プロフィール

軽石へちま

Author:軽石へちま
基本自キャラで凄まじく妄想してみる。
隠れ家なのでBLとか黒とか暗とか主。
キャラ崩壊必至。何とも思わないけども。
妄想についてこれる人だけどうぞ。

最近の記事
最近のコメント
最近のトラックバック
月別アーカイブ
カテゴリー
ブロとも申請フォーム
ブログ内検索
RSSフィード
リンク
スポンサーサイト
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

--.--.--(--) | スポンサー広告 |

12――reward



 帰りの道中で初めて、二人の名前を知ることになった。
 男にしては細すぎる妖術使いの名はヒサ、というらしく、金髪の男の名はケレスというらしかった。
 この破壊魔にどこかの神話の豊穣神と同じ名前をつけるなんてどんな皮肉だとルカは思った。おそらくその神話との関係性は皆無だろう。
 会話は特になく、あの占い師の少女と別れてからシンゴもあまり積極的に話そうとはしなくなっていた。よほど疲れているのだろう。

「それで、これからどうするんですか?」

 相変わらず言葉で表現できない“何か”に乗って空を飛びながらヒサが問う。誰に対して、と明確にわかる問いかけではなかったが、おそらくルカかシンゴかそのどちらかだろう。迷わずルカは口を開く。

「国に帰る。やらなきゃいけないことがあるんだ」

 それだけははっきりしているのだが、具体的にどう帰ればいいのかはわからない。今まであの『王国』という柵の中だけで生活していたから、あの場所以外の世界を知らないのだ。ここがどこなのかも、それどころか、自分たちが今までいた国のことも実はよくわかっていなかった。あれだけ過ごしていた場所のことを何も知らないなんてとんだお笑い種だ。

「取り合えずはちゃんと人のいるところに行こうかと思う」
「さっきの城下が一番近くて人も多いですよ」
「あんだけ町荒らしといてよく言うよ。戻れるわけないだろ」

 前を走る馬にはケレスが跨っている。その背に乗る荷物の多いこと。しかもあの馬も強奪したものなのだから本当に性質が悪い。城を潰したついでなのだろうが関係のない城下の人間を巻き込みすぎた。……ただ、強奪とは言ってもケレスの見た目に勝手に怯えた店のものがどうぞ持っていってくださいと自滅しただけなのだが。購入する気があったかどうかは遠くの方に置いておくことにする。

「あんたたちが連れてかれる予定だった国ってのはどんなとこなんだよ」
「さあ。詳しく知っていたらここにいませんね」
「噂くらい流れてるだろ……。捕まったことあるかどうかなんて聞いてない」

 あの商人兄弟の弟、イチの取り乱しようからすると相当な暴君のいる国に違いない。この盗賊たちのしていることは取り押さえられて当然のものだと思うし、国によっては死刑にされてもおかしくはないだろう。イチの場合単にヒサを敬愛しすぎているから死刑を極端に恐れているのかもしれないが、この男たちのことだ、普通の刑では死なないような気もする。

「絶対王政みたいな? 逆らった奴みんな殺す、とかそういう感じの」
「あそこは共和制だ」

 そこで何だか久々にケレスが口を開いた。

「共和制? ………ああ、偉いのがいなくて合議制ってやつ」
「表面上は、ですよ。この手法を取り出したのはつい最近からです」
「クソガキの責任逃れのための逃げ道だろ。結局国を動かしてるのは一人だ」
「残虐な極刑がお気に入りなのに国民の支持があるから厄介なんですよねぇ」
「……それって、えー……僭王とかいう」 

 つまり、王ではなく支配者。君主でなく権力者。
 民衆がその支配に安心感を抱いている限りはその地位は確かなものだろう。
 実際が僭主制でありながら、責任逃れのために合議を取り入れるとは。

「最近からってことはそれまでは目に見えてわかる支配者がいたわけだ」
「ええ。会議はあったようですが今ほど重要視はされていないとか」
「……っていうかあんたら、ずいぶん詳しいな」
「こちらも命がかかってますからね。今回このまま送られていたらまあ八割方命はなかったでしょう」
「あんたがそう言うってことは余程おっかないんだな。……そんな奴が国民の支持集めてるなんてすっげー嘘くさいんだけど」

 普通支配者に残虐性を進んで望む国民などいないだろう。ルカなら嫌だと思う。あの女王だってかなり酷い方だと思うのだ。統治する者はできるだけ穏やかで平和主義な方がいい。黙ったままのシンゴをちらりと見てから、あまり声をかけない方がいいだろうと判断し、少し馬の足を速めさせてケレスの隣に並ぶ。ケレスは見下すような目でルカに一瞥くれると口を開いた。別に喋ってくれなんて催促したわけじゃないのに、とは思ったが、もらえる情報は何でも貰っておかなければ今は損だ。

「統治形態と同じに表面上は好青年気取ってんだよ。んなことにばっか頭使いやがって、めんどくせぇガキだ」
「あの年で私達を殺そうなんて息巻いてるんですから大したものですよ」
「できるもんならやってみろとでも言ってやりてぇな」

 やられる寸前だったくせに、というのはやっぱり飲み込んでおく。

「国ではかなり出来のいい好青年を演じていますが残虐性には裏で定評がありますよ。屋敷の地下にご自慢の処刑場を設けているとか、最近多発している集落の皆殺しも彼が首謀者なんじゃないかとこの辺では噂されているくらいですから」
「皆殺し? それ、嗜好としての範疇越えてるだろ、確実に」
「憶測の域を出ませんがね。……先ほどの国以外でここから一番近い町というと、その物騒な国になりますが、助けられた礼もありますし、その方向の砂漠の出口までならご案内しましょう」
「本当か?」

 ルカは一度ヒサを見て、それからケレスを見た。
 忌々しそうな舌打ちの音が聞こえる。まあ当然の反応だな、と思いながら、あんまり賛成されてないみたいだけど? とヒサに返す。
 無闇に歩き回っては死ぬかもしれないのだ。こんなところでくたばっている場合ではない。できるだけ早く国に帰りたい。そのために、まず『いるだけで死ぬかもしれない』ような場所からは遠ざかりたい。ここはやはり慣れた人間の助言が必要だろう。

「私は礼儀くらいは通しますよ。貴方達の実力がどうであれ、形式として助けられたのは確かですから」
「あんたと同じ認識をこっちの奴にも移植してやってくれ。話が進まないから」
「彼が私と同じ思考を有していたら気色悪くて閉口しますね」
「まあ確かにな」

 って言ってるけど? というニュアンスの視線をケレスに送る。
 城にいた時のような殺気が消えているせいか先ほどよりはコミュニケーションが取りやすそうだと思う。思うだけで、実際できているかどうかは別問題だが。
 
「俺だって礼儀は通す。さっき助けたとか助けられたとかそうじゃないとか、そういう問題じゃなくて、多分今俺たちに一番必要なのはあんた達の力だ。ご覧の通り、非力なクソガキだしな、俺は特に。頭下げろってんなら下げるけど? 下げ慣れてるもんだから」

 実際そう思っている。礼儀はきっちり通すつもりだ。だから今、ヒサなりケレスなりが頭を下げろというのなら歯向かわないで下げることができると思う。頭にはくる。腹も立つ。納得して頭を下げるわけではない。でもできる。それが最良の選択だとわかっているから。
 ただ、言葉の裏にはもちろん、こっちが礼儀を通すんだからそっちも、という意思が込められている。盗賊と言っても非合法の積荷ばかり狙う面倒臭い奴らだ。こっちがしっかり腹を決めて向かえば、適当にあしらうような筋の通らない対応はしないだろう。
 砂を踏む馬の足音が規則的に響く。

「てめぇが面倒見るんだろうな、ヒサ」
「誰もそんなことは言っていないでしょう? 出口まで案内すると言っただけですから。それに、非力と言っても自分の身くらい自分で守るでしょう」

 それは当然だ、とルカは大きく頷くと、今度は速度を落として、後方をゆっくり揺られながら進むシンゴに並んだ。勝手にしろ、とケレスの声がしたところからすると、一応話しはまとまった様子である。

「シンゴ、戻ったらちゃんと休もうな」
「あ、……いえ、すみません。平気です。あんまり口挟むとややこしくなるかなと思って静観してました!」
「お前が静かだと調子狂うんだよ。……取りあえず、出るからな。砂漠」

 しっかりとシンゴの目を見て、ルカは言い切った。
 シンゴがぎゅっと強く手綱を握る。

「早くお姫様見つけたいですね。いいこと聞いたんだし!」
「だよな。……こんなとこより、もっと酷いところにいる可能性もまだ否定できないんだし、早く戻りたい」

 確かにさっき、あの占い師に彼女が生きていると言われたときは嬉しかった。あの女王に殺されている可能性だって完璧に否定できたわけじゃなかったからだ。生きていればそれは嬉しい。でも、あの占い師の実力が本当に確かなのか、それは分からないし、生きていると言っても、酷い場所にいるのかもしれない。背筋がぞっとする。早く近くに行ってやりたい。そう思う。

「そう、ですよね……。まだ、ちゃんと無事かどうかもわかんないし……。早く動きましょう」
「ん、だけど無茶して俺らがくたばったら元も子もないんだからな。しっかり休めよ、疲れてんだろ」

 ルカが明るい調子で声を掛けると、シンゴは戸惑ったように笑った。明らかに様子がおかしいのに、問い質してはいけない気がして、ルカにはそうすることしかできなかった。
 ただ、この数日に起きたことが、いつもの何倍も何百倍もシンゴを苦しめて疲れさせていて、その原因の一端は間違いなくこの自分が担っていることをわかっているからこそ、偉そうに原因を聞くようなことはできない。シンゴなら笑って、なんでもないですよー、暑さにやられただけですから、とか言うのだろう。そう言うことが、多分、もっとシンゴを疲れさせる。ただでさえ迷惑かけっぱなしなのに。いくらシンゴがこうして自分を信頼してくれているとしても、信頼していてくれるから、ルカはシンゴを最大限尊重しなければならない。それも礼儀だ。

「それと、シンゴ」
「はい?」

 空気を変えるために大きくルカは息を吸う。
 
「お前っ、俺のこと簡単に抱えんのとかやめろよな! あれ結構傷つくんだから!!」
「へ?」

 きょとんとした顔でシンゴが見つめてきたので、厳しい目でルカは睨み返す。
 自分はシンゴよりはずっと小さいかもしれないが、男だし、それにシンゴよりひとつ年上なのだ。いくらシンゴが兄貴肌で、弟や妹の面倒見るのも上手くて優しいからと言ってそこまでされると、ルカにもプライドというものがあるから複雑なのだ。
 それを察したのか、ああ、と声をあげると、シンゴはぷっと吹き出した。

「な、何だよ!!」
「ははっ、あー、いえ、気にするんだなと思って! 俺、ルカさん見てるとどーしても放っておけないもんだから、動いちゃうんですよね。こればっかりはどうしようもなくって」
「どうしようもなくって、じゃねぇんだよ……」
「でもすいません、ルカさんが危ない時、こういうの許してください」

 笑った調子でもなく、すごく真面目に許しを請うシンゴにルカは動揺した。
 笑って、そうですよね、やめます、とでも言ってくれると思っていただけに、この真剣な反応に対応しきれない。

「ルカさんに何かあってからじゃ遅い。俺がいるんだから、精一杯守らせてください。そこまで過保護になろうっていうんじゃありません。危ない時、俺がそう思った時だけです」
「お、大げさだろ。守る守るって、俺お前より年上だぞ? 年下に庇われるなんてカッコ悪い」
「それはルカさんがそう思っていればいい。何も、カッコ悪いことなんかないんです。俺が、そうじゃなきゃここにいられないんですよ。だから、お願いします」

 深く頭を下げられてしまう。
 そう言われて断れるようなことじゃない。守らせてくれと言われているのだ。男だから、年上だから、もちろん複雑だ。でも、何かあるよりは側にいてくれる方が心強いのも確か。

『俺を死なせるな、って言ってくれたら俺、全力でルカさんのこと守りますから。ね』

 最初にルカが砂漠で倒れた時に、爽やかな笑顔で言い切ったシンゴの言葉を思い出す。
 どうして、どうしてそこまで。ただの友達なのに。

「そんなの、断れることじゃ、ないだろ……」
「すいません、ずるくて」
「ホントだよ。……帰ったらたくさん、恩返しさせろよ」
「もちろんですよ。十倍返し期待してます」
「何言ってんだ、ばぁか」

 さらっというシンゴが、どこか無理して笑っているように見えて、ルカは早めに話題を切り上げた。
 多分、ものすごく、疲れている。早く休ませてやりたい。
 少しだけ垣間見えた砂漠の出口が、また遠のいたような気がして、ルカはため息をついた。



ここからどうしたらいいのかわかりません。


でもここから別サイドの話を並行して進めようかなあと思ってるので、まあ、うん。
意味不明なシンゴが書きたいんだ。
下手に感化されないように頑張ります。シンゴは諒っぽくなりそう。全然キャラ違うけどな!


空を書くのが楽しいんだ!
奈央ものすっごく大事にしてる感じが何か書いてて楽しい。
普通の青春は書いてて楽しい。


統治機構云々は適当なのでツッコミ不可。
ケレス先生の名前が豊穣神云々もまあ名前一緒だからって理由だけなので。
ランはすごい反応しそう。ていうかしてると思う。さすが代永。
スポンサーサイト

2007.10.22(Mon) | rebellion | cm(0) | tb(0) |

この記事へのトラックバックURL
http://hechima1222.blog88.fc2.com/tb.php/45-930bb064
この記事へのトラックバック
この記事へのコメント
Name
E-Mail
URL
Title

password
管理者にだけ表示を許可
/
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。