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軽石へちま

Author:軽石へちま
基本自キャラで凄まじく妄想してみる。
隠れ家なのでBLとか黒とか暗とか主。
キャラ崩壊必至。何とも思わないけども。
妄想についてこれる人だけどうぞ。

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ホワイトメイズ  1


 家に誰もいないから。
 そう言って母さんが俺を家に呼び寄せた。実家に着いたのは夜だったのに、確かにみのりも父さんも家にはいない。聞けばみのりは夏の林間学校だか臨海学校で、父さんは何故かその付き添いで出かけたらしい。まさしく家には母さん一人だったわけだ。俺が家を出てしばらく経つが、数日間ひとりきりになることなど母さんはなかったはずだ。俺をわざわざ呼び戻すのも頷ける。
 数日戻るくらいなら別に構わなかった。そりゃあ、家を出る原因が母さんだったから、気まずい気持ちがないってわけじゃない。でも何日も母さんを一人にする方が気が引ける。あんまり寂しがらせるとキノコでも生えてきそうだからな、この人。それに俺はサークルやってるわけでも彼女がいるわけでもない。強いて言うならバイトしてるくらいだ。食事の心配をしなくていいんだから、数日の気まずさくらい我慢しよう。



 その連絡は、三日後に届いた。



 その時俺は部屋の窓を開け放して煙草を吸っていた。父さんが吸っていたものと同じ銘柄だ(多分)。母さんこのこと知ってんのかなあ、とぼんやり考えながら、曇った夜空を見上げていた。煙が雲に向かって上っていくのを目で追っていると、階下で電話のコールが聞こえた。はーい、なんて返事したって電話の向こうには聞こえちゃいないのに、母さんは上の階にいる俺に聞こえるくらいの声で返事をすると、電話を取ったらしい。コール音が止む。
 壁の時計をちらりと見ると、午後九時。そろそろ風呂にでも入るか。いや、明日みのりや父さんが帰ってくるんだから適当に荷物まとめとくべきか。といっても持ってきた荷物なんて大学で使う教科書とノートが数冊くらいで、その他はほとんどない。多分帰る時に大量の食糧をもたされるから、その辺の覚悟だけしておけばいいだろうか。
 携帯灰皿に吸い殻を押しつけると風呂に入る準備をするため窓を閉めた。
 がしゃん、と、ばたん、という大きな音が聞こえたのは、その直後だった。明らかに誰かが倒れた音だ。この家には今俺と母さんしかいない。ということは――。

「母さん!?」

 急いで階段を駆け下り、リビングへ飛び込むと、受話器の子機が床で寝ていた。母さんは力なく座り込んでいて、……よく見ると微かに震えている。その肩を軽く揺すってみても、だらりと力が入っていない。俺の右目と同じ青い瞳は虚ろで何も映していない。何というか、ぞっとする光景だった。

「……に決まってる」

 ぽつりと母さんが何か呟いた。聞き取れなかった俺は思わず「え?」と聞き返す。

「うそ、に、きまってる」

 自分に言い聞かせるような口調だった。強い口調。自分を必死で納得させようとしているような、そんな声色だ。
 何のことなのかよく分からない俺は、取りあえず床に転がる子機を拾い上げた。電話が原因なのは間違いない、けど電話が何を母さんに知らせたのだろう。俺が子機を手にした瞬間、計ったかのように再びコールが響いた。流石に今のタイミングは俺もぎょっとしてしまう。母さんは体を小さくして震えている。俺が出るより他ないらしい。
 通話ボタンを押して、桜井です、と名乗る前に相手の言葉が耳に飛び込んだ。

『紗央ちん!?』

 それもまあ、聞き慣れた声。紗央――もとい母さんをそんな風に呼ぶのはこの人しかいない。

「いえ、俺です。真紘です」
『あ、ヒロ君か……』

 少しだけほっとしたような、そうでもないような、複雑な声。その声の底にある感情が何なのか、俺には見当がつかない。
 そのまま少しだけ沈黙が訪れた。電話の相手――瑶子おばさんとの会話で沈黙ができるなんて初めてかもしれない。おばさん自身にとってもきっとこんなことは珍しいだろう。
 電話の向こうのおばさんが話し始める。こういうのを多分、重い口を開く、って表現するんだ。

『もう、ヒロ君は知ってるの?』

 何か、よくない情報がもたらされたのだろう。だから母さんが取り乱した。おばさんは俺がまだ何も知らないことを考えて慎重にそう聞いたのだろうが、どちらにせよ意味ありげな言い方になってしまう。おばさんがいくら賢くたってこればかりは仕方ない。

「いえ、よく分からないです。ただ、この電話の前にも一本電話が来て、母さんがそれ取ってから異様に取り乱してるんで何かあったんだろうとは思ってました」
『そっか……。ヒロ君は賢いね』

 このタイミングでそれは褒め言葉なのか?
 多少の疑問を抱きつつも、それで? と俺はおばさんに続きを促す。

『紗央ちんは多分ちゃんと状況教えられないと思うから、私が説明するね。動じるなとは言わないよ、けど紗央ちんほどは取り乱さないで欲しいの』
「説明される内容によるじゃないですか、そんなの……」

 でも、母さんが取り乱すことで、俺も平常心ではいられないかもしれないことなんて、みのりか父さんのことしか有り得ない。二人のどちらかか、もしくは二人ともに何かあったのだろう。それでも俺は一応男だし、ある程度のことには動じずにいられる自信があった。

『……亡くなったんだって、拓海さん』

「……は?」

 ……何かあったって、何が?
 亡くなったって、誰が? ……父さんが? は?
 嘘に決まってる、って、それのことか?

「み、みのりは!? みのりは無事なんですか!?」
『その辺は情報が詳しく入ってないからまだ分からないの。学校に入った情報がね、亡くなった人たちのことだけだったから』

 人、たち?
 その複数形はおかしいじゃないか。複数形を使うってことは、ひとりじゃないってことだ。

「人たちって、父さんだけじゃ、ないってこと、ですか」
『……入った連絡じゃ、大和くんとか、瀬川くんとか、いろんな名前があったんだけどね、子供の名前は櫂君のしか見当たらなかった』
「か、……櫂、が?」

 子供の名前は櫂しか見当たらなかった。ということは、他は大人、親の名前ってことだ。大和ってのはきっと芹沢大和、椿の親父さんで、瀬川ってのは瀬川 空、櫂と黎の親父さんだ。
 なんで、どうして父さんが? 父さんだけじゃなく叔父さんや空先生まで? おまけに櫂もなんて、そんなの――。

「……あの、俺にはイタズラとしか思えないんですけど」

 そう思う。当然だろ、親だけ死んだなんて出来すぎてる。ついでみたいに死んだという櫂なんて主犯格だとしか思えない。帰ってくる前にサプライズってところか? 瀬川家の父子が共謀して、他の親巻き込んで、家で待ってる母さんや俺たちを驚かそうって魂胆か。確かにそれならうちの父さんも、叔父さんも乗りそうだ。辻褄が合う。そうだ、そうとしか考えられない。
 
『私もそうだと思ったんだ。理央くんもまだ半信半疑でね。けど今日理央くん研究日で、学校から連絡くれたの安藤くんなんだよ。今連絡回してくれてるのは安藤くんみたい。……切羽詰まってるみたいだったし、仕事も忙しいのにそんなイタズラに乗るかなあ、とか考えちゃう』
「でも、そんな図ったかのようにみんな死んだとか、そっちの方がおかしいじゃないですか」
『……死ぬとかいなくなるとか、紗央ちんが拓海さんからは一番聞きたくない冗談だと思う。拓海さんもその辺は分かってると思うんだよ。紗央ちんのことすごく大事にしてる拓海さんがそんな冗談、言うとは思えないんだよね……」
「それは……」
 
 確かに、そうだ。
 そういう冗談は母さんは大嫌いだし、もしも話でも父さんは自分が死んだ時のことなんて話さなかった。俺が聞いたことないだけかもしれないけど、とにかくそうだった。
 
『瀬川くんとか大和くんだけなら私もイタズラだろうなって思ったと思う。けどねヒロ君、君のお父さんに関しては私はどうしてもそう思えないんだ』
「……だからって、どう確かめりゃいいんですか……」
『うん、私もそう思って拓海さんの携帯に電話したんだけど、どうも圏外にいるみたい。理央くんも向こうに参加してる人にいろいろ確認取ってるみたいだけど、なかなか繋がらないみたい。……ごめんね、色々言ったけど結局明日になってみなきゃわからないよね』
「取りあえず俺は母さん落ち着かせて寝かせるんで」
『そうして。……ヒロ君のお母さんはすごーく芯が強いんだけど、諸刃の剣って感じなの。お父さんがいないと強くなれない人なの。……ま、これで明日冗談だったらぶん殴ればいいんだよ。私もまだその可能性捨ててないしねー』

 おばさんは明るくそう締めくくった。俺が変に気にかけて、母さんに要らぬ心配をかけさせないようにしたのかもしれない。
 とにかく、状況がわからない以上俺たちは明日を待ってみるしかない。何か起きたにせよ、何もないにせよ、それまで俺たちには為す術がないのだから。
 脱力したままの母さんを立ち上がらせ、父さんがそう簡単に死ぬかよ、と自分でも地に足のついていないような、確信の持てないふわふわした言葉を母さんに言って聞かせた。母さんを寝室のベッドに寝かせ、電気を消してその部屋を出る。
 扉を閉めると音がなくなったように感じられた。なんだか背筋がぞっとして、俺は風呂場へと足早に向かったのだった。




思いついたら即実行。
ポメラでちまちま書いてます。データをパソコンで編集しようと思ったらなかなか接続がうまくいかなくて困った。
構成を考えるのが面倒です。


奈央と黎の会話を書いている時が一番和みました。
空はね、父親になればすごくいい奴だと思うんだ。結婚するまでに苦労してるから、その後はすごくよくなると思う。
久々にバトロワのファイル読み返したけど、空が一番いい奴だ。個人的にはタっくんも同率。
ケレス先生っていうイレギュラーがいなければ間違いなく勝ってたのは流風。あの流風は誰にも負けないよ!


とか考えつつ同級生パロも書きたい。
マジで群馬でラフティングとか勘弁してほしいんスけど……orz
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2010.06.11(Fri) | ホワイトメイズ | cm(0) | tb(0) |

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