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軽石へちま

Author:軽石へちま
基本自キャラで凄まじく妄想してみる。
隠れ家なのでBLとか黒とか暗とか主。
キャラ崩壊必至。何とも思わないけども。
妄想についてこれる人だけどうぞ。

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ずっと思ってたんだけど、この宗教の教義って。(謎)







 手にした“それ”が、血に濡れていた。
 あんなに月に翳して、綺麗な光を放っていた“それ”の刀身は赤黒く濡れて、降りしきる雨がその赤を洗い流していく。
 震える足で、急いで駅に向かう。切符を買って、ずぶ濡れのまま電車に飛び乗って、三つ先の駅へ。黙って家に帰るわけにはいかなかった。これでは神に許されない。これでは、今まで、こうしてきたのは、なんだったのか。
 いつもの講堂に飛び込んで、雨の音が遠く響く中、床に膝をついて祈りを捧げる。どうしたら、どうしたら許してもらえるのか。ただ言いつけに従っただけ。兄だけを愛するために、どうしても邪魔な人を、どうにかしようと思っただけ。

『あたしがいるうちは、まだゆるし、て、あげられるから……! 誰もあんたから理央、取らないから!! だから、目、さまして、贖いなさい……!!』

 血塗れの従姉は、鬼気迫る表情で、奈央にそう訴えた。
 まだ赦せるから、と。目を覚まして贖えと。
 そんなことが簡単にできるなら、最初から神になんて縋っていない。二人きりだ。二人きりで生きてきた。これからも二人きり。そこに、彼女が入る隙間なんてどこにも、ない。二人きりで生きてきたから、これからもずっとお互いに優しくあれば、神様がきっと助けてくれる。二人だけなんだ。どんなに苦しくても、助けてくれるのは理央だけで、それなのにどうして、どうして紗央は、赦すなんて言葉を、使うのか。どうしてそこまで関わろうとするのか。無視してくれればいい。そこには二人しかいないのだと思っていてくれればいい。

「……っ、う、かみ、さま、」

 いないならいないって言って。
 信じれば苦しくなくなるんじゃないの? こんなの、最初よりずっと苦しい。
 こんなにも心を砕いて捧げたのに、救いの兆しどころかどんどん堕ちている気がするのだ。これも、救われた時の喜びを大きくするために必要なのか。そんなの、鬼だ。慈悲深さの欠片もない。
 いつもの天窓には雨が打ちつけるだけで、綺麗な真珠色の光は一切入ってこない。
 奈央の異常な様子に建物の人間が気づき、鞄から見え隠れする“それ”を見つけて、奈央を建物の外に追い出すまで、そう時間はかからなかった。



 雨の降る、夜明け間近の空は暗くて重い。
 駅三つ分を、傘も差さずにひとりで歩く。
 外を歩く時は、いつだって二人だった。理央と二人。昔から、そうだった。

 そうだった? 本当に?

 高校生の頃の理央なんて本当に無愛想で、奈央にだってあまり優しくなかった気がする。優しく、兄らしく接するようになったのは高校を卒業して、ここ数年だ。あんた兄貴なんだから妹にくらい優しくしなさい! って、紗央が喝を入れたから、渋々なのかもしれなかったが、今みたいに優しくなった。
 そうだ、紗央だって一緒だった。一緒に暮らしていたわけじゃないけれど、小さい頃からとても仲が良かった。理央と奈央が七月生まれで、紗央は四月生まれ。ちょうど三ヶ月先に生まれた紗央はきょうだいがいなかったせいもあってか、あたしがお姉さんだから、と昔から言い張っていた。
 でも、三人だけじゃない。わかってる。もうひとり、何があってもずっと一緒にいてくれた人がいた。見返りを求めないで、奈央がどれだけ理央にかかりきりだったとしても、それでも奈央を好きでいてくれた人。奈央だけじゃなく、理央のことだって、紗央のことだって、大事に思ってくれていた人。思い出したくないだけで、心の中にずっといる。思い出したくない。思い出せば辛くなる。理央だって辛くなる。

 彼のいた時間に戻ることなんて絶対にできないのに、彼のいない世界に慣れることさえできない場所まで、堕ちてしまった。

 何をして贖えばいい? どうしたらちゃんと赦してくれる? 神様は救ってくれない。苦しいことから解放されたい、ただそれしか願ってないのに、そんな些細な願いですら、どんなに心を砕いても、聞き入れてはくれない。それは救うに値しないから? ここまでの罪を犯したから? もうなんだっていい。裁きだって受ける。歪んでしまった、捻じ曲がってしまった、だから早く、この暗い世界に光を戻して欲しい。それができないのなら、この身を闇の中へ投げ入れて溶かして、もう二度と光を夢見ることのない深い場所へ捨てて欲しい。
 こんなにも泣いているのに、雨の音がすべてかき消して、人目を憚ることなく流す涙も打ち付ける水滴に紛れてわからなかった。

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2007.12.28(Fri) | eternal damnation | cm(0) | tb(0) |

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