学歴なら柔軟な思考見せなさいよ!」

 同じくらい、普通だったらいいのに。それならあたしは多分、受け入れられる。素のケレスがあたしに近づこうとしてくれてること、嬉しいと思える。
 コイビトだからとかそんな理由じゃなくて、ケレスがそれは普通だと言うなら。
 まあ、でも、この質問は意地悪なのかもしれない。答えられないケレスに、あたしは質問を引っ込めることにした。
 もう少しだけ距離を詰めて、頭をケレスの左肩にぽすんと預ける。顔を上げて見上げてみれば、何のこっちゃとでも言いたげな瞳があたしを見下ろす。

「肩、ちゃんとぎゅってして」
「はぁ?」
「また殴られるの嫌でしょ?」
「……話が読めないんだが」
「……返事よ、さっきの」

 散々発破かけてきたくせに、あたしが答えを出したら出来ないなんて言わせない。選択肢を用意したそっちが悪いんだから。選べっていうから選んだの、あんたは多分、あたしを最高に甘やかしてるんだろうと思うから、あたしだってあんたを甘やかしてあげなきゃ割に合わない。

「……んな硬くなったらやりづらいっての」
「っ、し、知らないわよそんなの!!」
「顔が赤い」
「それはのぼせたか――」

 両肩はぐっと押さえられて、それで、一瞬だった。ふわりと漂うあの日と同じ香りは、あたしのものなのか相手のものなのか。ほんの一瞬で体が離れると、ケレスはあたしの両肩を押さえる手をすぐに外した。

「で、何か変わったかよ」

 至極当然みたいに言い放つケレスに照れる姿を見せるのは弱みを握られることのような気がして、あたしはふいと視線を逸らす。

「別にっ、……あんたがどうしてもあたしとしたいみたいだったから、させてあげただけよ」
「事実を捻じ曲げるな」
「何よ、間違ってるっていうの!?」
「重大な齟齬があるだろうが!」

 なんにも変わんなかった。寧ろ、触れてくれた方がしこりが取れたような気さえする。絶対言ってやらないけど。でも、本当に、あたしはあたしのままだった。何も変わらなかった。拍子抜けするほどあっさりしていて、心の底からほっとした。
 ひとつずつ階段を上って、少しずつわかっていって、変わらなかったことが嬉しい。でも、確実にあたしの中で答えが出ようとしているのに、まだ泣きたくなる気持ちを拭いきれずにいる。
 だって、――何考えてるのかわかんない。
 それは何でも棘のある言葉にして発してしまうあたしの、すごく些細な問題であり、一番大事な問題のような気がしているのだ。







ごめん、深夜なのと疲れてるのと眠いのとちょっと空腹なのと寒いのとで意味分からなくなった!(爽)
ともかく仕事を終えました、私お疲れ様です。
ここまで来たら一気に落ちそうなんだけどな、と思います。でもやっぱり何でもはっきり言ってくれなきゃわかんない紗央だから、正面きって言ってくれなきゃこれ以上は安心できないんだと思います。でも好きって気持ちはあるから、二人でいる時に甘えたりすることはよくあると思うんだ。構ってほしいなー、ってなるのもちゃんとくっついた後よりこの段階からだと思ってる。
ケレスさんが自分を甘やかしてくれてることはわかってるんだ、自由にさせてくれるしいろんなところで。後は紗央もちゃんとはっきり言ってないところもあるから、この段階だと「向こうがしたいって言うなら応えないと割に合わない」という見当違いな答えが出てます。
大丈夫、どうにか頑張るでしょう。(何)


眠いです。寝ようかと思います。
誰が続くか楽しみにしてるよ!!! ぐあああああ、私頑張ったよ……。


お題提供→Fortune Fate

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2009.03.21(Sat) | ご近所物語 | cm(0) | tb(0) |

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