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軽石へちま

Author:軽石へちま
基本自キャラで凄まじく妄想してみる。
隠れ家なのでBLとか黒とか暗とか主。
キャラ崩壊必至。何とも思わないけども。
妄想についてこれる人だけどうぞ。

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月と共に満ちてゆく  3


 瑶子さんに告白されたらしいその日から、瑶子さんからの連絡は宣言どおりぱったりとなくなった。
 返事を保留で逃げるんじゃなく、告白仕掛けて逃げるってアリなんだろうかとしばし思案。
 ……思ったより驚いていない自分がいる。期待していたわけではないし、元々ああいうタイプは苦手な部類だった。でも、瑶子さんは俺に好意を持ってくれてるのかもしれない、という変な自惚れみたいなものもあった。やけに俺を誘ってくるのは、好意を持っているからじゃないかと考えていた。俺から誘うのは、気まぐれにお返しでもしてやろうって気分だった? 否定できない、でも、肯定もしたくない。
 あの日以来勉強も上手く手につかなくなってきた。最後のレポートの提出がギリギリになって、同級生と教授に驚かれた。……自分でも意外だ、何かよくわからないものに日常を引っ掻き回されている気分。何か返事をしなきゃいけない。このまま、何もないままじゃいけない。そう思って、寝る前に自分の部屋から瑶子さんの携帯に電話をかけてみたことがある。告白されてから一週間ほど経った日だった。長いコール音の後に、留守電センターへ繋ぐメッセージ。その時は、出てくれなくてよかった、と思った。出られても、俺は明確な答えを持ってはいない。瑶子さんが求めているのは、マルかバツだ。三角は、曖昧だから好かない。瑶子さんはいつも三角に苦しめられていたようだから、マルかバツで答えなければ彼女が可哀想になってしまう。


 何度電話をかけてみても、彼女の声が聞こえることはなかった。
 無機質な留守電のメッセージ。あれだけ騒がしかったあの人が、突然俺を拒絶している気がして、苛立ちとも何とも断じることのできない複雑な気分になった。


 学校ももうすぐ終わってしまう。冬休みに入る。実家から出てきているという瑶子さんは、年末年始は実家に帰ってしまうかもしれない。
 だから何としても休みに入る前に話をしたいのに、彼女の姿はなかなか見かけることができない。
 たまに法学部棟の近くを通った時に彼女の姿を見かけても、同じ院生らしい人と歩いていたり、その表情が楽しそうだと声をかける気もなくなってしまう。
 ――これじゃあ立場が違う。逆だろ、普通。
 思っても、誰も答えてはくれないのに、考えることをやめることはどうしてもできなかった。なかなか、彼女が頭の中から出て行かない。




 その日は、後期の授業が終わった日だった。あと数日でクリスマスという日。

「りーおっ」

 夜、部屋のベッドに横になって本を読んでいると、奈央がひょっこり顔を出した。
 入れよ、と声を掛けると遠慮なくその身を部屋の内側に入れる。奈央の手にはお盆が。その上にはガラスの器。ヘタの取られたイチゴが盛り付けられていた。

「イチゴ洗ったから、食べよ?」
「わざわざ持ってこなくていいのに」
「理央、元気なさそうだなあって思って」

 にこりと笑って奈央はベッドの縁に腰掛けた。
 ……いつもそうだ。奈央は妙なところで察しがいい。俺の調子が悪い時なんかは本当に一発で見破ってしまう。それとも、そこまで俺が顕著な反応をしているということなのだろうか。
 起き上がって、器に盛られたイチゴをひとつ頬張った。クリスマスケーキとかに使うためにそろそろイチゴの売出しが始まってきているのだろう。

「最近瑶子さんと遊ばないんだね、理央」
「そんな毎日遊んでるわけじゃないし」
「でも、あたし毎日のように瑶子さんのお話聞いてた気がするなあ。お付き合いしてるんだよね? 喧嘩した?」
「は? ……別に、付き合ってない」

 俺の言葉に奈央は、え!? と珍しくひどく驚いて、摘んだイチゴを取り落としていた。
 んな報告をした覚えは無い。全然、無い。
 奈央はまだ目を丸くしたままだったが、そうだったんだあ、と納得したように言って、拾ったイチゴを口に放り込む。

「……理央が今まで連れてきた女の子って、みいんなあたしみたい、っていうか、なんていうか。大人しそうな子ばっかりだったよね。だからあたしには、理央は理央にしか見えなかったよ」

 奈央は納得しながらそう喋ったけれど、俺からすれば発言の意味が全くわからない。

「俺は俺だろ、別のものに見える方がおかしい」
「そう。理央は理央だよ? ただ、あたしにとっての理央はどんなことがあったって絶対に“お兄ちゃん”の枠からははみ出さないの。理央が女の子連れてきてても、あたしが見る理央はいつも理央。何も変わってない」

 瑶子さんに言われた言葉と、とても似通っていた。俺はいつも、奈央か紗央にしか分類していないんだと、そう言われた。奈央から見てもそうだと言うのなら、俺は瑶子さんをどうふるいにかけていたのだろうか。そんなつもりは少しもなかったのに。
 奈央はまたひとつイチゴを摘んだ。

「でもね、瑶子さんの話をしてる時の理央を見るのは、ちょっと不思議な感じだったんだあ」

 大ぶりのイチゴを一口齧って、それから俺の表情を窺って、俺が全く見当もつかないという表情をしていれば、わかんないの? とでも言いたげににやりと笑った。 

「はいはいしょうがないなあ、って顔なのに、楽しそうなの。けど口は愚痴ってるんだよ? そういうのなんていうか知ってる? 惚気っていうの」
「だから、俺はあの人と付き合ってるわけじゃ、」
「うん、それでもいいよ別に。あたしが知ってたって仕方ないことだもん。あたしが分かってるのは、瑶子さんのお話する時の理央はお兄ちゃんぽくないなあ、ってことだけ。いつもお兄ちゃんしてたのに、瑶子さんといる時はきっとそうじゃないんだろうなって。理央と対等でいてくれる人、理央にお兄ちゃんさせない人なんだな、って、あたしはそう思ってた」

 ………対等なものか、あれが。
 俺ばっかり振り回されてたじゃないか、いつもいつもいつも。それで対等だって言うなら世界の天秤は全部狂ってる。
 
『理央くんはいつもどこかで強くブレーキをかけてて、その一方で無意識的に女の子をすごく傷つけることをたっくさんしてると思う』

 ただ、……傷つけているというその対象に瑶子さんも入っていたのなら、俺が全くの無傷でいることはフェアじゃない、とは思う。そう思うことくらいならできる。
 俺だって、瑶子さんに対して無感情だったわけじゃないんだ。

「じゃ、あたしリビングでゆっくりテレビ見てるから。残りのイチゴ全部食べちゃってね」

 仕切り直すように奈央は立ち上がったが、ガラスの器にはまだこんもりとイチゴが残っている。

「……こんなにいらない」
「だってあたし洗ってる間につまみ食いしちゃったんだもん、もうおなかいっぱいで。2パックも開けなきゃよかった」
「お前、二人で2パックって多いことくらいわかるだろ見た目で」
「ちょっとしたミスなの! 開けてから気づいたんだからしょうがないじゃん!」

 奈央はもうこれ以上食べる気は少しもないらしい。じゃああとよろしくっ、と言い逃げ状態で部屋を出て行く。……こんなに要らないのに。
 仕方なしにひとつイチゴを口に運ぶ。まだ時期が少し早いからか甘さよりも酸っぱさの方が際立っている。
 枕元に投げてあった携帯を手にとって、もう一度電話をかけてみることにする。電話帳から、彼女の名前を引っ張り出すことにももう慣れた。
 ……連絡が取れなくなって、困ったことなんてこれまでなかった。今だって実害は別に、ない。
 連絡が取れなくなれば関係の終わりが意味されている。それでよかったし、これまでそれを受け入れてきた。このまま連絡を取れなければ、今までと同じように俺も彼女も互いのことを忘れて、出会う前と同じ生活をするのだろう。それでよかったはずだ。どうして今更、彼女とはきちんとさせなければいけない、なんて妙な考えが浮かぶんだろう。マルならマルで、バツならバツで、彼女には伝えないと。そう思って今携帯を手にしていても、正直答えはまだ、出ていない。答えもないのに何をしたくて俺は彼女に電話しようとしているのだろう。
 そんなことを考えながら、とりあえず通話ボタンを押す。コール音がなかった。代わりに耳元で聞こえた音声案内に目を見開く。


 おかけになったでんわばんごうは、げんざいつかわれておりません

 
 無機質な声。
 ――ヤバい、と直感的に思った。
 ヤバい、これはどうしようもなくなる。だって俺は結局、彼女に聞き出されることはあっても、何一つ聞き出そうとはしなかったから。住んでいる場所だって、瑶子さんは俺の家を知っていても俺は知らない。連絡手段は携帯で、学校はもう終わっていて、それじゃあ俺はどうすればいいのか。
 試しにメールも送ってみたが、アドレスが違うと返送された。つまり彼女は、メールアドレスも、電話番号さえも変えて、俺との連絡手段を一切断ったのだ。告白してきた側がそんな対応するって、あるのか。ないだろ普通。マルかバツかさえも言わせないつもりなのか、それが嫌だと言ったのは貴女の方なのに。
 心拍数が変に上がるのを感じながら、俺は別の番号に電話を掛ける。数回のコール音の後に、今度は相手が出た。

『……何よ、あんたが電話って珍しいわね』
「瑶子さんの番号知らないか」

 電話の向こうの紗央の声が、ああそのこと、と言う。
 初めて会った時から意気投合していたようだったから、きっと紗央には教えているんじゃないかと思ったのだ。

『クリスマスまでには彼氏欲しいって騒いでたから、なるほどね。でも電話で告白する男ってどうかと思うわ』
「別に告白するなんて言ってない」
『言ってるわよ。……知ってても教えてあげない。天罰だと思って少しは足掻きなさい』
「……言ってくれるな」

 当然よ、と紗央の声が俺を嘲笑うように言う。

『嫌そうな顔してたくせにハマってたのはあんたってことね、ざまあみろって感じ』

 警鐘が鳴り止まないから、変に緊張しているから、もう紗央の言葉を否定する気は少しも起きていなかった。
 認めるしかない。連絡手段を断たれて、このままじゃ嫌なのは俺なんだ。

「自分でどうにかする。もう頼まない」
『そうしなさい。今度のお正月は理央からお年玉が期待できるかしら、この恩は一生忘れない、ってね』
「馬鹿かお前。もう切るぞ」

 騒ぐ声が小さく聞こえたが無視する。
 ……上手くいくなんて、少しも思っていない。自惚れがすべて断ち切られた。メールアドレスを変えたのも、電話番号を変えたのも、知らず俺が彼女を酷く傷つけていたからだとしたら。あの告白の時点で、彼女の気持ちがもう終わったものになっていたら。寧ろその確率の方が高いかもしれない。
 ――でも、これも天罰か。
 なら受けなければ。受けなければ。寒空の下で俺を待って、またひとりで飛び出していった瑶子さんに、俺の答えをあげないと。
 通話を切って携帯を閉じる。その後俺が最初にしたのは、大量にビタミンCを摂取することだった。




電話番号まで変えられたら諦めろよwwwww


とか思いつつ書いてました。
部屋が無茶苦茶寒いです。
理央って結構自惚れまくってる男なんだなあと実感しました。お前ダメな男じゃないかwwww
もっとマシな奴かと思ってたのにwwww


とりあえず次で終わり。クリスマスまでに仕上げないと何の意味もない話だなコレ。


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2010.01.03(Sun) | Always I Need | cm(0) | tb(0) |

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