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軽石へちま

Author:軽石へちま
基本自キャラで凄まじく妄想してみる。
隠れ家なのでBLとか黒とか暗とか主。
キャラ崩壊必至。何とも思わないけども。
妄想についてこれる人だけどうぞ。

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朧月夜と真理の星   1/2




 圭一はあたしをどう思っていたのか、という問題がある。
 圭一みたいな男は文字通り『罪作り』なんだと思う。曖昧で、それが心地よくて、曖昧でよかったから心地よさを感じて一緒にいたがったのに、いざ答えが出たら「最初から言ってくれなきゃわかんない」なんてわがままもいいところだ。それでもあたしははっきりした線引きを望んでしまう。後で痛い思いをするのはごめんだから、最初からはっきりしてほしい。何を考えてるのか、どう思ってるのか、見えないほど不安になる。だから今のあたしは、『見えてないのにここにいたい』と思ってしまっていることで、思いっきり自己矛盾に陥っている。圭一にああ言われた後は、圭一の考えてることが見えた後は、もう顔合わせられないと思ってこうして逃げてきたのに。『見えてしまったからあそこにいたくなかった』、それは正しい命題? どうして今あたしは、矛盾していてもいいじゃないかと思っているのだろう。
 あたしは圭一に何を求めていたんだろう。それじゃあケレスには何を求めたいんだろう。
 生温いのはもうこりごり。熱いか冷たいか、どっちかにして。必要だと引き寄せるのか、不必要だと突き放すのか、どちらだっていい。矛盾しているのが苦しい。正直になりたい。





 そう思っていたのに、終わりは意外とあっさり、突然に訪れた。





「――……え、」

 フライパンの持ち手を握っていた右手から力が抜ける。あたしの目の前にいるこの男は一体いきなり何を言い出したのか。夕飯の調理中、突然何の文句かと思った。怒らせるようなことをしたのだろうかと。声色は怒っていなかった、だから怒っているわけではないのかもしれない。でもケレスは思ってもあたしには言わないことが多いから(多分)、言ってないだけ顔に出してないだけで本当は何か怒らせているのかもしれない。そんなことを頭の中でぐるぐると考え続けた最後に、『好きだ』なんて、選択肢にまったくなかったような言葉。何の話? そりゃあ聞いてないわよ、一度だって。
 何のジョーク? いきなり言う言葉? ドッキリ? あたしの反応見て楽しみたいだけ?
 違う、ふざけてない。あたしがここを飛び出した日、『俺は他人をいつまでも家に置いておく趣味はねぇ』と言った、あの時の目によく似ている。それは、そうなら、どういうことなのか。

「っ」

 目の前にいるケレスの胸を軽く押して遠ざける。それから、もうどうしたらいいのかわからなくて、フライパンを火にかけたまま、ケレスの隣を逃げるようにすり抜けて走る。

「あ、おい、お前ッ」
「じ、っ、時間、時間くださいっ」

 何度もリピート再生される声。なんで? どうして? 
 ばたばた走って部屋に戻ると勢いよくドアを閉めて、そのまま扉に背を預けてずるずると座り込む。少し遅れてケレスが階段を上ってきたらしく、ノックもさせず外から、夕飯は、と聞いてきた。あと炒めるだけだから、と答えれば、お前はどうするんだと追加の質問。今日は要らないです、少し不貞腐れたみたいな声が出た。ドアの向こうから小さく、そうか、と返事が聞こえて、足音が遠ざかって行く。

「………なんで、どうして、……なんで?」

 何度も何度も何度も、頭の中でさっきの言葉が再生される。全身が熱い。体育座りをして深く俯く。確かに生温いのは嫌だ。『好きだ』って言ってくれたってことは、あたしを必要だと思ってくれてるって、ことなんだろうか。
 今までほとんど何の音沙汰もなかったから、突然のことで不安が募る。なんだろう、どうしたらいいんだろう。どうしてケレスはそう簡単に何でも決断できてしまうんだろうか。あたしはいつも動けない。拒絶されるのが怖くて、変わってしまうことが怖くて、自分からはとても動けない。動かなくてよかったこれまでの生活を抜け出して、今ここにいて、それでもなお動こうとしないあたしをいつもケレスは引っ張ってくれる。嫌々かもしれない、渋々かもしれない、イライラすることもたくさんあるんだと思う、それでもケレスはいつもあたしを引っ張ってくれる。……今のところ、そういうイメージ。

「…………」

 ケレスが何考えてるのかわからなかった、今までずっと。単に何でもよかったのかもしれない、関係に名前をつけただけなのかもしれない、と思っていた時期もあった。そうでもないらしいと気付いたのはごく最近で、そうでもないらしい、けれど実際何考えてるのかはよくわからなくて、それもまた不安で。気持ち伝えてもらったらそれはそれで不安って、それはちょっとないんじゃない? 自分に言い聞かせてみても、そう簡単に直りそうにない。これは厄介だ。だって仕方ないじゃない、なんで? どうして? どこが? あたしを好きになってくれる要素がどこにあっただろう。

「…………いいや」

 そこは置いておかないと、あたしは多分先に進めない。そんなことあたしが考えたって、あたしはケレスじゃないんだからわかるわけがない。
 今度はもっと早く答えないと。そう思ってため息をつくと、また耳の奥でケレスの声が響いてくる気がして、恥ずかしさと原因不明の怒りといろんな感情でまた体温が上がった気がした。





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2009.03.26(Thu) | ご近所物語 | cm(0) | tb(0) |

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