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軽石へちま

Author:軽石へちま
基本自キャラで凄まじく妄想してみる。
隠れ家なのでBLとか黒とか暗とか主。
キャラ崩壊必至。何とも思わないけども。
妄想についてこれる人だけどうぞ。

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落椿  1



 ひとつ前の町で、男の殺される様を見た。男の目的もきっと、彼と同じだっただろう。振り下ろされる悪意に、自らの内に眠る爆弾を暴発させて、男は抵抗した。多勢に無勢だったが、男はそれなりに頑張っていたように見えた。だが、所詮それまで。一という数は、二や三に勝てる可能性はあるかもしれないが、二十には敵うまい。彼に見えなかっただけで、実際はもっといたのかもしれない。もたついていては、自分もああなるだけだと彼は足早にその場を去った。この地域は寒い。故郷はいつも、春のように暖かかったのに。吐く息が白い。頭のフードを更に目深に被って、彼は急いだ。
 その町は、雪が降っていた。ひとつ前の町でもちらちらと降ってはいたのだが、ここは、しんしんと、音もなく、なのに彼の体力を奪うほどに地面に降り積もっている。外灯の光も頼りなく、民家はみな人の気配を微塵も感じさせない、恐ろしくなるくらいの静寂が辺りを支配している。雪に濡れて重くなった足を引きずり、人目につかない路地裏に彼は腰を下ろした。腰に差した剣も目の前に置く。はあ、と息をついたが、地面の雪と相まって、あまり白さは際立たなかった。
 目を閉じると、さっきの男の断末魔の叫びが聞こえる気がした。もう何度も見た光景。何度も、何度も。自分はああなるものかと必死にここまで来た。ポケットに手を突っ込み、もう十年も前から持ち続けている地図に目を落とす。国境まであと僅かだ。もう少しで、父や母に託された願いに手が届く。なのに、もう立ち上がれる気がしない。男の断末魔の叫び。憎い憎いと叫ぶ声。怖い怖いと泣き叫ぶ声。殺シテヤリタイと腹の底から唸るような。

「ぐ、っ、う、あぁあああああッ」

 頭をもたげる醜い欲望に彼は声を上げて抵抗する。大声は危険だとわかっていても、痛みは声でしか表現できない。彼は血が出るほど強く唇を噛み、頭を地面に押し付けた。それでも、あまり意味がない気がした。最近は痛みが酷い。押さえこめば痛むのはいつものことだが、ここ最近は特にだ。荒く息を吐き出しながら顔を上げると、顔を押し付けていた部分の雪が真っ赤に染まっている。知らず吐血するようになってもう一年。体にもガタが来ているのだろうことを、彼は自覚していた。
 国境まであと僅か。けれど、この体で国境を越えたところで、どれくらいもつだろうか。医者ではないから確実なことはわからないが、一年は持たないだろう。それに国境を越えたからといって体に変化が起きるわけでもない。平穏は訪れるだろうが、体の中で蠢いて彼を苦しめる原因が消えてなくなるなんてことは、ない。だからいつ自分が、欲望に従ってしまうかわからない。それはこの町でかもしれないし、国境を越えた先でかもしれない。そんなことになるならば、いっそ、欲望に従って誰かを殺シテみようか。そう、例えば一番身近に死にたがっている人間がいる。――彼自身だ。
 袖で口の周りの血を乱暴に拭うと、ポケットに地図を突っ込んで戻し、父が形見として残してくれた剣を手に取る。自分の身を守るために使え、と。お前にはまだ希望があるから、人を傷つけるために剣を振るうな、と。そうして父はあの男と同じように死んだ。目を閉じると映像がシンクロする。父がそう言って残してくれた剣は、専ら彼が自身を傷つける時に使用された。剣を鞘から抜いて、その刀身の美しさをしっかりと目に焼き付ける。
 憎い。憎い、憎い、国が、浅ましい欲望を持つ人間が。希望なんて結局どこにもない。人間を、殺シテシマイタイ。
彼は自分の腹に剣を突き刺した。ぱたぱたと赤い血液が真っ白な雪を染め、上から新たに降り積もる雪がまたその赤を吸って、血溜まりを作った。人間が憎い。その気持ちが、彼が彼自身を殺そうとする気持ちに拍車をかけた。
 血液が体内から失われて、目が霞んできたのか、雪の降る勢いが強まったのか判別がつかなくなった頃、さく、と雪を踏む軽い音が聞こえた。誰かに見つかる前に、自分にケリをつけなければ、と彼が柄を握る手に力を込めようとした時、足音の主は、誰に語るともなく呟いた。

「……まだ私に救わせようとするのか?」

 今にも泣き出しそうな、女の声だった。

「私には、命の価値も分からないというのに」

 更に力を込めようとしたが、手は柄を握る力さえなくだらりと雪の上に滑った。そのまま体は雪の上に倒れ、血溜まりが広がるのを感じた。彼の体に影が作られる。ぼんやりする視界の中、瞳だけを動かして影の主を見ようとする。女は持っていた籠から何かを取り出すと、籠を雪の上に置き、おもむろに自身の服の袖を捲り上げると、その腕に、取り出した何かで傷をつけた。ぱたぱたと深紅の雫が落ちる。

「舐めろ。どの道その傷では死ねないぞ」

 血の溢れる彼女の腕の傷口が彼の口元に当てられた。溢れ出す彼女の血液が、薄く開いた彼の口の中に数滴落ちて、彼の舌に鉄の味をもたらした。彼女は更に血液を舐めさせようと彼の口に傷口を押し当てたが、彼にはそれ以上体を動かすだけの力がない。ふ、と一瞬目の前が暗くなる。それから、一度瞬きをして、意識を失う直前に見えたものは、この雪を染める赤と同じ色をした大きな瞳だった。








これはいつか終わらせるぞ、と決意してます。
イメージCVもイメージソングも決まってるんだ、いつか終わらせます。
数年前の部誌にゲスト原稿で載っけるかどうしようか迷ったものをちょっと前からちまちま書き直してます。今ちょっと煮詰まってるのでどうしようか思案中。


取りあえず、そんな話です。
設定に一貫性がないとんでもない話です。
でもカメさんとアルさんは現代設定ならきっといいカップルになれると思うんだ。
今でもまだラストシーンで悩んでます。


もう寝よう。

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2009.05.18(Mon) | 未分類 | cm(0) | tb(0) |

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