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軽石へちま

Author:軽石へちま
基本自キャラで凄まじく妄想してみる。
隠れ家なのでBLとか黒とか暗とか主。
キャラ崩壊必至。何とも思わないけども。
妄想についてこれる人だけどうぞ。

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オルタナティブメランコリー


 ――今日も怒られちゃった。
 メイド長の部屋を出て、後手で扉を閉めるとルミはため息をついた。城のメイドとして仕えてもう二年、仕事はそれなりに覚えたけれどまだまだ失敗も多い。怒られたって仕方ないのは自分のせいだとも思う。自分の不注意だけで怒られる原因が作られているのならまだ納得もできようが、その他の理由については口が裂けても他言できない。これも王城に勤める者の試練なのだろうか。
 肩を落として、王城の端にある使用人室へ帰ろうと足を動かす。落ち込んでいて軽く俯いて歩いていたのが悪かった、目の前に影ができたと感じて顔を上げれば、そこには昨日見たような本の塔がある。

「え、」

 可愛らしい悲鳴を上げる間もなくルミは塔と激突、寧ろ悲鳴を上げたのは塔を運んでいる男の方だった。

「も、申し訳ありませんっ、ちゃんと前を見ていなかったので、あの、本当にっ」

 ぶつかった衝撃でお互い後ろに倒れこみ、しりもちをついたまま相手の顔も確認せずに謝る。相手がもし王族の人間だったら自分は首を切られるかもしれない。それは少し困る。
 どんな叱りの言葉がくるか、ぎゅっと目を瞑って待っていると、俺こそすんませんッ、とそちらからも切羽詰った声が聞こえた。

「すいません俺も前見えてなくて、って、なんだ、ルミさんじゃないスか」
「へ?」

 恐る恐る目を開けば、いやあよかったあ、と安心した表情の慎吾がそこにいた。相変わらずの明るさで、散らばった本――昨日抱えていたものと同じくらいある――をまた一冊ずつ集めては積み上げている。

「さすがにこれだけあると前も見えなくって!」
「ご、ごめん、またあたしのせいで……。これ、また王子のところに?」
「そーです。ぶつかったら危ないと思って今日はずっと書庫からこっち通ってたんスけど、タイミング悪かったみたいっスね」
「今日ずっと、って、え、ていうか王子の部屋行くのに書庫からこっち通ったら遠回りすぎるじゃない!」
「遠回りは遠回りなんですけど、まあ、鍛錬だと思えば。今日はこれで五往復ですけど、これ運んだら終わりなんで気も楽っスよ」
「五往復!?」

 書庫から王子の部屋まではかなりの距離がある。書庫は使用人室からは割りと近い地下にあるけれど、王族の部屋からはかなり離れている。それというのも大体、王族の人間は指示だけして指定の本を使用人に取ってこさせるからなのだが、地下にある書庫から見晴らしのいい三階にある王子の部屋まで行くには最短のルートを通っても十分は掛かってしまうだろう。それをわざわざ遠回りして、五往復。これだけの本を持って、その上慎吾は足が悪いのだ。仕事を通り越して拷問に近い。

「あたし仕事終わったし、手伝うよ」
「や、いいですよ。これで終わりだし、別に辛いわけじゃないんで。それに、昨日と同じような資料運んでるんで、王子のとこ行ったらすぐ帰されちゃいますよ」
「あたし頭悪いからこんなの表紙だけ見たってわかんないし、部屋の前まで行ったら慎吾くんに返すから!」

 せっかく人のいない道だと思って通っていたのだ、その仕事を前方不注意で邪魔してしまった。自分が気付けば慎吾が倒れることもなかったはず。その思いから、どうか半分持たせてほしいと懇願すると、慎吾は珍しく困りきった表情を見せた。
 慎吾は御前試合を勝ち抜き、元々は騎士としてこの王城に仕えていたのだ。どんな背景があれ、騎士として働けなくなった慎吾が城に留まる資格はない。大和が雑用の仕事を与えてくれなければ。仕事を奪うことはいけないことだと分かっているが、足の悪い慎吾にこの先何段もの階段をこの荷物を持って上がらせることは忍びなかったのだ。ルミがそう思っていることを慎吾もなんとなく察しているらしく、最後には、じゃあお願いします、と苦笑を漏らして折れた。






「ルミさんはー、王子のこと嫌じゃないんスか?」

 ゆっくり一段ずつ階段を上がる。持つ本は半分に減ったけれど、それでも右足の悪い慎吾からすれば階段を上るだけでもそれなりに大変な仕事なのだろう。道中沈黙は耐えられないのか慎吾が投げかけた質問に、ルミはうーんと唸り声を上げた。

「どんな人でも王子だし、手出されて嬉しくないってメイドはいないんじゃないかな」
「それって、好きじゃなくても王子だから嬉しいってことスか?」
「それは、……うーん」

 お姫様になれるなんて誰も思っていない。でもちょっとした夢の時間ではある。どんなに性格が悪くても、腐ってても王子様。好きではないけれど、王子様だから、という気持ちはルミにだって少なからずある。大和に手を出されているメイドが自分だけでないことももちろん知っているし、これ以上どうこうなりたいという気持ちも特にはない。好きじゃないのかと聞かれれば自分でも首を傾げてしまう。肩書きを好きなわけではないと思うのに、大和そのものがいい、と自信をもって言えるわけでもない。そもそも恋だの何だのという気持ちなのかどうかもはっきりしない。ただ流されているだけだ。

「俺だったら、やですけどね。仕事じゃないのにそこまで投げ出せません」
「あ、……結構はっきり言うね」

 一段一段確実に階段を上りながら、慎吾ははっきりと言った。ルミよりいくつか年下のこの青年は、両親を失って弟妹を食べさせていくために国に仕え、愛だの恋だのという話題には疎そうな気はしていたのだが、ここまではっきり断言されるとはルミも思っていなかった。大和に拾ってもらった恩も多少はあるだろうに。

「なんつーか、俺、将軍としてのあの人はすげえ尊敬できるんですけど、王子としてのあの人はちょっと、って思ってて」
「? 引き止められてこういう仕事するようになってから、何かあった?」

 将軍としての大和と王子としての大和がまるで違うのだろうことはルミにも想像はできる。けれど、そこまで明確な線引きをしているということは、何かしらの出来事があったからなのだろう。

「や、大したことじゃないんスけど。俺、騎士でいられなくなって、城を出るとき王子に引き止めてもらって、すげえ感謝してたんです。ありがたくって、申し訳なくて、で、必死で頭下げてお礼言ったら、『お前騎士だったの?』くらいの勢いで。覚えてもらってるとまでは思ってなかったですけど、その上、面白そうだから騎士団の雑務でもすっか? とか言われて。対等な立場ならぶん殴ってます」
「それは王子なら言いそう……、だけど、それなら途中でやめちゃってもよかったんじゃない? 家の事情が多少あるにしても、地元に戻れば仕事はあるだろうし」
「それなんスよねぇ……」

 うーん、と今度は慎吾が唸った。
 性格の悪い王子に仕える理由などない。慎吾の方も元々剣を振るうことで国に仕えたいと思っていたはずだ。それが叶わなくなったら、ここに留まらずに弟や妹の側で暮らす方が余程幸せな人生を歩めるだろう。

「あれでも同一人物なんスよね。日常生活でその片鱗が見えると、あの将軍に仕えてるんだって、俺もちゃんと働いてた頃のこと思い出せる。戦争に出る前の準備とかも俺やるんですけど、殺気ばしばし放っててぞくぞくしますよ。やっぱり俺の中であの人の理想の姿があって、それが見えると離れたくなくなるんですよねー。憎い人だ」
「へー……」
「……だから、ルミさんのこと言えないのかもしれないスね、俺も。騎士に戻れるわけないのに、戦場にいる自分を夢見るってのは」
「あたしなんかと比べちゃダメでしょ、そんなご大層なモンじゃないわよ」
「そーですか?」

 階段を上りきり、王子の部屋まではこの廊下を直進するだけだ。ここまででいいです、と慎吾は言い、少し腕を下げてルミが慎吾の持つ本の上に本を重ねやすいようにした。
 そう指示される通りにルミは慎吾の本の上に自分が運んだ本を置く。先刻ぶつかった時と同じ、本の塔ができあがった。

「手伝ってもらっちゃってすいません、助かりました!」
「な、なんにもお手伝いできなくてごめんね!」
「いえいえ、十分です。そいじゃ、また」

 相変わらず右足を引きずりながらの移動は大変そうだ。大和の部屋へ赴く慎吾の背を見送って、踵を返し今度こそ部屋へ戻ろうとすると、

「へえ、勤務時間外にわざわざ来るなんて積極的だな」
「お、王子!?」

 にやりと笑う渦中の人物、大和がすぐ後ろに立っていた。
 手には余り厚くない本が一冊。歩きながら読んでいたのか、途中のページに指を挟んでいる。

「ど、どうしてこちらに?」
「あ? 慎吾に仕事頼んだんだけど遅いもんだから、騎士団の様子見だ。――それより、構って欲しいなら構ってやる、部屋来るか?」
「け、結構です!! 慎吾くん、今たくさん本持って王子の部屋向かいましたよ、行ってあげてくださいっ」
「なんだ、やっと戻ってきやがったか」

 自分の部屋の方向を見やり、挟んでいた指を抜いて本を閉じると、その本で軽くルミの頭を叩き、悪ぃな、と声を掛けた。
 ――その表情にほんの少しだけ心がざわつくのを感じる。
 慎吾が持ってきたものが何なのかはルミには分からないけれど、あれを楽しみに待っていたのだろう。この男はいつだって楽しそうにしているけれど、より楽しさを齎すものなのだろう。

「また今度相手してやるよ、部屋に来い」

 いつだって自分勝手で、周りのものはすべて自分の踏み台で。
 最低だけれど、それが大和そのものであることをルミは知っている。王子だろうが将軍だろうが、あの男はありのまま生きているだけなのだ、使い分けなど考えていない。
 
「おいルミ、返事は」

 なのに名前を覚えてくれている、呼んでくれている、それは卑怯というものだ。これでは遠すぎて夢のまた夢を想像してしまう。そんな自分は、いまでも戦場に焦がれる慎吾よりもずっとずっと愚かなのかもしれない。ぐっと胸が締め付けられる痛みを覚えながら、ルミは小さく頷くことしかできなかった。







聖櫃戦争の大和はどの世界の大和よりも最低な感じがしてきたので、普通にしてる分には一番強い子かもしれません。
ただ事が起きてしまってからは、俺がいなければよかった妄想をするわけなので、やっぱりそういう自意識過剰な子ほど落ち込むとすごいってことですね。


ルミがどうして大和と一緒にいてくれるのかわからないなあ、と思って何か書いてみようと思ったんですがよくわからなかった。こういう男はルミだけに手出してるわけじゃないだろうし、それをルミも知ってるだろうし、お姫様になりたいと思ってるわけでもないし、ルミも正直あんまりわかってないんじゃないかな。見てくれかもしれない、実績かもしれない、肩書きかもしれない、どこかに好意はあるんだけどなんていったらいいのか分からない。
ケイオスさんのところ連れて行かれても、自分がどうして逃げないでこんなところまで来ちゃったのかわからない。強いて言えば「王子のお世話もメイドの仕事だから」とかなのかもしれない。
ルミも、大和の目が覚めて初めて何か思うところがあればいいと思うよ。
そう思うと、やっぱり大和って押してあげたくなる背中をしてるんだろうなあ。支えてあげたくなるんだろうなあ。
あまりにも自分に自信を持ってて、姫君だとか敵を殺したいって目的が明確で、良くも悪くも一直線で、筋が通り過ぎてて危うい感じに惹かれるのかもなあ。ルミがだめんずうぉーかーな気がしてきたww
大和にしてみてもさ、自分のせいで国がめちゃめちゃになって、自分なんか消えちまえこんちくしょーと思ってゲームに参加して、でも生きて帰ってきちゃって、孤独な王子様がどうすんだ、って感じの時に目が覚めてみたら、別にこいつだけ構ってやってたわけじゃないのにメイドがひとりだけずっといてくれてたの知ったら本気になりますよね。そりゃあ落ちますよ。(笑)
スイッチが入った大和ってウザいと思う! 一番ウザい大和は聖櫃戦争後の大和だと思う!


夏のあらし!に出てた杉田が……!!! なんか、ああいう杉田、すごく、好きです。(何)


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2009.06.22(Mon) | 聖櫃戦争 | cm(0) | tb(0) |

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