プロフィール

軽石へちま

Author:軽石へちま
基本自キャラで凄まじく妄想してみる。
隠れ家なのでBLとか黒とか暗とか主。
キャラ崩壊必至。何とも思わないけども。
妄想についてこれる人だけどうぞ。

最近の記事
最近のコメント
最近のトラックバック
月別アーカイブ
カテゴリー
ブロとも申請フォーム
ブログ内検索
RSSフィード
リンク
スポンサーサイト
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

--.--.--(--) | スポンサー広告 |

5





ここまでが前半。
後半がクソ長い。(笑)






 少しばかり晴れた気分で喫茶店を出たときには、外は真っ暗になっていた。まだ雪は病んでいなかったが急いで軽く買い物を済ませ、マンションの自室に戻る。
 部屋を出た時とは裏腹に、ただいま、と明るい声を出して、理央の部屋に真っ先に向かう。
 理央はベッドで体を起こしていたが、奈央の姿を認めるやいなやベッドから出て、奈央が理央の様子を把握するより先に、いつもよりずっと強い力で妹を抱き締めた。肩や髪に、払い落としきれなかった雪がまだついていた。理央の高い体温がそれらを一瞬で溶かす。

「心配した、っ、奈央、帰ってこないかと思った……!」
「すぐ戻る、って、ちゃんと言ったよ……?」
「俺は聞いてない! ……っ、良かった、ちゃんと、帰ってきて……!!」

 まだ、熱い。理央は目が覚めてから奈央がいないことに気づいて、起きたまま奈央の帰りをずっと待っていたのだろう。熱もまだ高いのに、体の苦しみよりも奈央を失うかもしれないことの方が、余程理央にとって問題だったのだ。理央は何度も奈央の髪に指を通して、その存在を確かめていた。何度も何度も妹の名前を呼びながら。

「……理央」

 悲しむ理央を見ているのは、痛い。見ているこちらまでが痛くなってしまうほどに苦しそうだから。そんな理央に、奈央は言ってやりたかった。理央、あたしたち苦しまなくてもいいんだって。あたしが理央を愛してあげるだけで、理央があたしだけ愛してくれれば、もう苦しまなくてもいいの。神様が救ってくれるんだって。ねえ理央、私は理央だけ愛してるよ。理央は私だけ愛してくれる?
 奈央は顔を上げると、理央の目を見た。兄の黒い瞳には涙が浮かんでいる。その涙はもう必要のないものなのだ。奈央が理央だけを愛し、理央が奈央だけを愛するのなら、もう要らないもの。
 理央の頬に手を当てる。涙に濡れたその頬が愛しくて、何度も撫でた。

「……理央、還ろう」
「……かえ、る?」
「そう、……楽園に」

 理央の頬に手を置いたまま、奈央は大きく背伸びをした。理央はそれを助けるように軽く身を屈めただけで、拒む様子は無い。張り詰めた糸がぷつんと切れたように、理央は何度も奈央の額や瞼の上に唇を落とし、ゆっくりと妹と自分の指を絡めた。額を触れ合わせて、互いの温度をいつもよりもずっと近くに感じる。やはり理央の熱は引いていないようだった。額から感じる熱も、吐息の温度も、まだ高い。でも、その瞳はしっかり奈央だけを見ていた。

「……理央、もう、苦しいの、やめにしよう?」
「……奈央、」
「私だけ愛して、私はずっと、理央だけ、愛してるよ?」
「………ああ」

 奈央の首筋から頬にかけてのラインを理央の指がなぞり、その指が口許に及ぶと、奈央はそれを口に含んだ。小さな水音を響かせながら奈央がちらりと上目で理央を見つめ、応えるように理央も目を細めた。

「……奈央、」
「……うん、理央、」

 ただ、苦しかった。解放されたかった。この苦しみから抜け出すことができるのなら、二人一緒がよかった。きゅっと強く指を絡める度に、外の世界では夜が更けていく。そんな外界の時間の経過さえ、二人には遠すぎるもののように感じられる。
 この地上の楽園で、苦しみに縛られるこの魂が、永遠に解放される時を待ちながら、神に報いるために、血を分けて生まれてきた相手を、身をもって愛することしか、できなかった。



スポンサーサイト

2007.12.28(Fri) | eternal damnation | cm(0) | tb(0) |

この記事へのトラックバックURL
http://hechima1222.blog88.fc2.com/tb.php/65-e9ef3771
この記事へのトラックバック
この記事へのコメント
Name
E-Mail
URL
Title

password
管理者にだけ表示を許可
/
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。