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軽石へちま

Author:軽石へちま
基本自キャラで凄まじく妄想してみる。
隠れ家なのでBLとか黒とか暗とか主。
キャラ崩壊必至。何とも思わないけども。
妄想についてこれる人だけどうぞ。

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ぶんかさいー②



 きっと、(前略)、みたいな感じなんだろう。
 エンジさんも櫂さんも黎さんもこうなるのわかってたならちゃんと言ってくれれば俺帰ったのにぃいいいい!!!

『じゃあやっぱり野島くんが着るっきゃないよねー……』

 文化祭実行委員の言葉に耳を疑った。
 その言葉に続々と頷くクラスメイトたち。 
 みんなが衣装に着替えて作業してたもんだから、俺も指定の衣装に着替えて、袖のカフスを留めながら、は? と聞き返した。

『だよなぁ……。代わりは代わりで見映えする奴じゃないと』
『そうなるとルカしかいねぇよなー』
『野島くんがぴったりだと思う! 野島くんしかいないよねー!』

 …………ちょっ、息巻かないでみんな!! 俺状況飲み込みたくない!!!!
 え、何、ハルが休んだから、俺がハルの代わりにメイド服着て出ろって? 冗談じゃない!!

『ハルの代わりならその時間帯俺がこのカッコで出ればいいだけだろ!?』
『代わりってのは細部までしっかりしてこそ代わりなの!』

 実行委員の女子が大きい声で言い切り、周りは一斉に頷く。
 ま、待て、俺間違ったこと言ってないよな!? 変なのこいつらだよな!?
 クラス全員でにじり寄られ、助けを求める奴はおろか、あんまり文化祭に興味ないような連中も面白がって……!!
 あまりにも腹が立った俺はとんでもないことを口にしていた。

『じゃあ俺なんかよりずっと可愛い子助っ人に呼べば見映えするしいいだろ!!!』

「いいだろって何だいいだろってぇえええええ……!!」

 何考えてる、俺。
 この忙しい校内でどこの誰が他のクラスの助っ人に来てくれるっていうんだ。いるわけない。
 きっちり着込んだ黒いスーツ。これのどこが執事的なのか教えていただきたいところだ。
 どこもかしこも準備で大童な状態で、俺はひとりその様子を眺めながら当てもなく廊下を歩く。一年生のフロアに辿り着いて、ふ、と頭を過ぎるひとりの女生徒の面影。……一年生?
 思い出して、瞬間的に走りだす。近くにいた、去年一緒のクラスだった合唱部の女子を捕まえた。


 
「椿さん!! いる!?」

 教えてもらったクラスと、パンフレットで出し物の場所を確認して、その教室に走り、騒々しくドアを開けた。出し物の準備をしていた一年生たちが一斉に何事かと俺を見る。
 走ったせいでネクタイが暑いし苦しい。適当に緩めながら教室を見回すと、同じようにこちらを見る見知った顔。……他の顔より若干冷ややかですけど。
 バスケ部は結構人数が多いから、俺のことを知っている子も結構いて、……バスケ部関連の人間じゃないのに俺のこと知ってる女の子とか多いのがちょっと謎だけど、あれバスケ部の野島先輩だよな、とかいう声が上がっている。
 教室の隅の方にいた椿さんは、そんなクラスの様子と、俺をちょっと見比べてから、声を上げた。

「まあ、ルカ先輩っ! 恥ずかしいので来ないでくださいと昨日言いましたのに……」
「え、え!? 言われたっけ、俺っ」

 い、いつもよりオクターブ声高くないかな……? 俺の気のせい?
 ていうかルカ先輩って!! 俺のことずっと野島先輩って呼んでたのに!!
 でもって何かちょっと嫌な視線。俺この類の視線好きじゃないんだよなあ。

「でもそんな走って来て下さるなんて、何のご用事でしょうか?」
「あ、ああ、そうだ、あの、」

 ドアまで近づいてきた椿さんを前に緊張してしまう。
 一年生みんなこっち見てるからかもしれないけど、一応先輩が後輩に助っ人頼むなんてカッコ悪いよなぁ……。でも背に腹は変えられないんだ。俺男なんだしメイド服なんて絶対御免だ!!

「えっと、さ、うちの売り子手伝って欲しいんだ。午前中だけでいいんだ、ほんと!!」
「お手伝い、ですか? 私が?」
「そう。椿さん、すごい可愛いし」

 椿さんは少し考えて、ちらりと横目でクラスメイトたちを見て、それから俺にはとても真似できないような大人びた微笑みを浮かべながら、言った。

「校内でも有名なルカ先輩の頼みを一年の私が断るわけにはいきませんわ。皆さん、よろしいでしょうか?」

 そう、クラスに許可を求めると、戸惑いながらもクラスメイトたちは頷く。
 心底ほっとした。椿さん可愛いし綺麗だから、こっちのクラスでも看板娘みたいになるんだろうと思ってたし!
 そうと決まれば話は早い! 椿さんを引き連れて自分のクラスへ向かうことにする。

「……よろしかったんですか、私で」
「もちろん、……っていうかそれこっちの台詞ですよね……。クラス放っちゃってよかったんですか?」
「ええ、あまり面白みもなさそうでしたから」
「出し物、何だったんですか?」
「問屋で大量に買った駄菓子を売るだけだそうです。私ひとりいなくてもなんとかなりそうな気がします。それに比べると、野島先輩は緊急を要するようでしたから」

 物分りが良すぎて助かるっていうか困るっていうか、いや実際すごい助かったんだけど。

「売り子、と仰ってましたけれど、どういった類の?」

 女の子だから俺よりは背が低い。それをここぞとばかりに利用して、上目遣いで俺を見てくる椿さん。この何でも見透かしてますみたいな目が苦手だ、すごい苦手だぁああ……。
 わかってるくせに、とでも言いたくなる、けど説明はしてないし。

「あの、……喫茶店、なんですけど……」
「ええ、そうでしょうね。先輩の服装と同じように女子制服も少し変わっているのでしょう?」
「………仰る通り、です……」
「それで、女子にひとり欠員が出て、見目麗しい先輩が、その代わりに女装させられそうになったから私で代役を立てようというわけですわね」
「その通りです……」

 わ、わかってるんじゃんか言わなくても!!!! ただ別に見目麗しくはないけどな!!
 ここまで分かってて着いてきたってことは、ここで拒否ったりはしないよな……? されたら俺校内中の笑いものだしっ!!

「私がここで帰るかもしれないと思ってらっしゃいます?」
「う、そ、その通り、です……」
「大丈夫です。そこまで薄情ではありませんし、そちらの方が楽しそうですから。ただ、最初に言ったように、私で本当にいいのか、それだけが疑問です」

 そうだよなぁ……。普通そこは疑問だよな。
 見映えするくらい可愛い子、って言っちゃったから椿さんなんだけど、こう言うと知り合いの女子みんなに悪い気してきた、なあ……。
 椿さんなら断らないかも、とか思ってたのも事実だし。一応年下って認識あったんだなぁ。

「椿さん可愛いし美人だし大歓迎っていうかお願いします!! 絶対メイド服似合う系ですよ!!」

 なのでつい力を入れて言ってしまった。声が大きかった……! やたらと周りの人がこっちを見てる。椿さんはくすくすとお上品に笑っていた。

「ちゃんとルカ先輩がこの埋め合わせをしてくださるなら、喜んでお受けしますわv」
「は? 埋め合わせって、そういえばまたルカ先輩って、うわっ」

 人の多いスペースなのに、大きめな声で椿さんは言って、俺の腕に自分の腕を絡めた。俺はびっくりして体勢を崩しかけて、持ち直す。この人、人の多いところだとこうしたがるんだろうか。だって、トモダチ以上コイビト未満って言ったってエンジさん、いるわけだし、俺も俺で、うう、まあいろいろあるからっ、複雑なんだけど、椿さんはそういうわけでもないらしかった。


 椿さんを連れ帰った俺を見て、クラスメイトたちは異様に驚いていた。
 どうせそんな子連れて来れないと思っていたらしい。俺だって思ってたから当然だろう。けど椿さんはやっぱり誰が見ても同じような評価らしくて、こんな清楚で可愛い大和撫子にメイド服なんて着せていいのか、みたいな意見は出たものの根本的な反対意見なんてのはゼロだった。
 俺が責任持って更衣室まで着いていって、着替えている間はその外で待っていた。他の女子が着てるの見てても思うけど、なんか紐とかやたらついてて複雑な服だ。可愛いといえば可愛いのかもしれないけど、あれ普通着たいようなもんなんだろうか。あんまり着たくないんだとすると、本当に申し訳ないことしてる気分になる。

「先輩」

 ドアが開いて、黒と白の衣装に身を包んだ椿さんが現れる。
 長い髪の一部を白いレースのリボンで結っていて、なんていうか、びっくりするくらい似合っていた。

「後ろのリボンだけ結んでいただけますか? 他は頑張ったんですけど、後ろだけはわからなくて」
「あ、はい、わかりました」

 他は忙しそうに仕事をしているのに、ここだけ人も通らなくてやたら静かだ。後ろを向いた椿さんの腰のリボンを結う。縦結びとかに、なってないよな……? 大丈夫だよな。
 よく見るとほんとに複雑な服だった。いろいろ編みこんであるし、俺着させられてたら絶対自分でなんてできなかった。よくひとりで着たな、これ。すごいったらすごい。

「ありがとうございます。……あ、」

 くるりと振り向いて意味深な声をあげる椿さん。自分の唇に軽く触れて、教室に鞄を忘れてしまいましたわ、と苦笑した。
 なんだろう、リップクリームとかかな。

「リップクリームなら持ってますけど、使います? なんて」

 冗談半分にポケットからリップクリームを出して見せると、

「本当ですか? 助かりますわ」

 と、……とんでもない返事が来た。
 まさかそんな返事が来るとは思ってなかったし、かと言って断れるわけでもないし、恐る恐る差し出したリップクリームを椿さんはごく自然に受け取って、ごくごく自然に使っていた。
 だ、だって、俺だぞ!? エンジさんならいざ知らず、最近知り合ったばっかりで、しかも男のっ、俺の、普通使うか!? 黎さんだって遠慮しそうなくらいなのに!

「? お借りしては悪かったですか?」 

 しかも悪気とかそういうのゼロらしい。返されたクリームをポケットに突っ込んで、いえ、と答える。やば、何か目とか合わせづらい。

「……間接キス、がそんなに気になります? 使いづらければ新しいものを今度差し上げますわ」
「い、いえっ、だって俺が言ったんですし、」
「唇なんて皮膚と変わりありませんわ。こうして手が触れるのと、大して差はありません」
「な、ないわけ、ないじゃないですか……!」

 椿さんはきょとんとしている。なんか、この人とは根本的に感覚を共有できない気がする。それに、年下って感じはやっぱりしない。全然、しない。
 俺の手に触れる椿さんの手。だってこの人、キス、するのが、握手するのと一緒、って言ってる。指に触れられているだけでものすごい緊張して、振りほどきたいのにできない。

「だったらっ、こうやって手、触るみたいにっ、よく知らない俺ともキス、できるって言うんですか?」

 精一杯吹っ掛けたつもりだったのに、やっぱり俺はこの人には敵わないらしい。
 平然と口を開いた椿さんの唇からは、

「できますわ」

 という一言だけが返ってきた。
 不意に肩に置かれる椿さんの両の手。
 椿さんは結構背が高い。軽く伸びるだけで顔がすごく近づく。
 貸したリップクリームのせいか、小さい唇がものすごく艶めいて見えて、

「い、嫌だ!!」

 俺は思いっきり顔を背けた。心臓がばくばくいってる。長距離走ったってこうはならない。
 椿さんは俺から離れると、くすくす笑い出した。ああ、ダメだ、この人、すごく苦手だ。まるで俺が年下みたいで、からかいすぎてしまいましたね、とでも言い出しそうだった。

「ごめんなさい、調子に乗りすぎてしまって。お仕事、頑張らせていただきます」

 それだけ言うと、ぺこりとお辞儀をしてうちのクラスの教室へ向かう椿さん。その後ろ姿を呆然と見送る。
 椿さんにとってはなんでもないことでも、俺にはすごく大きいことなんだ。あんなこと、俺にはできない。
 ハルが来てくれてたらこんなこと考えなくて済んだのに。ハルの奴休みやがって。
 でも。

「……っ、ハル……」

 こんなにハルに会いたいと思うのは、初めてだった。




ルカはハルが大好き。

これ書きたいがために文化祭ネタしてたんだけどね!(何)
あと絵描きたいから。

こんなこと言ってる椿が後々他の男には手触られるのも嫌がるようになるんだと思うから不思議だ。
このルカの硬派なところはどこから来たんでしょうかね。確実に父親だと思います。

眠いなあ!

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2007.11.05(Mon) | 未来話 | cm(0) | tb(0) |

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