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軽石へちま

Author:軽石へちま
基本自キャラで凄まじく妄想してみる。
隠れ家なのでBLとか黒とか暗とか主。
キャラ崩壊必至。何とも思わないけども。
妄想についてこれる人だけどうぞ。

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落椿 3


 この辺りには何も無いということに彼が気付いたのは、翌日のことだった。窓の外は一面の雪。自殺を試みたあの町並は見当たらない。世話をしに来た彼女に問うと、あの恐ろしく静かな町までは二十分程かかるのだと言う。

「雪がなければまだ違うのだろうが、この辺は冬が長いからな。まだ続くだろう」

 とのことで、この雪の中をあの小さな体で男一人運んだのかと驚愕した。

「町に仲がいい奴とかいるんじゃないのか?」

 流石に、この少女一人で男を運ぶのは無理があるだろう。そう思って彼は尋ねたが、

「何を言っているんだ。あの町で私に手を貸す者などいるはずがない」
「そう断言されても俺は頷けない」
「そうか、そうだったな」

 彼女にとって、手助けの手がないことは当然のことであり、最早そうであるのがおかしいとは思えない領域にまで達しているらしかった。それでもけろりとしているのだから、こんな辺鄙なところにひとりで住んでいても寂しいと思ったりすることはないらしい。

「父親が医者だと言ったな。家族は?」

 彼女に背を支えられながら彼は上体を起こした。家族、と彼女は呟くと、薄く笑みを浮かべた。

「母は随分前に亡くなった。父はほんの数年前だ。父は医者として、自分が治療法を開発しようとしていた伝染病の病に冒されて亡くなった。母に関しては天命としか言いようがない」
「言いようがない、って。親だろう、もう少し言葉を選べよ」
「ああ、すまないな。性分なんだ、あまり気にしないでくれ」

 そう言われても、親の命を軽んじるような言い方をした彼女を、快くは思えない。彼は、殺された両親を思った。父も、母も、彼を国の外へ逃がそうとして、殺された。そんな経験を持つ彼が、彼女の発言を素直に受け入れることはできそうになかった。彼の複雑そうな表情を見てとったのか、彼女は困ったようにまた笑った。

「本当にすまない。……これは私の病のようなものでな。宿命とも言うべきだろうか」
「親の死を軽く見ることがか」
「ああ」

 皮肉ったつもりの彼の台詞は、彼女の短い声によって無きものとされた。

「私は喪失に関連する感情を認識できないんだ。相手が親であろうが、猫であろうが、君であろうが、喪失を辞書的な意味でしか認識できない。そうである、ということしかわからない」
「……感情が付随しないということか」
「そう言っているだろう? 悲しさも寂しさも、理解はできる。実感することができないだけで。泣くことはあるぞ? 怪我をすれば痛いからな。痛みを涙で訴えることはできる。しかし、死を悲しいと思えない。子供が大人になるのも、種が芽吹くのも、死することも、いつか必ず起こることだ。そもそも、自らが死ぬから生き物は子孫を残すのだろう?」

 彼女は、彼が怒るとわかっていて喋っている。そんな様子が伝わってきたので、あえて彼は何も言わなかった。怒らないんだな、と驚いた様子で漏らす彼女が差し出すスープの入った椀を受け取って、怒ってどうにかなるのか? と逆に問う。彼女は再び困ったように笑って、ゆっくりと首を横に振った。

「どうにもならん。これは母の家系からの遺伝なんだ。空しいものだとは思うが、抗ってどうにかなるものならとうにしている」
「だろうな。……しかし、医者にはある意味必要な能力じゃないか? 人の死を重く見すぎるのは医者としてどうかと思う」

 もちろん、逆もまた然りである。死を軽く見ていればいつか慣れが生じる。ぞんざいに扱うこともあるかもしれない。しかし、重く見すぎることで人の死に触れられないというのも、医者としては問題だ。

「だから私は今医者でないんだ。助からない命に長くかかずらわっていても仕方ないと私は思う。けれど、皆はその死を悼んで欲しいと願う。願われても、私にはそれができない。表面的なものを求めているわけではなかろう? それが分かっているから安易なことはできないんだ。……皆が私を魔女と呼ぶのはその冷酷さ故。昔、町の長が死んだ時に悼みもせずに貧乏人に治療を施したのが気に障ったのだろう」
「なら、何故医者になんてなったんだ。死と向き合うなんて分かりきっていたことだろう」

 あまり聞くべきでない質問だったのかもしれない。その疑問は、誰よりも彼女が感じていたはずだった。大きな赤い瞳がすこし、揺れた気がした。彼女がなかなか口を開かないようだったので、彼はスープを一口啜った。冷めて、生ぬるいスープの味が舌の上に広がる。

「……ただ、父のようになりたかっただけだ。皆、父を慕い、頼りにしていた。私もそんな存在でありたかっただけ」
「……で、今お前はこんな辺鄙なところで隔離されるように暮らしているわけだ」
「気にしていることをいやにきっぱりと言ってくれるな、アルファルド。……いくら私が魔女と呼ばれようと、所詮は人間。あの頃の人々は善意の塊のようなものだったんだ。その頃の気持ちをそう簡単には忘れないだろう。私が少し他と違うところで、同じ人間なのだから」

 彼女はとても穏やかな表情で、そう言い切った。彼女が町の人間に、一体どんな風に拒絶されたのか、彼は知らない。知らないけれど、彼がひとつだけ自信を持って言えることは、

「……人間なんて悪意の塊だ。信じるに値しない」

 ということだった。彼女はその言葉に少し驚いたようだったが、すぐに先ほどと同じような穏やかな表情で、そんな寂しいことを言うもんじゃないぞ、と返した。

「そもそも、君だって人間じゃないか。自分も信じるに足らないのか?」
「俺はもう人間であることを否定された身だ。お前だってそうだ、人間として共同体で生きることを拒絶されたから、ここでこうしてひとりで暮らしている。お前は人間じゃない、魔女なんだよ。……人間なんてみんなそんなものだ。世界の平穏、それに秩序が平和に保たれることを望んでいるように言うが、世界の平穏なんて自分の世界のだけだ。私利私欲のためにしか生きられないようになってるんだよ。そこに倫理だの道徳だのは一切存在しない。そういったものは所詮教科書に過ぎないんだ」

 人間は共同体を作って生きる。それは結局、そうするのがよりよいからそうするだけであって、ひとりでも都合よく生きることのできる環境ならば迷わずそうするだろう。それでも人間は共同体を作る。それは、そこで生活することにメリットがあるからだ。ひとりよりは大勢でやる方が効率的だとか、そんな理由からだろうか。ともかく、共同体を作ったからにはそこで、自分と明らかに違う『個』の弾圧を始め、だんだんとその差異は小さくなっていき、最後には同質化するだろう。人間というカテゴリに属すからには、そこのカテゴリ内で自身の安全を確保しなければならない。最後に同質化してしまえば、争い潰しあう必要もなくなる。そのために、その他の『個』は排除されていく運命にあるのだ。

「……君は人間というものを悲観しすぎている」
「事実だ」
「……今はそういうことにしておこうか。薬を飲んでしばらく休んだ方がいい」

 粉薬の乗った紙と、水の入ったグラスを手に、彼女は穏やかに言った。彼の言葉は少しも彼女には届いていない。彼女には彼女の信じる『人間』というものがあるのだろう。それは彼にも同じことだった。ならば、深く関わりあう必要もない。この名医の許可さえ下りれば、すぐにこの家を出て国境に向かうことができるのだ。それまでの付き合いになる相手にそこまで入れ込んでも仕方ない。

「……言っておくが、捻くれてたりだとか、一時の感情で言ってるわけじゃない」

 それだけを了承してくれるのなら、彼はそれ以上何も言うつもりはなかった。

「何?」
「十五年前からだ。その頃からずっとそう思っている。人なんてどんな動物よりも冷酷に本能に従って生きるもの。自己の存続のためなら他なんて関係ない。ましてや相手の心なんて考慮する必要もない」

 彼女の赤い瞳が、ゆっくりと細められる。それから彼女は立ち上がって、彼の頭にぽすんと手を置いた。

「君の言うことは残酷だけれど真実なのかもしれない」

 彼女はこちらの言い分を否定したがっているはずだ。性善説に立てば当然の対立だ。しかし彼女は、彼女自身の意見を否定する彼や、彼女の存在そのものを否定しようとする人々を理解しようとしている。赤い瞳はどこまでも澄んで見える。彼女が次の言葉を紡ぐまでの時間が、彼にはいやに長く感じられた。

「それでも私は、人を生かしたいと思うよ」

 その言葉は、死にたがりの彼の瞳を開かせた。
 きっと誰よりも彼の境遇を理解できるであろう彼女が、彼の口から残酷な真実を告げられてもなお、人を生かそうとするなんて。

「まあ、私は君の言うように魔女だがな」

 魔女がこんなにも優しいはずはない。彼はそう思う。死にたがりの彼がいて、生かしたがりの彼女がいる。どちらも人から疎まれて、行き着いて出会えた場所が、この寒く白い楽園だというのなら、それでもいいような気がしてくる。

「……さすが。精神科も得意と見える」
「? 私は精神分野はからっきしだが?」

 精一杯捻り出した彼からの歩み寄りの言葉は、彼女の素直な言葉にあっさり打ち砕かれた。





書きあがらなくて詰まるとストックを出すという。
これでまだ4ページ。今のところ19ページで止まってます。ラストがなあ……。
何やってもしっくりこない感じ。文章じゃ無理だ、頭の中で想像してるだけでいいんだ。何故書いた自分。
別に性善説と性悪説を戦わせたいわけじゃなく、そもそもアルは性悪説とも違うだろうなあ。人間そのものが悪だと思ってる。さくじょぉおおおおおおおお
カメリアさんの設定は正直、何故そんな設定つけたのか意味不明でした。2年前だか3年前に作った設定なぞ知るか!!
本当はすごく近いところにいるくせに、どうしても分かり合えない部分があるとか、いいじゃないですか。寂しいから分かり合いたいんだけど、どうしても譲れない部分があって、なんかそういうイメージ。
どうしても違う部分があるから、ハッピーエンドだけは想像できないんだよなあ。うーん。
∑うわ違った!!! 7ページだった!!(何)



ご近所のみのりの話を書いてました。
点呼どんのブログ見直して、冬二くんの告白シーンとか見たらその後を書きたくなって、ちょっと前に書いた『いい彼氏決定戦』の後日くらいで。冬休み旅行後とかかな。あまりに時期はずれで書く気失せた。
要君がどうかわかんないけど、冬二くんって指輪渡すの早そう、という勝手な想像の下で書いてました。ルミも紗央も指輪は貰ってないと思うんだ、椿とシーマスさんはまだ時間かかるしね。
大和は無駄に真面目な部分があるからまだ渡してないし。用意はしてありそうです。ただ、普通の若者みたいに簡単に渡す指輪じゃなくて、最初に渡す指輪は奴の場合婚約指輪だと思う。重いww
ケレスさんと紗央は露店で売ってるちゃちいの、というのは譲れない。何故こんなに固執するんだ私ww でもネックレスとかならシンプルなのお揃いで持ってそうだけど指輪渡すイメージは皆無です。
要君のところには大人の事情がありそうで迂闊に踏み込めない私。(何)
だったら冬二くんは結構簡単に渡しちゃうんじゃないかな、と。そしたら、今まで「何か歯の浮く台詞ばっかり言うんですけどあの人!!」とか騒いでたみのりも、やっと実感湧いてデレデレしたらいいなあと思ってる。夜の観覧車とかで渡されたらみのりなんて完全に落ちると思うんですけどどうですか。
指輪もらってデレデレしてるみのりを見てルミとか紗央がちょっと殺意湧けばいいと思ってる。きゃあ怖い!!


テンションおかしいなあ。


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2009.06.24(Wed) | 未分類 | cm(0) | tb(0) |

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