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軽石へちま

Author:軽石へちま
基本自キャラで凄まじく妄想してみる。
隠れ家なのでBLとか黒とか暗とか主。
キャラ崩壊必至。何とも思わないけども。
妄想についてこれる人だけどうぞ。

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世界の果てへ花束を



 暗くじめじめした部屋で、もう何日も同じことばかり考えていた。
 自分にとって、その存在がどれだけ大事なものなのかということ。俺だけは、軽率な言葉を吐くことは許されていなかったのだということ。自分のちっぽけな配慮が、逆に彼女を追い詰めて傷つけたこと。……わかる。それはもう、痛いくらいに分かった。理解した。けれど俺にだって一応、主張できる程度の言い訳くらい、ある。
 さあ、俺よ何が言いたいのか。俺の優しさなぞ無用だとあいつのこれまでが主張する。多分それが正しいんだろう。説得力を持つ奴が勝ちだ。


 俺にとっては巻き込まないことが愛情表現そのものだ。


 俺や椿が背負っているもの、それは一桁や二桁で済むものじゃない。四桁規模の歴史を背負っている。その四桁を背負うことがどれだけ重要なことなのか、俺も椿も家を愛しているからよくわかる。親がある程度自由に生きていいというからその中でできる限り自由を謳歌するのが俺、自由に慣れてしまえば後が怖いと真面目すぎるくらい真面目になっているのが椿だ。椿のやりたいことは、わからないではない。椿の考えることも、俺からしてみれば筋が通っている。
 これで、俺がどこぞの社長の息子だ何だって言うなら、俺は迷わず家を捨てたに違いない。俺以外に代わりはいくらだっているはずだ、と彼女の手を取ってどこへでも行った自信がある。だが、それじゃダメなんだ。俺と椿が背負う四桁規模のものは、俺でなければダメだと言う。俺もきちんと向かい合ってその要求を良しとしたからこうして今もその姓を名乗っているわけだ。好きなら飛び出せばいい、とか、自分のしたいように生きればいい、と言う奴がいる。そんなことを俺に言ってみろ、首の骨折って殺してやる。家を考える気持ちを恋愛感情を量りにかけたら必ず恋愛感情が勝つとでも? んなこたない。実際問題俺はそうじゃないからだ。何回量ってみても、優劣がつかない。
 巻き込むことができたら楽なんだろう。好きだから一緒にいてくれ、と。四桁のものに引き込んで、巻き込んで、その渦の中に共にいられたら。……そんなの、自分勝手が過ぎるじゃないか。
 あいつとじゃなきゃ結婚したくないと思っていた。今も思っている。でもどこかでそんな上手いこといくものかと思っていた。俺は巻き込みたくなかったからだ。あいつが叫んだように、確かに俺は線を引いていたんだろう。その線は、俺にとっては必要な線だった。その線がなければ俺は何をしてもいいことになってしまう。常に一歩退いていなければ、迷いなく触れてしまう。


 ……結局俺はどうしたかったんだ、――……たかったのか?

 
 家は捨てられない。
 でもあいつのことは傍に置いておきたい。
 ……でも、家を捨てることなんてできない。
 

 ――別れたかったのか?


 ああ、そうなのかもしれない。俺はきっかけを探していただけなのか?
 ……違う、違う、じゃあ何で俺はわざわざ恋人なんて関係を選んだんだ、最初から別れるつもりなら付き合う必要なんてないはずなのに。
 


「おーい大和ー、生きてっかー?」

 とても生物として生きている気のしない俺に、声が掛かった。使用人が離れの鍵を開けたらしい。掛かった声は聞き覚えのあるもので、こちらに向かってくる足音は複数。和室に寝転んでいた俺は上体を起こすとがりがり頭を掻いた。複数の足音はやがて和室にたどり着き、俺の顔を見ると揃って「げ」と声を漏らす。……ひとり足りない気がするが、ここまで来そうな面子としては妥当だった。

「え、えーと、取りあえず換気しようぜ。この空気じゃいつかキノコ生えんぜ」

 冬二がそう言って窓を開けた。窓の外はオレンジから藍色にその色を変えている。ここ数日時間の感覚なんてなかったが、取りあえず今は夕刻らしい。
 俺は大して動いちゃいないのに何故か散らかる部屋、その床に各自がスペースを作って冬二とケレスと要が腰を下ろした。
 多分、俺が学校に来てないのに気づいてやって来たんだろう。となれば、事の詳細を聞きに来たということだ。言い訳は別として、相手が聞きたいだろう事実を話してやる。俺がどうしようもない一言であいつを拒絶したのだと。もうそんなところは俺にとって問題ではないのだが、事のあらましとしてはそんなところだろう。
 あいつとどうなりたかったのか、今じゃさっぱり分からない。好きだという気持ちはあるのに、その気持ちでどうしたかったのか、わからない。

「……と、言われても、家云々なんじゃ俺らがどうこう首突っ込める問題でもねぇよなぁ」

 冬二は実に謙虚だ。謙虚さの裏に自分は可愛い彼女ゲットしたばっかりだし不幸せとは縁無いんだぜ☆という気持ちが見え隠れするのでそいつは若干ウザいが、そこを妬ましく思ったって俺の問題がどうなるわけでもなし、冬二の方は見ないようにするか、と自分で決める。
 そのまましばらく沈黙。家の問題じゃあそりゃあ首は突っ込めねぇだろう。俺の顔を笑いに来たなら笑うだけ笑って帰りゃいいのに。

「………俺は、」

 すると突然要が口を開いたので、全員の視線が要に向かう。

「ルネと結婚しようと思っている」

 清々しいほど真っ直ぐな瞳で奴はそう言ってのける。一瞬の間。
 「え、ちょ!?」という声がさすがに俺からも漏れた。冬二とケレスは余計そうだったらしい。

「うおい要、空気読めてんの? 馬鹿なの?」
「なんでも相談室やりに来たんじゃねぇんだぞ」
「分かっている」

 その返答にはより目をぱちくりさせる。取りあえず前置きから入んねぇかな、こいつ。いつか医者になったら前置きなく余命宣告するんじゃないだろうか。
 要が先を続けた。結婚する気ではいるが、親に歓迎されているとは思わないという。

「……だが、家のことを始め諸々のことは二人で解決していきたいと思っている。一人で部屋に篭っても納得いくようには運ばない」
「――言いたいことは分かる。でも俺とお前、ルミとお前の彼女じゃ立場がまるで違う」
「何が違う? 家の歴史としては確かに芹沢の方が長いだろうが、後はルネが数年長く生きているだけで他は何も変わらない。寧ろ、お前と彼女の方が俺とルネより付き合いが長い」

 多分要には、俺がどうしてこうしているかなんて解せないのだろう。
 一番違うのは俺とお前の考え方だ。んなことは分かりきってる、いちいち突っ込むことじゃない。

「……つーかさ、付き合うにしろ別れるにしろ結婚だの家のことだの何だのって、会って話しゃいいじゃん、って俺思うんだけど間違ってんの?」

 ぼそりと喋った冬二は俺でなくケレスに話を振る。当然ケレスからは「俺に聞くな」との返事が。

「や、別にさ、大和のやってることが合ってる間違ってるとかそーゆーのは別にして、だ。お前が葉山のこと好きなのは誰が見たって明らかだしさ、葉山のことウザいくらい考えてるってのもわかるし、大事だから面倒に巻き込みたくない気持ちもわかる。でもさ、なあ?」

 なあ? の矛先はまたもケレスだった。いい加減このパターンに飽きたらしいケレスはひとつ息をついてから俺を見る。

「付き合ってる時点で巻き込んで巻き込まれてんの何で分かんねぇんだよ」
「そうそう、それ」

 ケレスの言葉を聞いて冬二は何度も頷いた。

「俺もみのりにはあんま喋りたくないような仕事してっけど、付き合ってる以上隠すわけにいかねぇし俺にできる精一杯の説得はするつもりでさ。説得して、説得されて、それでどうしても理解できなきゃそれって別れる十分な理由になると思う。だって俺のこと好きで、心底心配してくれてるんだ。無碍になんかできるわけねぇよ。だからさ、あー、キツい言い方になってると思うんだけど、お前の場合ひとりで頑張ってるつもりなんだろうけど、それって葉山に愛されてんの当然だってどっかで思ってるからじゃねぇのかなって」
「……付き合いたてが言ってくれるじゃねぇの」
「だからだろ。何も言わなくて分かり合ってんのが当然、ってそりゃ憧れるけどさ、俺はそーゆーの還暦過ぎてからでいいわ。俺は分かんねぇよ、みのりが何考えてて、俺のことどう思ってんのか。俺とどうなりたいのか、一緒にいるだけじゃとんと分かんねぇ。え、俺少数派? 少なくともそこのケレス大先生は同意してくれるって踏んでんだけど」
「紗央の場合言葉だってアテになんねぇよ」
「うわ、上には上がいた」

 ――付き合ってる時点で巻き込み巻き込まれてるって、ああ、それは、俺の悩みが本当に小さいことを証明してくれる言葉だ。
 どうしたって俺はもう、家とあいつと両方に向き合わなきゃならなかった。俺があの腕を引っ張ったのだから、当然。

「家に属する前に人間だ。家の存続なんて自分の生き死にに比べれば瑣末な問題だろう。お前でなければ家を継げないというなら尚更」

 ……なるほどな。
 こいつらに教えられるとは、この問題がどんだけ瑣末な問題だったのかレベルが知れるってもんだ。馬鹿じゃねぇのか俺。

「そうそう、お前のストイックさって機械じみてる感じ。金使うだけが人間じゃねぇぞ! ほら、嫉妬してる時とかってさ、俺今恋しちゃってるなーって最高に思ったりすんだろ?」

 開けた窓から冬の初めの冷たい風が吹く。
 ああ、それは懐かしい響きだ。

「あれ原点だよなあ、あのムカムカする感じだけは疑えねぇもん。……あ、そーですか然様ですか、俺にしかわかりませんか」

 冬二が俺たちの顔を見回して、やれやれと息をつく。……確かにな。要はそうでもないかもしれないけど、ケレスには縁遠そうだ。俺も、わかっていたのにしばらく忘れていた気がする。
 わかる。生きている感覚。誰にも渡したくないと身の内からじりじり焦げていく感覚。震える拳をまだよく覚えている。ぶん殴って顔が二度と元に戻らないようにしてやりたいと本気で思ったあの時。別れたくてそんなこと思ったんじゃない。あいつじゃなきゃ嫌だから、だから無理矢理引き寄せたんだ。俺が人として生きるためにどうしても必要だから。俺に生きている感覚を与えてくれるのは、俺を生かしてくれるのは、俺のために自分の身を傷つけてくれるのは、どの世界探したってどの銀河探したってあいつだけだろ。
 なら、俺がすることなんてあとひとつしかないじゃないか。そうだって紗央も言ってた。
 いろいろ憑き物が落ちた気分で立ち上がる。久々に地に足つけた気がするな。

「お前ら、これから時間気にするか?」

 声を掛けると、揃って「別に」と返答がある。そりゃ頼もしい。

「蔵から一番上等な酒持ってくる。今日は帰さねぇから覚悟しろよ」

 その台詞に爆笑をいただきながら離れを出る。半月が空の低いところに輝いている。……俺は何日こうしてただろう。冷やかしに来たあいつらに当然のことを教えられて、他人の当然を理解していなかった俺は本当に馬鹿みたいだ。その馬鹿に何年も付き合ってたんだからあいつには本当に頭が下がる。並の女じゃ俺とは付き合えねぇよな。やっぱあいつは大した女だ、手放すわけにいかない。


 
 その前に、今宵は月見酒と洒落込もうじゃないか。






5時までは死ぬほど眠かったんです。5時になったら目が覚めたんです。



付き合いたての冬二くんはいろんな素朴な疑問と言葉を投げかけてくれるはず! という夢を乗せた。粗筋はホテルで一睡もせず秋臼さんと(以下略)
付き合ってる時点で巻き込まれてる、というのはちょっと違う気がします。意識したら負けなんですよねきっと。ケレスさんなんかはそういうの実感してると思うし。
で、家のことで悩むな、っていうのを、自分にしかできないなら尚更自分がよく生きることを考えなさい、って言うのは自分で打っててなるほどと思ってた。やはり眠いらしい。
この後酒盛り始める前に、「あれ? シーマスは?」ってなりゃいい。
大和とルミは昔からお互いしか見てなかったから、当然のことにあんまり気づいてない。
周りからするとちょっと滑稽なくらいがいいと思います。幸せなら私文句言わないよ。


吹っ切れたら強いのが芹沢さんち。
後はもう仲直りじゃないがそんな感じで終わるので放っておきます。
話せ話せっていうけど結局はあんまり話さないと思います。その辺はわかってる。ただ遠慮しないことにするだけでだいぶ違うんじゃないかな。
さて、そろそろ寝ます。(笑)

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2009.09.30(Wed) | ご近所物語 | cm(0) | tb(0) |

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