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軽石へちま

Author:軽石へちま
基本自キャラで凄まじく妄想してみる。
隠れ家なのでBLとか黒とか暗とか主。
キャラ崩壊必至。何とも思わないけども。
妄想についてこれる人だけどうぞ。

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「空が七五三じゃなかったことだけが意外だったわ」
「笑われるんじゃないかってギリギリまでビクビクしてたぞ、あいつ」

 式が終わった後、外の階段で新郎新婦が出てくるのを待つ。後はライスシャワーで送り出して、親しい人間だけで披露宴代わりのパーティーをする予定だ。ウェディングケーキはあたしが作ると前々から主張して、空も奈央も快諾してくれた。もう何ヶ月も前から構想を練って、昨日は一日かかって作った。どんなケーキかはサプライズってことで教えてないけど、ケーキを会場まで運んだ理央は相当苦労したらしい。

「……綺麗よね、奈央」
「羨ましいのか?」
「べっつにー? 着たかったら自分で作るわよ、あれくらい」
「強がりもそこまで行くと空しいぞ」
「強がりじゃないわよ。……奈央が、青い服似合うって言ってくれた。しばらくこれでいいわ、あんな綺麗なドレス、あたしには勿体無いもの」

 友人の結婚式には何度か参列したけれど、ここまで綺麗な式をあたしは見たことがない。誓いのキスで、空の手がそっと上げたベールの向こう、奈央が一筋だけ涙を流した。嬉しいとも寂しいとも、どんな形容詞も似つかわしくない涙。あたしも、多分、理央や他の参列者も、みんなそれをただ綺麗だと思っただろう。空はその涙を拭ってやることも、何もしなかった。奈央の相手は他の誰でもダメだっただろうと思った。あんな危うくて壊れそうな空気を醸し出す奈央を、ガキみたいな笑顔をひとつ作って全部受け止めてやれるのは、日本中世界中どこを探したってきっと空だけだ。羨ましいという気持ちさえ飛んでいくほど完璧な二人。

「でー? あんたはないの、浮いた話」
「あってもお前には言わない」
「何よ、照れてないでお姉さんに教えなさい?」
「誰がお姉さんだ、馬鹿」

 いつもの調子で理央が言う。そのお姉さんにずっとずっと迷惑かけられてたってのに、まったくお人好しだ。
 理央があたしとした約束をいつ思い出したのかは分からない。このダイヤのペンダントをくれたのだから、今はきっと覚えているのだろう。でも、絶対忘れていたはず。長く空白があった。そのままでいればよかったのに、このタイミングで思い出すなんてどこまでも苦労性だと思う。できることなら、理央も早く誰かと幸せになって欲しい。あたしや奈央の世話ばっかり焼いてないで、生徒の世話ばっかりしてないで、どうか理央にも幸せになってほしい。双子より三ヶ月だけ年上のあたしは、暗いけどどこか芯があった奈央より、打たれ弱くて脆そうに見える理央の方が余程心配で、いじめられてる理央を見かけては庇っていた。でも、あたしが苦しい時は庇ってほしかった。そんな小さな我が侭が、こんなに長く続く痛い約束を生むなんて思ってなかったから。
 理央にだって、幸せになってほしい。

「……これ、悪いわね。わざわざ貢いでもらっちゃって」
「調子に乗る前に言っとくけど、これっきりだからな」
「えー、あたしいろいろ欲しいものあったのに」
「ならそれ売り飛ばして好きなもの買えよ」
「そこまで言う? そんなに非道じゃないわよ」
「どうだか」

 これは大切な宝物だ。あの日もらったおもちゃの指輪が、大人になって進化したみたい。青い輝きを放つこの小さな石に、理央の気持ち全部が詰まってると思うと、あのおもちゃの指輪以上に手放せない。あたしの近くに誰かがいてくれる、その証明。理央は、あたしの近くにいてくれる。

「そういえば、……短いのも似合うな、紗央」
「でしょ? 新婦にはだいぶ劣るけど、参列者イチ光ってる自信あるわ」
「自分で言うのはどうかと思うけど、今日だから否定しないでやるよ」

 余裕ありげな上目線。理央のくせに生意気だ。何よ、と理央の肩を軽く叩いてすぐ、「あ!」と誰かが声をあげた。多分参列してる生徒の誰かだろう。声につられて視線を動かせば、教会の扉が開いたところだった。やっと二人を送り出せるらしい。
 真っ白な服がこれ以上なく似合う二人が腕を組んで、参列者の作る花道を通る。入り口に近いところにいた慎吾や大和は面白半分に米粒を空に投げつけている。空はいつもの調子で怒る。それを奈央がくすくす笑って見ている。なんとも微笑ましい。
 あたしと理央は家族だしそれなりに会話もしているから、軽く米粒を降らせてから一歩引いたところで、参列者と言葉を交わす二人を眺めていた。理央もここまでくると妹が心配だとかいう気持ちもあまりないらしい。いつもピリピリしてたくせに、今日はどこか清清しいくらい。空が弟だと思ったらあたしちょっとぞわっとするけど、こいつ分かってるのかしら?
 やがて花道を渡り終った奈央が、手にしていたブーケを高く放る。ブーケトスという奴だろうか。放物線を描く花束をぼんやり見つめる。そのままブーケは重力に逆らえずに落下――する前に、春一番さながらの突風が吹いた。奈央のドレスの裾がばたばたと大きくはためいて、ブーケも風に少し流されて軌道が変わる。それよりも、風のおかげで目が乾く。あたしはぎゅっと目を瞑った。

「おいおい、こんな洒落たモン貰っても使い道ねぇぞ?」

 どこかで聞いた、低く心地いい声。
 目を瞑っている間に、花束はどうやら軌道が変わって男の手に渡ってしまったらしい。まあ、男がブーケもらっても恥ずかしいだけなのかもしれない。
 十分瞳が潤ってから目を開ける。ブーケの花びらがさっきの強風でまだちらちらと舞っている。

「そこの青いドレスの姉ちゃん!」

 ああ、やっぱり聞き覚えのある声。夢で聞いた声。
 参列者の女性は皆黄色や桃色の春色を身に纏っていて、青なんてチョイスをしているのはあたしだけだったから、その『青いドレスの姉ちゃん』があたしであることはすぐにわかる。

「やるよ、あんたのが似合いだろ」

 背後から聞こえる声、それと同時に振り向くと、白い花びらがぱらぱらと降って、また放物線を描いたブーケが今度はあたしの腕の中に落ちる。
 何も見えない。ここはどこだっただろう。聞いたことのある声。あたしの腕の中にブーケがある。奈央の結婚式。でもあたしは高校生の頃。もう何年ひとりでいただろう。ここはどこなんだろう。夢なら早く覚めて、あたしは朝一番で髪を切りに行くの、もう縛られてる自分から脱出したい、もうここから一歩、最初の一歩を踏み出したいの。ここはどこなの。

「……行けよ」

 あたしの肩に手を置いた理央がそっとそう告げる。
 行けない、夢だもん絶対。有り得ない、有り得ない、有り得ない。
 居場所を調べて、何度も何度も電話番号を押して、それから電源を切った。手が震えてどうしようもなかった。怖かった。だから、声を聞けるのは、会えるのは、夢の中だけでいい。



 振り向いた視線の先に、ほんの少し驚いた表情の、あたしが一番あいたかった人がいるなんて、これが現実だなんて、どうせ覚める夢なんだから、あたしは絶対に信じない。







何か、未来話より前、ツキ高話よりも後の紗央が書きたくて、昔のを引っ張り出してきた。
ここが書きたかったので、続き書くとしても紗央とかタっくん視点とか。

奈央の結婚式当日の朝に伸ばしてた髪をばっさり切って、ここからスタート、と思った直後に再会っていう。タっくんには髪長い紗央の印象しかないし、あれだけ綺麗に伸ばしてたんだから切るわけないと思ってるので、ブーケ投げた相手が紗央だとは思ってない。
何だかんだで再会したらこの二人スピード婚ぽくてちょっとウザいですね☆
タっくんとの出会い話はちゃんとその後の設定まで考えて書いたわけじゃなかったんだけど、これが原点だから紗央もやっぱり違うな、うん。
一番頑張ってるのは理央。奈央と紗央、ふたりとも幸せなら自分なんてどうだっていいっていうお兄ちゃん。理央はもうお兄ちゃんでいいんだけど、なんか弟っぽい感じもするなあ。
紗央はこの後の身内パーティー行かなそう。それどころじゃなさそう。事情悟った奈央が、「紗央ちゃんのケーキ、みんなでおいしく食べるからね!」って、何故新婦に逆に見送られるんだww


空と奈央の結婚式です。この結婚式、奈央の父親役って多分理央が代わりにやってるww 親死んでないのに。その辺どうでもいいんですけど。
前クリチューだと流風が単身アメリカまで行って双子と両親の間の誤解を解いて、ついでに結婚の許し貰って、帰国して式を挙げるみたいな流れを考えてました。なんという沖田君展開ww でも私は岩崎君派です。
まあね、あれですよ、育った環境とか違うからね。前クリチューの流風は両親死んでるから、両親と不仲なままとか嫌なんですよ。
空の記憶喪失話の延長が結婚なので、この空と奈央は磐石ですよ、揺らがないですよ多分。


そいで、あとちょっとタっくんと紗央の絡み書いたらこれはおしまいで、大和とルミのどうでもいい結婚式話までストックがあったりした。でもあれ書き直したい、いつ見てもあの大和って気色悪い。


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2009.06.26(Fri) | 初恋シュプール | cm(0) | tb(0) |

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