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軽石へちま

Author:軽石へちま
基本自キャラで凄まじく妄想してみる。
隠れ家なのでBLとか黒とか暗とか主。
キャラ崩壊必至。何とも思わないけども。
妄想についてこれる人だけどうぞ。

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絶対に相手にしたくない女



「ご結婚おめでとうございます」

 ドアを薄く開いた相手は、ここに俺が来たことに若干の驚きを隠せないようだったが、すぐにドアを全開にすると、ありがとうございます、と満面の笑みを浮かべた。やわらかそうな栗色の髪、まだずっと幼く見える顔立ち。これで先日ウェディングドレスを身に纏ったというのだから信じられないという気持ちもある。が、そもそも俺は彼女のことをよく知っているわけではない。 
 彼女は快く部屋に案内してくれた。元よりそのつもりだった。遠慮なく上がると、元々男の一人暮らしだったとは思えない、整頓された部屋があった。いや、それは俺を基準に考えたからか、もしかすると、これくらい整頓できるのが普通なのかもしれない。

「今冷たい麦茶入れますね」
「どうも」

 これまでは自分だってこういう狭苦しい部屋に住んでいたはずなのに、不思議と自分が部屋に不似合いな気がしてきた。整頓された部屋にいる自分はこうも不自然なものか。

「結婚式、いらしてくださいましたよね。ありがとうございます」
「せっかく受けた招待ですから。お綺麗でしたよ」
「どうもありがとうございます。でも紗央ちゃんの方が絶対綺麗ですよ」
「そりゃあ当然です。貴女と紗央じゃつくりが違いますから」

 ソファーに腰掛け、彼女が持って来てくれたグラスの麦茶を一口飲んでそう言うと、彼女は目を見開いた。それから、面白い人ですね、と笑う。当然のことを言って何が悪いというのだろう。彼女も確かに綺麗だと思ったが、紗央とは別物だ。
 彼女の結婚式に出た。だが、彼女を見るためではなく、紗央に会うためだった。目的は果たされたが、この町でしばらく働く以上は彼女に挨拶しておくのも悪いことではないだろうと思って足を運んだまでだ。紗央にこの家の場所を聞いた時は、「け、結婚式で奈央見て可愛くて一目惚れしたとか!?」と大層動揺していた。それはそれで面白いのでしばらく放置したらしゅんとして黙り込んでいた。どうも紗央は、自分は彼女に比べて遥かに劣ると思い込んでいるようだ。……杞憂だと思うんだがな。

「それで、えっと、桜井さん、でしたよね。私にどんなご用事で?」
「いえ、こちらで勤務することになりましたので、是非ご挨拶をと」
「もう旦那さんみたいな挨拶なさるんですね。再会しただけでもう自分のものですか?」
「貴女は自分が結婚なさったから一段上に登ったとでも? 結婚がそんなにすごいものとは知りませんでした」
「何を仰ってるのかよくわかりません。私はただ、貴方よりも紗央ちゃんといる時間が長いだけです」

 彼女が笑顔で吐き出すので、俺も笑顔で吐き出してやる。大和くらいならこれで大人しくなるのだろうが、この子はどうも肝が据わっている。一筋縄ではいかないらしい。これは認識を改める必要がありそうだ。

「……確かに桜井さんは紗央ちゃんの運命の人なのかもしれません。ちゃんと考えて、紗央ちゃんを生かしてくれた。そういう人は多分いなかったと思います」

 ポストカードに殴り書きだけを置いて、片手で持てる程度の荷物だけ持ってあの場所を後にした冬の日を思い出す。
 あれを見て、どんな顔をするだろう、どんな気持ちになるだろう、珍しく頭をフル回転させた若い自分だ。

「貴方のことは兄から聞いてます。……来週いなくなるから、と紗央ちゃんに告げていたら、きっと紗央ちゃんは寂しさで死んでしまったと思います。減っていく時間が惜しくて仕方なくて、眠らないで貴方の所へ入り浸ったかもしれません。いなくなったらいなくなったで、紗央ちゃんは喪失に耐えられない。自殺を図ってでも貴方を引き戻したかもしれない。だから、何も言わないでいなくなった方が、紗央ちゃんにはよかった。悲しくなるだけじゃなくて、何も言ってくれなかったことに対する怒りが紗央ちゃんを生かしてくれた。貴方がああしてくれなければ、今の紗央ちゃんは有り得ない」
「……分かったように話すじゃねぇか、お嬢ちゃん」
「ええ、でもそれで得意にならないで下さい。それでも貴方が紗央ちゃんをどん底に突き落としたのは間違いない。貴方が紗央ちゃんを傷つけたことには変わりないんです」

 明らかに敵意を持っている。もしかしたら紗央よりもきつい眼差しかもしれない。
 ――紗央を傷つけた。わかっている。紗央は傷ついた。傷つくだろうと思ってそうした。それ以外に方法がなかった。俺がいなくなれば、間違いなく紗央は自分の体を傷つけるだろうと、思った。俺にはそれを止める手段などないだろう。だから、ああするしかなかった。

「……じゃあ聞くが、あんたが俺ならどうした。何か他に策があったとでも?」

 訊ねれば彼女は俺の目を見て、極上の笑みを作った。

「本気なら、婚姻届に判を押します。異動する時に紗央ちゃんも連れて行きます」
「あんたはどこの中学生だ。んな事実際にできる大人がいるわきゃねぇだろうが」
「でも、紗央ちゃんは傷つきません。学校があるとか仰います? そんなの紗央ちゃんには要らないんですよ。……紗央ちゃんはいつも自分がひとりだと思ってた。学校にいて強くそう感じてるんです、貴方もご存知でしょう? 貴方が大人として世間体がどうとか傷つくのはどうでもいいんです、ただ、この方法なら紗央ちゃんは少しも傷つくことはなかった」

 今度は薄く笑う。人を馬鹿にするときの笑い方だ。
 このお嬢ちゃんはとことん俺をコケにしたいらしい。

「でも、貴方はそんなことできなかった。若かかったから、それだけの覚悟をすることができなかった。紗央ちゃんの未来云々なんてのは言い訳ですよね? 紗央ちゃんの未来を本当に考えるなら、貴方の方法ひとつ取っても思い出の品なんて残すべきじゃないんです。貴方は紗央ちゃんを本当は手放したくなかった。でも結婚に踏み切るほどの覚悟はできなかった。だから紗央ちゃんに自分を焼き付けることを選んだ。いい迷惑です。貴方がそんな余計なことしてくれたから、紗央ちゃんは別の誰かに対しても一歩が踏み出せずに悲しい思いをたくさんしてきたんです。紗央ちゃんが今まで幸せになれなかったのは貴方のせいです」
「自分が結婚すると達観して、他人事だからって偉そうなこった、……どうしてあんたにそこまで言う権利がある。紗央の人生だ、あんたが口挟むことじゃねぇだろ」
「わかってます。でも、紗央ちゃんを最初に突き放したのは私ですから、紗央ちゃんには本当に幸せになって欲しいと」

 ああ、そろそろ限界だ。この女の言う事は理解できねぇ。
 俺が人生で一番考えに考え抜いたことを否定するばかりか解せないことばかり言いやがる。不幸を知らずに育ったお嬢様はこれだからどうしようもない。この女と結婚した男の苦労を思うだけでざまあみろと言ってやりたくなる。我慢の限界というものなので、女の言葉を遠慮なしに遮ることにする。

「それはあんたのエゴだろう。それに、傷ついたことのない人間の台詞だ。そういうの鼻持ちならねぇんだよな、イライラする。あんたは紗央を含め周りの人間にこれでもかってほど支えられて、そうして幸せになったんだろうよ。紗央だってあんたの結婚喜んでる、それはそれでいい。俺は他人の幸せにとやかく言うつもりはねぇよ。だがあんたは何が言いたい? 自分が紗央を突き放したから何だ? じゃああんたが紗央を嫁に貰ってやるとでも言うのか? 違うだろ? あんたが俺のことをどう言おうと、紗央がこれまでどんな恋愛で失敗してきたかもどうだっていい、あんたより数十倍美人で可愛げのある鈴城紗央って女は馬鹿みたいに俺に夢中で且つ俺の女なんだって事実は変わんねぇんだよ」

 疲れたので麦茶を一気に飲み干すと、女は次の言葉が出ない様子で俺を睨むように見ていた。
 自分が幸せだから、幸せじゃない誰かを見下したいだけだ。それは、随分昔の俺によく似ている気がする。まあ、今でもその性分が直ったとは言いがたいんだが。

「――で? 何か文句があるなら聞くぜ、お嬢ちゃん」
「……随分身も蓋もない言い方をなさるんですね。驚きました」
「そういう性分なんだ。それに、はっきり言わなきゃあんたには通じないだろう。……あんたは紗央のことなんて考えてないで新婚生活謳歌してりゃいいんだよ、幸せな奴に心配される方が余程あいつが気にする」

 俺がそう言えば、女は、ほう、と息をついた。

「大事なもののために一生懸命になるの、大和くんに似てらっしゃいますね。さすがお兄さん」
「そこまで知ってりゃ俺に喧嘩売る必要なんてなかったろうが。あんまりうざってぇからブチ切れなきゃ分かんねぇのかと思ったぜ」
「だって覚悟を見せてもらわないと許せないじゃないですか。いくら美人だからって高校生に手出すなんて、ただの変態さんかと思ってましたから」

 その言葉には今度は俺が唖然とする番だった。まさかそんな言葉を使われる日が来るとは思わなんだ。
 一応警官だぞ俺。世間から見りゃそう思われるのかもしれないが、まさか紗央の身内にそれを言われるとは。

「身も蓋もねぇのはあんたじゃねぇか」

 紗央が一目置く理由は分からないが、……なるほど食えない女だ。
 とんでもねぇのが身内にいたもんだ。紗央よりもこの手のタイプは厄介かもしれない。
 どっと疲れた気がしてソファーの背もたれに体を預ければ、おかわり持ってきますね、とグラスを手に彼女が立ち上がった。さっきまでの敵意はまったく感じられない。

(役者だねぇ……)

 やっぱりどこか俺と似た匂いがする。最悪だ、そう思った。






ヴァルキュリアのザカを思い出したらタっくん書きたくなった。(思い出しただけです)
ザカいいなあザカ。


奈央とタっくんは似たところがあるんじゃないかなあと書いてて思った。
そしてタっくんはナチュラルに「紗央は俺の嫁」と言ってしまう男だと思ってる。
一番最初の「貴女と紗央じゃつくりが違う」ってあれ悪気なくさらっと言ったんだと思う。大和ならその辺分かってていいそうだけど、分かってないあたりがさすが長男。
何か言われても、「は? 当然だろどう見たって紗央の方が美人だろうが文句あんのか?」ってなる。
ご近所の紗央とこっちの紗央じゃスタンスがまるで違うが、はたしてケレスさんとどっちが強いのか。
いや大和はこの人には勝てないだろ多分。


何か書きたいことあったのに眠くて忘れました。朝からバイトなのに大丈夫か私。
ご近所の大和とルミのいざこざその後をちょっと書いてましたが周囲の反応があまり想像できなくて断念。いや、前喋ったと思うんだけどなあ。
眠いので寝ます。

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2009.08.13(Thu) | 未分類 | cm(0) | tb(0) |

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