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軽石へちま

Author:軽石へちま
基本自キャラで凄まじく妄想してみる。
隠れ家なのでBLとか黒とか暗とか主。
キャラ崩壊必至。何とも思わないけども。
妄想についてこれる人だけどうぞ。

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はちがつようか!



「いらっしゃい! 暑かったよね?」

 俺たちがインターホンを押してすぐ。中から扉を開けたのは、エプロンを身に纏った奈央だった。その姿も、なんだか久しぶりに見る気がする。暇があればよくこの部屋には顔を出しているというのに、こんなにも離れた気がするとは、別々の家で暮らすということがどれだけ距離をもたらすものなのか今更ながら実感した。
 紗央は今日は仕事が休みらしいし、俺は学校が夏休みの上に夏期講習ともかぶってない、奈央は元々この日は休みを取るだろうと踏んで連絡をし、こうして押しかけたわけだ。紗央は暑い暑いと騒ぎながらサンダルを脱ぎ、部屋へと上がっていく。それに俺も続いた。
 瀬川の部屋だ。俺や奈央と地元が同じ瀬川は、大学に入る時に一人でこっちに来て、以来ずっとこのアパートに住んでいる。稼げるようになったんだから引っ越せばいいのに、と俺も紗央もよく言うけれど、何か離れがたくてさあ、とのことだ。

「相変わらずせっまい部屋よねー。一人の部屋じゃないんだからいい加減引っ越せばいいのに」
「あはは。ちゃんと籍入れて式挙げたら別の部屋探そうって。夢はマイホームだからそれまでの仮住まいだ! って言ってた」
「式挙げてから探してんじゃ遅いでしょうが……。ほんっと、そういうとこ計画性がないのよね」

 小さなリビングのソファーに俺と紗央が腰掛け、麦茶の入ったグラスを三つ運んだ奈央がカーペットの上に腰を下ろす。奈央のセンスで選んだのだろうグラスは、少し歪で不思議な形をしていたが、透き通る緑色が光をよく吸い込んでとても綺麗だ。
 先月の奈央の誕生日(俺の誕生日でもあるわけだが)に、瀬川と奈央は正式に婚約した、ということらしい。厳密な意味での婚約は結納をもってするものなのだろうが、生憎とうちの両親は海外住まいでそう簡単にこちらには帰ってこない。当事者が納得してるし、親にも連絡が行けばそれでいいだろうってことで、指輪を渡しただけだ。俺も紗央も立ち会ったわけじゃないが、それ以上することもないだろうし、そういうことなんだと思う。婚約してから奈央は俺と住んでいたマンションを一応出て、瀬川の部屋で一緒に暮らしている。一緒に暮らし始めてまだ二週間ほどだが、これまでもしょっちゅう出入りはしていたし、随分板についているように見えた。
 俺は休みだが、瀬川は出勤日だ。夏期講習が入っているらしい。紗央はきょろきょろと部屋を見回して、瀬川がいないことを確認してから口を開いた。

「でさ、今日なんだけど。奈央、ケーキ以外に何か準備してる?」
「ううん。夏休み始まってクリニックにお客さん増えちゃって。ばたばたしてたら用意できなかったの」

 ケーキだけはちゃんと焼いたんだけどね。そう言って奈央が台所に目を向ける。そこにはなるほど、確かにちゃんとケーキが準備されていた。しかし。

「……ちょっと気合い入れすぎだろ、奈央」
「え? そうかなあ、空君なら食べてくれると思うんだけど」

 ……それはウェディングケーキか何かか。
 と思わずツッコミを入れてしまうほど高さがあった。そりゃ瀬川は食べるだろう。どんなにでかかろうと、不味かろうと、奈央が作ったものなら。食べてる途中に倒壊しないのを願うばかりだ。
 
「ま、あれだけのケーキがあれば他にプレゼントなくても文句ないわよね、普通。ていうかあたしの奈央に文句なんかつけたら即ブチ殺すわけなんだけど」
「空君は文句なんかつけないから大丈夫大丈夫。それに、今日誕生日って絶対忘れてるもん」
「それは好都合ね」

 グラスの中の麦茶を一気に飲み干し、うふふ、と大層物騒な笑みを浮かべると、紗央は奈央にこれでもかというほど顔を近づける。

「一回やってみたいことあったのよ。自分じゃできないから奈央にやってもらおうと思ってv」
「な、なに……?」

 流石の奈央もこの近距離でたじろぐだろう。顔近い、顔。
 紗央が何を企んでいるのか俺も聞いていないが、どうせろくでもないことだろう。俺に飛び火しなければ何でもいいんだが、……取り合えず瀬川早く帰って来い。




「いっや、そーいやそうだったんだよな! 生徒に言われて初めて気がついたんだよ俺!」

 奈央と紗央がタッグを組んで腕を振るった料理の数々が狭いテーブルに、くどくなるが所狭しと並べられ、瀬川はそのひとつひとつを味見して舌鼓を打っていた。これは紗央が作ったな、愛情が感じられない! などとのたまい、当然紗央に殴られていた。これが見事当たっているのだから、瀬川の味覚はすごいと思う。俺じゃ奈央と紗央の料理の違いなんてわからない。同じ料理を出されたとしても分かるかどうか怪しいのに、これだけ品数が豊富な中で奈央の料理だけを見分けられるのは、……色々通り越して気持ち悪い気もしてきた。
 奈央が言っていたように、瀬川はすっかり自分の誕生日など忘れていたらしい。休憩時間に生徒にプレゼントを貰って初めて気付いたのだそうだ。非常勤の俺にもプレゼントくれたりする生徒がいるくらいだ、生徒って意外とそういうどうでもいい記憶力はいいのかもしれない。その記憶力を是非試験で使って欲しいと思うわけだが。

「けどさ、仕方ねぇよなー。これまでは誕生日なら奈央と会える日だしそりゃあ楽しみにしてるから忘れないんだけど、今は目が覚めても仕事行って帰ってきてもいつも奈央いるんだぜ!? 毎日誕生日みたいなもんだろマジで!!」

 瀬川はいやに機嫌がいい。酒も飲んでないのにフル回転しているらしい。
 奈央はこの熱弁にもう慣れたらしく、はいはい、と簡単に聞き流している。

「この前安藤さんと六津さんが来たんだけど、その時も似たようなこと言ってたから。慣れちゃった」

 この様子では新学期始まってからがすごく心配だ。今は二年の担任だけど、それでも一応それなりに勉強のできる学校だ。締まりの無い顔で授業するんじゃなかろうか。いやそもそも夏期講習だってまともにできてるのかこいつ。惚気て終わりな気がしてきた。……だからって怒るような上司がいないのがあの学校の悪いところだ。
 ケーキとお茶の準備するね、と奈央と紗央が空になった皿を手に立ち上がり、台所へ向かう。それを見計らったかのように、瀬川は俺の隣にそそくさと腰を下ろした。

「奈央いなくて寂しい?」
「別に」
「……奈央が側にいると、お前も紗央も前、向かないだろ。奈央のいないとこにいた方がいいんだよ、お前ら。奈央には俺がいんだからさ、気兼ねなく部屋に女連れ込めばいいじゃん」

 紗央がこの言葉を聞いていたら、もしかしたら、怒ったのかもしれない。
 あたしが前向いて生きてないって言いたいの!? と、瀬川を殴ったかもしれない。
 ――瀬川にこんな台詞を言われた時でさえ、俺の頭の中に浮かぶのは紗央のことで、俺自身のことではない。もう何年もこうして、自分を勘定に入れてこない生き方をしてきたのだ。簡単に変わるとは思えない。

「俺は、奈央のこと心配してるお前らのが心配」
「……ほっとけ」
「ばぁか! ほっとくかよ、俺の義兄さんだぞお前」
「うわ、寒気するから二度と言うなその単語!」

 しまった忘れていた、奈央と結婚するってことはこいつが俺の義弟になるってことで、即ち鳥肌。 
 ぞわぞわきた寒気を腕を擦って暖めることで振り払うと、いつの間にか台所から奈央と紗央が消えていることに気付いた。そういえばそうだ、ケーキの準備って、あいつらがロウソク吹き消すイベントを忘れるはずがない。ということは、下らないプレゼントのアイディアを今まさに実行中といったところだろうか。

「うわっ」

 瀬川が声を上げる。そりゃ当然だ。後ろから、……奈央、に手で目を塞がれたのだ。そして奈央の後ろには黒幕たる紗央がにやにやしながら仁王立ちしている。

「だ、だーれだっ」

 そしてこの前時代的な文句。

「な、奈央だろ?」

 紗央がこんなことするはずないのでどう考えても100%奈央なのだが、瀬川の目を塞ぐ奈央は戸惑いがちに「ぶー」とハズレの意を示す。
 それから瀬川の目を覆っていた手を外すと、ゆっくりと瀬川の首が振り向く。

「こ、今年はっ、あたしがプレゼントっ」

 ……明言を避けていたが、瀬川の真後ろに立つ奈央は、白いワンピースの上から全身を赤いリボンで巻かれている。どんだけ前時代的なんだ。こんなこと言い出す奴が現代にまだ生きていたとは。
 主犯の女、もとい紗央は仁王立ちのまま「どうだ面食らっただろう」とでも言い出しそうな勝ち誇った表情で瀬川を見ていたが、瀬川は割りと俊敏な反応を見せ、すっくと立ち上がると奈央の両肩に手を置き、ぐいと自分に引き寄せた。
 あまりのくだらなさに俺は座ったまま麦茶を啜ることにする。

「奈央がプレゼントだと!? 笑止! 奈央はもう俺のもんだ、新たにもらう必要なんざねぇんd」

 勢いよく言いきろうとした瀬川の言葉は不意に終わりを見せた。顔面に耐熱ボウルがめり込んでいる。ものすごく痛そうだ。

「……さ、紗央ちゃん、やりたかったことってこれ?」
「ううん、“あたしがプレゼントv”って奈央が言ったら凄まじく可愛いだろうな、と思って。空の反応は想像してたけど、実際に聞いたら想像よりずっとウザかったからつい手が」

 想像してたくせに聞いてみたらウザかったからってあんな重みのあるものを顔面に投げつけられたらたまったものではない。と瀬川を擁護すると同時に、奈央を引き寄せていたにも関わらず奈央を少しも傷つけることなく瀬川の顔面にクリーンヒットさせることのできる紗央の能力にも感心してしまった。

「何だよこの暴力女!! そんなだから永遠に男できねぇんだよ!!」
「あんたにあたしの永遠を語られる謂れはない!」
「あーあ、どうせお前の家雛人形年中飾ってたんだろ、行き遅れるわけだぜ」
「うるさいわね、そんなわけないでしょ!?」

 睨みあいながら瀬川と紗央はそんな口論を繰り広げている。奈央がきょとんとした顔で俺の顔を見やって、くすりと笑った。俺も口角を上げることで返してやる。
 ――俺たちの実家は雛人形も五月人形も飾りっぱなしだ。
 多分、奈央が笑ったのはそういうことだろう。変に水を差すのも面倒なことになるし、放っておくことにする。
 こうして地味に祝う誕生日会もこれが最後だ。来年の今頃には、奈央の苗字はもう変わっている。だからって本質的に何が変わるわけでもないけれど、漠然とした空虚な感じはしばらく拭えそうになかった。







眠くて最後の方何が書きたかったんだか意味不明になりましたがいつものことなので放っておいてください。

本当はもうちょいシリアスになる予定だった。
空は奈央との結婚を想像しても想像してもなかなか描けない人だと思う。それくらい、結婚するってことが夢のようなことで、地に足がついてない感じ。男のマリッジブルーです。
それが本当に長いこと続いちゃって、だから黎と櫂って生まれるのがすごく遅かったんじゃないかなと思う。
理央はこの次の年に専任の先生になったらいいな。奈央が結婚したらヨーロッパからよこたんが帰ってくるって設定を作りました。


理央奈央紗央は宝石店の会社の子供、って設定なのですが、そんなお嬢様が木造2階建アパートに彼氏と住んでるって、設定だけで萌えるんですが私。
ともかく空さん誕生日おめでとうございます。
次は9月9日で流風なんだけど、どうするかな。誕生日決まってる人だとその次が11月28日で大和。


眠い、寝る!
さて、日曜の待ち合わせはどうしようかね秋臼さーん!
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2009.08.08(Sat) | 触発されました | cm(0) | tb(0) |

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