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軽石へちま

Author:軽石へちま
基本自キャラで凄まじく妄想してみる。
隠れ家なのでBLとか黒とか暗とか主。
キャラ崩壊必至。何とも思わないけども。
妄想についてこれる人だけどうぞ。

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シリウスは春に届かない



 あれ以来姉さんは前にも増して元気になった。強気で諦めが悪くて捻くれているのは相変わらずだけれど、いろいろ吹っ切れて姉さんも楽になったのだろう。
 俺と兄さんのところにもいつものように毎朝顔を出すけれど、前よりうるさくなくなった。この前なんか兄さんが「紗央さん前より可愛くなった?」なんて零して、真っ赤になった姉さんに殴られていた。そりゃ当然だ。
 姉さんにとって兄さんは、限りなく好きな人に近い家族だった。結局、家族だったのだ。それでいいと思うし、これでよかったとも思う。その事実さえあれば、これ以上姉さんが傷つくことはなくなる。
 姉さんが可愛くなったのも事実だと思う。姉さんは日々可愛くなる。先生を見つけては嬉しそうに小走りで近づいて、隣を歩き出せば少し不機嫌そうな表情を作る。本当は一緒にいられて嬉しいくせに、素直に感情を出すのは相変わらず苦手なようで。
 服の趣味が変わった。前よりもスカートをよく穿くようになったように見える。いつもパンツルックだったから最初は新鮮だったけど、最近はなんだか見慣れてきた。たまに普通の10代の女みたいに雑誌をめくっていたりすると、すごく違和感を覚える。姉さんぽくない。姉さんが少しずつ少しずつ大人になって、背伸びが背伸びでなくなって、俺は少しずつ寂しくなる。

「……勉強中って、どんな話するの?」

 一度、姉さんが俺の部屋を訪ねて、そう問いかけてきたことがある。勉強中の俺の後ろでベッドに小さくなって座って、枕を抱きしめて。
 初めて会った頃はあんなにいがみ合ってて、何度授業を邪魔されたか知れない。そんな姉さんが、今こんな質問をしてくるなんて。

「普通。最近問題演習ばっかりだからそう喋る時間もないし」
「へー……」
「何いきなり。気になるなら本人に聞けば?」

 突き放すようにそう言うと、冷たさを感じ取ったのか姉さんは、うう、と呻いて枕をぽふぽふと叩く。
 姉さんは、俺の前では否定をあまりしない。今だって、先生がここで何をして何を話しているのか気になる、ということを認めたのだ。昔からそうだった。だから俺は、俺のポジションは姉さんにとっての特別なんだとばかり思っていた。姉さんは、俺には何だって打ち明けてきた。直接的な表現でなくても、姉さんにできる精一杯の素直な部分を見てきた。

「……一緒にいても、そんなに会話するわけじゃないし。あたしは働いてて、あいつは学校行ってて、話したってわかんないことたくさんだし。大学行けばよかったのかな、ってちょっと思っちゃったり」
「姉さんの頭じゃ絶対無理」
「うるさいわね、わかってるわよ!」

 姉さんの勉強嫌いは俺も奈央も兄さんもよく知るところだ。俺でも解けるレベルの英語の問題を兄さんに聞いたりしていた。そんな姉さんが大学なんて行くわけないと思ってたし、行けるはずもない。ついでに言えば、そんなレベルの姉さんが進学できるような大学なんて、俺は危なっかしくてオススメできない。姉さんは、いつか先生が言ってたみたいに、もっと自分の見た目を自覚した方がいいのだ。敬遠する人も多いのかもしれないが、大半はそうじゃないだろう。昔から近所づきあいのあった俺でも、姉さんが初めて高校の制服を着ているのを見た時はびっくりしたものだ。私立高で、制服がやたらと可愛いところだったから
余計に。
 大学なんか行っても姉さんは数ヶ月で退学しそうだ。それに、大学行ってたら先生とは絶対出会ってない。

「それで、先生と俺が何話してるのか気になる、と」
「話してもくだらない喧嘩にしかならないし。あたしとあんまり話さないだけで理央とは話してるのかな、ってちょっと思っただけよ」

 先生は誰が相手だろうとそう大きく態度を変える人じゃないだろう。だからそれは十分普通の対応なんだろうと思う。姉さんは学校での先生を知らない分不安に思うことが多いんだろうけど、先生にとっては何てことない普通の対応なんだろうな。学校の話をしても姉さんにはわかんないだろうし、逆に姉さんも仕事の話したって先生はわからないだろうから遠慮してる。日常の会話というカテゴリの引き出しが少なくなってしまうのは当然だろう。
 そんなくだらないことをいちいち心配する姉さんは可愛いと思う。こうして心配している表情を見ているのは多分俺だけなのだと思うと、それもそれでいいかと思えてくる。
 そんなことを考えながら問題集に向かっていると、携帯電話のバイブの音が聞こえる。俺のじゃないから姉さんのだろう。姉さんは突然の振動にびっくりした様子で、慌てて電話を取った。

「な、なによっ、いきなり電話とか!」

 ああ、先生か。

「え? ……うん、……べ、別に暇なわけじゃないわよっ、……仕方ないわね、今行くから」

 そこまで言い終えて通話を切ったらしいところで、振り向いて姉さんの顔を見てみると、

(……幸せそう)

 大切そうに携帯を握る姉さんの横顔は、これでもかってくらい綻んで、嬉しそうで、


 どうにかなってしまいそうなくらいに苦しい。


 内臓が締め付けられるような苦しさ。姉さんのように、俺たちは家族なんだと割り切れたらどんなに幸せだろう。
 俺にはきっとそれは一生できない。俺は、先生さえ見ていない姉さんの表情を知りすぎている。

「ちょっと出かけるから帰るわ。鍵開けっぱなしで平気?」
「ん、平気。行ってらっしゃい」
「うん」

 心なしか軽やかに階段を下る足音。小さく聞こえる扉の閉まる音。
 姉さんは先生とどこへ行くのか。苦しい、寂しい、辛い、痛い、悔しい。
 様々な負の感情がすべて一緒くたになる。姉さんが好きだ。姉さんが誰かのものになるなんて御免だと一番思っていたのは奈央よりも俺だろう。
 でも、姉さんの綺麗な青い目に俺は絶対映らないと知っていた。これでいいんだと思う。思うしかない。俺が映る余地は最初からなかった。最初から、俺は姉さんの家族だった。

「姉さんが好きだ……」

 俺は一生弟から抜け出せない。一生姉さんと呼び続けるんだ。
 姉さんの名前を呼べる先生を心底羨ましいと思った。俺がいつも呼びたいと思っていた、その名前を。どんなに思ったって、俺の気持ちは届けることが許されない。暗闇に吸い込まれて消えていく。
 強く握ったシャーペンの先、芯がぽきりと折れた。






シリウスと春っていう単語が理央と紗央に合うなと思って。
理央は天体ネタがよく合います。理央って一生ここから抜け出せない人なんだろうか。


ケレスさんと出かけてくるー、って出て行く紗央を見送るのが嫌で辛くて仕方ないけどそうするしかないと思ってる人。ケレスさんと紗央がちゃんとくっついてからは余計に強く思うようになっちゃったんだと思います。誰かが掻っ攫ってくれたらいいとは思ってた、けど実際なってみたら痛くて辛くて仕方なかった。どうして自分じゃないんだろうって何度も考えたと思います。
紗央は理央にだけ見せてる顔たくさんありそうです。紗央は家族だからそういう表情も理央には見せられるんだけど、理央からすればそういう紗央がいるから単に家族だとは思えなくなってしまう悪循環。
不憫な子だなあ。もうちょっと器用に生きれたらいいのにね。ケレスさんに特別何か喧嘩売るようなこと言ったりはしません。紗央とケレスさんが喧嘩すればイライラはするかもしれないけど。紗央のいろんな表情知ってるっていうのも別に自慢したりしません。ケレスさんだって見てる表情はすごく多いはずなんだ。理央の知らない表情いっぱい知ってると思うんだ。おあいこだから言わない。


というわけで、不憫な子でした。
紗央がもうちょっと鈍感じゃない子だったら理央も告白しようとか思えたかもしれないけど、紗央だったからなあ。
アンドゥーが側についててくれたらいいなあ。奈央には空がいるけど、いちばん辛いかもしれない理央には誰もいない。諦めきれないからずっとそのままなんて可哀想だ。アンドゥーがお兄ちゃんとして慰めてくれるって信じてる!


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2009.04.05(Sun) | ご近所物語 | cm(0) | tb(0) |

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