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軽石へちま

Author:軽石へちま
基本自キャラで凄まじく妄想してみる。
隠れ家なのでBLとか黒とか暗とか主。
キャラ崩壊必至。何とも思わないけども。
妄想についてこれる人だけどうぞ。

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クラリティ・オブ・マインド



「理央ー、お父さんとお母さんからこんなの届いたよー」

 夜、部屋で本を読んでいると奈央がやって来て俺に封筒を手渡した。奈央が一度開けたのだろう、既に封の空いている封筒を開いてみると、手紙と一緒に二枚のチケットが入っている。
 手紙は後で読むことにして、チケットを見てみると、この近くでやっている宝飾品の展覧会の招待状だった。俺と奈央と二人で行けということなのだろう。

「あたし仕事あるし、理央行ってきたら?」
「宝石に興味ない」
「でもせっかく二枚あるんだし、もったいないよ」

 奈央は働いているから学生の俺とはあまりスケジュールが合わない。二人で行くのはまず無理だろう。かと言ってひとりで行けるかというと、両親から送られてくるこの手の展覧会は一人では行きづらい。
 行かなきゃ行かないでただのゴミになるだけなのだが、今回はどうもそれも忍びない。普通の美術館レベルなら行かなくても放置できそうだが、普通にチケットを買って入場しようと思ったらかなりの値段がするのだ。これは勿体ないと言って差し支えないだろう。
 どうしようか、とチケットを前に困った様子の奈央に、声を掛ける。

「いいよ、俺が行ってくるから」
「ひとりで?」
「それでもいいけど、……一応アテはあるし」

 ふうん、と奈央は曖昧な相槌を打つと、にこりと笑みを浮かべて、じゃあおみやげよろしくね、と言った。





「はいっ、おはようございます理央ちゃん!」
「……おはようございます」
「出発の前にひとつ質問が!」

 待ち合わせたのは日曜の朝、会場最寄の駅だった。十一月の半ばともなればそれなりに寒いので、俺も瑶子さんも割としっかりした上着を羽織っている。
 開場は十時から。現在時刻は九時半。少し早すぎかとも思ったが、定刻前に行動するのがポリシーの瑶子さんにとってはちょうどいいらしかった。五分前行動! とか普段言っておいて、夏休みに俺を三十分近く放置してたのはいいのか、と今更つっこみたくなったりする。
 質問質問、と手を挙げる瑶子さんに、どうぞ、と声を掛ける。

「理央ちゃんから誘ってくれるなんてすごーく嬉しいんですが、これはもしやデートということでよろしいかな?」
「は? あー……、まあ、好きなように思ってくれればいいんじゃないですか」
「どうしてそう主体的じゃないのよ理央ちゃんはー!」

 別に恋人と会うことだけがデートというわけではないだろうし。恋人でなくとも一応瑶子さんを異性として認識はしているので、これをデートと呼んでも定義としては差し支えなさそうな気がする。
 瑶子さんは俺の返答がお気に召さないらしい。面倒な人だ。

「けど、誘ってくれるにしてもジュエリーなんて意外。理央ちゃんセレブっぽい雰囲気はしてるけど、あんまりそういう装飾品には興味無さそうだよね」
「そうですね、そんなに興味あるわけじゃないです。でも親から送られてきたんで、一応」
「海外にお住まいなんだよね? それで日本の展覧会のチケット送ってくるなんてちょっと不思議」
「うちの会社が協賛してるんで、それでじゃないですか」
「へえ、理央ちゃんのおうちの会社が協賛か、それで、………え、今なんと」

 会場はこの駅から徒歩で五分ほど行った場所にある大ホールらしい。その方向に俺が先に進もうとすると、瑶子さんはぴたりと止まって俺が手渡したチケットを手にわなわなと震えている。
 
「言ってませんでしたっけ」
「言ってません聞いてませんっ」
「うちの父親、宝飾メーカーの副社長で。社長は紗央の親父さんなんですけど」
「言われてません聞かされてません!!」
「今言いましたから」
「何それっ、セレブどころじゃなく超おぼっちゃんじゃない!」
「そういう家に生まれただけで、僕の財産じゃないです」

 俺や奈央が小さい頃から、両親揃って仕事一筋。子供放って海外で仕事してるような親だ。仕事を継がせようとしないだけいい。
 協賛している会社も数社あるが、一番大きいのが親のいる会社らしい。チケットも普通に買えば安くないものだろうが、身内に渡す分なら掃いて捨てるほどあるに違いない。昔からよくこの手のチケットは送られてきたが、気が向いたら奈央と足を運ぶ程度。奈央が看護学校に進んで就職してからはなかなかスケジュールも合わなくなり、行くこともなくなった。今回も瑶子さんがいなければきっとただの紙くずになっていただろう。

「そうだよねえ……。紗央ちんとかギラギラしたジュエリー似合いそうだもんねぇ……。スタイルいいし」
「親からモデルの依頼来て断るのに苦労してるみたいです」
「ていうか、そんなお嬢様おぼっちゃまのくせに公務員とか理学部で教職とか理解できないんですけど私」
「紗央と奈央はまあ、あんまり勉強とかしたがらないですし。僕も経営には興味が無いっていうか、向かないと思うんで」
「そうかなあ……。デキる若社長になれそうだと思うけど?」
「買いかぶりすぎですよ」

 そんなことないよう、と主張する瑶子さんも、一応家のことについては合点がいったらしく、チケットをハンドバッグに仕舞うと俺の隣に並んだ。彼女の紺色のカチューシャが視界に入ってから、歩を進める。瑶子さんが歩く度にこつこつとヒールがアスファルトを叩く音がする。
 瑶子さんはいつも俺の少し前を歩くか、真横を歩く。後ろを歩くということはそんなに多くない、というか、イメージがないから覚えていないだけなのかもしれない。ふと気になって彼女の足元を見ると、いつも紗央が履いているような高いヒールを彼女も履いていた。奈央はあまりこういう靴が好きでないらしく、靴を履いても家にいる時と身長の違いを感じることはないが、瑶子さんの場合この靴でこれくらいだと、靴を脱いだ時はもしかすると奈央と同じくらいなのかもしれない。……意外と小さい? 態度の大きさでカバーしすぎている気がする。

「うん? 理央ちゃんどうしたの?」
「いえ、別に」
「今私見てにやにやしてたよ? えー、おねーさんそんなに可愛いかなあ」
「それ、僕以外の前で言わない方がいいですよ、絶対ひかれますから」

 俺だからスルーしてやれるようなものの、公衆の面前でそんな台詞大声で言ってみろ、頭おかしい女だと思われるに決まってる。瑶子さんが他の人と一緒にいるところを見たことがないからわからないだけで、もうやらかしているという可能性も捨て切れはしないが。
 そんなことを考えながら歩いていると、隣の足音が消えたことに気づく。まだ朝早いから人通りは少ないが、振り向けばまたさっきのように瑶子さんが足を止めていた。

「どうしたんですか」

 随分距離が開いてしまっていたので仕方なく戻る。瑶子さんはダークブラウンのワンピースの生地をぐっと握ってわなわなと再び震えながら、上目遣いに俺を睨んだ。

「理央ちゃんこそっ、私以外の前でそういう台詞言うのやめた方がいいと思う!」
「は? どうしたんですかって言っちゃいけないんですか?」
「うああああっ、なんでそうなの!? 理央ちゃんの馬鹿っ、鈍感っ、イケメン!!」
「はあ」

 ……怒られる原因にさっぱり思い当たらない。いや、確かに頭おかしい女とか思ったりしたけど、口にはしてないから伝わってはいないはずだ。俺が、一頃流行った「サトラレ」とやらでなければ。
 何故だか頬を膨らませて不機嫌な様子で、瑶子さんはつかつかと俺の前を歩き出した。やっぱり面倒な人だと思いながら、その後に続く。……うん、後姿が見えてるくらいが俺にはちょうどいいらしい。




「……うーん、やっぱりいいよねぇ、宝石」
「楽しめたなら幸いです」
「綺麗だよねー、いいよねぇ……」

 俺の言葉に耳を貸さない瑶子さんはさっきからずっとこんな調子だ。十時の開場と共に入り、出たのは二時過ぎだ。どんだけ見るんだと思ったのは俺もそうだし、多分会場にいた警備員もそうだろう。宝石だから長くなったわけでなく、瑶子さんは毎度こんな感じだから慣れたと言えば慣れたものなのだが、それでもやはり長すぎた。今は会場近くのレストランに入って遅い昼食を取ったばかりなのだが、立ちっぱなしだった足が昼食の間休めたことでやっと少し疲れが取れた。
 展示を回っている間、瑶子さんとはあまり会話をしなかった。それも今回に限らずだ。ひとつひとつの展示を自分が満足するまで彼女は眺める。説明だって俺みたいに読み飛ばしたりしないで一字一句暗記してるんじゃないかというくらい、真面目に読んでいる。学芸員だとか解説の人間が近くにいれば質問することだって少なくない。普段とのギャップのせいもあるかもしれないが、そういう姿勢の人は嫌いじゃない。紗央はこういう瑶子さんの爪の垢を煎じて飲めばいいのに。普段馬鹿ばっかりやってるし言っているが、根はすごく真面目な人なんだろうと思う。俺に対しても常に真面目な面だけ見せてくれればもう少しくらい株が上がるのに。

「まさか理央ちゃん、付き合った子みんなにああいう光り物あげてるんじゃ!?」
「なんでそうなるんですか。僕のものじゃないって言ったでしょう」
「理央ちゃんならやりかねないもん、ダイヤとかルビーとかほいほいあげてそう」
「僕をなんだと思ってるんですか、瑶子さん……」
「ワンピースなんかくれちゃう前科があるもんね!」
「いらないなら返してくださいよ、捨てますから」
「わ、何でそういうこと言うかなあ」

 食後のコーヒーに口をつける。瑶子さんは相変わらずじとりと俺を睨んでいる。そんな表情を見るのもだいぶ慣れてきた。
 ……なんか、俺は瑶子さん見にきたみたいだ。とふと思う。展示そのものより、展示を見て回る瑶子さんを眺めている時間の方が長い気がする。あそこまで熱心に展示を見て回る人がこれまで近くにいなかったから、新鮮なんだろうと思う。そう考えれば、これまで連れ回された博物館美術館めぐりも、結局瑶子さんを眺めていたような気もしてきた。なんだ、俺の中でこの人は珍獣か何かのカテゴリに属しているのか。

「そんなにはしゃいで疲れてないんですか? 瑶子さん」
「へ? 何で? 理央ちゃん疲れちゃった?」
「多少は」

 俺の言葉に瑶子さんは「あー」と声を上げて、眉を下げた。それからミルクティーのカップに口をつけると、ごめんね、と殊勝にも謝罪の言葉を口にした。

「私が長々見てたから疲れちゃったよね」
「あ、いえ、瑶子さんがこういうの見ると長いの分かってましたし」
「分かってたんなら私なんか誘わなきゃよかったのに」

 ……確かに、それはそうなのだが。
 絶対長くなる、というのはわかりきっていた。疲れると思うなら別の人を誘うなり、チケットを瑶子さんに二枚とも押し付けるなり、やり方はあったと思う。その辺自分でもよくわからないのだが、やっぱり二枚とも押し付けるというのは少し不自然だからなのだろうか。瑶子さんなら二枚とも自分でしっかり消費してくれそうなものだが。面倒ならそうすればよかったのだ、ろうが、不思議と「そうすればよかった!!」と強く思っているわけではない。それも選択肢のひとつとして把握はしていたからだ。だから尚更自分の行動と言動の不一致が気持ち悪くもある。

「……いいじゃないですか別に。僕が一緒だと何か悪いことでも?」

 瑶子さんは過剰なほどぶんぶん首を振る。

「誘ってくれたってことはちゃんと私とお友達になってくれてる自覚があるってことで! よきかなよきかな」
「お友達、ねえ」
「デートに誘っておいて単なる顔見知りはないでしょ? 理央ちゃんの思考回路がどうであれ、私は嬉しいよ」

 思考回路を馬鹿にされたような気がするのは気のせいだろうか。
 もう冷めたのだろうミルクティーをこくこくと飲む瑶子さんを見ながら、俺もカップのコーヒーを飲み干す。
 かちゃんと置かれた互いのカップの中身は空。行きますか、と声を掛けてから伝票を手に立ち上がった。

「あ、理央ちゃんお金大きいの? じゃあ私の分お店出てから渡すね」
「いいですよ、俺の奢りで」
「え、でも、で、デートじゃあるまいし」
「デートだって言ったの瑶子さんじゃないですか。……ランチなんて大した額じゃないし、奢られてください。今日は俺が誘ったんですし」

 上着を着て先に会計に向かう。カーペットの上を足早に歩く音が聞こえる。小走りで着いてくる様子が何となく伝わった。後ろにいると思うと落ち着かないからできれば真横にいてほしいと思いながらも立ち止まるのは不自然なのでそのままレジのあるカウンターへ向かった。伝票を店員に渡して、上着のポケットから財布を取り出した瞬間に突然思い至る。
 
(……そういやまた俺って言ったな)

 この前は耳ざとく気づいた彼女だが、今回も気づいただろうか。何も言わないから気づいていないのかもしれない。普段あまりこんなミスはしないから、そろそろ瑶子さんとの間にあったようななかったような壁は壊れてきているらしい。瑶子さんの言うように、単に顔見知りだという言葉では片付かないだろう。
 ……まあ、キャラを固定させるのに必死になっていないということは、どちらだっていいと思っているということだ、多分。
 別に一人称の違いくらいこんなに真面目に考えなくてもいいのに、と自分の思考に苦笑しながら、清算を終えると俺も続いて店を出た。





書いてて思ったこと=「こんな男は無い」
男以前に人間として、なんていうか、うん、取りあえずぶん殴ろうかな!(爽)
もうここまでくるとね、理央の鈍感さはもう無意識的に瑶子さんにアピールしてるようにしか見えない。
ずっと瑶子さんばっか眺めてたって自分でわかってるのに「珍獣扱い」ってそりゃねぇだろ、ないだろ、ないよ!! と思う次第。しょうもない子だわ本当に。
後ろを歩かれると落ち着かないのは理央と瑶子さんのキャラのせいもあるし、理央にとって瑶子さんが奈央っぽくも紗央っぽくもあるからなんだろうと思う。
こんだけ書いても全然わかってない理央。告白されても鈍でいてほしい。理央の頭幸せすぎるだろ。


瑶子さんと付き合うようになった学生時代の理央は、後々考えると恥ずかしいくらい若気の至りを繰り返していればいいと思う。可愛いだのなんだのって平然と言うよこの人。まあ空とかみたいに馬鹿真っ直ぐではないと思うけど。さらっというからいけない。茶化して欲しいのに、マジで返すから瑶子さんはびっくりする。
やっぱり部屋の中だと背が低くて(なんか小さい)は鉄板だよな……。絵的にいいよな……。
傍聴マニア09見てて、向井とアッキーナくらい差があるといいなと思った。ありすぎか。


さて、そろそろ寝ようかな。
あと1話を上下構成にして、それで一応終わりかな。紗央を書きたい。
その前に近代戦パロもどうにかしたい。しかし発表が……!! 卒業できるのか私。


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2009.12.02(Wed) | Always I Need | cm(0) | tb(0) |

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