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軽石へちま

Author:軽石へちま
基本自キャラで凄まじく妄想してみる。
隠れ家なのでBLとか黒とか暗とか主。
キャラ崩壊必至。何とも思わないけども。
妄想についてこれる人だけどうぞ。

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祈りに似て非なるもの 4



 南の町、その奥に聳える金山では、今でもそれなりに金が産出されている。うちの国の経済を支えていると言って差し支えない。そのためか城下と同じくらい人口も多いし、活気もある。まあ、加工に優れていないから金山での発掘に従事する労働者と、産出した金を北の町に運ぶための運搬業者とで成り立っているというのが正しいのかもしれない。運搬業者は単に北と南を行き来するだけの奴もいるが、創じゃない奴が大半だ。南から北に金を運び、加工したものを他の国で売り捌く、そういったルートを持っている。だからこの町ではどこよりも異文化交流がさかんで、他の国の特産品もよく入ってくるということだ。俺は基本的に政治や外交にはあまり関与しない。騎士団を率いているから町のど真ん中に用があるということもこれまでそうそうなかった。詳しいことは教科書知識レベルだが、用があるのは町の中心ではない以上、そう細かい知識はなくてもいいだろう。
 町には基本的に細い道しかない。しかし金山に向かうために町や住宅地を抜けると、だんだん道幅も広くなってきていた。

「……お前、実家は」

 町の舗装された道路を出ると再び砂利道が続く。
 話を振られた慎吾は自分のことだとわからなかったらしく、一瞬の間があった。

「俺ですか? 俺の実家はですね、もっとずっと南っス。国境間近」
「この辺は? 懐かしかったりしないのか?」
「や、貧乏人はこんなところ用無しですし。基本的に物々交換でどうにかなってるようなところでしたし。そうっスね、御前試合出るって決めて、家を出てから城に向かう時にちょっとは通りましたけど、懐かしいってほどでは」
「ふうん」
 
 北、東、南と来て、どの町を走っても慎吾が懐かしそうにしているところがなかったのは、そういう理由らしい。
 更に聞けば、金山がある方角とは少しずれた方向に実家があるらしく、金山にも騎士団に入るまでは近づいたことがなかったという。
 口にはしないが、そんな辺鄙な土地に住んでいた慎吾が両親を亡くしたということは、そんな辺鄙な土地に攻め込んだ奴らがいるということだ。俺が興味なさそうに窓の外を見ると、察したのか慎吾がぽつりと話し出した。

「王子も思ってると思うんスけど、そういうことなんですよね。……町のど真ん中でやるよりも、中心から遠い分鎮圧に時間がかかる。なら俺のいた町じゃなくたって、とも思ってたんスけど、……あの金山が元々向こうのモンだったんなら、あの辺は戦場にせずに無傷で取り返したいんだろうな、って。何となくわかってきました。きっと、何年も何年も機会を窺ってる。特に今は王子がいるから、騎士団と戦うのは得策でないこともわかってるんだと思います。だから、辺鄙な場所ばかり蜂起のポイントに選ばれる。殺されたり燃やされたり、酷いもんです」
「機会を、ね……」

 国が滅び、その上迫害され、一からやり直すどころかマイナスに戻った奴らは、こうして今着々と信者を増やして、復讐の機会を窺っている。国の奪還が最終目的だろう、それは妥当だ。
 つまり、王位継承云々でごたごたしている時が一番突っ込みやすい。特に俺は国を継げるかどうかも怪しいらしい、ときたもんだ。俺が騎士団を率いている時点で奴らにもそれはおそらく知れている。

「ま、平気っスよ。伝承が本当だったとしても、王子が王族でないってことではないですし。それに、今までになかった力、ってことは王子がいることで国にとってはプラスになった部分も多かったってことで! 魔法だか魔術だか知りませんけど、そんなものより実戦経験や統率力の方がモノを言います」
「使用人風情が偉そうに」
「王子を励ますのも仕事の内っスから」
「励まされてねぇよ、ばーか」

 慎吾に励まされることなどあったら国の恥だ。可哀想としか言えないような境遇の相手に励まされることほど屈辱的なものはない。慎吾もこちらの意図を察しているのか、こういう時くらい素直に励まされてくれりゃいいのに、と漏らす。

「俺のこと励ましてる暇があるなら、弟と妹の顔くらい見てきたらどうだ」

 足を組み替え、腕を組んでそう言ってやると、慎吾は「は?」という文字が口から飛び出しそうな顔をしていた。俺の言葉を理解するのにその後数秒かかっていた、……こいつ、いい度胸してやがる。

「あ、はは、何ていうか、王子もたまにはいいこと言うんスね」
「一言余計だ」
「お気持ちはありがたいんですけど、……行けません」

 行きません、ではなく、行けません。できないのだという。慎吾が言葉の選択を誤ったのかもしれないと疑ったが、どうもそうでもないらしい。思いつめた瞳がその事実を語っている。

「弟と妹の元を離れる時に、約束したんです。戻ってこなかったら、その時は騎士団に入ってお前らのために戦ってるんだからな、って。だから泣くなよ、周りの人困らせるなよ、って」
「会いたくないのか」
「会いたいですよ。弟も妹も俺に会いたいだろうと思います。けど、こんな無様な姿になって、足引きずって会いに行くなんて、それは俺の心が許せなくて。俺は騎士団でしっかりやってる、って、そう思っててもらえる方が俺もありがたいです。あいつらの心の中では、俺は騎士でいられる」
「で? 死んだらどうするつもりだったんだ」

 慎吾の目が俯いて動かなくなった。
 俺は、何も間違ったことを言っているつもりはない。
 騎士団で戦死すればもちろん家にも連絡が行く。葬儀も開かれる。だがこいつの場合は。
 それ以上言うのは野暮だろう。戦死以外の理由で兄が死んだと聞かされる弟や妹の気持ちなど、わからない。まだ慎吾は生きていることだし。俺はため息をついて窓の外を見た。

「俺が無事に王位継承したら暇をやる。馬車も出してやる」
「王子、」
「弟妹にその無様な姿晒してこい。で、城に戻って馬車馬のように働け。命令だ」

 俺の言葉に慎吾は、やっぱ最低っスね、と苦笑した。





「この先に石碑があるって?」
「はい、随分昔からあるものらしくて、新年には採掘の責任者がお参りに来るんだとか」
「……そりゃ、毎日参れるようなモンじゃねぇよなぁ……」

 金山の入り口はこの真裏。慎吾が金山の入り口で聞いた話によれば、金山の真裏、即ちこの場所から少し山を登ったところに古い石碑があるのだという。責任者が新年に一度参る程度だから、その石碑がどんなものなのかは俺や慎吾はもちろん、長くこの金山で働いている人間でもよくわかっていないとのことだ。
 で、だ。その石碑までの道ってのが、――気が遠くなるほどの段数の階段。馬車を停め、階段の前で上ったずっと先を見上げてみる。……少し登ったところだと? 少しってレベルじゃねぇぞ、何段あるんだコイツは。数百段は軽そうだ。

「ええっと、……どうします?」

 慎吾もこの階段には笑いを隠せないらしい。俺だって笑いたい気分だ。
 本当なら面倒もいいところだから、ここまで来たことを良しとして帰るところなのだが。騎士団放って長いことこうしている以上、何の成果がなくとも取り合えず見るものは見ておくべきかと思う。収穫がなさすぎたことへの罪悪感を払拭したいだけだ。

「あーあ、わかったよ、行ってくる」
「え、俺もお供します!」
「お前の足に付き合ってやれる精神的余裕は無い!」

 この数百段、足が悪くない俺でも嫌になるのに、完璧に足の悪い慎吾に付き合っていたら時間がいくらあっても足りない。こんな登って下りるだけの階段、フォローも特に必要あるわけでもなし、登った先にあるものは石碑だけとわかっている以上、わざわざ慎吾を連れる必要はないのだ。

「わかりました、何かあったらすぐ向かいますから」
「嘘つけ」
「じゃあ俺もゆっくり後追います。それなら単にここで待ってるより、王子のピンチに駆けつけられます」
「んな事態があったらお前が着くより早く自力でなんとかするっつの」

 慎吾も元々は騎士団の一員、騎士団を追われてからも自主的に運動は欠かしていなかったようだし、俺が酷使していたせいもあって、階段を登ること自体は嫌ではないのだろう。俺の体を貸してやりたいくらいだ。
 そういうことで、俺と慎吾は最初の一段は一緒にスタートした。もちろん、二段目から先俺との距離はどんどん開いていく。そんなことはわかりきっているからいちいち慎吾がどこまで登ったかを確認はしない。段差は登ってみると意外と急で、下手に下方を確認しようとして落ちたりしたらシャレにならない。笑い話もいいところだろう。その上階段はいくら登っても終わりが見えず、一番軽い服装にしてよかったと心底思った。王子だから体力が無いとかいうわけではない。俺だって騎士団を率いている、それなりの体力づくりは欠かしたことがない。
 足にかかる負担を、思考で紛らわす。そうしてもう何分経ったのだろうか、上方を見やればあと二十段ほどで階段が途切れる。やっと階段が終わるらしい。終わりが見えればやる気も出るってもんで、一段一段また踏みしめて登っていく。

「っ」

 終わりまであと数段、というところで、違和感に襲われ足を止めた。自然、剣を抜く姿勢に入る。
 ――なんだ?
 さっきまでは感じなかった何かを感じる。おかしい。さっきまではこんな気配、一切していなかったのに。
 そのままの体勢で残りの数段を登りきると、そこに寂しく開けた場所があった。申し訳程度に石畳が敷かれており、奥に小さな石碑がある。一度違和感が消え去り、その石碑まで歩いていく。それは本当に、ただの石碑だった。手を伸ばして触れようとすると、電気が走るように再び違和感に襲われる。手はやはり自然と束を握っていた。

「……何者だ」

 声をかける。さっきまでは確かにいなかったはず。石碑の向こうに黒い影がある。もちろんそれは、慎吾ではない。
 つい数秒前までは確かにいなかったことを確認すると同時に、これが違和感の原因であることを悟った。誰だか知らないが、違和感の原因はコイツだ。
 黒い影がゆっくりと振り向く。ボロくて丈の長い黒マントを羽織ったそいつは、俺と張れるくらいガタイのいい男で、背の丈も俺と大差なさそうだった。どこか驚いたような、寂しそうな、変な目をした男だ。気に食わない。
 いや、本当に気に食わないのはそんなところじゃない。
 本当に気に食わないのは、

「何だ、てめェ俺が見えんのか」
「見えないモンに声かけるほどイカれちゃいないんでね」

 表情が俺に似ているような気がする、この気持ち悪さだ。
 すぐに抜けるよう、束を握った手に力を込める。そいつは相変わらず憂えた瞳で、ぽつりと呟いた。

「――そうか、……また、死ぬのか」

 また?
 聞き間違いかもしれないが、俺には確かにそう聞こえた。また、と。一度死んで再び死ぬということか? 理解できない。
 男の憂えた表情はそれまでだった。俺がわけもわからず剣を手にしたまま立ち尽くしていると、男の口許はにやりと不敵な笑みを形作った。

「今回はさすがに持ち主が変わるとは思っちゃいなかったんだが、――なるほどな、本拠地で俺に会えたことを幸運に思え、小僧」
「貴様、俺が誰か分かって口利いてんのか……!?」
「知らねぇな、興味もない。まあ取り合えず、ようこそ我が黄金の城へ、とでも言っておこうか」

 男の言葉とともに吹いた強烈な風が、俺と男のマントをひどく揺らした。






多分次で終わり。後は奈央書きたいけどまとまらない。
前半の、王位継承したら弟妹に会え、とかいうのは目に見えてわかるフラグを立てたいな、と思っただけです。別の話で書いてもよかったけど、入れた方が長さ稼げるし!


そいで、取り合えずタっくんです。タっくんですがゲームに関与しないので私の自己満足です。
だってタっくんを普通の人間にすると後で黄金郷に関与できないじゃない。ということは何か違う存在にしなきゃいけないわけで、久々に考えました。で、どうしようもないところに落ち着いた。
別に大和と血縁あるとかないです。タっくんだから、「大和と顔が似てる」って書かざるを得ないww
タっくんがゲームに無関係、そもそも盗まれた黄金自体は呪われてるものじゃないので関係ないんですよね。自分で考えた設定が頭でぐちゃぐちゃになってきました。多分もう大丈夫。


聖櫃戦争は本編書くならタイトルに全部星の名前を使おうと目論んでます。
タイトル考えるのは楽しいけど中身が伴わないので悲しい。


ご近所未来は点呼どんが言ってるのが萌えます。
奏ちゃんがいじめられてるのをアイリーンが助けに入る、劣勢になったら周・枢の双子が助ける、でもって最後は裏で葵とメル君が制裁してりゃいいと思いました。そういうところで葵とメル君は結託しそうです。弱いものいじめ、ダメ、ゼッタイ。(何) シャルはいじめられたりってなさそうだけど、奏ちゃんは格好の標的になってそうです。アイリーンは自分が劣勢だと思ってなさそうなので双子が入った時点で不機嫌になる予感が。でも奏ちゃんが感謝してくれるのでみんな一気に癒されたらいい。癒しオーラばしばし出てるよきっと! 奏ちゃんとシャルが一緒にいるところを見ると、「……塩舐めたくなる」って葵あたりは言ってそうです。ふわふわしてて甘い感じがするぜ……。
シャルはニアみたいな子、って感じで書き直そうかな。うん。


外で猫が超うるさい。
聖櫃戦争については秋臼さんがケレスさんの動き書いたら本編書いたり書かなかったりするかもしれないけど、場面設定が不十分だからまず無理!(爽)
盛大に立てたフラグだけは回収したいから、大和と慎吾のとこだけでも書きたい気はするんだけど。いや、回収しきれないけどね!

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2009.08.30(Sun) | 聖櫃戦争 | cm(0) | tb(0) |

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